UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Brotha Man - A$AP Rocky (feat. French Montana) 【和訳・解説】

Artist: A$AP Rocky (feat. French Montana)

Album: TESTING

Song Title: Brotha Man

概要

2018年にリリースされたA$AP Rockyの3rdアルバム『TESTING』に収録された「Brotha Man」は、ソウルフルでメランコリックな響きを持つ異端のトラックである。公式のフィーチャリングにはFrench Montanaのみがクレジットされているが、実際にはSnoop DoggとFrank Oceanという超豪華な隠しゲストがボーカルで参加している。Rico LoveやMally Mallらがプロデュースを手掛け、Lee Hazlewoodの「French Provincial」をサンプリングした郷愁を誘うビート上で、Rockyはストリートで生きる「兄弟(Brotha Man)」たちに向けたコンシャスなメッセージと、自身の成功や孤独を交差させて描く。特にFrank Oceanによるアウトロでの皮肉めいたボーカルと、Snoop Doggのアイコニックな声の挿入は楽曲に重層的な深みを与えている。ストリートの過酷な現実、警察の暴力への批判、そしてトップスターの虚無感が同居する、アルバムの中でも特異な輝きを放つ名曲である。

和訳

[Verse 1: A$AP Rocky]

Young man, brotha brotha, you gotta fight for somethin'
若者よ、兄弟、お前は何かのために戦わなきゃならない

Stand for somethin', gotta understand, gotta make the plays
何かのために立ち上がれ、理解するんだ、行動を起こさなきゃならない

Stick to it, get through, write yours, ride your wave, just keep it true
しがみつけ、乗り越えろ、自分の物語を書け、自分の波に乗れ、ただ真実を貫け

We'll fight the blues, we'll fight the blues
俺たちは憂鬱と戦う、俺たちは悲しみと戦うんだ

Brotha man, young man, let me tell you somethin'
兄弟、若者よ、お前に教えたいことがある

Young man, brotha man, brotha man
若者よ、兄弟、兄弟

You gotta fight for somethin', stand for somethin'
お前は何かのために戦い、何かのために立ち上がらなきゃならない

That's what the poem told me
それが詩が俺に教えてくれたことさ

It was a greater poet like you know it but
お前も知ってるような偉大な詩人だったが

I'd rather talk about how my neck is frozen and I
俺はむしろ、自分の首元がどれだけ凍ってる(ダイヤで輝いてる)か話したいんだ

I'd write a song about the banging hoes and then
イケてるビッチどもの曲を書いて

Stay up in the bitches while she dozing
彼女が眠りにつく間も、俺はそのビッチの中に留まるのさ
※「若者よ、立ち上がれ」とコンシャスなメッセージを語りながらも、最終的には「そんなことより自分のジュエリーや女の話がしたい」とオチをつける、Rockyらしい皮肉とフレックス。

[Chorus: French Montana]

When I went to my brotha, told him, "Help me please"
俺が兄弟の元へ行き、「頼む、助けてくれ」と言った時のこと

Now we hop out the PJs posted by the P
今じゃ俺たちはPJ(プライベートジェット)から飛び出し、ポルシェのそばに立ってる
※「PJs」はプライベートジェット(Private Jets)と、貧困層向けの公営住宅(Projects)のダブルミーニング。「P」はポルシェ(Porsche)。底辺から兄弟と共に這い上がった成功の証。

My old bitch yellin', "Come back, come back
昔の女が叫んでる、「戻ってきて、戻ってきて

Come back, babe
戻ってきて、ベイビー

Come back (Come back) come back (Come back)
戻ってきて、戻ってきて

Come back (Come back) babe"
戻ってきて、ベイビー」

[Verse 2: A$AP Rocky & Snoop Dogg]

Harlem nights, quick speed, Godspeed
ハーレムの夜、猛スピード、神の御加護を

Speed of light, Grease Lightnin', leather on my six-speed bike
光の速さ、グリース・ライトニング、俺の6段変速の自転車に乗ったレザー
※映画『グリース』に登場する車「Grease Lightning」と、少年時代の自転車の思い出。

Bicycle tires, icicle diamonds, popsicle stripes
自転車のタイヤ、つららのようなダイヤモンド、アイスキャンディーのストライプ

Pop (Sicles) pop (Sicles) for the Klondikes
クロンダイクのためにアイスキャンディーをポップする(銃を撃つ)
※「Popsicle(アイス)」と銃を撃つ音「Pop」、さらにアイスブランド「Klondike」を並べた、ストリートの幼少期の情景と暴力の掛け合わせ。(ここにSnoop Doggの隠しボーカルが挿入される)

Pop-pop wheelies on the dirty bikes, 15 sellin' China white
ダートバイクでウィリーをキメる、15歳でチャイナホワイトを売り捌く
※「China white」は純度の高いヘロイン。

Cops stoppin' if you opposite of white
白人の逆(黒人)なら、サツが車を止めてくる

Pop, pop like you opposite of right
正しいことの逆(犯罪)をしてるみたいに、ポンポン撃ちやがる
※「Opposite of white (Black)」と「Opposite of right (Wrong)」で韻を踏み、警察の黒人に対する人種的プロファイリングと過剰防衛(射殺)を痛烈に批判。

Take heed, lil' nigga, lowkey, take lead on them niggas
気をつけな、若い野郎、目立たず、あいつらの先を行くんだ

[Bridge: A$AP Rocky & Frank Ocean]

Smooth dude riding 'round the boulevard
大通りをクルーズするスムーズな男
※ここからFrank Oceanの隠しボーカルが交じる。

Back in the days was on the train
昔は電車(地下鉄)に乗ってたもんだ

Ride the bus before I ride another nigga wave
他人の波(トレンド)に乗るくらいなら、バスに乗るぜ
※「Ride the wave」は他人のスタイルをパクること。

Beautiful, the water's flat like asses pre-Onika (Yeah)
美しい、水面はオニカ以前のケツみたいに平らだ
※「Onika」はNicki Minajの本名。彼女が豊尻手術でトレンドを作る前の「平らなケツ」と、波のない静かな水面を掛けた強烈なワードプレイ。

You the smaller version, you the baby sneaker
お前は小さいバージョン、お前はベビー用のスニーカーさ

[Verse 3: A$AP Rocky]

Flacko, I wonder how it feel to live or be like you
「フラコ、あんたみたいに生きるって、どんな気分なんだ?」

Album number three and keep it G like Q
3枚目のアルバム、QみたいにG(ギャングスタ)を貫く
※「Q」はScHoolboy Q。

Heard you niggas get fly like G, like 2
お前らはGみたいに、2みたいに飛ぶらしいな
※G2はガルフストリーム II(プライベートジェット)。

Nah, more like 4, like 3, not 2
いや、2じゃなく、3や4のほうか
※G3やG4。

Shittin' on these niggas like P, like U
Pみたいに、Uみたいに、この野郎どもを見下してやる
※「P U」は悪臭を放つ時の擬音(ピーユー)。奴らにクソをひっかける(見下す)というジョーク。

Drip Raheem and Q, got Hi-C like juice
ラヒームやQみたいにドリップ(おしゃれ)する、ジュースみたいにHi-Cを持ってる
※映画『ジュース』の登場人物RaheemとQへの言及。Hi-Cはジュースのブランド名であり、ハイブランドの「C」や高品質のダイヤモンド(Clarity)の比喩でもある。

Mama hubby got life, he got three strikes too
ママの旦那は終身刑を食らった、スリーストライク法でな
※「three strikes」は三振法。3度目の有罪判決で終身刑になる過酷な法律。

Real niggas bleed like me, like you
本物の野郎は血を流す、俺みたいに、お前みたいにな

That's why I got a beam with a green light too
だから俺は、グリーンライトが付いたレーザービーム(銃)を持ってるんだ
※「green light」はゴーサイン(殺しの許可)。

I don't even make a scene, I just swing right through
俺は騒ぎなんて起こさない、ただサッと通り抜けるだけさ

I'm just stayin' on my Qs and my Ps like soup
俺はただ、スープみたいに自分のQとPを守り続けるだけだ
※「mind your Ps and Qs」は「行儀よくする、自分の言動に気をつける」という慣用句。「soup」はアルファベットスープと掛けている。

Walkin' in my shoes, follow me like suit
俺の靴を履いて歩きな、スーツみたいに俺に続けばいい
※「follow suit」は「先例に倣う」という意味の慣用句。

[Pre-Chorus: A$AP Rocky]

Brotha man, young man, let me tell you somethin'
兄弟、若者よ、お前に教えたいことがある

Young man, brotha-brotha, gotta fight for somethin'
若者よ、兄弟、お前は何かのために戦わなきゃならない

Stand for somethin', brotha understand, God don't make the plays
何かのために立ち上がれ、兄弟、理解するんだ、神がプレイを決めるわけじゃない

Take the truth, get through, ride your wave, just keep the truth
真実を受け入れ、乗り越えろ、自分の波に乗れ、ただ真実を貫け

[Chorus: French Montana & Frank Ocean]

Remember when I went to my brotha, told him, "Help me please"
俺が兄弟の元へ行き、「頼む、助けてくれ」と言った時のことを覚えてるか

Now we hop out the PJs, posted by the P
今じゃ俺たちはPJから飛び出し、ポルシェのそばに立ってる

My old bitch yellin', "Come back, come back
昔の女が叫んでる、「戻ってきて、戻ってきて

Come back, babe
戻ってきて、ベイビー

Come back (Come back) come back (Come back)
戻ってきて、戻ってきて

Come back (Come back) babe"
戻ってきて、ベイビー」

[Outro: Frank Ocean]

You're a cornstar, all you fuck is corn broads (You fucking pop)
お前はコーンスターだ、お前がヤるのもコーンな(安っぽい)女ばかりさ(お前はクソみたいなポップスだ)
※ここからFrank Oceanの辛辣なアウトロ。「Pornstar(ポルノスター)」と「Corn(ダサい、安っぽい)」を掛けたワードプレイ。

Frenchie faux pas 'cause you ain't had no pa
フレンチーの失態(フォパ)、だってお前には父親がいなかったからな
※「faux pas」はフランス語で「失言、失態」。「pa」は父親。

Your deal got catches like an outfielder
お前の契約には、外野手みたいにキャッチ(落とし穴)があるんだ
※「catch」は野球のキャッチと、契約の裏にある「罠・不利な条件」のダブルミーニング。

(Are you, are you, are you?)
(お前は、お前は、お前は?)

Getting that God's view from towers
タワーから、その神のような視界を手に入れる

Lookin' downward like I'm Donald Trump
まるでドナルド・トランプみたいに、下界を見下ろしてるのさ
※トランプタワーから下界を見下ろす大富豪(当時の大統領)の視点と、スターダムの頂点から世界を見下ろす傲慢さを重ね合わせた、非常にシニカルなオチ。