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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Jodeci Freestyle - Drake (feat. J. Cole) 【和訳・解説】

Artist: Drake (feat. J. Cole)

Album: Care Package

Song Title: Jodeci Freestyle

概要

「Jodeci Freestyle」は、2013年夏にDrakeが自身の3rdアルバム『Nothing Was the Same』のリリース直前にネット上で無料公開し、後に2019年の『Care Package』に正式収録された歴史的なコラボレーション楽曲だ。同世代のライバルであり盟友でもあるJ. Coleを客演に迎え、90年代を代表するR&Bグループ「Jodeci」へのオマージュを掲げながら、両者がシーンにおける絶対的な覇権とエゴ(Mob Boss的要素)を誇示している。Drakeは自身のスタイルを模倣するフォロワーたちを一蹴し、巨額の富と圧倒的なカリスマ性を誇る一方、J. Coleは業界の政治やメディアの過小評価に対する怒りを過激なパンチラインと共に露わにしている。奇しくも本作のリリース直後、もう一人のライバルであるKendrick Lamarが楽曲「Control」で彼らを名指しで挑発することになり、2010年代のヒップホップにおける「ビッグ3」の覇権争いの口火を切った、シーンの最重要マイルストーンである。

和訳

[Verse 1: Drake]

26 on my third GQ cover
26歳にして3度目のGQの表紙だ

Your new shit sound like you do covers
お前の新曲は、まるでカバー曲でも歌ってるみたいに聴こえるぜ

Of all of my old shit, oh shit
俺の昔の曲のカバーをな、マジでクソだな
※自身のスタイル(アンビエントなR&Bとラップの融合)を真似て台頭してきた数多のフォロワーや、当時確執が表面化しつつあったThe Weekndに対する痛烈なサブリミナル・ディス。

I'm devoted to making sure that shit goes unnoticed
俺はそういうクソみたいな曲が世間の目に留まらないように全力を注いでる

Swear you niggas is hopeless
誓って言うが、お前らは本当に救いようがない

I should run a clinic for niggas that think that they winning
自分が勝ってると思い込んでる奴らのために、俺がクリニックを開いてやるべきだな

On some coach shit, 50 Ms for a three-month road trip
コーチ気取りでな、3ヶ月のツアーで5000万ドル稼ぎ出す

I see straight through them like fish tanks with no fish in them
魚のいない水槽みたいに、奴らの中身が空っぽなのはお見通しだ

Drizzy still got some '06 in him
ドリージーの中にはまだ2006年頃のハングリーさが残ってる

IRS all in my books getting they Matlock on
国税庁が俺の帳簿を漁って、マトロック気取りで調査してる
※Matlockはアメリカの人気法廷ドラマの主人公。稼ぎすぎたことでIRS(内国歳入庁)から徹底的に目をつけられるセレブ特有の悩みを誇示している。

All this capital it's like I left the caps lock on
この莫大な資本は、まるでキーボードの「Caps Lock」をオンにしたままでいるみたいだ
※Capital(資本・大金)とCaps Lock(大文字固定)をかけたDrake得意の言葉遊び。

It's like every time I plot a return I seem to shift the game
俺が復帰を企てるたびに、このゲームのルールが変わっちまうみたいだ

See I can still talk keys without pitchin' cane
ほら、俺はコカインを捌かなくても「キー」について語れるんだ
※「keys」はピアノの鍵盤(音楽性)と、キログラム単位のコカイン(1キー)のダブルミーニング。「cane」はコカインの隠語。ストリートでドラッグを売った過去を過剰にアピールするラッパーたちに対する、知的で圧倒的なマウント。

Pay yourself and owe yourself
自分で自分に払い、自分で自分に借りを作れ

Before you come to my city just know yourself
俺の街に来る前に、自分の身の程を知っておけ
※「my city」はトロント。

Know where you at
自分がどこにいるのか理解しろ

I'm good in every town, I'ma be there doing shows where you at
俺はどこの街でも歓迎される、お前らの地元でもショーをやってやるよ

The lights hit women screaming like Jodeci's back, nigga
照明が当たれば、女たちはジョデシィが復活したみたいに絶叫するんだ
※90年代に絶大な人気を誇ったR&Bグループ「Jodeci」の熱狂的な女性ファン(グルーピー)の様子に、現在の自分のスター性を重ね合わせている。

[Interlude: Dennis Graham]

But that’s… that’s where all this... that’s where the feeling is
でもそこが…全てが…感情の源泉なんだ

That’s where all that shit comes from… man I mean like
あらゆるものがそこから生まれてる…なあ、つまりさ

The music that you and I used to listen to ahh.. was just..
お前と俺が昔よく聴いてた音楽は…とにかく…

Absolutely phenomenal, because we went through it all
桁違いに素晴らしかった、なぜなら俺たちは全てを経験してきたからだ

We went through errythang...
俺たちは全てを経験してきたんだ…

I remember you loved Jodeci
お前がジョデシィを大好きだったのを覚えてるよ

I mean like studied, you even made me a CD…
つまり研究してたってことさ、お前は俺のためにCDまで作ってくれたよな…
※Drakeの実父、Dennis Grahamによる語り。自身の音楽性のルーツが父親から教わった90年代R&Bにあることを証明するエモーショナルな演出。

[Verse 2: Drake]

Your money is just a little Barney’s Co-Op for you to be tryna show out
お前の金はせいぜいバーニーズのコープレベルだ、それでイキろうだなんてな
※高級デパート「Barneys New York」の中でも「Co-Op」は比較的安価な若者向けライン。相手の富が自分と比べて小規模であることを嘲笑している。

I'm in your girl's ear planting seeds like a grow-op
俺はお前の女の耳元でささやき、大麻の栽培所みたいに種を植え付けてる
※「grow-op」はマリファナの屋内栽培所。他人の恋人を言葉巧みに洗脳して奪い取るという、Mob Boss的で冷酷な振る舞い。

We move the operation to Cali soon as the snow drop
雪が降ったら、すぐにカリフォルニアに拠点を移す
※トロントの厳しい冬(snow)を避けてLAへ移動するというセレブライフの描写だが、「snow」にはコカインという裏の意味もある。

Oh stop, please stop arguin' 'bout who's the best MC
ああ、もうやめてくれ、誰が最高のMCかなんて議論するのは

I think everyone would agree, they know that you're not
誰もが同意するはずだ、お前じゃないってことはみんな分かってる

I know I'm a sure shot, middle finger poking you in your sore spot
俺が確実な本命だって分かってる、お前らの痛いところを中指で突いてやるよ

Bars sound like I'm under oath nigga
俺のラップは、まるで法廷で宣誓してるみたいに響くだろ
※自分の歌詞には嘘偽りがなく、事実だけを語っているという自負。

I Comedy Central roast niggas and turn 'em to ghost niggas
コメディ・セントラルのロースト番組みたいにお前らをイジり倒して、過去の存在に変えてやる
※アメリカのお笑い専門チャンネル「Comedy Central」の、ゲストを過激にイジる名物番組「Roast」の引用。

Either I'm gettin' bigger or you're just gettin' smaller or it's both, nigga
俺がさらにデカくなってるか、お前がどんどん小さくなってるか、その両方だな

I'm just as unforgivin' as most niggas
俺は並の奴らと同じくらい、絶対に許さないタチなんだ

You bit the hand, now starve, it's not a joke nigga
飼い犬に手を噛まれたからな、お前は飢え死にしろ、冗談じゃないぜ
※自分を引き上げてくれた恩人(Drake)に背いた者への残酷な制裁宣告。

I'll hang you with it after I teach you the ropes nigga
お前にロープの結び方を教えた後、そのロープでお前を吊るし首にしてやるよ
※「teach you the ropes(コツを教える)」という慣用句と、実際の「首吊りロープ」をかけた極めて凶悪で鮮やかなダブルミーニング。

Oh well, bitches paint OVO on their toenails
まあいいさ、ビッチたちは足の爪にOVOのロゴをペイントして

And show up at the show, the afterparty, and the hotel
ショーにも、アフターパーティーにも、ホテルにも現れる

That five star in your city, they know where we at
お前の街の5つ星ホテル、みんな俺たちがどこにいるか知ってるんだ

I hit the lobby, women's screaming like Jodeci's back, nigga
俺がロビーに現れれば、女たちはジョデシィが復活したみたいに絶叫するんだ

[Bridge: J. Cole]

Jodeci's back
ジョデシィの復活だ

You bitches screamin' like Jodeci's back
お前らビッチどもはジョデシィが復活したみたいに絶叫してる

I call the front desk for condoms, she's sayin' they ain't got none
フロントにコンドームを持ってくるよう電話したら、女は置いてないなんて言う

The way that I'm respondin', she know that we black, nigga
俺の答え方を聞いて、彼女は俺たちが黒人だって察しただろうな
※白人中心の高級ホテルでの人種的偏見に対する、J. Coleらしいブラックジョーク。

(Fuck you mean you ain’t got no condoms)
(コンドームがないって、一体どういう意味だクソが)

Jodeci's back
ジョデシィの復活だ

Fuckin' hoes like Jodeci's back
ジョデシィが復活したみたいに女たちとヤりまくってる

I paint pictures and flip words
俺は情景を描き出し、言葉を巧みに操る

Nigga woulda thought Def Poetry back (Cole)
まるで「Def Poetry」が復活したかと錯覚するくらいにな(コールだ)
※「Def Poetry Jam」はHBOで放送されていた、スポークン・ワード(詩の朗読)の伝説的番組。自らの卓越したリリシズムをポエトリーリーディングと同列に語っている。

[Verse 3: J. Cole]

Roof top, hoes turnt up
ルーフトップで、女たちが盛り上がってる

Lookin' for your bitch, bet she won't turn up
お前の女を探してるんだろ、絶対に戻ってこない方に賭けるぜ

Wonder where she is, fuck could she be?
どこにいるんだろうな、一体どこにいるって言うんだ?

She's a ho, she's a slut, she's a freak
あいつはビッチで、淫乱で、変態だからな

Heard a couple niggas hatin' but them fuck niggas weak
何人かが俺をヘイトしてるって聞いたが、あんなクソ野郎どもは弱すぎる

Count a hundred thousand dollars like it sucks to be me
「俺の人生も最悪だな」みたいな顔をして、10万ドルの札束を数えてる

Ain't that what you wanted? Stuntin' on you niggas
お前らが望んでたのはこういうことだろ? お前らを見下して見せびらかすこと

Came in this game never frontin' on you niggas
このゲームに入ってきてから、お前らに対して一度も虚勢を張ったことはなかった

Gave you heart and soul, stories of my pain
俺の心と魂、痛みの物語を全てお前らに与えた

Felt naked 'cause I laid out all my glory and my shame
自分の栄光も恥も全て曝け出したから、全裸になったような気分だったよ

Caught fire just to have niggas ignore me and my flame
火がついたってのに、連中は俺と俺の炎を無視しやがった

'Bout to burn down the house, they tryna put me in the rain, no
家を焼き尽くそうって時に、奴らは俺を雨の中に放り出そうとする、冗談じゃないぜ
※デビューアルバムで内面を赤裸々に語ったものの、ヒップホップメディアで正当な評価を得られなかったJ. Coleの不遇時代への怒り。

Fuck your list you lame niggas and doubters
お前らのリストなんてクソ食らえだ、ダサい連中と疑り深い奴らもな
※MTVの「Hottest MCs in the Game」リストなどで自分が下位にランクインしたことへの明確な反発。

I'm undoubtedly the hottest and that's just me bein' modest
間違いなく俺が一番ヤバい、これは俺が謙遜して言ってるレベルだ

Go check the numbers dummy, that's just me gettin' started
売上の数字を見てこいよ馬鹿野郎、しかも俺はまだ始まったばかりだ

I'm artistic, you ****** ** ******** ********
俺は芸術的だ、お前らみたいな奴らとは違う
※元の歌詞は「you niggas is autistic retarded(お前らは自閉症の知恵遅れだ)」だった。この極めて不適切なラインは障害者支援団体などから猛烈な批判を浴び、後にJ. Cole本人が公式に謝罪。ストリーミング等の公式音源では該当部分が逆再生処理(検閲)されている。

Hold your applause
拍手は待ってくれ

Who gives a poker face when you jokers showed me your cards?
お前らジョーカーどもが俺に手札を見せびらかしてるのに、誰がポーカーフェイスなんか保てるんだ?

David and Goliath, takin' on the giants
ダビデとゴリアテ、俺は巨人に立ち向かう

No need for pause when I tell you my balls bigger than yours, Cole
「俺のタマはお前らのよりデカい」って言う時に、「ポーズ」を挟む必要すらない
※「pause」はヒップホップ界隈で、同性愛的な意味合いに取られかねない発言をした直後に「そういう意味じゃない」と打ち消すためのスラング。ここでは、そんな言い訳すら不要なほどの圧倒的な男らしさと自信を誇示している。

No false gods, young Mike playin' against the Monstars
偽りの神はいない、若きマイケル・ジョーダンがモンスターズと戦ってるみたいだ
※映画『スペース・ジャム』でマイケル・ジョーダンがエイリアン(Monstars)とバスケで戦うシーンへのリファレンス。

Tappin' into '94 Nas
94年のNasのモードに突入してる
※Nasの伝説的デビューアルバム『Illmatic』(1994年)のような圧倒的なリリシズム。

Or that '96 Jay, or that Chronic shit, Dre
あるいは96年のJay-Z、もしくはDreの『The Chronic』のヤバさだ
※Jay-Zの『Reasonable Doubt』(1996)、Dr. Dreの『The Chronic』(1992)というヒップホップの歴史的名盤と同等のレベルにあるという宣言。

Which is really just Slim Shady, I'm silly, my pen crazy
つまりはスリム・シェイディってことさ、俺はバカげてる、俺のペンは狂ってる
※Eminem(Slim Shady)のようなクレイジーな作詞能力(pen)への言及。

Today I'm out in Philly, my fans waitin' for 12 hours
今日はフィラデルフィアにいるが、ファンが12時間も待ってくれてる

Just to get their dollar signed
1ドル札にサインをもらうためだけにな

Thoughts stream like I'm Spotifyin'
思考が泉のように湧き出る、まるでSpotifyでストリーミングしてるみたいにな
※当時の新興サービスであったSpotifyと、思考の流れ(stream of consciousness)をかけたパンチライン。

Trenchcoat flow, bottom line
トレンチコートのフロウ、結論から言えば

To these too cool for school niggas I'm Columbine
学校に行くにはクールすぎる奴らに対して、俺はコロンバインだ
※「トレンチコート・マフィア」と呼ばれたコロンバイン高校銃乱射事件の加害者を比喩にした非常に過激なパンチライン。前述の自閉症のラインと共に、当時大きな物議を醸した。

Flow dumber than your projections
俺のフロウはお前らの売上予測よりもバカげてる

This makes twice now, I doubled what you expected, yet
これで2回目だ、お前らの予想の倍の数字を叩き出したのに、まだ

Your covers keep perplexin' me
お前らの雑誌の表紙の選び方には当惑させられっぱなしだ
※XXL誌などのヒップホップメディアが自分を表紙に選ばず、正当に評価しないことへの不満。

Maybe it's too complex for me
たぶん俺には難しすぎるんだろうな
※音楽メディアの「Complex」誌と、複雑さ(complex)をかけたダブルミーニング。

But is this 'bout skills or is this 'bout sales?
でもこれってスキルの話か? それとも売上の話か?

'Cause either fuckin' way, man all them niggas is less than me
だってどっちにしても、あいつらは全員俺より下だからな

You legends know that we rap
レジェンドたちよ、俺たちが本気でラップしてるのは分かってるだろ

Bitches screamin' like Jodeci's back
ビッチどもはジョデシィが復活したみたいに絶叫してる