Artist: Travis Scott
Album: Days Before Rodeo
Song Title: Basement Freestyle
概要
トラヴィス・スコットのミックステープ『Days Before Rodeo』に収録された本作は、文字通り彼が実家の「地下室(Basement)」でビートを作っていた無名時代からの脱却と、スターダムへの到達を高らかに宣言するバンガーである。プロデュースは盟友Metro BoominとLex Lugerが手がけており、重厚でサイケデリックなベースラインが特徴的だ。かつては窓にスモークすら貼られていない母親のジープを借りていた彼が、今やカニエ・ウェストと白昼堂々連れ立ち、高級デパートで泥を落とすまでのステータスを手に入れた。楽曲全体を通してフリースタイル的な荒々しいエネルギーに満ちており、彼がシーンの底辺から這い上がり、その影響力で「天気すら変えてしまう」ほどの絶対的な存在(La Flame)へと覚醒した姿が生々しく記録されている。
和訳
[Intro]
Yo, uh
ヨォ、アー
Got my nigga Easy in this motherfucker
俺のダチのイージーがこのクソヤバい場所にいるぜ
※「Easy」はトラヴィスの親友であり、シカゴの人気セレクトショップ「RSVP Gallery」のバイヤーなどを務めるストリートファッションの重鎮、Easy Otabor(イージー・オタボール)のこと。
Deadstock sixes and shit
デッドストックのシックス(ジョーダン6)とか、そんな最高なモンを履いてな
※「sixes」は名作スニーカー「Nike Air Jordan 6」。発売当時のまま保管された新品(デッドストック)を履くというスニーカーヘッズとしてのフレックス。のちにトラヴィス自身がJordan 6のコラボモデルをリリースすることになる運命的なライン。
Got my nigga Metro in this motherfucker, yeah, ooh
俺のダチのメトロもこのクソヤバい場所にいるぜ、イェー、ウー
※この楽曲のプロデューサーであるMetro Boominへのシャウトアウト。
[Verse 1]
Uh, by the bar (Bar), buy the bar
アー、バーのそばで(バーで)、バーの酒を全部買い占める
Bitches on my table everywhere (Where), on the floor
俺のテーブルのそこら中にビッチ共がいる(どこにだ)、フロアにもな
Condoms on my dresser (Straight up), on my business (Business)
ドレッサーの上にはコンドームだ(間違いないぜ)、俺のビジネスに集中するんだ(ビジネスにな)
Never plannin', never sober thinking (La Flame)
計画なんて立てない、シラフで考えることなんて絶対にない(ラ・フレイム)
Blew me up (Up), body shots took on your bitches titties (La Flame)
俺の人気が爆発(ブロウ・アップ)した、お前のビッチのオッパイの上でボディショットをキメてやる(ラ・フレイム)
※「body shot」は女性の胸や腹に塩を振り、そこから直接テキーラなどを舐めとる飲み方。一躍スターになったことで、他人の女でさえも自分の欲望のままに扱えるというアピール。
Slow it down, pick it up, fuck a third speed
ペースを落として、また上げる、3速ギアなんてクソくらえだ
The fourth gear grindin' up on everything, it's my year (Straight up)
4速ギアで全てを粉砕しながら進む、今年は俺の年だ(間違いないぜ)
※ギアをトップ(当時の一般的な車の感覚としての4速)に入れて限界までぶっ飛ばす、つまり全速力でシーンの頂点を奪い取るという野心。
I got it now, everything I ever asked for
俺は今、それを手に入れた、今まで望んでいたもの全てをな
We gettin' it, far from mama Jeep, she never tinted it
俺たちは手に入れたんだ、お袋のジープからは遠く離れた場所にな、あの車はスモーク(ティント)すら貼ってなかった
※前作『Owl Pharaoh』の楽曲「Drive」でも「お袋が貸してくれたジープを乗り回してた」と歌われていた通り、プライバシーを守るスモークガラスすらない平凡な親の車を借りていた無名時代からの決別。
She frozed up, I unfrozed her
あの子は緊張で固まっちまった(フリーズした)、だから俺が溶かしてやったよ
※あるいは、女性に大量のダイヤモンド(ice = 凍るような輝き)を与えて着飾らせた(froze up)というダブルミーニング。
Now come a little closer (Straight up)
さあ、もう少しこっちへ来いよ(間違いないぜ)
Get your ass up off that wall and go and roll up that doja (That dough)
その壁からケツを離して、あのドージャ(大麻)を巻いてこい(あのドウを)
※「doja」は極上の大麻(ウィード)。壁の花になっている女性を誘っている。
Tell your boyfriend bust that ki', go 'head and fill your nose up (La Flame)
お前の彼氏に「あの1キロのコカイン(キー)を割れ」って伝えな、遠慮せずに鼻の穴をいっぱいにしろよ(ラ・フレイム)
※「ki' (key/kilo)」は1キロ単位のコカインブロック。相手の彼氏を自分たちのために働く売人扱いする強烈なディス。
'Til it's over
全てが終わるまでな
We ain't lookin' for the hoes, where the trophies?
俺たちはその辺のビッチを探してるわけじゃねえ、トロフィー(極上の女/成功の証)はどこだ?
Grab a glass, go ahead, get throwed up (Yeah, yeah, straight up)
グラスを掴んで、さあ、限界まで酔い潰れな(イェー、イェー、間違いないぜ)
※「get throwed」はヒューストンのスラングで、ドラッグや酒で極度に酩酊すること。
She feelin' it (Yeah, yeah, yeah)
あの子も感じてるぜ(イェー、イェー、イェー)
Don't spill the shit (Yeah, yeah)
その酒(シット)をこぼすなよ(イェー、イェー)
Ah, she crazy, she goin', she goin', gone
あぁ、あの子はイカれてる、イッちまう、イッてる、もう完全に飛んじまったな
[Chorus]
Ayy, all this money on the table, ooh
エイ、このテーブルの上の大金を見てみろよ、ウー
We don't want relations
俺たちは真剣な交際(リレーション)なんて望んじゃいねえ
We don't want no conversations
会話だって必要ねえんだ
Fuck around and change the weather (Straight up)
遊び回りながら、天気すら変えてやるよ(間違いないぜ)
※ストリップクラブで大量の札束をばら撒く行為(Make it rain = 雨を降らせる)から転じて、自分たちの圧倒的な財力と影響力で、その場の空気(気候)やシーンのトレンドすらも一変させてしまうという強大なフレックス。
Damn, I'm with my main bitch
クソッ、俺は本命のビッチと一緒にいる
Ayy, and I don't love her no more (No, no, no, no, no, no, no)
エイ、でも俺はもうあの子を愛しちゃいないんだ(ノー、ノー、ノー…)
Drinkin', fuck the limitations
酒を飲む、限界(リミット)なんてクソくらえだ
I done made it out the basement
俺は地下室(ベースメント)からついに這い上がったんだ
※実家の地下室や、薄暗いスタジオに引きこもってビートを作り続けていた下積み時代から、遂にスターダムへと脱出したという楽曲のメインテーマ。
Fuck around and change the weather (Straight up)
遊び回りながら、天気すら変えてやるよ(間違いないぜ)
Ayy
エイ
[Verse 2]
I'm off a bean, I'm off a bean
俺はビーン(エクスタシー)をキメてる、ビーンをキメてるんだ
※「bean」はMDMAなどの錠剤ドラッグのスラング。
See this lean, it's in my dreams (That dope)
このリーン(シロップ)を見ろよ、俺の夢の中にまで出てくるぜ(あのドープ)
Off this dope, don't wanna smoke (Oh no)
このドープをキメてると、もう煙(ウィード)は吸いたくねえな(オーノー)
Off this roll, I might just roll (Straight up, straight up)
この錠剤で飛んでる(ロールしてる)と、俺はどこまでも転がっていき(ロールし)そうだぜ(間違いないぜ、間違いないぜ)
※ドラッグのMDMAをキメてトランス状態になることを「rolling」と呼ぶ。
Let's get throwed
さあ、限界まで酔い潰れようぜ
Out in Houston, they know my name (Oh)
ヒューストンじゃ、誰もが俺の名前を知ってるぜ(オー)
In MO city, they know the gang (Oh)
MOシティじゃ、俺のギャング(仲間)のことも知れ渡ってる(オー)
※「MO city」はトラヴィスの地元であるテキサス州ヒューストン郊外のミズーリ・シティ(Missouri City)のこと。
Young La Flame, ain't nothin' changed
若きラ・フレイム、何も変わっちゃいねえ
But the chains and diamond rings
変わったのは、身につけてるチェーンとダイヤの指輪くらいさ
Diamond rings, I lost my brains
ダイヤの指輪のせいで、俺は頭がおかしくなっちまった
Me and Ye Ye out in broad day
俺とイェ・イェ(カニエ・ウェスト)、白昼堂々と出歩いてるぜ
※「Ye Ye」はトラヴィスをG.O.O.D. Musicに引き入れ、最大のメンターとなったカニエ・ウェストのこと。かつて地下室にいた少年が、今やヒップホップ界の最高神と真っ昼間(broad day)から肩を並べて歩いているという究極の成功体験。
I'm on the third coast
俺はサード・コースト(第三の海岸)にいる
※「Third Coast」は東海岸、西海岸に次ぐ「メキシコ湾岸(テキサスなど南部地域)」の誇り高き呼称。
Eatin' Burlow with Merlot (Straight up)
メルロー(赤ワイン)を飲みながら、極上の肉(バーロー)を食ってるぜ(間違いないぜ)
※「Burlow」は最高級のステーキなどの料理、あるいはBarolo(バローロ・ワイン)を指すスラング的表現。高価な赤ワイン(Merlot)と共に贅沢な食事を楽しんでいるフレックス。
I got my shirt off
俺はシャツを脱ぎ捨ててる
Kickin' dirt off out in Bergdorf (La Flame)
バーグドルフで、靴の泥を蹴り落としてるんだ(ラ・フレイム)
※「Bergdorf」はニューヨーク・マンハッタンにある超高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」。ストリートの泥(ゲットーのルーツ)をつけたまま高級デパートに足を踏み入れ、そこで汚れを落とすという、成り上がりのコントラストを描いた秀逸なライン。
She like, "What you doin'?" (Doin')
あの子は「何やってるの?」って聞いてくる(何やってるって)
It took a path just to get me here, don't give a damn if that's ruined (Ruined)
ここまで辿り着くのに長い道のり(泥道)を歩いてきたんだ、それが台無しになったって知ったこっちゃねえよ(台無しにな)
Later on, got a ring, ring, ring
その後、電話がリン、リン、リンって鳴る
She at my doorbell, "Ding-ding-ding-ding"
あの子が俺の家のドアベルを「ディン・ディン・ディン・ディン」って鳴らしてる
Let the bitch in, the bitch seen
そのビッチを中に入れる、そしてあの子は目撃するんだ
Bang out, bang out
激しくヤリまくる、ヤリまくる
On the couch, on the floor, in her mouth
ソファの上で、床の上で、あの子の口の中で
Cameras out (Cameras out)
カメラを回してな(カメラを回す)
Once my dick's in, no pullin' out (No pullin' out)
一度俺のイチモツを入れたら、絶対に抜かないぜ(絶対に抜かない)
That's my baby (Straight up)
それがあの子さ(間違いないぜ)
Bitch been doing coke since the '80s (That dope)
あのビッチは80年代からコカインをキメてるんだ(あのドープ)
※80年代の「クラック・エピデミック(コカインの蔓延)」時代からドラッグを嗜んでいる、非常に年上の女性(クーガー)との関係を示唆している。
Ooh, I'm a '90s baby (La Flame)
ウー、俺は90年代生まれ(1992年生まれ)の赤ん坊だぜ(ラ・フレイム)
※自分が生まれる前からドラッグをやっている年上の女性すらも屈服させているという、世代を超えたプレイヤーとしてのフレックス。
Young La Flame, you know he crazy (Straight up, straight up)
若きラ・フレイム、あいつがイカれてるのは分かってるだろ(間違いないぜ、間違いないぜ)
[Chorus]
Ayy, all this money on the table, ooh
エイ、このテーブルの上の大金を見てみろよ、ウー
We don't want relations
俺たちは真剣な交際なんて望んじゃいねえ
We don't want no conversations
会話だって必要ねえんだ
Fuck around and change the weather
遊び回りながら、天気すら変えてやるよ
Damn, I'm with my main bitch
クソッ、俺は本命のビッチと一緒にいる
Ayy, and I don't love her no more
エイ、でも俺はもうあの子を愛しちゃいないんだ
Drinkin', fuck the limitations
酒を飲む、限界なんてクソくらえだ
I done made it out the basement
俺は地下室からついに這い上がったんだ
Fuck around and change the weather
遊び回りながら、天気すら変えてやるよ
Ayy
エイ
