Artist: Drake
Album: Take Care
Song Title: Marvins Room
概要
「Marvins Room」は、2011年に発表されたDrakeの2ndアルバム『Take Care』に収録され、彼を特徴づける「Sad Boy」というペルソナを世界に完全に定着させた歴史的マスターピースである。タイトルの「マーヴィンズ・ルーム」とは、伝説のソウルシンガー、故Marvin Gayeがハリウッドに所有していたスタジオの名称であり、実際にDrakeがこの曲をレコーディングした場所でもある。プロデューサーの40(Noah "40" Shebib)が作り出した、まるで水の中に沈んでいるかのような篭ったベースと重苦しいR&Bサウンドが、泥酔状態のアンビエントな感覚を見事に表現している。新しい恋人がいる元カノに酔って電話をかけ、未練がましく相手の男を罵倒しながらも、最後には巨大な名声に押し潰されそうな孤独を打ち明け弱音を吐く。この「Toxic(有害な男らしさ)」と「Vulnerability(脆さ)」が混在した生々しいストーリーテリングは、当時のヒップホップにおけるマッチョイズムの常識を破壊し、後のシーンに多大な影響を与えた。
和訳
[Intro: Ericka Lee]
Hello?
もしもし?
※曲の冒頭を飾る女性の声は、Drakeと過去に関係があったとされるEricka Leeの実際の通話音声。彼女がクラブ帰り、または酒に酔って意識が朦朧としている様子が生々しく記録されている。なお、後に彼女はこの音声の使用を巡ってDrakeを提訴している。
Yeah, I just walked in
ええ、今帰ってきたところ
Yeah, I'm good, you still working?
うん、私は大丈夫。まだ仕事中?
Tonight, right now?
今夜?今すぐってこと?
Did I go out? Yeah, I went out, I went
出かけたかって?ええ、出かけたわよ、行ったのは…
I went to a couple of clubs
クラブをいくつかハシゴしたわ
I never went to bed, shit
まだ全然寝てないの、クソ
Wine or water?
ワイン?それとも水?
Did you say something about a cold drink? I don't know
冷たい飲み物がどうとか言った?よく分からないわ
I'm delirious
私、ちょっと意識が朦朧としてるの
[Verse 1: Drake]
Cups of the rosé
ロゼのグラスを何杯も空けて
Bitches in my old phone
古い携帯には昔の女たちの連絡先が入ってる
I should call one and go home
誰かに電話して、一緒に帰るべきなんだろうな
I've been in this club too long
俺はこのクラブに長居しすぎた
The woman that I would try
俺が本気でモノにしたい女は
Is happy with a good guy
今じゃ「いい男」と一緒にいて幸せそうにしてる
But I've been drinkin' so much
でも、酒を飲みすぎちまったから
That I'ma call her anyway and say
結局彼女に電話をかけて、こう言うのさ
[Chorus: Drake]
Fuck that nigga that you love so bad
君がそんなに深く愛してる男なんて、クソ食らえだ
I know you still think about the times we had
君だって、俺たちがいっしょに過ごした時間を今でも思い出してるんだろ
I say fuck that nigga that you think you found
君が「やっと見つけた」と思ってるその男なんて、クソ食らえだって言ってんだ
And since you pick up, I know he's not around, oh, oh
それに、君がこうして俺の電話に出たってことは、あいつは今そばにいないんだろ?
※新しい恋人がいる元カノに泥酔して電話をかけ、相手の男を貶すという極めてToxic(有害)な独占欲。彼がいない隙を突いて電話に出た彼女の深層心理を見透かし、優位に立とうとするMob Boss的・Sad Boy的ペルソナの交錯。
[Post-Chorus: Drake & Ericka Lee]
Are you drunk right now?
あなた、今酔ってるの?
I'm just sayin' you could do better
俺はただ、君にはもっとふさわしい(マシな)男がいるって言ってるだけさ
Tell me, have you heard that lately?
なあ、最近そんな言葉を誰かにかけられたか?
I'm just sayin' you could do better
君ならもっとマシな男と付き合えるって、そう言ってるだけだ
And I'll start hatin' only if you make me
君が俺をそうさせる(嫉妬させる)なら、俺はあいつを憎み始めるぜ
[Verse 2: Drake]
Uh, cups of the XO
あぁ、XO(コニャック/ヘネシー)のグラスを空けて
All my people been here
俺の仲間たちはみんなここにいる
I see all of her friends here
彼女(元カノ)の友達もみんな来てるな
Guess she don't have the time to kick it no more
たぶん彼女には、もう昔みたいに遊ぶ時間はないんだろう
Flight's in the morning
フライトは明日の朝だ
What you doin' that's so important?
君は一体、何をそんなに重要なことをしてるってんだ?
I've been drinkin' so much
酒を飲みすぎちまったから
That I'ma call you anyway and say
結局君に電話をかけて、こう言うのさ
[Chorus: Drake]
Fuck that nigga that you love so bad
君がそんなに深く愛してる男なんて、クソ食らえだ
I know you still think about the times we had
君だって、俺たちがいっしょに過ごした時間を今でも思い出してるんだろ
I say fuck that nigga that you think you found
君が「やっと見つけた」と思ってるその男なんて、クソ食らえだって言ってんだ
And since you pick up, I know he's not around
それに、君がこうして俺の電話に出たってことは、あいつは今そばにいないんだろ?
[Post-Chorus: Drake & Ericka Lee]
Are you drunk right now?
あなた、今酔ってるの?
I'm just sayin' you could do better
俺はただ、君にはもっとふさわしい(マシな)男がいるって言ってるだけさ
Tell me, have you heard that lately?
なあ、最近そんな言葉を誰かにかけられたか?
I'm just sayin' you could do better
君ならもっとマシな男と付き合えるって、そう言ってるだけだ
And I'll start hatin' only if you make me
君が俺をそうさせる(嫉妬させる)なら、俺はあいつを憎み始めるぜ
[Verse 3: Drake]
I think I'm addicted to naked pictures
俺は(女の)裸の写真に依存しちまってるみたいだ
And sittin' talkin' 'bout bitches that we almost had
そして座り込んで、俺たちが「もう少しでヤレそうだった女」の話ばかりしてる
I don't think I'm conscious of makin' monsters
モンスターを作り出してる自覚なんて、俺にはないんだよ
Outta the women I sponsor 'til it all goes bad
関係がこじれるまで、俺が貢いできた(スポンサーになった)女たちを強欲なモンスターに変えてる自覚はな
※自分の財力で女性を甘やかし、結果的に彼女たちを傲慢なモンスターに変えてしまうという成功者特有の歪んだ人間関係への反省。
But, shit, it's all good
でも、クソ、まぁいいさ
We threw a party, yeah, we threw a party
俺たちはパーティーを開いた、あぁ、パーティーを開いたんだ
Bitches came over, yeah, we threw a party
ビッチどもがやってきて、俺たちはパーティーを開いた
I was just callin' 'cause they were just leavin'
あいつらが帰っていくところだったから、ただ君に電話したんだ
Talk to me, please, don't have much to believe in
俺と話してくれ、頼む。もう信じられるものが残ってないんだ
I need you right now, are you down to listen to me?
今すぐ君が必要なんだ、俺の話を聞いてくれる気はあるか?
Too many drinks have been given to me
何杯も酒を飲まされすぎた
I got some women that's livin' off me
俺の金に寄生して生きてる女たちが何人かいる
Paid for their flights and hotels, I'm ashamed
そいつらの飛行機代やホテル代まで払ってやって、情けないよ
Bet that you know them, I won't say no names
君も知ってる女たちだろうな、名前は出さないけどさ
After a while, girl, they all seem the same
しばらくすると、なぁ、あの女たちがみんな同じに見えてくるんだ
I've had sex four times this week, I'll explain
今週だけで4回もセックスした。言い訳させてくれ
Havin' a hard time adjustin' to fame
名声(大スターとしての生活)に適応するのに苦労してるんだよ
Sprite in there mixed up
そこにスプライトを混ぜてさ
※スプライトにコデイン入りの咳止めシロップを混ぜたドラッグ「リーン(パープル・ドランク)」の暗示。彼の孤独と精神的な逃避を象徴している。
I've been talkin' crazy, girl, I'm lucky that you picked up
俺は頭のおかしいことばかり喋ってるな。なぁ、君が電話に出てくれて運が良かった
Lucky that you stayed on
電話を切らずにいてくれて、本当にラッキーだ
I need someone to put this weight on
このプレッシャー(重荷)を押し付けられる誰かが必要だったんだ
Fuck, I'm sorry
クソ、ごめんな
※傲慢に元カノの彼氏を罵倒していた前半から一転、成功による虚無感や孤独を打ち明け、最後には弱々しく謝罪する。強がりと脆さのギャップこそが「Sad Boy」の核であり、ファンの間でもDrakeの最高傑作のVerseの一つとして語り継がれている。
[Post-Chorus: Drake & Ericka Lee]
Are you drunk right now?
あなた、今酔ってるの?
I'm just sayin' you could do better
俺はただ、君にはもっとふさわしい(マシな)男がいるって言ってるだけさ
Tell me, have you heard that lately?
なあ、最近そんな言葉を誰かにかけられたか?
I'm just sayin' you could do better
君ならもっとマシな男と付き合えるって、そう言ってるだけだ
And I'll start hatin' only if you make me
君が俺をそうさせる(嫉妬させる)なら、俺はあいつを憎み始めるぜ
[Interlude: Drake]
You not gon' come?
こっちに来ないのか?
I guess I'm 'bout to just kick it here then
じゃあ、俺はここで一人で潰れてるよ
[Outro: Drake]
Just throw up while I hold your hair back
君の髪を押さえててやるから、そのまま吐き出せよ
※クラブでの光景に戻る。泥酔した女の介抱をしている生々しい描写。
Her white friend said, "You niggas crazy," I hope no one heard that
彼女の白人の友達が「あなたたち黒人(ニガ)って狂ってる」って言ったんだ。誰にも聞かれてなきゃいいけどな
※白人女性がクラブのノリで不用意に「Nワード」を発してしまったことによる、危険なトラブルの予感。ファンの考察によれば、華やかなパーティーの裏に常に潜むストリートの緊張感や、人種的な摩擦のリアルを描写しているとされる。
Yeah, I hope no one heard that
あぁ、誰も聞いてないといいんだが
'Cause if they did, we gon' be in some trouble, yeah
もし誰かに聞かれてたら、俺たちは厄介なことに巻き込まれるからな
If they did, we gon' be in some trouble, trouble, oh
もし聞かれてたら、厄介なことになる、トラブルだ、あぁ
