Artist: Drake
Album: If You’re Reading This It’s Too Late
Song Title: Energy
概要
『If You’re Reading This It’s Too Late』(2015年)に収録された「Energy」は、Drakeのキャリアにおいて最もパラノイア(被害妄想)と疲労感が剥き出しになった楽曲である。Boi-1daによる不気味でミニマルなビートに乗せ、彼はトップスターとしての圧倒的な権力と富を誇示しつつも、自分の「エネルギー」を吸い取ろうとする業界の人間、偽の友人、そしてネット上のヘイターたちへの苛立ちを吐露している。カナダの学園ドラマ俳優出身という過去から「好きでもないラッパーに愛想笑いをする日々は終わった」と宣言するラインは、彼が「Mob Boss」として完全にヒップホップ・ゲームを制圧し、誰にも媚びる必要がなくなったことを象徴している。ジャマイカのサウンド・システム・カルチャーを導入したイントロや、地元のフッドの仲間たちの名前を出すことで、トロントの生々しいストリート感を色濃く反映させた、彼のディスコグラフィーにおける重要なターニングポイントとなった一曲だ。
和訳
[Intro: DJ Jah Walton & Drake]
Lickwood means "rewind" and gunshot means "forward"
リックウッドは巻き戻し、ガンショットは進めを意味する
※ジャマイカのDJ、Jah Waltonの1980年代のダンスホール・レゲエトラック「Touch and Go」からのサンプリング。「Lickwood」はサウンド・システムにおいて曲を最初からかけ直す(リワインド)際に壁や木を叩く音、「Gunshot」は曲を盛り上げるために空に向けて撃つ銃声を指す。Drakeのカリブ海・パトワ文化への深い傾倒を示している。
You requested it, so we rewind (6ix)
お前らがリクエストしたから、巻き戻すぜ(シックス)
※「6ix(シックス)」はトロントの市外局番である416や647に由来する、Drakeが定着させた地元トロントの愛称。
Yeah, way, way, way up (6ix)
ああ、ずっと、ずっと上のほうへ(シックス)
Turn it all up
ボリュームを最大にしろ
Yeah, look
ああ、見ろ
[Chorus: Drake]
I got enemies, got a lot of enemies
俺には敵がいる、たくさんの敵がな
Got a lot of people tryna drain me of my energy
大勢の人間が、俺からエネルギーを吸い取ろうとしてやがる
They tryna take the wave from a nigga
奴らは俺からこの波を奪い取ろうとしている
Fuckin' with the kid and pray for your nigga
この俺に手を出したんだ、自分の仲間のために祈るんだな
※「The kid」はDrake自身の愛称(The Boyと同義)。自分に歯向かった相手とその周囲に容赦しないという脅し。
[Verse 1: Drake]
I got girls in real life tryna fuck up my day
現実世界の女たちも、俺の一日を台無しにしようとしてくる
Fuck goin' online, that ain't part of my day
ネットを見るなんてクソくらえだ、そんなの俺の日常にはない
I got real shit poppin' with my family too
家族との間にも、リアルな揉め事が起きているんだ
I got niggas that can never leave Canada too (6ix)
カナダから一歩も出られない仲間たちも抱えている(シックス)
※重犯罪の前科などにより、パスポートが下りずアメリカに入国できない地元のフッドの仲間(Baka Not Niceなど)を指している。
I got two mortgages, thirty million in total
ローンが2つある、合計で3000万ドルだ
※ロサンゼルス近郊に購入した「YOLO Estate」などの豪邸を指す、桁外れの富の自慢。
I got niggas that'll still try fuckin' me over
いまだに俺をハメようとしてくる奴らもいる
I got rap niggas that I gotta act like I like
好きでもないのに、愛想よく振る舞わなきゃならないラッパーどもがいる
But my actin' days are over, fuck them niggas for life, yeah
でも俺の俳優時代はもう終わりだ、あいつらなんて一生クソくらえだ
※かつてドラマ『Degrassi』で俳優をしていた過去を引き合いに出し、シーンの先輩や同業者(Tyga、Kendrick Lamar、Diddyなど当時の緊張関係にあった人物たち)に対して、もうビジネススマイルや作り笑いはしないという強烈な決別宣言。
[Chorus: Drake]
I got enemies, got a lot of enemies
俺には敵がいる、たくさんの敵がな
Got a lot of people tryna drain me of this energy
大勢の人間が、俺からこのエネルギーを吸い取ろうとしてやがる
They tryna take the wave from a nigga
奴らは俺からこの波を奪い取ろうとしている
Fuckin' with the kid and pray for your nigga
この俺に手を出したんだ、自分の仲間のために祈るんだな
[Verse 2: Drake]
I got people talkin' down, man, like I give a fuck
俺を見下す奴らがいるが、知ったこっちゃない
I bought this one a purse, I bought this one a truck
こっちの女にはバッグを買ってやり、こっちの男にはトラックを買ってやった
I bought this one a house, I bought this one a mall
こいつには家を買ってやり、あいつにはショッピングモールごと買ってやった
I keep buyin' shit, just make sure you keep track of it all
俺は買い続ける、お前らはただその記録をちゃんとつけておけよ
※周囲の人間を圧倒的な資金力で養っているMob Bossとしての傲慢なスタンス。
I got bitches askin' me about the code for the Wi-Fi
俺にWi-Fiのパスワードを聞いてくるビッチどもがいる
So they can talk about they Timeline
自分のタイムラインの話をするためにな
And show me pictures of they friends
そして友達の写真を見せてくる
Just to tell me they ain't really friends
そいつらが本当の友達じゃないってことを俺に教えるためだけにな
※クラブやプライベートな空間にいても、SNSの承認欲求や浅薄な人間関係にしか興味がない現代の女性たちへの呆れと軽蔑。
Ex-girl, she the female version of me
元カノ、あいつは俺の女版みたいな性格だった
I got strippers in my life, but they virgins to me
俺の周りにはストリッパーがいるが、俺にとっては処女みたいなもんだ
※数多くのストリッパーと関わっているが、彼自身にとっては特別に純粋な存在として扱っている、あるいは彼女たちでさえトップスターであるDrakeの前では初めてのような初々しい反応を見せるという自慢。
I hear everybody talkin' 'bout what they gon' be
誰もが自分が将来どうなるかについて語っているのを聞く
I got high hopes for you niggas, we gon' see
お前らには大いに期待してるぜ、そのうち結果が分かるだろうさ
※口先だけのラッパーたちへの上から目線の皮肉。
I got money in the courts 'til all my niggas are free
俺の仲間が全員自由になるまで、法廷に金を払い続ける
※逮捕されたOVOの仲間たちの高額な弁護士費用をすべて負担しているという、ストリートのボスとしての責任と忠誠心。
'Bout to call your ass a Uber, I got somewhere to be
お前のためにウーバーを呼ぶところだ、俺には行くべき場所があるからな
I hear fairy tales 'bout how they gon' run up on me
奴らが俺を襲撃するっていうおとぎ話を聞いたぜ
Well, run up when you see me, then, and we gon' see
ならば、俺を見かけた時に襲ってこいよ、どうなるか見てみようぜ
[Chorus: Drake]
I got enemies, got a lot of enemies
俺には敵がいる、たくさんの敵がな
Got a lot of people tryna drain me of this energy
大勢の人間が、俺からこのエネルギーを吸い取ろうとしてやがる
They tryna take the wave from a nigga
奴らは俺からこの波を奪い取ろうとしている
Fuckin' with the kid and pray for your nigga
この俺に手を出したんだ、自分の仲間のために祈るんだな
[Post-Chorus: Michel'le & Drake]
He was once a thug—
あいつはかつてサグだった
He was, he—
あいつは、あいつは
He was once a thug—
あいつはかつてサグだった
※N.W.A.のEazy-Eの楽曲「Eazy-Duz-It」で、R&BシンガーのMichel'leが歌うボーカルパートのサンプリング。かつてはストリートのチンピラ(Thug)だった者が成り上がったことを示唆している。
He was, he— (Yeah)
あいつは、あいつは
He was once a thug—
あいつはかつてサグだった
He was, he— (Yeah)
あいつは、あいつは
He was once—
あいつはかつて
[Verse 3: Drake]
Nah, fuck all of you niggas, I ain't finished
いや、お前ら全員クソくらえだ、俺はまだ終わっちゃいない
Y'all don't wanna hear me say it's a go
お前らは俺が「やれ」とゴーサインを出すのを聞きたくないはずだ
Y'all don't wanna see Win Win, 50 or Whoa
お前らはウィン・ウィンやフィフティー、ウォアに会いたくないはずだ
※Drakeのトロントのストリートの仲間であり、彼のために荒事を引き受ける側近たち(Win Win, 50, Whoa)の名前。彼らを差し向けるぞという威嚇。
I got real ones livin' past Kennedy Road
ケネディ・ロードの向こうには、俺の本物の仲間たちが住んでいる
※トロントのスカーバロー地区を通る主要道路「Kennedy Road」。ヒップホップ・カルチャーの根付くフッドのエリアを指す。
I got real ones with me everywhere that I go
どこへ行くにも、本物の仲間たちが俺と一緒だ
I'm tryna tell ya I got enemies, got a lot of enemies
だから言ってるだろ、俺には敵がいる、たくさんの敵がな
Every time I see 'em, somethin' wrong with their memory
奴らに会うたびに、あいつらの記憶はおかしくなるんだ
※ネット上や陰では強気なディスをしているヘイターたちが、実際にDrake本人や彼の屈強な取り巻きを目の前にすると、怯えて過去の発言を「覚えていない」と誤魔化す様子を嘲笑している。
Tryna take the wave from a nigga
俺からこの波を奪い取ろうとしている
So tired of savin' all these niggas, mayne
あいつらを救うのにはもうウンザリなんだよ
※いわゆる「Drakeエフェクト」。売れていないラッパーの曲に客演してヒットさせ、彼らのキャリアを救済してやることへの疲労と傲慢さ。
Grrah
グラァ
Hahahaha
ハハハハ
Yeah, run 'em
ああ、奴らを追い詰めろ
[Chorus: Drake]
I got enemies, got a lot of enemies
俺には敵がいる、たくさんの敵がな
Got a lot of people tryna drain me of this energy
大勢の人間が、俺からこのエネルギーを吸い取ろうとしてやがる
They tryna take the wave from a nigga
奴らは俺からこの波を奪い取ろうとしている
Fuckin' with the kid and pray for your nigga (6ix)
この俺に手を出したんだ、自分の仲間のために祈るんだな(シックス)
I'm off this, man
俺はもう帰るぜ
