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Warriors Two, Cooley High - Wu-Tang Clan & Mathematics (feat. Benny the Butcher & Method Man) 【和訳・解説】

Artist: Wu-Tang Clan & Mathematics (feat. Benny the Butcher & Method Man)

Album: Black Samson, The Bastard Swordsman

Song Title: Warriors Two, Cooley High

概要

「Warriors Two, Cooley High」は、Wu-Tang ClanのオフィシャルDJであるMathematicsが手掛けたトラックに、ニューヨーク州バッファローを拠点とするGriselda RecordsからBenny the Butcher、そしてWu-Tangの看板MCであるMethod Manを迎えた、新旧の東海岸ハードコア・ヒップホップが激突する歴史的なコラボレーションである。タイトルの「Warriors Two」はサモ・ハン・キンポー監督のカンフー映画(邦題『燃えよデブゴン 豚だカップル拳』)、「Cooley High」は70年代のブラックシネマから取られており、Wu-Tangのカンフー美学とストリートシネマの伝統を継承している。Griselda特有の冷酷なコカイン・ラップと、Method Manの流れるような極上のワードプレイが交差する。イントロのスキットが示すように、Wu-TangとGriseldaという2つの強大なファミリーが現代のラップシーンの利権を掌握するという、ギャングスタ・ラップのファンにとっては夢のようなマフィア的共闘宣言となっている。

和訳

[Skit]

You guys got fat while everybody's starvin' in the street
みんながストリートで飢えている間にお前らは丸々と太りやがったな

It's my turn
俺の番だ

Nothing goes on unless I'm involved
俺が関わらない限り、何事も進まないぜ

No record deals, no studio time, no streaming
レコード契約も、スタジオでの時間も、ストリーミングもだ

You sell a mixtape outta your man's trunk, we want in
お前のダチの車のトランクからミックステープを売るなら、俺たちも一枚噛ませろ

You hear me? We want in
聞こえるか? 俺たちも一枚噛ませろって言ってるんだ

Nothing goes on unless Griselda and Wu-Tang are involved
グリゼルダとウータンが関わらない限り、何事も進まないんだよ

You think you'll live long enough to spend that money, you fuckin' hump?
その金を使えるほど長く生きられるとでも思ってるのか、このクソ野郎?

Hahahaha, hahaha, huh?

You wanna know where to find me, I'll be at the Plaza Hotel, come see me
俺がどこにいるか知りたいなら、プラザホテルにいるから会いに来な

You're welcome, oh
どういたしまして、ああ
※マフィア映画のボスのようないでたちで、GriseldaとWu-Tangがヒップホップ業界を裏から牛耳るという宣戦布告。

[Intro: Benny the Butcher]

Griselda, nigga (It's time)
グリゼルダだ、ニガ(時間だぜ)

Yo (Uh-huh), uh, let's go (Yeah)
Yo、あぁ、行こうぜ

(Peacе to the young god Y)
(若き神Yに平和を)

(Peace to Almighty F)
(全能なるFに平和を)

(Pеace, god)
(平和を、神よ)
※Five-Percent Nationの挨拶(Peace, god)を用いたストリートの作法。

[Verse 1: Benny the Butcher]

Sopranos don't get a cut, then you can't live (Nigga)
ソプラノ・ファミリーがマージンを取れないなら、お前は生きていけないぜ
※マフィアドラマ『ザ・ソプラノズ』に例え、自分たち(Griselda)に上納金を払わない奴は業界で生かしておかないという警告。

That's shit I learned on my first state bid (My first one)
それは俺が初めて州の刑務所に入った時に学んだことだ

I took a brick and broke it down to eight bigs (Eight of 'em)
俺は1ブリック(約1キロのコカイン)を8つのデカい塊に小分けした

Then drove a triple that across the Golden Gate Bridge (Skrrt)
それからその3倍の量を積んで、ゴールデンゲートブリッジを渡ったのさ

Be smart, streets'll swallow you if you're not (You're not)
賢く立ち回れ、そうじゃなきゃストリートがお前を飲み込むぞ

It's a difference from bein' popular and bein' hot
人気があることと、勢いがある(ホットな)ことは違うんだ

We put in work, then go to the hospital, see the opps (What's poppin'?)
俺たちは仕事をこなし、それから病院へ行って敵(オップス)に面会しに行く
※「put in work」はストリートで相手を襲撃すること。撃った相手が入院している病院にわざわざ行ってプレッシャーをかけるという冷酷さ。

And let 'em know it's back poppin' as soon as they leave the doc' (Uh)
そして医者の元を離れた瞬間、またドンパチが始まるってことを教えてやるのさ

I'm used to bread, was super fed
俺は金(パン)には慣れっこだ、最高に食わせてもらってたからな

Exclusive threads, I'm suited in Givenchy scarves, Medusa heads
限定物の服、ジバンシィのスカーフにメデューサの頭でキメてるぜ
※「Medusa heads」はヴェルサーチェ(Versace)のロゴ。ハスラーの成功の証であるハイブランドの誇示。

I'm the best shit, the proof is here (Here)
俺が最高の存在だ、証拠はここにある

These rap groups are scared, niggas is prayin' to make it through the year (Haha)
ラップグループどもはビビってる、ニガどもは今年を生き延びられるように祈ってるんだぜ

I know the feelin' of prison, just make it through your bid
刑務所の感覚は知ってる、とにかく自分の刑期を乗り切ることだけを考えるんだ

Back when my only objective was make it to the kids
俺の唯一の目的が、子供たちの元へ生きて帰ることだったあの頃

They witnessed it, we businessmen, ex-coke stretchers
奴らは目撃した、俺たちはビジネスマンであり、元コカインの密売人だ
※「stretch」は不純物を混ぜてドラッグの量を水増しすること。

VIP full of Hublots and Rolexes
VIPルームはウブロとロレックスで溢れかえってるぜ

[Verse 2: Method Man]

Cream up, the money long, my team's up (Ah)
クリーム(金)を稼げ、資金は潤沢だ、俺のチームは絶好調だぜ

My queen bee in a honeycomb, she pre-nup
俺の女王蜂はハニカム(豪邸)の中、彼女は婚前契約結びだ

I'm linked up with them Killa Beez, them wings up
俺はキラー・ビーズと繋がってる、羽を広げてるぜ
※「Killa Beez」はWu-Tangのファミリーやファンを指す総称。

Midas, king touch, to your hoes, I'm King Just
ミダス王、王のタッチだ、お前らのビッチどもにとって、俺はキング・ジャストさ
※触れたものを黄金に変えるギリシャ神話のミダス王と、スタテンアイランド出身のラッパーKing Justをかけたワードプレイ。

Jesus, what you hearin' is genius
ジーザス、お前が聴いているのは天才の技だ

That pro Meth, they can protest or bring cups
あのプロのMethだ、奴らは抗議するか、カップを持ってくるかだ
※「pro Meth」はMethod Manのことであると同時に、ドラッグのプロメタジン(Promethazine)を含んだ咳止めシロップを意味する。シロップを飲むためのカップ(bring cups)と抗議(protest)をかけている。

I cleaned up, but still ain't pullin' my jeans up
俺は更生した(クリーンになった)が、いまだにジーンズは引き上げていない(腰パンのままだ)

In fact, whole closet is straight just like my jean cut
実際、クローゼット全体が、俺のジーンズのカットみたいにストレート(最高)なんだ

Ain't got to tell you the flow is clever, I'm cold as ever
フロウが巧妙だなんて教える必要はねぇ、俺は相変わらず冷酷(コールド)だ

I'm cold weather, you wanna sweat it or want a sweater?
俺は寒い気候だ、お前は汗をかきたいのか、それともセーターが欲しいのか?

No Cinderfella, beyond the star, I'm interstellar
シンダーフェラじゃねぇ、星の彼方、俺はインターステラー(星間)だ
※ジェリー・ルイスの映画『Cinderfella(シンデレラの男性版)』を引き合いに出し、自分はおとぎ話の主人公ではなく宇宙規模のスターだと言う。

My pen is better, if not, pick up my pen and tell her
俺のペン(リリック)の方が優れてる、そうじゃないなら、俺のペンを拾って彼女に教えてやりな
※マジシャンの「ペン&テラー(Penn & Teller)」にかけた見事な言葉遊び。

We bang whatever, the reign is terror, get the umbrellas
俺たちは何でもブチかます、恐怖の支配(reign)だ、傘を持て
※「reign(支配)」と「rain(雨)」のダブルミーニング。

They say we cocky, I mean bukake, now come get her
奴らは俺たちが傲慢(cocky)だと言う、つまりブッカケってことさ、さあ彼女を連れて行きな
※「cocky(傲慢)」と男性器(cock)、そして日本のポルノ用語であるbukakeを用いた露骨なワードプレイ。

Ayy, RZA, who made them millions off that one seller?
Ayy、RZA、あの1つの商品(レコード)から数百万ドルを稼ぎ出したのは誰だ?

And even better, who made they millions off one letter?
さらに言えば、たった1つの文字から数百万ドルを稼ぎ出したのは誰だ?
※「1つの文字」とはWu-Tang Clanの象徴である「W」のロゴのこと。

Back in my bag like dime bags from Palmetto
パルメットの10ドルバッグみたいに、俺はまた自分のバッグ(本気モード)に戻ったぜ

My arm ghetto, dirty ratchet, I palm metal
俺の腕はゲットーだ、汚れたラチェット(銃)、俺は金属(銃)を掌に握る

Just like I'm smokin' a square down, I'm calm, mellow
タバコ(square)を最後まで吸うみたいにな、俺は落ち着いててメロウだ

Know I'm holdin' my square down, I'm Carmelo
俺が自分のスクエア(陣地)をしっかり守ってるって知ってるだろ、俺はカーメロさ
※「square」はタバコ、陣地、あるいはマジソン・スクエア・ガーデンのこと。ニューヨーク・ニックスのエースだったカーメロ・アンソニー(Carmelo)に自分を重ねている。

Y'all yellow, put in work, but y'all Jell-O
お前らは黄色い(臆病だ)、仕事はするが、お前らはゼリー(柔らかい/軟弱)だ

My arms strong, I handle bars, let y'all pedal
俺の腕は強い(アームストロング)、俺はハンドルバーを握り、お前らにペダルを漕がせてやる
※「アームストロング(Armstrong)」と自転車の「ハンドルバー(handle bars=ラップの小節)」「ペダル」をかけたワードプレイ。

We not friends, you can't relate, we not kin
俺たちは友達じゃない、お前には理解できない、俺たちは親族(血筋)じゃない

I bet him one, that's next to nothin', I'm top ten
奴に一つ賭けてやるよ、そんなの無いも同然だ、俺はトップ10(のMC)だからな

[Outro]

Wu-Tang Clan rocks the world (Right, magnificent)
ウータン・クランが世界を揺るがす(そうだ、素晴らしい)