Artist: A$AP Rocky (feat. ScHoolboy Q)
Album: LIVE.LOVE.A$AP
Song Title: Brand New Guy
概要
2011年に発表されたA$AP Rockyの歴史的ミックステープ『LIVE.LOVE.A$AP』に収録された本作は、2010年代のヒップホップシーンを牽引することになる「ブログ・エラ(Blog Era)」の二大巨頭、A$AP MobとTop Dawg Entertainment (TDE) の強力なコネクションを世に知らしめた記念碑的トラックである。ニューヨーク・ハーレム出身のRockyと、ロサンゼルス・サウスセントラル出身のScHoolboy Q。東西の新進気鋭のラッパーがタッグを組み、重低音が響くLyle LeDuffの不穏でバンギングなビート上で、業界の古株たちに対して「俺たちがシーンを乗っ取る新参者(Brand New Guy)だ」と宣戦布告を行っている。地域性に縛られない新しい時代の到来を告げると同時に、CripsやBloodsといった西海岸のギャングカルチャーとNYのファッション・ハスラーの美学がシームレスに融合した、当時のヒップホップのパラダイムシフトを象徴する一曲である。
和訳
[Intro: A$AP Rocky]
You know us big mouth Harlem niggas don't know how to act
俺たちハーレムの口が悪い連中は、お行儀のいい振る舞いなんて知らないぜ
I got my West Coast connection
俺には西海岸の強力なコネクションがあるんだ
These dead in the street industry mothafuckas
ストリートじゃ死んだも同然の、業界のクソ野郎ども
Talkin' 'bout we can't eat, talking 'bout we brand new guys
俺たちがこの業界じゃ食っていけないだの、ただの新参者だの言いやがる
Tell them niggas "Suck a dick!"
あいつらに言ってやれ、「俺のイチモツでもしゃぶってろ」ってな!
※メジャー契約や業界のルールに縛られず、インターネット発で独自の影響力を拡大していた新世代の彼らに対する、旧態依然とした音楽業界からの批判やレッテルに対する強烈なアンチテーゼ。
[Verse 1: A$AP Rocky]
I'm camo'd down to my boxers, gold teeth, a Bathing Ape
ボクサーパンツまで迷彩柄でキメて、金歯をつけて、A Bathing Apeを着こなす
※当時Rockyが愛用していたNIGO設立のストリートブランド「BAPE」へのシャウトアウト。
It's animals in my projects, like monkeys, orangutans
俺のプロジェクトには動物たちがいる、猿やオランウータンのようにな
※「projects」は低所得者向け公営住宅。過酷なストリートの環境を野生動物がひしめくジャングルに例え、同時にBAPEの猿のロゴともかけている。
Banana clip on that chopper, I hold heat, bangers bang
あのチョッパーにはバナナクリップ、俺は銃を構え、ギャングたちはぶっ放す
※「chopper」はAK-47などの自動小銃。「Banana clip」はバナナのように湾曲した大容量マガジン。前行の猿(Ape)からの見事な連想ゲーム。
(Let Chiquita speak) Bet it keep the peace, that Lil B, brrangadang
チキータに喋らせてやれ、こいつが平和を保ってくれる、リル・Bみたいにブチかますぜ
※「Chiquita」は有名なバナナのブランドであり、バナナクリップ(銃)の隠語。「Lil B」はネットラップのパイオニアであるBased GodことLil Bへのリファレンス。「brrangadang」は彼の曲で使われる銃声のアドリブ。
I don't care if you blue or you red flagging
お前が青いバンダナだろうが赤いバンダナだろうが関係ない
※青(Crips)と赤(Bloods)のカラーギャングの抗争に縛られない、Rockyのフラットなスタンス。
Hair swinging, my pants sagging
編み込みの髪を振り乱し、パンツは腰まで下げてる
Hoes all on my bandwagon, your bitch gagging, she jet lagging
ビッチどもはみんな俺の流行りに乗っかり、お前の女は俺のモノを咥えてえずいてる、あいつは時差ボケ状態だ
※「jet lagging(時差ボケ)」は、Rockyの成功のスピードが速すぎて周囲がついてこれない様子、あるいは世界中を飛び回るスターのライフスタイルを、女性が意識を飛ばす様子に例えたダブルミーニング。
All my cuz niggas, what's cracking?
俺のCripsの兄弟たち、調子はどうだ?
All my blood niggas, what's popping?
俺のBloodsの兄弟たち、調子はどうだ?
※西海岸のカルチャーへのリスペクト。ScHoolboy QはCripsのセット(52 Hoover Gangster Crips)出身であるため、客演の彼やLAのストリートに対する挨拶。
I ain't set tripping, I just happen
俺はギャングの抗争に参加する気はない、ただ偶然にも
To know who click-clacking, you mismatching
誰が銃を撃つかを知ってるだけだ、お前らはチグハグだな
※「set tripping」は他所のギャングの縄張りで揉め事を起こすこと。自分はNYの人間だが、LAのストリートのリアルな人間(Qなど)とは繋がっているという警告。
Fuck swagging, you been jacking, fuck fly, I am fashion
スワッグなんてクソくらえ、お前らはパクってるだけだ、フライ(イケてる)なんてクソだ、俺自身がファッションだからな
※当時の流行語であった「Swag」や「Fly」を否定し、自分自身がシーンのトレンドそのものであるという、ファッション・アイコンとしての圧倒的な自負。
Tryna cop that Benz wagon, my bitch drive it, my friends crash it
あのベンツのワゴンを買って、俺の女に運転させ、ダチがクラッシュさせる
Niggas threat with the chit-chatting, see a nigga don't shit happen
奴らは雑談レベルの口先だけで脅してくる、俺に言わせりゃ何も起きやしないぜ
I'm finna blow on that Bin Laden, so talk money, pig latin
俺はあのビン・ラディンを吹かすつもりだ、だから金の話をしろ、ピッグ・ラテンのようにな
※「Bin Laden」は強烈なハイをもたらす極上のウィードの隠語。「Pig Latin」は英語の単語の音節を入れ替える子供の言葉遊び。金の話以外は理解できない(聞く耳を持たない)というメタファー。
(Suck my fuckin' dick, bitch!)
俺のイチモツでもしゃぶってろ、ビッチ!
[Chorus: A$AP Rocky]
Brand new clip, brand new nine (Bitch)
新品のマガジン、新品の9ミリ
Brand new bitch, brand new ride (Bitch)
新しい女、新しい車
Brand new weed, brand new high (Woo)
新しいウィード、新しいハイの境地
Brand new me, meet the brand new guys (Bitch)
新しくなった俺、俺たち新参者(ニュー・ジェネレーション)の登場だ
Brand new clip, brand new nine (Woo)
新品のマガジン、新品の9ミリ
Brand new bitch, brand new ride (Bitch)
新しい女、新しい車
Brand new weed, brand new high (Woo)
新しいウィード、新しいハイの境地
Brand new me, meet the brand new guys (Bitch)
新しくなった俺、俺たち新参者(ニュー・ジェネレーション)の登場だ
[Verse 2: Schoolboy Q]
.345 be the big toy
.345口径、これが俺のデカいおもちゃだ
※ファンの間でも議論の的になるライン。一般的には.45口径や.357マグナムが使われるため、Q独自のナンバースラング、あるいは言葉の響きを優先した表現だと解釈されている。
Now which nigga want it with the fat boy?
さあ、どこの馬鹿がこの太っちょと揉めたいって?
※当時、今よりも体重があったScHoolboy Q自身の自虐的なレペゼン。
Uh, clipped-up like I'm paranoid
被害妄想みたいに、マガジンに弾をフル装填してる
High as hell nigga, Fitzroy
地獄みたいにハイになってるぜ、フィッツロイ
※「Fitzroy」はオーストラリアのメルボルンにある地名や、特定の人名を指す説があるが、ストリートの文脈では「高く飛んでいる(ハイになっている)」状態の比喩的な固有名詞として使われている。
Pull it off through the city like "errt"
スキール音を鳴らして街を車で駆け抜ける
Seen that ho nigga like "errr," hopped up on a nigga like murk
あいつみたいなビッチな男を見つけてブレーキを踏み、飛び出して殺してやる
Put that pussy nigga in a purse
あの女々しい野郎を女物のバッグにぶち込んでやるよ
He wouldn't be the first, cover him with dirt (Yeah, uh, shit)
そいつが最初の一人じゃない、土を被せて埋めてやる
Put him in the ground, he was down to Earth
地面に埋めてやったよ、あいつは地に足がついた(Down to earth)奴だったからな
※「down to earth(現実的で気さくな人)」という慣用句を、「文字通り地面の下(土の中)に埋められた」状態とかけたブラックユーモア溢れるパンチライン。
A napped up nigga, I been down since birth
髪が縮れ上がった黒人、俺は生まれた時からリアル(Down)だ
Backpack full of random work
バックパックには色んな種類のブツが詰まってる
※「work」はドラッグのこと。TDEのメンバーがブレイク前、バックパックにウィードやCDを詰めてストリートで売り歩いていたハスラー時代を描写している。
With two bad hoes, I'll teach you how to jerk
2人のイイ女と一緒に、ジャークのやり方を教えてやる
(Teach you how to jerk?) Swaggin' in my Js
ジャークのやり方を教えるって?ジョーダンを履いてイキるんだよ
※当時LAの若者の間で大流行していたダンス「Jerkin'」と、マスターベーションの隠語(Jerk off)をかけている。
Pop me a pill and throw that pussy a rave (Pussy a rave)
ピルをキメて、あの女の股間でレイブパーティーを開いてやる
My prerogative ways
これが俺の特権的なやり方だ
※R&BシンガーBobby Brownの1988年の大ヒット曲「My Prerogative」へのリファレンス。
Nappy chin hairs with the brand new fade (Yeah)
縮れた顎髭に、新品のフェードカット
※Qのトレードマークである無精髭と、散髪したてのクリーンなフェードカットの対比。
Brand new nigga with the brand new venue
新品の箱(ライブハウス)に立つ、俺たち新参者
Sold that bitch out, shoulda made that ho bigger
チケットは即完売だ、もっとデカい箱にするべきだったな
Killing careers make these cupcakes remember
先輩ラッパーのキャリアを終わらせて、このカップケーキどもに思い出させてやる
※「cupcakes」は甘やかされた、あるいは弱々しいラッパーたちを嘲笑するスラング。
My objective is to serve your agenda
俺の目的は、お前らのアジェンダを制圧することだ
Biggie and Nas put they ass in a blender
ビギーとナズをミキサーにぶち込んで
Sprinkle some 50 and came out this nigga
50セントを少し振りかけたら、この俺が出来上がったのさ
※Notorious B.I.G.のフロウ、Nasのリリシズム、50 Centのギャングスタなアティチュードを兼ね備えた究極のラッパーが自分であるという、ヒップホップIQの高い自己賛美。
Equipped with a gat and a dick in your mouth
銃を装備し、お前の口には俺のペニスが突き刺さってる
Balls in my hands and your bitch in my house
金玉を握りしめ、お前の女は俺の家にいる
※「Balls in my hands」は文字通りの卑猥な意味と、「肝が据わっている(Ballsがある)」という男らしさの象徴。
Twisting up weed, I'm digging her out
ウィードを巻きながら、俺は彼女の奥深くまで掘りまくってる
Just filling her out
彼女の中を満たしてやってるんだ
Do all that shit you be talking about
お前が口先だけで語ってることを、俺は全部やってるぜ
While you gone? Shit, Netflix on your couch
お前が留守の間に?ああ、お前のソファーでNetflixを見てるよ
What this popcorn about?
このポップコーンは誰が用意したんだ?
Microwave oven while you out there cuffin'
お前が外で女を束縛してる間に、俺は電子レンジを回してる
※「cuffin'」は手錠(cuffs)をかけるように女性に執着・束縛すること。
You over there lovin'
お前はそっちで愛を囁いてるが
That bitch be my stuffing, like, like we really be fucking
あの女は俺の七面鳥の詰め物(スタッフィング)だ、マジで激しくヤッてるってことさ
[Chorus: A$AP Rocky]
Brand new clip, brand new nine (Bitch)
新品のマガジン、新品の9ミリ
Brand new bitch, brand new ride (Bitch)
新しい女、新しい車
Brand new weed, brand new high (Woo)
新しいウィード、新しいハイの境地
Brand new me, meet the brand new guys (Bitch)
新しくなった俺、俺たち新参者(ニュー・ジェネレーション)の登場だ
Brand new clip, brand new nine (Woo)
新品のマガジン、新品の9ミリ
Brand new bitch, brand new ride (Bitch)
新しい女、新しい車
Brand new weed, brand new high (Woo)
新しいウィード、新しいハイの境地
Brand new me, meet the brand new guys (Bitch)
新しくなった俺、俺たち新参者(ニュー・ジェネレーション)の登場だ
[Verse 3: Schoolboy Q & A$AP Rocky]
Brand new shirt to the brand new drawers
新品のシャツから新品の下着まで
Brand new socks to the brand new Glock
新品の靴下から新品のグロックまで
※ここからQとRockyの息の合ったマイクリレー(交互のラップ)がスタートする。
This mothafucka hold 15, slap that ho in, tell the clip get lost
この銃は15発入る、マガジンを叩き込んで、全弾撃ち尽くしてやる
Bitch, I'm a boss, pulled up clean, don't you hear the exhaust?
ビッチ、俺はボスだ、クリーンに乗り付けたぜ、このマフラーの排気音が聞こえないか?
Got my tie on, gripping on my iron on who I'm 'bout to fire on
ネクタイを締め、鉄(銃)を握りしめ、誰にぶっ放すか見定めてる
Rap game fucked up, boy, fuck you think I rap for?
ラップゲームはクソッタレだ、俺が何のためにラップしてると思ってる?
Crack game fucked up, boy, fuck you think I trap for?
クラックゲーム(麻薬密売)もクソッタレだ、俺が何のためにトラップ(密売)してると思ってる?
※QとRockyがそれぞれのストリートでの背景を共有し、ラップとドラッグディールの両方で生き残る厳しさを吐露している。
Ridin' 'round with that mask on
マスクを被って街を流す
Like a MAC attack when that strap on
銃(ストラップ)を装備すれば、MAC(サブマシンガン)の攻撃だ
Like a Shaq attack on that backboard, clap on, clap off
バックボードを破壊するシャックのアタックみたいにな、撃って、また撃つ
※NBAのレジェンド、シャキール・オニール(Shaq)がダンクでバックボードを破壊した歴史的プレーと、銃撃の連射(clap on, clap off)をかけている。
Blue pit in my back yard
裏庭にはブルー・ピットブル
Red nose my bad broad
俺のイイ女はレッド・ノーズさ
※「Blue pit」と「Red nose」はピットブル(犬)の種類だが、前述の青(Crips)と赤(Bloods)のカラーギャングのメタファーを再び持ち出している。
Titan full of that hydro
タイタンの荷台には水耕栽培のウィードが満載だ
※「Titan」は日産のピックアップトラック。「hydro」は高品質な水耕栽培の大麻。
Pretty nigga, no catwalk
俺はイケてる美男子だが、キャットウォークを歩くモデルじゃないぜ
Big burner in your big mouth
デカい口を叩くお前の口に、デカい銃(バーナー)を突っ込む
Pussy niggas suck lead off
女々しい野郎どもに鉛の弾を吸わせてやる
I pull it up then skirt off
車で乗り付けて、タイヤを鳴らして走り去る
Vodka shots, he smeared off
ウォッカのショットで、あいつの脳みそは吹き飛んだ(スミアード・オフ)
※「smeared off」と有名ウォッカブランド「Smirnoff(スミノフ)」をかけた緻密なワードプレイ。
40 ounce of that Cristal Rosé, that Rick Ross
40オンスのクリスタル・ロゼ、まるでリック・ロスだな
※マイアミのドンであるラッパーRick Rossの別名が「Rozay(ロゼ)」であることに由来するネームドロップ。
Got it jumping like Kriss Kross
クリス・クロスの「Jump」みたいに会場を飛び跳ねさせる
Mismatching, no jigsaw
ジグソーパズルみたいに型にはまらない、ミスマッチなスタイルさ
No horseplay when we quick draw
早撃ちする時にふざけた真似は一切しない
Pussy nigga get a tit job
女々しい野郎は豊胸手術でも受けてろ
Hands up, stick your mans up
手を上げろ、お前の仲間も両手を上げさせろ
Your time's up, the new brand's up
お前らの時代は終わりだ、新しいブランド(俺たち)の幕開けだ
※楽曲のテーマである「古い世代から新しい世代への覇権交代」を締めくくるパンチライン。
Q!
Q!
※ScHoolboy Qへの最後のシャウトアウトで楽曲がドラマチックに終わる。
