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Gunz N Butter - A$AP Rocky (feat. Juicy J) 【和訳・解説】

Artist: A$AP Rocky (feat. Juicy J)

Album: TESTING

Song Title: Gunz N Butter

概要

本作「Gunz N Butter」は、A$AP Rockyの3rdアルバム『TESTING』(2018年)に収録された、ダークで不穏なエネルギーに満ちたトラップ・チューンである。Hector DelgadoやDanger Mouseらがプロデュースを手掛けた本作は、メンフィス・ヒップホップへの強烈なオマージュが込められている。客演にJuicy Jを迎え、随所にThree 6 MafiaのメンバーであるProject Patのクラシック楽曲からのサンプリングが散りばめられている。タイトルの「Gunz N Butter(大砲とバター)」はマクロ経済学の概念に由来するが、ストリートにおいては「銃(暴力・権力)とバター(金・ドラッグ・車などの物質的富)」を意味する。リリックでは、幼少期の貧困や銃社会アメリカの理不尽さ、そしてトランプ政権下の白人至上主義(KKK)に対する痛烈な政治的批判が展開される。アウトロには映画『Baby Boy』の印象的なセリフが引用され、「力があれば富は後からついてくる」というゲットーの冷酷な哲学を浮き彫りにした野心的な一曲である。

和訳

[Intro: A$AP Rocky]

Swingin' burning tires leave a third degree
燃えるタイヤを振り回し、第3度熱傷を残してやる

And I heard there's bouncin' niggas hatin' wanna murder me
跳ね回るヘイターどもが、俺を殺したがってるって聞いたぜ

They gon' have to take me straight to Satan 'cause I'm blessin' this
奴らは俺をサタンの元へ直送しなきゃならないだろうな、俺はこれを祝福してるから

I feel distressed, then feel no stress, I built this trust
苦悩を感じたかと思えば、ストレスは消える、俺はこの信頼を築き上げた

They won't come murder me, Hercules
奴らが俺を殺しに来ることなんてねえよ、ヘラクレスさ
※ギリシャ神話の英雄ヘラクレスのように、自分が無敵であるというボースト。

[Verse 1: A$AP Rocky & Juicy J]

Mama warned me pop was on me as a shorty
ガキの頃、ママはサツが俺をマークしてるって警告してくれた

(Shut the fuck up!)
(黙りやがれ!)

Get-gettin' guap before when I was fourteen
14歳になる前から、大金を稼いでたんだ

Glock was forty kick-kick
40口径のグロックの反動

Box ya jaw for plottin' on me hot bologna grits with
俺をハメようとする奴の顎をぶち抜く、温かいボローニャソーセージとグリッツ

Problems copper hoppin' on me cheese from government-ment (What that mean?)
サツが飛びかかってくる問題、政府からの配給チーズ(どういう意味だ?)
※「hot bologna grits」や「government cheese(生活保護の配給品)」は、ゲットーの貧困層の食生活の象徴。

Prada on me, choppers on me, croc' on Mauri kicks-kicks (Word)
プラダを身に纏い、チョッパー(連射銃)を持ち、マウリのワニ革のスニーカーを履く(マジだ)
※イタリアの高級革靴ブランド「Mauri」。貧困から這い上がり、ハイブランドと銃を同時に身につける現在のライフスタイル。

God was for me, locks was on me
神は俺の味方だった、俺はドレッドヘア(Locks)にしてた

Blew up ever since then (Okay, okay)
それ以来、俺は爆発的に売れたんだ(オーケー、オーケー)

Grew up ever since then, screwed up ever since then
それ以来成長し、それ以来スクリュー・アップされた

Two cups ever since then (Kill 'em Flacko)
それ以来ずっと、2つのカップを持ってるのさ(殺っちまえ、フラコ)
※「screwed up」と「Two cups」は、テキサス・ヒューストン発祥のスクリュー・ミュージックと、パープルドランク(リーン)を重ねた2つのカップへの言及。A$AP Mobの音楽性に多大な影響を与えた南部カルチャーへのリファレンス。

Nah, big homie, took my time but now, big homie
いや、ビッグ・ホーミー、時間はかかったが今じゃこうさ、ビッグ・ホーミー

Homies outta line, big homie
ダチどもが一線を越えちまう、ビッグ・ホーミー

Money outta pocket, homie, all these niggas pockets, homie
ポケットから金が溢れ出すぜ、ホーミー、この野郎どものポケットからもな、ホーミー

Chopper let 'em live, I was only six, when I crept up in the crib
チョッパーが奴らを生かしておく、俺がまだ6歳の頃、家の中で忍び寄って

Found a Sig, what I did, what I did
シグを見つけたんだ、俺がやったこと、俺がやったことさ
※「Sig」はSIG Sauer社製の拳銃。わずか6歳で家の中で銃を見つけたという、フッドの過酷な生い立ちの回想。

Cock it homie, now it's in my p-pocket homie
撃鉄を起こすんだホーミー、今じゃ俺のポケットの中にあるぜ、ホーミー

I-I got r-rocket on me, dare you nigga, tr-try me, homie
俺はロケット(銃)を持ってる、やる度胸があるなら、俺を試してみな、ホーミー

For the love of spread, Mommas butter bread
スプレッドへの愛のために、ママのバターブレッドのために

Man, I prolly should be dead, was it 'cause of what I said?
なぁ、俺はきっと死んでるべきだったんだ、俺が言ったことのせいか?

What I-
俺が何をー

[Bridge: A$AP Rocky & Project Pat]

Desi, FN, Ruger, Draco
デザートイーグル、FN、ルガー、ドラコ

Euros, pounds and dollars, pesos
ユーロ、ポンド、ドルにペソ

Money, hoes and power, Draco
金、ビッチ、権力、ドラコ
※世界中の通貨と様々な種類の銃器の羅列。「Draco」はAK-47のピストル版。

Violence, rifle, shotguns, Draco
暴力、ライフル、ショットガン、ドラコ

"Now can't a nigga see I ain't got no time for games
「なぁ、俺には遊びに付き合ってる暇なんてねえってのが分からねえのか

I'm on this Hennessey and I'm quick to shoot dat thang
俺はヘネシーでキマってて、すぐにそいつ(銃)をぶっ放すんだ

But fuck that, one of my young niggas'll take the charge
だがそんなのクソくらえだ、俺の若いダチの誰かが罪を被ってくれるさ

I'm stackin' loot, muthafuck lookin' behind some bars"
俺は金を積み上げてる、鉄格子(刑務所)の後ろから眺めるなんて真っ平ご免だ」
※メンフィスの伝説的ラッパー、Project Patの楽曲「Still Ridin' Clean」からのボーカルサンプリング。

[Interlude: Hector Delgado]

Rocky, Rocky
ロッキー、ロッキー

Hold on, one second, bro
待ってくれ、ちょっと待ってくれ、兄弟

Ha, Rocky, it's Hector, bro
ハッ、ロッキー、俺だ、エクターだ

Rocky this is Hector, bro
ロッキー、俺だ、エクターだ

We gotta hold on, one second, bro
待ってくれ、ちょっと待ってくれ、兄弟

There's an issue goin' on back here
こっちでちょっとした問題が起きてるんだ
※A$AP Mobの長年のプロデューサー兼エンジニアであるHector Delgadoの音声。

[Verse 2: A$AP Rocky]

Grandma was a Catholic (Woo), and mama was a Christian
ばあちゃんはカトリックで、ママはクリスチャンだった

My papa turned to Muslim when he spent some time in prison
親父は刑務所に入ってた時にムスリムに改宗したのさ

(No cappin')
(嘘じゃねえ)

No Jehovah Witnesses where I'm from, kinda different (Woo)
俺の地元には「エホバの証人」なんていねえよ、ちょっと事情が違ってな

They don't leave no witnesses so folks just mind they business
奴らは「目撃者」を一人も生かしちゃおかない、だから皆自分のことだけ気に(見て見ぬ振りを)してるのさ
※宗教の「エホバの証人(Jehovah's Witnesses)」と、犯罪の「目撃者(witnesses)」を掛けた見事なワードプレイ。密告すれば殺されるというストリートの非情な掟。

These days I just practice all the good from all religion
最近の俺は、あらゆる宗教の良いところだけを実践してる

So plead the fifth amendment or you're gonna be the victim
だから合衆国憲法修正第5条(黙秘権)を行使しな、さもなきゃお前が犠牲者になるぜ

So get up off my YKK, the President a a-hole (Fuck off)
だから俺のYKKから離れろ、大統領はクソ野郎だ(失せな)
※「YKK」は世界的なジッパーのメーカー。つまり「俺の股間(ジッパー)から離れろ=俺に媚びへつらうな」という意味。「a-hole(asshole)」は当時のドナルド・トランプ大統領への直接的なディス。

Prayin' for a JFK, all we got was KKK
JFK(ジョン・F・ケネディ)のような大統領を祈っていたのに、俺たちが手に入れたのはKKK(クー・クラックス・クラン)だった
※進歩的なリーダーを求めていたアメリカ国民が、結果的に白人至上主義的な分断を煽る政権を誕生させてしまったことへの痛烈な政治批判。

AKA AK that you target
別名AK、お前らが標的にするやつさ

Not from Target but from Walmart, then it's a-ok
ターゲット(スーパー)じゃなく、ウォルマートから買ったんなら、万事オーケーだ
※大型スーパーのTargetとWalmartのネームドロップ。日用品を売るスーパー(Walmart等)でアサルトライフル(AK等)のような殺傷能力の高い銃器が簡単に買えてしまうアメリカの異常な銃社会を皮肉っている。

Fuck them boys no KY with this SK leave them DOA
あいつらなんか知るか、KYなしでこのSKをぶち込み、DOA(到着時死亡)にしてやるよ
※「KY」はKYゼリー(潤滑剤)、「SK」はSKSカービン銃(または大麻のSkunk)、「DOA」はDead On Arrivalの略。潤滑剤なしで容赦なく攻撃し、即死させるという過激なライン。

AR in the ER it's the state of mind of every state
ER(救急救命室)にAR(アサルトライフル)、それがすべての州(state)の精神状態(state of mind)さ

Say your grace you better pray
食前の祈りを捧げな、祈った方が身のためだぜ

Guns with the butter, guns for my brother
バターと一緒に銃を、俺の兄弟のために銃を
※タイトルの「Gunz N Butter」の回収。

Came from the gutter, cocaine in the buttocks
どん底のガターから来た、ケツの穴にコカインを隠してな

Razor box cutter, blade under gumma
カミソリのボックスカッター、歯茎の下に隠した刃

Gang in the Hummer, skate wit' your mother
ハマーに乗ったギャング、お前の母親と一緒にスケートする(逃げる)ぜ

[Refrain: Project Pat]

The fact of the matter she blow out the frizzame
事実はこうだ、彼女がフレームを吹き飛ばす(フェラチオをする)

I keep me some powder so I'm gettin' brizzain
俺はパウダー(コカイン)を持ってるから、ブレイン(極上のフェラ)をしてもらえるのさ
※Project Patの楽曲「Out There」等からのボーカルサンプリング。「frizzame (frame)」「brizzain (brain/フェラチオの隠語)」は、メンフィス特有の単語の間に「-izz-」を挿入するスラング(izzzle語)。薬物を餌に女を囲うハスラーの描写。

The fact of the matter she blow out the frizzame
事実はこうだ、彼女がフレームを吹き飛ばす

I keep me some powder so I'm gettin' brizzain
俺はパウダーを持ってるから、ブレインをしてもらえるのさ

The fact of the matter she blow out the frizzame
事実はこうだ、彼女がフレームを吹き飛ばす

I keep me some powder so I'm gettin' brizzain
俺はパウダーを持ってるから、ブレインをしてもらえるのさ

The fact of the matter she blow out the frizzame
事実はこうだ、彼女がフレームを吹き飛ばす

I keep me some powder so I'm gettin' brizzain
俺はパウダーを持ってるから、ブレインをしてもらえるのさ

[Outro]

What's really butter?
本当の「バター」ってのは何だ?

The gun or the butter?
「銃」か、それとも「バター」か?

You hear me?
聞いてるか?

You understand what I'm sayin'?
俺の言ってる意味が分かるか?

What's really butter?
本当の「バター」ってのは何だ?

What's really butter?
本当の「バター」ってのは何だ?

What's really butter?
本当の「バター」ってのは何だ?

Guns, you can get that butter all day
「銃」だよ、銃さえあれば「バター(富)」なんて一日中手に入るんだからな
※2001年のストリート映画『Baby Boy』での、Ving Rhames演じるメルヴィンの有名なセリフのサンプリング。車や家(バター)を誇示するより、それらを奪い取る力(銃)を持つことこそがストリートにおける真の権力であるという、ゲットーの残酷な真理を突いた強烈なアウトロ。