Artist: Drake
Album: More Life
Song Title: Free Smoke
概要
『More Life』(2017年)のオープニングを飾る「Free Smoke」は、前作『Views』での歴史的な大成功と、Meek Millらとの熾烈なビーフを経て、完全にシーンの頂点に君臨したDrakeの「Mob Boss」的ペルソナが爆発したトラップ・アンセムである。オーストラリアのバンドHiatus Kaiyoteによる神聖なボーカル・サンプリングから一転、Boi-1daが手掛けた獰猛なビートへと雪崩れ込むこの曲で、彼は「Free Smoke(誰からの喧嘩でもタダで買ってやる)」と豪語する。かつての貧しい下積み時代を回顧しつつ、J.Lo(ジェニファー・ロペス)への未練という「Sad Boy」的な一面を覗かせ、同時にJay-Zからの忠告を無視して敵を徹底的に潰すことの快感を冷酷に語る。ゴーストライター疑惑を乗り越え、逆に敵を「ゴースト(亡霊)」へと変えたという強烈なパンチラインは、もはや誰も彼を止めることができない絶対王者の風格を漂わせている。
和訳
[Intro: Nai Palm & Drake]
Is it the strength of your feelings
君の感情の強さが
Overthrowing your pain?
君の痛みを打ち負かしたのかい?
※オーストラリアのネオソウル・バンド、Hiatus Kaiyoteの楽曲「Building a Ladder」からのサンプリング。
You'll see new heights you’ll be reaching
君は自分が到達する新たな高みを目にするだろう
And is it today that you will find your new release?
そして、今日こそ新たな解放を見つける日なのかい?
And in your wake, ripple your sweet fate
君の通った跡には、甘美な運命が波紋を広げていく
And more chune for your headtop
お前の頭に、さらなるチューン(曲)を浴びせてやる
※「More chune for your headtop」はパトワ語(ジャマイカ・クレオール語)由来のトロント・スラング。「chune」は「tune(曲)」。ヘイターたちの頭上に次々とヒット曲を叩き込んでやるという威嚇。
So watch how you speak on my name, you know?
だから俺の名前を口にする時は、言葉に気をつけろよ
[Verse 1: Drake]
Yeah, I couldn't get a bill paid
昔は請求書すら払えなかった
You couldn't buy the real thing
お前は本物を買うことすらできなかった
I was stayin’ up at yo' place
俺は君の部屋で夜を明かしながら
Tryin' to figure out the whole thing
この世界のすべてを理解しようとしていた
I saw people doin' things
他の奴らが活躍しているのを見て
Almost gave up on the music thing
音楽を辞めようとすら思ったんだ
But we all so spoiled now
でも今じゃ、俺たちはすっかり甘やかされてる
More life, more everything
さらなる人生を、さらなるすべてを
※「More life」はジャマイカのパトワ語で「幸運を祈る、長寿を願う」といったポジティブな挨拶。本作(プレイリスト)のタイトルでもある。
Must have never had your phone tapped
お前は電話を盗聴されたことなんてないんだろうな
※大物になりすぎて警察や敵から監視されるレベルに達したMob Bossの境地。
All that yappin' on the phone shit
電話越しでベラベラ喋りやがって
You must really love the road life
お前はストリートでの暮らしが本当に好きなんだな
All that never comin' home shit
家に帰ってこないような生活がさ
[Chorus: Drake]
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
※「Smoke」はストリートのスラングで「銃撃戦、ビーフ、揉め事」。それを「Free(無料)」で提供する、つまり「誰からの喧嘩でもいつでもタダで買ってやる」という絶対的な自信の現れ。
[Verse 2: Drake]
Dom Rosé toast
ドンペリ・ロゼで乾杯だ
Hidden Hills where I post
ヒドゥン・ヒルズが俺の拠点さ
※「Hidden Hills」はカリフォルニア州の超高級住宅街。
I start my day slow
一日の始まりはゆっくりだ
Silk pajamas when I wake though
目覚めた時にはシルクのパジャマを着てるけどな
Miraval to the face though
ミラヴァルのロゼを直飲みする
I drunk text J-Lo
酔っ払ってJ.Loにメッセージを送っちまった
※女優・歌手のJennifer Lopez。当時ロマンスの噂があった彼女に対し、未練がましく酔って連絡してしまう「Sad Boy」の描写。
Old number, so it bounce back
古い番号だったから、エラーで返ってきたよ
Boi-1da got the bounce back
ボーイ・ワンダが最高のバウンスを効かせたビートをくれた
※Drakeの長年のメインプロデューサーBoi-1da。メッセージが送信エラーになる「Bounce back」と、ビートのノリの「Bounce」を掛けた見事なワードプレイ。
Used to get paid for shows in front-door money
昔はライブのギャラをエントランスの現金でもらってたな
Five, ten, twenties, hand sanitize after you count that
5ドル、10ドル、20ドル札、数え終わったら手を消毒しなきゃならなかった
Me and Gibbo was about that
俺とギボはそんな日々を送ってた
※GibboはDrakeの長年のツアー・マネージャー。
Eatin' Applebee's and Outback
アップルビーズやアウトバックで飯を食ってな
※どちらもアメリカの安価な大衆向けファミリーレストラン。
Southwest, no first class
サウスウエスト航空で、ファーストクラスなんてない
Hilton rooms, gotta double up
ヒルトンの部屋も相部屋だ
Writin’ our name on a double cup
ダブルカップに俺たちの名前を書いていた
We ain’t even have a tour bus
ツアーバスすら持ってなかったんだ
Girls wouldn't even think of recordin’ me
女の子たちは、俺の動画を撮ろうとすら思わなかった
I fall asleep in sororities
女子大生の寮で寝落ちしたこともあったな
I had some different priorities
あの頃は優先順位が違ったんだ
Weezy had all the authority
ウィージーがすべての権力を持っていた
※「Weezy」はLil Wayne。Drakeが所属するYoung Moneyレーベルの創設者であり、ブレイク前の絶対的なボスだった。
Women I like was ignorin' me
俺の好きな女たちは、俺のことなんて無視してた
Now they like, "Aren't you adorable?"
今じゃ彼女たちは「あなたって可愛くない?」なんて言ってくる
I know the question rhetorical
それが修辞疑問文だってことは分かってるさ
I took the team plane from Oracle
オラクル・アリーナからチームの専用機に乗ったんだ
※「Oracle」は当時NBAゴールデンステート・ウォリアーズの本拠地だったアリーナ。
Mama never used to cook much
母さんは昔、あんまり料理をしなかった
Used to chef KD
昔は俺がクラフト・ディナーを作ってたよ
※「KD(Kraft Dinner)」はカナダの安価なマカロニチーズ。「Chef」は料理すること。
Now me and Chef, KD
今じゃ俺と「シェフ」、そしてKDで
Bet on shots for twenty G's
2万ドルを賭けてシュート勝負をしてる
※NBAのスター、Stephen Curry(愛称Chef)とKevin Durant(KD)との交友録。マカロニチーズ(Chef KD)の言葉遊びから、トップアスリートと大金を賭けて遊ぶ現在への見事な転換。
I brought the game to its knees
俺はこのラップゲームを屈服させてやった
I make too much these days to ever say, "Poor me"
最近は稼ぎすぎてるから「可哀想な俺」なんて口が裂けても言えない
Where you at? I never see you
お前はどこにいるんだ? 全く姿を見ないが
[Chorus: Drake]
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
[Verse 3: Drake]
Niggas moves so waste
あいつらの動きはマジで無駄(ウェイスト)だ
※「Waste」はトロント・スラングで価値のない、役に立たないの意。
Please come outside the house and show yourself
頼むから家の外に出てきて、姿を見せてくれよ
So I can say it to your face
お前の顔を見て直接言ってやれるようにな
It’s bound to happen, man, it's gotta happen now
どうせ起こることだ、なあ、今すぐ終わらせようぜ
So let's just get it out the way
さっさと片付けてしまおう
Lot of niggas goin' bad on me
大勢の奴らが俺に敵意を向けてきやがる
Please, one at a time
お願いだ、一人ずつ順番に来てくれ
I wanna move to Dubai
俺はドバイに引っ越したいよ
So I don't never have to kick it with none of you guys
そうすれば、お前らみたいな奴らとは一切関わらずに済むからな
I didn't listen to Hov on that old song
俺はあの古い曲で、ホヴィの言うことを聞かなかった
When he told me, "Pay it no mind"
彼が「あんな奴らの言うことなんて気にするな」って教えてくれたのにな
※「Hov」はJay-Z。2010年のコラボ曲「Light Up」で、Jay-Zから「ヘイターの言うことなんて無視しろ」とアドバイスを受けたエピソード。
I get more satisfaction outta goin' at your head
俺は、お前らの頭を直接狙い撃ちにして
And seein' all of you die
お前らが死んでいくのを見る方に、より大きな満足感を覚えるんだ
And I seen a lot of you die
俺はすでにお前らの多くが死んでいくのを見てきたからな
※Jay-Zの大人な忠告を無視し、自分に歯向かうラッパーを自らの手で破滅(ディス)させることに快感を覚えるという、冷酷無比なMob Bossの告白。
[Chorus: Drake]
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
Free smoke, free smoke, ayy
フリー・スモーク、フリー・スモーク
[Verse 4: Drake]
Hidden Hills where I post, yeah
ヒドゥン・ヒルズが俺の拠点だ
'Ye already know, yeah
イェーならもう知ってるはずさ
※「'Ye」はKanye West。当時、同じカリフォルニアのHidden Hillsに住んでおり、ご近所さんだった(後に激しいビーフへと発展する関係)。
I'm the troublemaker in the neighborhood
俺はこの近所のトラブルメーカーだ
Far as troublemakin' goes, yeah
トラブルを起こすことに関してはな
House party up the road, yeah
この道の先でハウスパーティーを開いてる
I'm not Kid 'n Play
俺はキッド・ン・プレイじゃないぜ
※「Kid 'n Play」は映画『House Party』に主演した90年代のヒップホップ・デュオ。
This kid doesn't play about the flow, yeah
この坊や(俺)は、フロウに関しては遊びじゃないんだ
Y'all keep playin' with your nose, yeah
お前らは自分の鼻で遊び続けてる
※「Playin' with your nose」はコカインを吸うこと。薬物依存に陥っているラッパーたちへの嘲笑。
You get high and do the most, yeah
ハイになって、過剰なことばかりしやがる
How you let the kid fightin'
ゴーストライターの噂と戦っていたこの坊や(俺)に
Ghost-writin' rumors turn you to a ghost?
お前自身がゴースト(亡霊)に変えられちまうなんて、どういう気分だ?
※Meek Millからゴーストライター疑惑でディスされたDrakeが、ディストラック「Back To Back」で圧倒的な反撃を見せ、結果的にMeek Millのキャリアを一時「亡霊」のように消し去ったことを冷笑する強烈なパンチライン。
Oh, you niggas got jokes
ああ、お前らは本当に笑わせてくれるぜ
Free smoke, free smoke
フリー・スモーク、フリー・スモーク
[Outro: Baka Not Nice]
Baka
バカだ
Yeah, we outchea
ああ、俺たちはここにいるぜ
Ya dun know, eh?
分かってるだろ?
It's a OVO ting, eh?
これはOVOのシノギだ、な?
Ya dun know, eh?
分かってるだろ?
It's a East Side ting, eh?
イーストサイドのやり方だ、な?
Ya dun know, eh?
分かってるだろ?
More life
モア・ライフだ
※Drakeの長年の側近でOVOクルーのBaka Not Niceによるアウトロ。「Ya dun know」や「ting」など、トロントのパトワ由来のストリート・スラングが全開になっている。
