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Bass - A$AP Rocky 【和訳・解説】

Artist: A$AP Rocky

Album: LIVE.LOVE.A$AP

Song Title: Bass

概要

2011年にリリースされたA$AP Rockyの歴史的ミックステープ『LIVE.LOVE.A$AP』に収録された「Bass」は、彼のサウンドシグネチャーである「クラウド・ラップ(Cloud Rap)」の神髄を体現する一曲である。プロデュースを手掛けたのは、Rockyの盟友でありクラウド・ラップのパイオニアであるClams Casino。重厚で歪んだベースラインと、幽玄でサイケデリックなサンプリングが交錯するビート上で、Rockyは自身のペルソナである「Pretty Flacko」の美学と、ストリートの冷酷なハスラーとしての顔を鮮やかに描き出している。歌詞にはヒューストンのスクリュー・カルチャーからの影響(パープル・ドランクへの言及など)と、ニューヨーク・ハーレムの伝統的なブリストルなアティチュードが同居しており、地域性に縛られない2010年代以降の新たなヒップホップの潮流を決定づけた重要なマイルストーンである。

和訳

[Intro: Bloody Loco]

So recognize that shit

だからこのヤバさをしっかり認識しな

You better fuckin' recognize that fuckin' name right now (I recognize, I recognize)

今すぐこの名前を頭に叩き込んでおけよ

A$AP (I recognize)

A$APだ

Recognize that shit, A$AP

しっかり認識しろ、A$APだぜ

A$-fucking-$AP

A$APだ

You don't put no fuckin' fear in my heart (Let's do it)

お前らなんかに少しもビビっちゃいないぜ

※A$AP Mobの周辺にいたとされるBloody Locoによるイントロ。新進気鋭のクルーであったA$AP Mobが、シーンに対して自分たちの存在を力ずくで認めさせようとするアグレッシブな姿勢が表れている。

[Verse 1: A$AP Rocky]

These other niggas so-so, they open off my mojo

他の奴らは平凡だな、あいつら俺の魅力に夢中だぜ

Spanish Sophie with a half a kilo by her cho-cho

スパニッシュのソフィーが股間に半キロのコカインを隠してる

※「cho-cho」は女性器を指すスパングリッシュ(スペイン語混じりの英語)のスラング。女性を使って大量のドラッグを密輸・運搬させるストリートの生々しい実態を描写している。

Blow it out your culo, who got dough on the smoke, though?

ケツから煙を吹き出しな、でもこの極上の葉っぱの金を払うのは誰だ?

※「culo」もスペイン語で尻を意味するスラング。ハーレムという土地柄、ヒスパニック系の言語が自然と混ざり合うAAVEの使い方が特徴的である。

My partner had cinco, now we blowin' on that ocho

相棒は5持ってたが、今じゃ俺たちは8を吸い込んでる

※「cinco(5)」と「ocho(8)」。5グラムのマリファナから8オンスのリーン(シロップ)へアップグレードしたという意味や、単純にストリートでの稼ぎやドラッグの量が増えたことを示す暗号的なナンバースラング。

Bozos love my rose gold, purple got me slow-mo'

馬鹿どもは俺のローズゴールドに惚れ込む、パープルで俺はスローモーションだ

※「purple」は咳止めシロップとスプライトなどを混ぜたドラッグ「リーン(パープル・ドランク)」のこと。ヒューストンのチョップド&スクリュード・カルチャーの影響を直接的に表現しており、リーンの作用で感覚が遅延している状態を描いている。

Stuntin' like I'm Dorothy, but my rubies in my gold, though

ドロシーみたいに見せびらかすが、俺のルビーはゴールドの歯に埋め込まれてるぜ

※映画『オズの魔法使い』の主人公ドロシーが履いている「ルビーの靴」と、Rockyの「ルビーが埋め込まれたゴールドグリルズ」を対比させた高度なパンチライン。ストリートのハスラーが童話のモチーフをハイエンドなジュエリー自慢にフリップするセンスが光る。

What you think this four for? These niggas must be loco

この44口径が何のためにあると思ってるんだ?こいつらはイカれてるに違いない

※「four」は.44口径の銃(マグナムなど)、あるいは4オンスのリーンを注ぐことを意味するダブルミーニング。「loco」はスペイン語で狂気。

Steppin' on these bricks and for your fix, so call me Toto

コカインの塊を踏み越えてお前にキメさせてやる、だから俺をトトと呼べよ

※「bricks(レンガ)」は1キロのコカインの隠語。前述の『オズの魔法使い』の「黄色いレンガの道(yellow brick road)」と重ね合わせている。さらにドロシーの愛犬「トト(Toto)」を引き合いに出し、ドラッグを欲するジャンキーたちを導く存在として自身を犬に例えるという、極めて複雑なトリプルミーニングを形成している。

Follow me, follow me, follow me now

俺についてこい、今すぐ俺についてこい

※『オズの魔法使い』の劇中歌「Follow the yellow brick road」からの引用。コカイン(bricks)の道筋を辿ってこいというメタファー。

[Verse 2: A$AP Rocky]

Now I'ma come through getting down

さあ、これから俺がブチかましてやる

Got a new Cadillac with a diamond in the back

後ろにダイヤモンドの窓がある新品のキャデラックを手に入れたぜ

※ソウルシンガーCurtis Mayfieldの名曲「Diamond in the Back」の有名なフレーズのサンプリング的引用。オールドスクールなブラックカルチャーへのリスペクトを示している。

Got a bitch, and she bad with about a hundred tats

極上の女もいる、タトゥーを100個くらい入れたイイ女だ

Got my goons on deck and we got a hundred straps

手下たちもスタンバイしてる、俺たちは銃を100丁持ってるぜ

What you know about that? Got me swaggin' to the max

お前に何がわかる?俺のスタイルは限界突破してるんだ

Everybody know we got the shit and baggages to match, uh

俺たちが極上のブツとそれにふさわしい荷物を持ってるってことは誰もが知ってる

Better come correct, fuck what the basis is

礼儀正しく来いよ、常識なんてクソくらえだ

Gold grills like a set of new braces is

ゴールドのグリルズは新品の歯列矯正器みたいだろ

※前歯を覆う高価なグリルズを、十代の若者がつける歯列矯正器(braces)に例えることで、若きトラップスターとしての余裕とユーモアを漂わせている。

[Verse 3: A$AP Rocky]

Why they comment on my set, though? They lookin' cause my neck gold

なんで奴らは俺の仲間に口出しするんだ?俺の首周りがゴールドだから見てるんだろ

And I let that TEC show (Hu-huh-huh), hear that echo?

そして俺はテックを見せつける、この反響音が聞こえるか?

※「TEC」はストリートで頻繁に登場するTEC-9サブマシンガンのこと。

Let go, that medal, .38 special, to your threshold

ぶっ放すぜ、あの金属、38口径のスペシャルをお前の玄関先にな

※「medal(メダル)」と「metal(金属=銃の隠語)」の言葉遊び。.38スペシャル弾を使って敵のテリトリー(threshold)を直接襲撃するぞという警告。

Niggas actin' petro, like they sexual was metro

あいつらは怯えきってる、まるでメトロセクシャルのようにな

※「petro」はストリートスラングで「怯えている(petrified)」こと。同時に「メトロセクシャル(外見やファッションに気を配る都会的な男性)」という言葉を使い、Rocky自身はファッションに気を使ってもリアルなストリートの男だが、ヘイターたちはただの軟弱なフェイクだと揶揄している。

Bunch of bad bitches fuckin' out on tour

ツアー中はイイ女たちとヤリまくってる

Like it through the back door, give it to her raw

裏口から入るのが好きなんだ、あいつに生でぶち込んでやる

"Shimmy shimmy ya," ODB, ODB

シミー・シミー・ヤ、ODB、ODB

※ニューヨークの伝説的グループWu-Tang Clanの故Ol' Dirty Bastard(ODB)へのシャウトアウト。彼の代表曲「Shimmy Shimmy Ya」を引用し、彼のようなワイルドで型破りなロックスター的アティチュードを継承していることをアピールしている。

Fuckin' other niggas' broads, OPP, OPP

他人の女とヤッてるんだ、OPPだぜ

※ニュージャージーのラップグループNaughty By Natureの1991年の大ヒット曲「O.P.P.(Other People's Property=他人の所有物、つまり他人の恋人と寝ることの隠語)」をリファレンスしている。

[Verse 4: A$AP Rocky]

Comin' down stuntin' like a bitch, bitches on my dick

ヤバいスタイルで登場してやる、女たちは俺に夢中だ

On the set and they like the nicotine to cigarette

現場に着けば、あいつらはタバコのニコチンみたいに俺を欲しがる

How they fiending for a nigga, got these hoes up on my sack

あいつらがどれだけ俺に飢えてるか、ビッチどもが俺の袋に群がってる

※「fiending」はドラッグの禁断症状が出るほど激しく欲しがる状態。「sack」は陰嚢、または金やドラッグの入った袋のダブルミーニング。

Got my niggas in the back, couple bitches in the back

バックシートには仲間たち、そして何人かの女たちが乗ってる

A$AP, where it's at, where that weed? How that cake?

A$AP、どこにいるんだ?極上の葉っぱはどこだ?その札束はどうした?

※「cake」はお金を意味するストリートスラング。同時に女性の豊かなお尻を指す場合もある。

Bitches all up in my face, back, back, give me space

女たちが俺の顔の前に迫ってくる、下がれ、少しスペースを空けてくれ

'Cause you know how we do it, niggas scream A$AP

俺たちのやり方はわかってるだろ、皆がA$APと叫んでる

Ayy, Clams nigga, tell me where that bass at

おいクラムス、あのベース音はどこにあるか教えてくれ

※楽曲のプロデューサーであるClams Casinoへの直接的なシャウトアウト。この呼びかけと共に、ビートの重低音がさらに強調される展開へと繋がる。

[Bridge: A$AP Rocky]

Bass, uh, bass, uh, bass, uh, bass

ベース、ベース、ベース、ベース

Uh, bass, uh, bass, uh, bass, uh, bass

ベース、ベース、ベース、ベース

Bass, bass, bass, bass

ベース、ベース、ベース、ベース

Bass, bass, bass, bass

ベース、ベース、ベース、ベース

[Outro: A$AP Rocky]

Yeah, Clams Casino, nigga, A$AP

そうだ、クラムス・カジノだ、A$APだぜ

Where that bass? Where that bass, Clams?

あのベースはどこだ?ベースはどこにある、クラムス?

Harlem, yeah, where that bass? Trill shit

ハーレム、あのベースはどこだ?本物のトリルな音楽だ

※「Trill」はTrueとRealを合わせたサウス(ヒューストン)特有のスラング。ハーレム出身のRockyがこの言葉を使うことで、ニューヨークとサウスのカルチャーブリッジとしての役割を明確にしている。

Trill shit from a trill nigga, all my purple people

トリルな男からのトリルな音楽だ、俺のパープル・ピープルたち全員へ

※「purple people」は、紫色のリーン(咳止めシロップ)を愛飲するストリートの仲間たちや、スクリュー・ミュージックのファン層に向けた愛情を込めた呼びかけ。

I be that pretty motherfucker (Swag)

俺があのイケてるヤバい奴だ

※彼自身のシグネチャーである「Pretty Flacko」としてのスタイルを再度誇示して楽曲を締める。

Bass, bass

ベース、ベース