Artist: Drake
Album: Views
Song Title: 9
概要
「9」は、2016年の大ヒットアルバム『Views』に収録された、Drakeの地元トロント(The 6)への異常なまでの執着と献身を描いたトラックである。プロデューサーのNoah "40" Shebibらが作り出した、陰鬱で冷たいトロントの冬を思わせるビートに乗せ、Drakeは「6をひっくり返して9にする(トロントの常識を覆し、世界的な影響力を持つ都市に変えた)」という絶対的な自負を歌う。同時に、成功に伴う周囲のたかりや、裏切りに対する人間不信といった「Sad Boy」的な疲弊感も吐露されている。フックではジャマイカのダンスホール・スターであるMavadoの楽曲をサンプリングしており、トロントのストリートに深く根付くカリブ海(パトワ)カルチャーへの敬意を示している。自分の街を背負うためなら死さえ厭わないという、冷酷な「Mob Boss」としての覚悟と、トップに君臨する者の孤独が交錯する、アルバムのコアを成す一曲だ。
和訳
[Intro]
Yeah, for the dogs dem, you know
ああ、俺の仲間たちのために、分かってるだろ
※「dogs dem」の「dem」はパトワ語(ジャマイカ・クレオール語)由来で「〜たち」を意味する。トロントのストリートで多用されるカリブ系スラング。
Everybody wanna know how shit gets like this, man
誰もがどうしてこんな状況になったのか知りたがってる
Man, the whole city
なあ、街全体がさ
Shit's crazy right now, and shit ain't gonna stop
今、状況は狂ってる、そしてこれは止まらないぜ
Know shit gonna get a lot more worse before it get any better
良くなる前に、もっとずっと悪くなるって分かってるんだ
[Verse 1]
Look, mama hit my phone and said rap's no good
なあ、母さんが電話してきて「ラップなんてダメだ」って言ってた頃があった
Better than her telling me the check's no good
でも「小切手が不渡りになった」って言われるよりはマシだったよ
Now they wanna act like I do no good
今じゃ奴らは、俺がろくなことをしてないかのように振る舞いたがる
Funny 'cause I really did more than I should
笑えるよな、俺は本来やるべき以上のことをやってきたんだから
I made a decision last night that I would die for it
昨夜、俺は決断したんだ、そのためなら死んでもいいってな
Just to show the city what it takes to be alive for it
この街のために生きるとはどういうことか、それを見せつけるためだけにな
Can't get me on the line so they hang me out to dry for it
俺が電話に出ないからって、奴らは俺を見殺しにしようとする
You know 40 wants peace but I'm down to cut ties for it
40は平和を望んでるって分かってるが、俺はそのために縁を切る覚悟だってあるぜ
※「40」は長年の親友でありメインプロデューサーのNoah "40" Shebib。彼が温厚であるのに対し、Drakeは自分やチームを守るためなら容赦なく敵(Meek Millなど)と手を切り、戦争をするという「Mob Boss」の冷酷さ。
And I can't sleep these days unless I take one
最近は、一錠飲まないと眠れないんだ
※成功の重圧や裏切りのストレスから、睡眠薬や精神安定剤(Xanaxなど)に頼る「Sad Boy」の脆さ。
If they don't have a story these days, they'll make one
最近の奴らは、ネタがないと自分で作り上げやがるからな
Life is always on, man, I never get a break from it
人生は常に動き続けてる、なあ、俺はそこから休む暇もない
Doesn't matter where I go, I can never get away from it
どこへ行こうと関係ない、絶対に逃れられないんだ
They give me loyalty and I don't gotta pay for it
奴らは俺に忠誠を誓ってくれる、俺がそれに金を払う必要はない
Same way, breads gotta break for it
同じように、俺も仲間たちを食わせてやらなきゃならない
※「Break bread」は仲間と食事を共にする、利益を分け合うというストリートの掟。
Keeping people fed is my only peace of mind now
仲間たちを食わせ続けることだけが、今の俺の唯一の心の平穏なんだ
And I turn the six upside down, it's a nine now
そして俺は6を逆さまにした、今じゃ9になったのさ
※タイトルの回収。「6」はトロントのこと。自分がシーンの頂点に立ったことで、トロントの地位や常識を完全に「ひっくり返した」という絶対的な影響力の誇示。
[Pre-Chorus: Drake]
I made a decision last night that I would die for it
昨夜、俺は決断したんだ、そのためなら死んでもいいってな
[Chorus: Mavado & Drake]
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
※ジャマイカのダンスホール・アーティストMavadoの楽曲「Dying」のサンプリング。トロントに息づくジャマイカの血脈と、ストリートの過酷な現実を表現している。
(Oh)
[Verse 2]
All these handouts, man it's getting outta hand
この恵んでくれって要求の数々、なあ、もう手に負えないぜ
I'ma start telling niggas "Get it how you can"
これからは奴らに「自分の力でどうにかしろ」って言うことにするよ
I got it right now so I'm everybody's friend
今の俺は持ってる(金も権力も)から、誰もが俺の友達面をする
If I ever lose I bet we never speak again
もし俺がすべてを失ったら、二度と口を利くこともないだろうな
I made a decision last night, I'd die for it
昨夜、決断したんだ、そのためなら死んでもいい
Just to show the city what it takes to be alive for it
この街のために生きるとはどういうことか、見せつけるためだけに
First place, first place, man we can't be tied for it
1位、1位だ、なあ、同率1位なんてありえないぜ
I only drove it five times, paid 1.5 for it, yeah
まだ5回しか乗ってないのに、150万ドルも払ったんだからな
Keychain go jang-a-lang, I wanna do major things
キーホルダーがジャラジャラ鳴る、俺はデカいことを成し遂げたいんだ
MJ in every way, I just don't fade away
あらゆる面でMJだ、俺は決して色褪せたり(フェイダウェイ)しない
※「MJ」はMichael Jordan(またはMichael Jackson)のこと。ジョーダンの代名詞である「フェイダウェイ・シュート」と、自分がシーンから「消え去る(Fade away)」ことはないというダブルミーニング。
Six upside down, it's a nine now
6を逆さまにした、今じゃ9だ
Like Mannie, like Stunna, man, shit is big time now
マニーみたいに、スタナみたいにな、なあ、今はビッグ・タイムなんだ
※Cash Money Recordsの黄金期を支えたMannie FreshとBirdman(Stunna)のデュオ「Big Tymers」へのシャウトアウト。自分がかつての彼らのように、シーンの絶対的な覇者(Big Time)になったという宣言。
[Pre-Chorus: Drake]
And I made a decision last night that I would die for it
そして昨夜、俺は決断したんだ、そのためなら死んでもいいってな
[Chorus: Mavado & Drake]
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Dying, woo, yeah, yeah, gangstas, gangstas, gangstas...)
死んでいく、ギャングスタたち
(Oh)
[Outro]
… And then when I saw the news
… そしてニュースを見た時
Make me feel afraid of how I’d been to you
俺が君にどう接してきたか、恐ろしくなったんだ
Trust me when I say I thought it all through
信じてくれ、すべて考え抜いた上でのことだと言う俺を
Trust me when I say that shit is old moves
信じてくれ、あんなのはもう古いやり方なんだと
God made himself a way from me to you
神は自ら、俺から君への道を作ってくれた
Tried to kill me but they still want the Views
奴らは俺を殺そうとしたが、それでも『Views』を欲しがっている
※「Views」はアルバムのタイトルであり、トロントの「景色」や「視点」のこと。業界や敵対するラッパー(Meek Millなど)が結託してDrakeを引きずり下ろそうとしたが、結局誰もが彼の生み出す音楽や彼の立つ頂点からの景色(Views)を求めているという皮肉と勝利宣言。
Tried to kill me but they still want the Views
俺を殺そうとしたが、それでも『Views』を欲しがっている
Tried to kill me but I am very much alive on the six side
俺を殺そうとしたが、俺はこのシックス・サイドで力強く生きているぜ
Yeah, I said I am very much alive on the six side
ああ、俺はこのシックス・サイドで力強く生きているって言ったんだ
I said I am—
俺は──
