Artist: Travis Scott (feat. T.I.)
Album: Days Before Rodeo
Song Title: Quintana Pt. 2
概要
トラヴィス・スコットのミックステープ『Days Before Rodeo』に収録された本作は、前作『Owl Pharaoh』の代表曲「Quintana」の続編であり、「Finessin'(巧みに立ち回る、騙し取る)」をキーワードに、ストリートでの冷酷なハッスルと音楽業界でのし上がる野心を描き出している。特筆すべきは、中盤でビートが突如としてメランコリックでトラディショナルなサウス・ヒップホップ調にスイッチし、師匠であるT.I.が登場するドラマチックな構成だ。T.I.はトラヴィスの年齢(あるいは自身の若き日)に重ねて、10代からドラッグディーラーとして成り上がろうとする若者のリアルなサバイバルを叙事詩のように語る。そして再びビートが戻り、アウトロではオートチューン全開で「女性(あるいはドラッグ、名声そのもの)に利用される虚無感」を歌い上げる、初期トラヴィスのプロデューサーとしての構成力が光る一曲である。
和訳
[Intro: Travis Scott]
I'm finessin', finessin' (Straight up)
俺は上手く立ち回ってる、巧みにやり遂げるぜ(間違いないぜ)
※「Finesse」は本来「手際よさ」や「技巧」を意味するが、ヒップホップ・スラングでは「人を上手く騙して金品を巻き上げる」「巧みに交渉して自分に有利な状況を作る」「スマートに目的を達成する」といった幅広い意味を持つ。ここではストリートや業界のルールの裏をかいて、急速に富を築き上げているトラヴィスのスタンスを表している。
I came up a hundred bands a week, straight up finessin'
1週間に10万ドル(ハンドレッド・バンズ)を稼ぎ出した、マジで上手くやったのさ
La Flame
ラ・フレイム
[Verse 1: Travis Scott]
Walked in this bitch, I just got through finessin' designer (Straight up)
この場所に足を踏み入れる、俺はデザイナーズブランドを上手くせしめてきたばかりだ(間違いないぜ)
※高級ブランド店でVIP待遇を受けて無料で服をもらったり、あるいは交渉して有利な契約をもぎ取ったりする「Finesse」のフレックス。
Oh my God, it's no rental, gold plated, no need to remind you
オー・マイ・ゴッド、こいつはレンタルじゃねえ、金メッキ仕様だ、わざわざお前に教える必要もねえだろ
※乗っている高級車や身につけているジュエリーが、他のフェイクなラッパーのように見栄を張って借りたものではなく、完全に自分の所有物であるというアピール。
Robbed my plug, that nigga wasn't getting me high (That dope)
俺のプラグ(密売人)から奪い取ってやった、あの野郎のブツじゃハイになれなかったからな(あのドープで)
※「plug」はドラッグの供給源。質の悪いドラッグ(あるいは自分を満足させない業界のシステム)を押し付けてくる相手から、強引に奪い取る(rob)という極端なまでの「Finesse」。
Oh no-no, oh no-no-no-no-no-no-no
オーノーノー、オーノーノーノーノーノーノーノー
Stack on black as True Religion (Straight up)
黒の上に黒を重ねる、トゥルー・レリジョンみたいにな(間違いないぜ)
※「True Religion」は当時大流行していた高級デニムブランド。黒のデニムで全身を固めるストリートのスタイルと、黒人(black)として金を積み上げる(stack)ことを掛けている。
This that shit that keep you geekin' (That dope)
こいつがお前らを興奮(ギーキン)させ続ける代物さ(あのドープ)
※「geekin'」はドラッグで極度にハイになること。トラヴィスの音楽自体が、聴く者をトランス状態にさせる最強のドラッグ(dope)であるという自負。
I done fucked me 'round five bad bitches this morning (La Flame)
今朝だけで、俺は5人の極上のビッチとヤりまくったぜ(ラ・フレイム)
And I ain't goin' back unless they horny (Oh no)
あいつらが発情(ホーニー)してなきゃ、俺は戻る気はねえよ(オーノー)
Oh no-no, oh no-no-no-no-no-no-no
オーノーノー、オーノーノーノーノーノーノーノー
[Chorus: Travis Scott]
Finessin', finessin' (Straight up)
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ(間違いないぜ)
I can't go one day without finessin' (La Flame)
1日たりとも、上手く立ち回らずにはいられねえ(ラ・フレイム)
Finessin', finessin' (That dope)
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ(あのドープ)
I came up a hundred bands a week straight up finessin' (Straight up, straight up)
1週間に10万ドルを稼ぎ出した、マジで上手くやったのさ(間違いないぜ、間違いないぜ)
I came up a hundred bands a week straight up finessin'
1週間に10万ドルを稼ぎ出した、マジで上手くやったのさ
Been on that weed, with my team
俺のチームと一緒に、あのウィードをキメてる
Rolling with my team, yeah, they all finessin'
俺のチームとつるんでる、あぁ、あいつらもみんな上手く(フィネス)やってるぜ
[Beat Switch] [Verse 2: T.I.]
Man, here it go, fishscale, A1 perico
なぁ、これがそうさ、フィッシュスケール、A1クラスのペリコだ
※ここからビートがスイッチし、T.I.が登場する。「fishscale」は魚の鱗のように光沢のある純度の高いコカイン。「perico(ペリコ)」はスペイン語でコカインを意味するストリート・スラング。前作『Quintana』のメキシコのテーマを引き継いでいる。
Fill PJ's up with kilos, then sell it like it's legal, yeah
プライベートジェット(PJ)を何キロものコカインで満たし、まるで合法かのように売り捌くんだ、イェー
Everybody he know, could have gotten hit with the RICO
あいつが知ってる奴らはみんな、RICO法でパクられてもおかしくなかった
※「RICO法(特定脅威活動組織犯罪対策法)」は、マフィアやギャングなどの犯罪組織を根こそぎ摘発するための強力な法律。ストリートのハッスルのスケールのデカさと、常に隣り合わせの危険を示している。
Caught a couple of charges, they were weak though
いくつか容疑をかけられたが、どれも証拠不十分(ウィーク)だったのさ
Feds had to let him go in a week or so
連邦捜査局(フェッズ)も、1週間そこらであいつを釈放するしかなかった
Still, still need the key to blow
それでも、それでも爆発的に売れる(成功する)ための「キー」が必要なんだ
※「key」は「成功の鍵」と、1キロのコカイン(kilo/key)のダブルミーニング。「blow」も「大成功する」と「コカイン(blow)」を掛けている。
Whole heap of dough, ran the streets for so long
大量の金(ドウ)、長い間このストリートを仕切ってきた
Man, the team was so on
なぁ、俺のチームはマジで絶好調だったんだ
Damn, it seem like so long ago, we had 'em in Mexico
クソ、ずいぶん昔のことのように思えるぜ、メキシコで奴ら(取引相手やブツ)を抱えてた頃が
He tryna make it back, three bricks more
あいつは取り返そうとしてる、あと3つのブリック(キロ単位のコカイン)をな
The people always run up on us in Texas, though
いつもテキサスで警察(ザ・ピープル)が俺たちに踏み込んでくるけどな
Only by the grace of God they ain't catch us, though
俺たちが捕まらなかったのは、ただ神の恩寵のおかげさ
Some lil' young nigga with some big dreams
デカい夢を持った、ある若い黒人のガキ
Almost on the verge of doing some big things
もう少しで、何かデカいことを成し遂げる寸前だった
Tryna get a bird since he was sixteen
16歳の頃から「バード」を手に入れようと必死だったんだ
※「bird」は1キロのコカイン(キロ・バード)の隠語。
And now he playin' 'round with fifteen or more, ayy
それが今じゃ、15キロ以上のブツを転がして遊んでるぜ、エイ
※T.I.が語るストリートの若者(トラヴィス、あるいはT.I.自身の過去の投影)のサクセスストーリー。
You know a nigga love nice things (Nice things)
野郎が良いもの(ナイス・シングス)を好むのは分かってるだろ(良いものをな)
And the price in the hood is too frightening
それに、フッド(地元)の代償(プライス)はあまりにも恐ろしい
※貧困層の地元で生き残るため、あるいはそこから抜け出すための代償(刑務所行きや死)のリスク。
Them niggas ain't gon' do the right thing, it's time for me to do my thing (Hey)
あいつらは正しいことなんてしやしねえ、俺が俺のやり方(ハッスル)を見せる時が来たんだ(ヘイ)
[Beat Re-Switch] [Chorus: Travis Scott]
Finessin', finessin' (Straight up)
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ(間違いないぜ)
I can't go one day without finessin' (La Flame)
1日たりとも、上手く立ち回らずにはいられねえ(ラ・フレイム)
Finessin', finessin' (That dope)
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ(あのドープ)
I came up a hundred bands a week straight up finessin' (Straight up, straight up)
1週間に10万ドルを稼ぎ出した、マジで上手くやったのさ(間違いないぜ、間違いないぜ)
Finessin', finessin' (Straight up)
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ(間違いないぜ)
I can't go one day without finessin' (La Flame)
1日たりとも、上手く立ち回らずにはいられねえ(ラ・フレイム)
Finessin', finessin'
上手く立ち回る、巧みにやり遂げるぜ
I came up a hundred bands a week straight up finessin' (Straight up, straight up)
1週間に10万ドルを稼ぎ出した、マジで上手くやったのさ(間違いないぜ、間違いないぜ)
[Outro: Travis Scott]
How high?
どれくらいハイになればいい?
Tell me why she wanna leave me?
教えてくれ、なんであの子は俺の元を去りたがるんだ?
She used me to get high
あの子はハイになるために俺を利用しただけだった
※「Finesse(人を上手く利用する)」していたはずのトラヴィス自身が、実は女性(あるいはファンや業界)に「ハイになるための道具」として利用され、捨てられていたという強烈な反転。ストリートの強者の論理から一転、オートチューンを効かせた孤独な歌声が虚無感を際立たせる。
Oh, she used me to get higher, higher, higher
あぁ、あの子はもっと、もっと高く飛ぶために俺を利用したんだ
So tell me why she wanna leave me?
だから教えてくれ、なんであの子は俺を置いていくんだ?
Ooh, ooh, ooh-ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー・ウー、ウー、ウー
As the days go on, in the southern region of our national anthem
日々が過ぎていく、我らの国歌の南部地域において
※テキサスという南部(サウス)のアイデンティティと、アメリカの現実への言及。
The quest for La Flame, this journey, it's the last days
ラ・フレイムの探求、この旅路、これは最後の数日間だ
※ミックステープのコンセプトである「Days Before Rodeo(ロデオの前の数日間)」を再び提示し、アルバムが佳境に入っていくことを告げるナレーション。
