Artist: Drake
Album: If You’re Reading This It’s Too Late
Song Title: 6 Man
概要
「6 Man」は、Drakeのサプライズミックステープ『If You’re Reading This It’s Too Late』(2015年)に収録された、トロントの神(6 God)としてのエゴとスポーツカルチャーへの深いリスペクトが交差するバンガーである。タイトルの「6 Man」は、バスケットボールにおける最優秀控え選手賞「シックスマン賞」と、彼の故郷トロントの愛称「The 6」を掛けている。楽曲の前半では、当時トロント・ラプターズに所属し同賞を受賞したLou Williamsのライフスタイル(2人の女性と同時に交際する特異な関係性)を引き合いに出し、自身のプレイボーイぶりと富を誇示する。後半では一転して、グラミー賞などの権威やメディア(CNN)に対する冷笑的な態度を見せ、他人の評価や賞よりもストリートや仲間(WOE)の支持を選ぶというMob Boss的な反骨精神を露わにしている。アウトロではThe Rootsのクラシック「You Got Me」をサンプリング・改変し、恋人ではなく地元のクルーへの絶対的な忠誠を誓うというギミックが秀逸な一曲だ。
和訳
[Intro]
Yeah, yeah
[Verse 1]
Boomin out in South Gwinnett like Lou Will'
サウス・グイネットのルー・ウィルみたいに大活躍してるぜ
※NBAのスター選手Lou Williamsの出身高校(ジョージア州サウス・グイネット高校)のこと。彼が若くして名を轟かせたように、Drakeもシーンを席巻しているというアピール。
6 Man like Lou Will'
ルー・ウィルみたいなシックス・マンさ
※Lou Williamsが受賞した「NBAシックスマン賞」と、トロント(The 6)を代表する男(6 Man)を掛けたダブルミーニング。
Two girls and they get along like I'm— (Lou)
2人の女、しかも彼女たちは仲良くやってる、まるで俺が
※Lou Williamsが当時2人の女性(Ashley HendersonとRece Mitchell)と公にポリアモリー(複数恋愛)の関係にあり、しかも彼女たち同士が仲良くしているという有名なエピソードを借用している。
Like I'm Lou Will', I just got the new deal
まるでルー・ウィルみたいにな、新しい契約を手に入れたばかりだ
I am in the Matrix, and I just took the blue pill
俺はマトリックスの中にいる、そしてブルーピルを飲んだところさ
※映画『マトリックス』からの引用。通常、真実を知る「レッドピル」を選ぶのがヒップホップ的なクリシェだが、Drakeはあえて「ブルーピル」を選び、この夢のような大成功の世界(仮想現実のような贅沢)に留まるという傲慢なスタンス。また、「ブルーピル」はバイアグラの隠語であり、複数の女性を相手にするための精力剤というダブルミーニングでもある。
No ho shit, no fuckin' ho shit, save that for your shit
ビッチみたいな真似はしない、クソみたいなことはしない、そういうのはお前らのために取っておけ
I don't need no-fuckin'-body, I run my own shit
俺には誰の助けも必要ない、自分のビジネスは自分で仕切る
I told you, thought I told you, you didn't listen
言ったよな、言ったはずだぜ、お前が聞いてなかっただけだ
Fieri, I'm in the kitchen, I'm a magician
ガイ・フィエリのようにキッチンに立つ、俺は魔法使いだ
※Guy Fieriはアメリカの有名な料理番組のホスト。「キッチン」はスタジオでの楽曲制作、またはドラッグの精製(クッキング)を意味するストリート・スラング。
I'm on it, I'm like MacGyver, I'm Michael Myers
俺は止まらない、マクガイバーみたいにな、俺はマイケル・マイヤーズだ
※どんな状況でも機転を利かせて切り抜けるドラマの主人公『冒険野郎マクガイバー』と、ホラー映画『ハロウィン』の不死身の殺人鬼マイケル・マイヤーズ。どんなピンチも潜り抜け、敵のキャリアを確実に殺すという比喩。
I kill careers and cut the lights off, this shit is frightenin'
奴らのキャリアを殺して、明かりを消してやる、これは恐ろしいことだぜ
I knew it would end up like this, I'm fuckin' psychic
こうなる結末は分かっていた、俺はクソ超能力者みたいだからな
Young, but I'm makin' millions to work the night shift
俺は若いが、夜勤をこなして何百万ドルも稼いでるんだ
※夜のスタジオワーク。またOVOのシンボルであるフクロウ(夜行性)にかけて、夜のストリートやエンタメ業界で暗躍していることを示している。
[Chorus]
Yeah, work the night shift
ああ、夜勤をこなす
Young, but I'm makin' millions to work the night shift
俺は若いが、夜勤をこなして何百万ドルも稼いでる
Work, work the night shift
働くのさ、夜のシフトをな
[Verse 2]
Young, but I'm gettin' every single motherfuckin' thing I'm owed
若いが、俺が手にするべきクソみたいな恩恵はすべて手に入れている
You gotta know
お前らも分かってるはずだ
I'm here to fuck with niggas' souls, my heart is cold
俺は奴らの魂を打ち砕くためにここにいる、俺の心は冷え切っているんだ
It's prolly 'cause I'm from the snow, with all my WOEs
きっと俺が雪国(トロント)の出身だからだろうな、俺の仲間たちと一緒にいるからさ
※「WOEs」はDrakeのクルーが掲げる理念「Working On Excellence」の略称であり、苦楽を共にする仲間たちを指す。
I know they wanna see me go, I'm on a roll
奴らが俺の転落を望んでるのは知ってるが、俺は絶好調だ
I mean, I'm back on this again, I'm here again
つまり、俺はまたここに戻ってきたってことさ
You know the truth, let's not pretend, I'm not your friend
真実は分かってるだろ、仲良しごっこはやめようぜ、俺はお前の友達じゃない
Not your guy, I'm not your buddy, show no love'
お前の仲間でもないし、ダチでもない、愛なんか見せないぜ
And I might go DeMarcus Cousins out in public
公の場で、デマーカス・カズンズみたいに暴れちまうかもしれない
※NBA選手DeMarcus Cousins。圧倒的な実力を持ちながら、気性が荒くコート上で頻繁にテクニカルファウルを受けることで有名。Drakeもヘイターに対してキレる寸前であるという警告。
Man, I'm back on this again, I'm here again
なあ、俺はまたここに戻ってきた、また現れたぜ
I didn't do this fuckin' tape for CNN
俺はこのクソみたいなミックステープをCNNのために作ったわけじゃない
※メディアのゴシップやニュースの話題作りのために音楽をやっているのではないという主張。
I am not tryna win awards, that shit looked forced, it's nothin' like this
俺は賞レースに勝とうとなんてしてない、あんなのは不自然だ、俺のやり方とは違う
※グラミー賞など、白人主導の音楽業界の権威に対する強烈な不満と軽蔑。ストリートからのプロップス(評価)を重んじるMob Boss的アティチュード。
Young, but I'm makin' millions to work the night shift
俺は若いが、夜勤をこなして何百万ドルも稼いでるんだ
[Chorus]
Yeah, work the night shift
ああ、夜勤をこなす
Young, but I'm makin' millions to work the night shift
俺は若いが、夜勤をこなして何百万ドルも稼いでる
Work, work the night shift
働くのさ、夜のシフトをな
(Lou)
(ルー)
[Outro]
If you were worried about where
もし君が、俺の居場所や
I've been or who I saw or
誰と会っていたか、あるいは
What club I went to with the homies
俺が仲間とどのクラブに行ったか心配していたなら
Baby, don't worry, you know that you got me
ベイビー、心配しないでくれ、俺には君がいるって分かってるだろ
※The RootsとErykah Baduによる1999年の名曲「You Got Me」のコーラス部分のサンプリング・改変。
I've never worried about where
俺は一度も心配したことがないんだ
I'm at or who I saw or
自分がどこにいて、誰と会ったか
What club I go to with the homies
仲間とどのクラブに行くかなんて
Baby, don't worry, I know that they got me (6ix)
ベイビー、心配しないでくれ、俺には仲間がついてるって分かってるからな(シックス)
※原曲では「愛する人(You)との固い絆」を歌っているが、Drakeは最後の「You」を「They(仲間・クルー)」にすり替えている。最終的に一番信頼し、彼を守ってくれるのは女ではなく「The 6(トロントの仲間たち)」であるという、OVOファミリーへの絶対的な忠誠心を示すディープなギミック。
