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Star67 - Drake 【和訳・解説】

Artist: Drake

Album: If You’re Reading This It’s Too Late

Song Title: Star67

概要

「Star67」は、『If You’re Reading This It’s Too Late』(2015年)に収録された、Drakeのキャリア初期の危うい過去と現在の絶対的な自信が交差する二部構成の楽曲である。タイトルの「*67」は北米で電話をかける際に「非通知設定」にするコードを指し、かつてコールセンターを装った違法なテレマーケティング(詐欺的な営業電話)に関わっていたという彼の知られざる裏設定を象徴している。前半では、所属レーベルであるCash Money Records(BabyやSlim)に対する未払いのロイヤリティへの不満と怒りを、凶器を持ったギャングスタのような口調(Mob Boss)で叩きつける。一転して後半のメランコリックなビートでは、俳優時代(Jimmy役)の安月給で母親を養えず、地元の不良仲間(Hafら)に頼み込んで違法な「地下室での電話営業」に手を染めた過去を告白する。成功の裏に隠されたハスラーとしての暗い過去を赤裸々に語った、非常にドキュメンタリー性の高い一曲だ。

和訳

[Part I]

[Intro: Lil Wayne]

That's what they doin', Cam'ron
あいつらがやってるのはそういうことだ、キャムロン

They actin' like these singers, man
あいつらはまるでシンガーみたいな振る舞いをしてやがる

"I ain't—I ain't goin' to the studio 'til I got a situation
「状況が整うまで、スタジオには行かない

A subject, I need a beat, I need the producer
テーマが必要だ、ビートが必要だ、プロデューサーが必要だ

Who—who gon' be on the hook?" Man, what is you doin'?
フックは誰が歌うんだ?」 なあ、何やってんだよ?

Go in the studio with fuckin' clips, clips, ammo
スタジオには、弾倉と弾薬(リリックとアイデア)だけ持って入るんだよ
※Lil Wayneのインタビュー音声のサンプリング。本物のラッパーは環境に文句を言わず、武器(リリック)だけを持ってスタジオに入るべきだという、Drakeのワークエシック(労働倫理)を代弁している。

[Verse: Drake & Popcaan]

Brand new Beretta, can't wait to let it go
新品のベレッタ(拳銃)、ぶっ放したくてウズウズしてるぜ
※「ベレッタ」はリリースを控えた新しい楽曲やバースの比喩。攻撃的なリリックを放つ準備ができているという宣言。

Walk up in my label like, "Where the check, though?"
自分のレーベルに乗り込んで言ってやる、「で、俺の小切手はどこだ?」ってな
※当時所属していたCash Money Recordsのボス、Birdmanへの直接的なディス。未払いのロイヤリティ問題に対する強烈な怒りと威嚇。

Yeah, I said it
ああ、言ってやったぜ

Wouldn't dap you with the left, ho, shut the fuck up
左手でお前とダップ(挨拶)なんてしねえよ、ビッチ、黙りやがれ
※右手(利き手)は常に銃を握っているため、不用意に左手で挨拶はしないというギャングスタのルール。あるいは、左手(不浄の手)で挨拶する価値もないという侮蔑。

Text from a centerfold, I ain't reply, let her know I read it though
雑誌のグラビアモデルからメールが来たが、返信はしない、既読だけつけてやる

Voicemail say she ready though (Yeah)
留守電には「準備できてる」って入ってたけどな

Niggas know I'm credible, ain't no pussy on a pedestal
みんな俺が信用できる男だって知ってる、女を台座に乗せて崇めたりはしない
※「Sad Boy」のように女に振り回されるのではなく、「Mob Boss」として女をコントロールしているというアピール。

Got my foot on the 'Cedes Benz pedal
ベンツのアクセルを踏み込む

Doin' ninety on the bridge, like, "Nigga, you already know"
橋の上を時速90マイルで飛ばしながら、「なあ、言わなくても分かってるだろ」ってな

And if you don't know, then now you know, now you know
もし知らないなら、今教えてやるよ、今なら分かるだろ
※The Notorious B.I.G.のクラシック「Juicy」の有名なフレーズのサンプリング。

Switchin' up the angles
アングルを変えてやる

Now I'm in the Rolls with illuminated angel
今じゃ光り輝く天使(エンブレム)がついたロールス・ロイスに乗ってるんだ

Four, five chains, man, the gold gettin' tangled
チェーンを4つも5つもつけてるから、金が絡まっちまうよ

My nigga Biz said, "The first mill' gon' change you"
ダチのビズが言った、「最初の100万ドルがお前を変えるぞ」ってな
※Bismil。OVOの初期からの親友でありビジネスパートナー。

Change for the better, hit it, then dead her
良い方向への変化さ、ヤッて、そして縁を切る

That's my vendetta, keep this shit together, yeah (Bomba rassclaat)
それが俺の復讐だ、しっかりまとめ上げてやるさ(ボンバ・ラスクラート)
※「Bomba rassclaat」はジャマイカの強烈な罵倒語。Popcaanの音声がインサートされ、楽曲の凶暴性を高めている。

Goddamn, we ain't even gotta scam
くそ、俺たちはもう詐欺を働く必要さえない

Cocaine coupe, we ain't even got a scale
コカインみたいに真っ白なクーペに乗ってるが、秤(スケール)すら持ってない
※かつては詐欺まがいの電話営業やストリートの違法ビジネスに関わっていたが、今は純粋な音楽ビジネス(ドラッグのように中毒性のある曲)で合法的に大金を稼いでいるという誇示。

Used to flip apps, now that old plug murked
昔はアプリを売りさばいてたが、あの古いコネはもう消された
※「Flip apps」はクレジットカード詐欺の手口(アプリケーションの偽造など)を指すストリートスラングとの考察がある。過去の違法なコネクションはすでに絶たれている。

Ain't a damn thing changed, you can still get the work, ayy
でも根本は何も変わっちゃいない、お前らは今でも俺から「ブツ(極上の音楽)」を手に入れられるぜ

[Interlude]

Just hold on one moment and someone will be right with you
少々お待ちください、すぐに担当者が対応いたします

(We're sorry, you have reached a number that has been disconnected or is no longer in service)
(おかけになった電話番号は、現在使われておりません)
※前半の凶暴なラップから一転して、タイトルの「Star67(非通知の電話営業)」を想起させるコールセンターの音声と、切断されたアナウンスが流れ、過去の回想へと移行する。

[Part II]

[Intro]

Yeah

[Verse 1]

I remember I had went to Louis V with Haf'
ハフと一緒にルイ・ヴィトンに行った時のことを思い出すよ
※Hafはトロントのストリートの仲間。不良仲間たちとの格差を感じていた頃の記憶。

Watched them spread ten thousand dollars on the glass
奴らがガラスのショーケースの上に1万ドルを広げるのを見ていた

I never, ever thought I'd see that in my life
あんな光景、自分の人生で見られるなんて思いもしなかった

Now I'm in the East 'cause them boys are gettin' right, man
今じゃ俺はイーストサイドにいる、あいつらが羽振りを良くしてるからな

I was on TV, makin' fifty racks a year
俺はテレビに出て、年に5万ドル稼いでいた

After helpin' Mama out, the shit would disappear
でも母さんの生活を援助したら、そんな金はすぐに消えてなくなった
※カナダの国民的ドラマ『Degrassi』にレギュラー出演していたが、ギャラは決して高くなく、病気の母親と自分を養うには不十分だったという切実な過去の告白。

I am not a man, I can't do this on my own
俺は一人前の男じゃない、自分一人じゃどうにもならない

So I started askin' them if they would put me on
だから俺は、あいつら(ストリートの仲間)に俺を仕事に噛ませてくれないかと頼み込んだんだ

And they did put me on, yeah, they did put me on
そして奴らは俺を噛ませてくれた、ああ、仕事を与えてくれたんだ

Now we in the basement, and we workin' on the phones
地下室にこもって、電話をかけまくる日々さ

Now we in the basement, and we workin' on the phones, man
俺たちは地下室で、ひたすら電話で仕事(違法な営業)をしていた

Line blowin' up, workin' on the phones
回線はパンク状態だ、電話で仕事をしてた

Now we in the basement, and we workin' on the phones
俺たちは地下室にこもって、ひたすら電話をかけていたんだ

But I just couldn't do it, had to leave that shit alone, man
でも俺にはどうしても無理だった、あの仕事から足を洗わなきゃならなかったんだ
※テレマーケティング詐欺(Star67で非通知にして電話をかける)に手を染めたものの、罪悪感から抜け出したという裏設定。この経験が後のラッパーとしてのハングリー精神に繋がっている。

[Interlude]

Hear what?
何だって?

Yo hear what, take time
おい聞けよ、落ち着けって

(Ha-ha-ha-ha)
(ハハハハ)

Ahh, no shit
ああ、マジかよ

Yo hear what?
おい聞いてるか?

Wha gwan, fry skull
どうした、頭がイカれてるぜ

Him fried, him fried and a sleep awhile ago inna di van, you know Drizzy
あいつはイカれてる、さっきからバンの中で眠りこけてるぜ、ドレージー、分かるだろ
※Drakeのクルー(OVOやReps Up)の仲間たちがジャマイカのパトワ訛りで会話している様子。ストリートの空気を演出している。

(Ha-ha-ha-ha)
(ハハハハ)

[Chorus]

Blowin' up
パンク状態だ

Line blowin' up, they need the whole thing
回線が鳴りやまない、奴らはすべてのブツを欲しがっている

Blowin' up
パンク状態だ

My niggas really need the whole thing, yeah, yeah
俺の仲間たちは、どうしてもすべてのブツを必要としているんだ

Blowin' up
パンク状態だ

Line blowin' up, they need the whole thing
回線が鳴りやまない、奴らはすべてのブツを欲しがっている
※「Blowin' up」は電話の回線が鳴りやまない(詐欺の成功)という意味から、現在はオファーが殺到している(ラッパーとして大ブレイクした)という意味へのダブルミーニング。

Blowin' up
パンク状態だ

My niggas really need the whole thing, yeah, yeah, yeah
俺の仲間たちは、どうしてもすべてのブツを必要としているんだ

Ayy

[Verse 2]

I do better with the rider in my system
酒が体に入ってる方が、俺は上手くやれるんだ

Ooh yeah, I'm on deck, when you call me, I'll listen
ああ、俺は準備できてるぜ、電話してくれたらちゃんと話を聞くよ

I listen unless I been mixin'
色々と混ぜて飲んでなければ、ちゃんと聞くさ

You know when I'm mixin', you know when I'm mixin'
俺が混ぜてる時は分かるだろ、分かるはずだ

I smoke when I drink, it's tradition
酒を飲む時はウィードも吸う、それは俺の伝統だ

Like Zoe mama, I go hippy
ゾーイの母親みたいに、ヒッピーになるんだ
※女優のLisa Bonet(娘のZoe Kravitzの母親)がヒッピー的なライフスタイルを送っていることへの言及。

Peace sign in the air like I'm Nixon, I'm mixin'
ニクソン大統領みたいに空中でピースサインを掲げる、俺はいろいろ混ぜてるんだ
※リチャード・ニクソン元大統領が辞任時に両手でVサイン(ピースサイン)を掲げた有名なポーズを、ハイになっている様子に例えている。

I am not Esco, but it was written, I knew when they didn't
俺はエスコ(Nas)じゃないが、こうなる運命(It Was Written)だった、奴らが信じなかった時も俺には分かっていた
※Nasの別名「Nas Escobar」と、彼の名盤『It Was Written』を掛けたヒップホップ・クラシックへのオマージュ。

I been had these visions of the life I'm livin' since I was Jimmy
ジミーだった頃から、俺が今送っているこの人生のビジョンは見えていたんだ
※「Jimmy」は『Degrassi』でDrakeが演じた車椅子の少年、ジミー・ブルックスのこと。俳優時代のどん底から、今のトップスターになる運命を確信していたという究極のセルフ・ボースト。

All I had to do was just go and get it
あとはただ、自らの手でそれを掴みに行くだけだったのさ

[Chorus]

And now we blowin' up
そして今、俺たちは大ブレイク(パンク状態)している

Blowin' up, they need the whole thing
パンク状態だ、奴らはすべてのブツを欲しがっている

Blowin' up, yeah
パンク状態だ

My niggas really need the whole thing, yeah, yeah, yeah
俺の仲間たちは、どうしてもすべてのブツを必要としているんだ

Ayy