Artist: fakemink
Album: The Boy who cried Terrified .
Song Title: The Mercer .
概要
「The Mercer .」は、ニューヨーク・ソーホー地区に実在するセレブリティ御用達の高級ホテル「The Mercer」を舞台に、巨万の富と引き換えに得た虚無感と孤独を描写した内省的なトラップチューンである。1日に5000ドルを散財し、昼夜逆転の退廃的なライフスタイルを送る主人公は、自分を裏切った過去の知人やヘイターたちに対して「お前はオワコンで俺は偉大だ」と残酷なまでの優越感を見せつける。しかし、その強烈な自己顕示欲の裏には、どれだけハイブランドで着飾った女性とベッドを共にしても「冷たさ」しか感じられないという、現代の成功者特有の救いようのない孤独が横たわっている。リーンの割り材であるソーダ「Crush」や、大麻の品種「Ice Cream Cake」といったドラッグリファレンスを散りばめつつ、華やかなメインストリームの裏側で冷え切っていくアーティストのペルソナを、浮遊感のあるビートに乗せて見事に描き出した一曲だ。
和訳
[Chorus]
I, I, I, I really spend like five bands day to day
俺はマジで毎日5000ドルくらい使ってる
※「band」は1000ドルの札束を指すスラング。日常的に大金を散財する成功とステータスの誇示。
Yeah, today is my fave 'cause I'm gettin' this pape'
ああ、今日は最高の日だ、だってこの札束を手に入れてるからな
※「pape'」はpaper(紙幣)の略で、ヒップホップにおいて現金を意味する定番の表現。
Yeah, I don't look back when I'm up and away
ああ、高く飛び立ったらもう過去は振り返らない
I been goin' so hard, don't really feel like a break
ずっと全力で突っ走ってきた、休む気になんてなれないんだ
Yeah, I'm sorry, every girl, every heart that I break
ああ、ごめんな、俺が傷つけてきたすべての女の子、すべての心よ
※プレイボーイとしての自覚を示すラインだが、その謝罪はどこか冷笑的で形骸化しており、感情の欠落を感じさせる。
I feel alive in the nighttime, feel so dead in the day
夜になると生きている実感が湧くけど、昼間は死んでるみたいだ
※昼夜逆転の生活。日光の下という現実世界での虚無感と、夜のクラブやドラッグ、快楽への依存を示している。
1 a.m., on my plate, eatin' ice cream cake
深夜1時、皿の上、アイスクリームケーキを食べてる
※単なる深夜のデザートではなく、強力な鎮静・多幸感をもたらす大麻のストレイン(品種)「Ice Cream Cake」のダブルミーニングと解釈されている。
Yeah, I saw your other side, won't ever see the same
ああ、お前の裏の顔を見ちまったよ、もう二度と同じようには見れないな
※かつて親しかった人物の裏切りや、利益目的で近づいてきた本性を知ってしまったことへの決定的な幻滅。
Couldn't look me in the eyes, sunglasses on your face
俺の目を見れなかったよな、顔にはサングラスをかけて
※やましさから目を合わせられない相手の描写。室内や夜間に着用するサングラスは、業界人の虚栄心や嘘、隠し事の象徴として機能している。
Yeah, I only hold love in my heart, no hate
ああ、俺の心にあるのは愛だけだ、憎しみなんかない
But I get you're salty 'cause you're washed and I'm great
でもお前が嫉妬してるのは分かるぜ、お前はオワコンで俺は偉大だからな
※「salty」は嫉妬や苛立ち、「washed」は終わった(オワコン、過去の人)という意味。前行での「憎しみはない」という寛容な発言と対照的に、残酷なまでに明確なヒエラルキーの差を突きつけている。
Yeah, you're washed and I'm great (Yeah, you're washed and I hate)
ああ、お前はオワコンで俺は偉大だ
Yeah, you're washed and I'm great
ああ、お前はオワコンで俺は偉大なんだよ
[Post-Chorus]
Yeah, you're— (Uh)
ああ、お前は—
Yeah, you're washed and I'm great
ああ、お前はオワコンで俺は偉大だ
Yeah, you're washed and I'm great
ああ、お前はオワコンで俺は偉大だ
Yeah, you're washed and I'm great
ああ、お前はオワコンで俺は偉大だ
Yeah, you're washed and I'm—
ああ、お前はオワコンで俺は—
[Chorus]
I, I, I, I really spend like five bands day to day
俺はマジで毎日5000ドルくらい使ってる
Yeah, today is my fave 'cause I'm gettin' this pape'
ああ、今日は最高の日だ、だってこの札束を手に入れてるからな
Yeah, I don't look back when I'm up and away
ああ、高く飛び立ったらもう過去は振り返らない
I been goin' so hard, don't really feel like a break
ずっと全力で突っ走ってきた、休む気になんてなれないんだ
Yeah, I'm sorry, every girl, every heart that I break
ああ、ごめんな、俺が傷つけてきたすべての女の子、すべての心よ
I feel alive in the night time, feel so dead in the day
夜になると生きている実感が湧くけど、昼間は死んでるみたいだ
1 a.m., on my plate, eatin' ice cream cake
深夜1時、皿の上、アイスクリームケーキを食べてる
Yeah, I saw your other side, won't ever see the same
ああ、お前の裏の顔を見ちまったよ、もう二度と同じようには見れないな
Couldn't look me in the eyes, sunglasses on your face
俺の目を見れなかったよな、顔にはサングラスをかけて
Yeah, I only hold love in my heart, no hate
ああ、俺の心にあるのは愛だけだ、憎しみなんかない
But I get you're salty 'cause you're washed and I'm great
でもお前が嫉妬してるのは分かるぜ、お前はオワコンで俺は偉大だからな
Yeah, you're washed and I'm great (Yeah, you're washed, and I hate)
ああ、お前はオワコンで俺は偉大だ
Yeah, you're washed and I'm great, yeah
ああ、お前はオワコンで俺は偉大なんだよ
[Outro]
Celebrity crush or your bae
セレブの推し、あるいはお前の恋人
※俺はメディアの向こう側の憧れの的であり、同時にお前の恋人が俺に夢中になっているという強烈なフレックス。
I got Crush in my cup 'cause I love how it taste
カップにはクラッシュが入ってる、この味が大好きなんだ
※前行の「crush」とかけた言葉遊び。ここではフルーツフレーバーの炭酸飲料「Crush」を指し、リーン(咳止めシロップをソーダで割ったドラッグ)の割り材として愛飲していることを暗に示している。
I was in NY with so and so
ニューヨークで誰々さんと一緒にいたんだ
※「so and so」と具体名を伏せることで、プライバシーを守るふりをしつつ、逆に特定の有名人との意味深なゴシップや秘密の交際を匂わせている巧妙なリリック。
We was at The Mercer in Soho
俺たちはソーホーのマーサー・ホテルにいた
※「The Mercer」はニューヨーク・ソーホー地区に実在するセレブリティ御用達の高級ブティックホテル。タイトルにもなっている象徴的な場所。
She was so dripped down, she was so cold
彼女はハイブランドでキメていて、すごく冷たかった
※「dripped down」は高価なジュエリーやファッションで着飾っている状態。「cold」は見た目がクール(かっこいい)という意味と、精神的な冷淡さのダブルミーニング。
When she came under my sheets, she was so cold
彼女が俺のシーツに潜り込んできた時、すごく冷たかったんだ
※富と名声を得て美しい女性とベッドを共にしても、そこには本物の温もりや愛情が存在しない。華やかなライフスタイルの究極的な到達点が、背筋が凍るほどの孤独と虚無感であることを示す極めて冷徹なパンチライン。
(Moustafa)
※プロデューサーのタグ。この冷たく空虚な物語の最後に、第三者の名前がクレジットとして響くことで、楽曲全体の非現実的な雰囲気をより一層引き立てている。
