Artist: JPEGMAFIA
Album: Veteran
Song Title: Curb Stomp
概要
JPEGMAFIAの2018年のブレイクスルー・アルバム『Veteran』に収録された本作は、彼のプロレス愛と過激な政治的アティチュードが交差する暴力的なバンガーである。タイトルである「Curb Stomp(カーブ・ストンプ)」とは、路上で縁石に相手の頭を乗せて踏みつけるという極めて残虐な暴行を意味すると同時に、WWEのトップレスラーであるセス・ロリンズの必殺技(フィニッシャー)の名称でもある。Peggyは自身をセス・ロリンズや、ナチス・ドイツ(第三帝国)を打ち負かしたソ連の独裁者ヨシフ・スターリンに見立て、ネット上にはびこるオルタナ右翼やレイシストたちを容赦なく踏み潰すという強烈なステートメントを放つ。さらに、アメコミ、政治家、刑務所産業、宗教に至るまで、あらゆるタブーと固有名詞を独自の言葉遊びで繋ぎ合わせ、ヒップホップ特有のフレックスとパンクの破壊衝動をシームレスに融合させた、彼にしか作り得ない危険なアンセムだ。
和訳
[Intro]
Niggas right there probably thinking I’m loud as shit
あそこにいる奴らは、俺がクソほどうるさいって思ってるだろうな
Ask me I give a fuck, so, (Nope), no
俺が気にしてるか聞いてみろよ、答えはノーだ
Did I tell you?
俺が言ったか?
So, (This nigga right now, nigga), oh
だから、あぁ
Da-damn, Peggy! What?
おいおい、マジかよペギー!何だ?
※JPEGMAFIAを象徴するプロデューサータグ。
Uh, uh
[Verse 1]
Hit, hit, hit
食らいな、食らいな
Superman Peggy making hits (Hit)
スーパーマン・ペギーがヒットを飛ばすぜ
※「hits」はチャートでのヒット曲と、殺し屋としての暗殺(ヒット)を掛けたダブルミーニング。
Smallville fucking with the kents (Hit)
スモールビルでケント一家とつるんでるんだ
※スーパーマンが地球で育った故郷「Smallville(スモールビル)」と、養父母である「ケント夫妻(Kents)」の引用。無敵の強さを誇示している。
Kush getting trumped for the pence
クッシュがペンスのためにトランプされる
※「Kush(上質なマリファナ)」、「trumped(打ち負かされる/トランプ大統領)」、「pence(小銭/マイク・ペンス副大統領)」という政治家とストリートの言語を絡めた高度な言葉遊び。
[Chorus]
I’m rolling (Yeah)
俺は止まらねえ
※「rolling」は勢いづいている状態、またはMDMAなどでキマっている状態。
Fuck that nigga, I’m Rollins (Yeah)
あんな奴クソくらえだ、俺はロリンズだ
※WWEのプロレスラー、セス・ロリンズ(Seth Rollins)のこと。次行のカーブ・ストンプへの伏線。また、パンクバンドBlack Flagのヘンリー・ロリンズの暴力的なライブパフォーマンスを指しているという説もある。
3rd Reich nigga, I’m Stalin
第三帝国野郎、俺はスターリンだ
※「3rd Reich(第三帝国)」はナチス・ドイツのこと。ネット上のネオナチやオルタナ右翼に対し、かつてナチスを打倒したソ連の独裁者スターリンを名乗り、徹底的に弾圧・粛清してやるというメタファー。
Curb stomp all my opponents
敵を全員カーブ・ストンプしてやる
※セス・ロリンズの必殺技であり、縁石に頭を乗せて踏みつけるストリートの残虐な処刑方法。
Aw baby, I’m violent (Huh, yeah)
あぁベイビー、俺は凶暴なんだよ
Kush loud but the gun silent (Yeah)
ハッパの匂いは強烈だが、銃の音は静かだぜ
※「loud」は匂いが強い上質なマリファナ。サプレッサー(サイレンサー)を装着した銃の静けさと対比させている。
Fuck rap, nigga, I’m firing (Brrat)
ラップなんてクソくらえだ、俺は発砲するんだよ
Alt right pussies keep crying (Why?)
オルタナ右翼の腰抜けどもはずっと泣き喚いてる
※彼の過激なリリックに反応して炎上するネット右翼たちを冷笑している。
Did I tell you?
俺が言ったか?
[Break]
Biddy bye bye
ビディ・バイ・バイ
※Buju BantonやJohn Wayneなど、ダンスホール・レゲエで多用される「死(殺害)」を意味する定番のフレーズ。
Clap your hands, when the Glock, extend
手を叩けよ、グロックの拡張マガジンが火を吹く時にな
※「Clap」は拍手することと、銃を撃つことのスラング。
I’ma clap your mans, he’s a fucking fan
お前のダチを撃ってやるよ、あいつはただのファンだ
We don't fuck with stans, nigga, watch your hands
狂信的なファンとはつるまねえ、手に気をつけな
※「stan」はEminemの曲に由来する、行き過ぎた熱狂的なファンのこと。距離感を間違えるファンやヘイターへの警告。
[Verse 2]
Hit, hit, hit, hit
食らいな、食らいな
Peglord charging niggas rent (Hit)
ペグロードが奴らから家賃を取り立てる
※Peggy自身を「Landlord(家主)」と、ネット上の過激な人物を指す「Edgelord」を掛け合わせた造語「Peglord」と呼称している。
Pig stay picking up his scent (Bitch, hit)
サツがずっと奴の匂いを嗅ぎ回ってる
※「Pig」は警察のこと。
Nigga, what’s a god to a trend? (Yo, uh yeah)
トレンドにとって神とは何だ?
※Kanye WestとJay-Zの楽曲「No Church In The Wild」の有名なライン「What's a god to a non-believer?(無神論者にとって神とは何だ?)」のパロディ。現代のヒップホップシーンでは、確固たる信念(神)よりも一時的な流行(トレンド)が優先されているという皮肉。
Fuck a Torah, bitch, I'm praying for a Benz (No shit)
トーラーなんてクソくらえだ、ビッチ、俺はベンツのために祈ってるんだよ
※「Torah(トーラー)」はユダヤ教の律法(聖書)。宗教的な権威や道徳よりも、物質主義的な富(高級車)を信仰するという、資本主義とヒップホップ文化の真理を突いたブラックジョーク。
Rocky horror, pick her pocket then I spend (Bitch lit)
ロッキー・ホラーだ、彼女のスリを働いてから金を散財する
※カルト映画『ロッキー・ホラー・ショー』の引用。異常でカオティックな状況のメタファー。
Young Aramark, I profit off the pen (What the fuck?)
若きアラマーク、俺はペンから利益を得るのさ
※Aramark(アラマーク)はアメリカの刑務所に給食や物資を提供する巨大企業。「pen」は刑務所(penitentiary)と、歌詞を書く「ペン」のダブルミーニング。刑務所ビジネスで利益を上げる巨大企業のように、自分もラップ(ペン)で大金を稼ぐという極めて知的なパンチライン。
And these drafts never got sent (Ah)
そしてこの下書きは決して送信されることはなかった
※「drafts」はメールやツイートの下書きと、軍隊の「徴兵(draft)」を掛けている。元空軍の退役軍人(Veteran)である彼ならではのライン。
[Chorus]
I’m rolling
俺は止まらねえ
Fuck that nigga, I’m Rollins
あんな奴クソくらえだ、俺はロリンズだ
3rd Reich nigga, I’m Stalin
第三帝国野郎、俺はスターリンだ
Curb stomp all my opponents (Heh, heh-heh)
敵を全員カーブ・ストンプしてやる
[Outro]
Aw baby, I’m dying
あぁベイビー、死にそうだ
I’m crying
泣いてるんだ
Aww, baby, I'm–
あぁ、ベイビー、俺は…
Haha, hahahaha
Ayy, I punched that nigga (Did I tell you?)
おい、俺はあいつを殴ってやったんだ(言っただろ?)
What, what? Hol' up (Did I tell you?)
何だって?待てよ(言っただろ?)
