Artist: XXXTENTACION
Album: Revenge
Song Title: YuNg BrAtZ
概要
本作は2016年に公開され、後にミックステープ『Revenge』に収録された、XXXTENTACIONの最も凶暴で混沌としたトラップ・メタル/パンク・ラップの象徴的アンセムである。意図的に極限まで歪ませたディストーション・ベースと鼓膜を破るようなシャウトは、当時のSoundCloudシーンにおける既存のメインストリーム・ヒップホップへの強烈なアンチテーゼとして機能した。ジャケット写真にX自身が実際にストリートで乱闘している際の生々しい写真が使われていることからも分かるように、本作には彼の暴力性、無軌道なエネルギー、そして不条理なユーモアがパッケージされている。ポップカルチャーからの引用(Lil Wayne、Bratzなど)と過激な暴力描写の融合は、モッシュピットを熱狂させる暴動のBGMとして世界中のキッズからカルト的な支持を集めた。
和訳
[Intro]
Ayy, ayy, ayy, ayy, ayy (Ayy, ayy, huh)
エイ、エイ、エイ、エイ、エイ(エイ、エイ、ハァ)
Bros on your block with that Glock, right now, ayy (Ooh, hey, ayy, too much, ooh)
ダチがお前のシマでグロック構えて待ってるぜ、今すぐにな(オー、ヘイ、エイ、やりすぎだ、オー)
Try me like an opp (Ayy), and indeed, get shot down, okay (Hey, ooh)
敵対組織(オップ)みたいに俺に刃向かってみろ、確実に撃ち殺されるからよ、分かったか(ヘイ、オー)
Okay (Ayy)
オーケイ(エイ)
Ayy, she wanna, she wanna li-li-lick my dick like— like a what? (Nice) (Hey, hey, hey, ooh, hey, ooh, hey, huh, yeah)
あのビッチは俺のモノをしゃぶりたがってる、まるで…何みたいにだ?(いいね)(ヘイ、ヘイ、ヘイ、オー、ヘイ、オー、ヘイ、ハァ、イェー)
Yeah, lick my dick like Lil Wayne lollipop, huh (Huh, yeah, hoo)
ああ、Lil Wayneの「Lollipop」みたいに俺のモノを舐め回すんだよ(ハァ、イェー、フー)
※2008年のLil Wayneの大ヒット曲「Lollipop」へのオマージュ。性行為をキャンディを舐めることに喩えたクラシックなヒップホップのメタファーを引用し、自身の性的魅力と傲慢さをアピールしている。
Hi, my name's Ryan (Yeah, hey, hey, hey, hey, ooh, ayy)
やあ、俺の名前はライアンだ(イェー、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、オー、エイ)
※突然挿入される「ライアン」という名前は、当時のネット上のVine動画やミームからの引用、あるいはXの不条理なユーモアの一環とされる。極度に暴力的なトラックの冒頭に、あえて間抜けで無害な白人風の挨拶を差し込むことで、不気味なコントラストと狂気を演出している。
What they— what they? What they call me? Call me wolf in sheep's skin? (Yeah, ayy, ayy, yeah, ahoo)
奴らは…奴らは俺を何て呼ぶ? 「羊の皮を被った狼」とでも呼ぶか?(イェー、エイ、エイ、イェー、アウー)
※直前の「無害なライアン」というジョークへのアンサー。一見すると小柄で普通に見えるXが、いざとなれば凶暴な狼(ストリートの脅威)に豹変するという自身に満ちた危険性を表している。遠吠えのアドリブ(ahoo)で自身の野性を強調している。
[Verse 1]
Try me, might fight (Ayy), fist fuck, on sight
やってみろよ、喧嘩になるかもな、見つけ次第ぶちのめすぜ
※「on sight」はストリートスラングで「見つけ次第(問答無用で)攻撃する」という意味。「fist fuck」は通常性的な意味だが、ここでは拳による容赦ない暴力(顔面を殴りまくること)を狂気的なメタファーとして用いている。
Wrist heavy, fat dyke, pop Molly, Mike Ike
手首には重いジュエリー、太ったレズビアン、モリーを飲むぜ、まるでマイク・アンド・アイクみたいにな
※「Mike Ike」はアメリカで人気のあるカラフルなフルーツキャンディ「Mike and Ike」のこと。「Molly(MDMAなどの合成麻薬)」をキャンディ感覚で大量に摂取するという退廃的なドラッグカルチャーの描写である。
I got glacial white ice and my bitch rack nice
俺には氷河みたいに白いアイス(ダイヤ)があるし、俺のビッチの胸は最高だ
And I do fight dykes, ride my dick like a bike (Ayy, ayy, ayy)
俺はレズビアンとだって喧嘩するぜ、自転車みたいに俺のモノにまたがりな
※「do fight dykes(レズビアン相手でも殴り合う)」という過激なラインは、Xの「誰であろうと俺に刃向かう奴はジェンダー問わず容赦しない」という無軌道で平等な(しかし物議を醸す)暴力性を象徴している。Genius等でも、彼の予測不可能な狂気を表す最もアイコニックなパンチラインの一つとして語り草になっている。
[Interlude]
Huh?
はぁ?
Huh?
はぁ?
Huh?
はぁ?
[Verse 2]
I got black in my voots (Yah, ooh)
俺のブーツには黒が詰まってる
※「voots」は「boots」の頭文字をVに変えたMembers Only(Xのクルー)特有のスラング。黒いブーツ(しばしば暴力や反逆を連想させる)を履いている描写であり、続くラインへの布石となっている。
My name's Toby, like I'm Roots (Ayy, wow)
俺の名前はトビーだ、まるで『ルーツ』みたいにな
※米国の伝説的ドラマ・小説『Roots』の主人公クンタ・キンテが、白人の奴隷主に「お前の名前はトビーだ」と強制的に改名させられる有名なシーンからの引用。「ブーツ(voots)の中の黒(black)」と「ルーツ(Roots)」で韻を踏みつつ、アフリカ系アメリカ人の悲惨な歴史的背景を過激なブラックジョークとして自身のキャラクターに重ね合わせている。
Grab that bat, "Babe Ruth" (Hey, hey, hey)
バットを掴めよ、「ベーブ・ルース」のようにな
※メジャーリーグの伝説的強打者ベーブ・ルースの引用。野球のバットをストリートでの暴力の凶器として振り回すことを意味し、喧嘩における圧倒的な強さと破壊力を自負している。
Swing that bitch might lose a tooth (Whatever)
そのビッチをぶん殴って、歯を一本折ってやるよ(どうでもいいが)
She suck dick with no tooth (Hey, hey)
歯抜けの口で俺のモノをしゃぶりやがる
My nose runny like, "Achoo"
鼻水が出るぜ、「ハクション」ってな
※「鼻水が出る」は風邪ではなく、コカインの吸引(スニッフィング)による鼻の粘膜への刺激や後鼻漏(Drip)を示唆する典型的なドラッグ・スラング。
With that pussy I got coins (Hey, hey)
その女のマンコで小銭を稼いでるんだ
Might insert right in her groin
あいつの股間に直接ぶち込んでやる
It's like jelly, ayy (Wow, hey)
まるでゼリーみたいだぜ
Dick right in her belly, uh, yuh (Ow)
あいつの腹の奥深くまでモノを突っ込むんだ
Baby got back, yuh (Hey)
あの子はケツがデカいぜ
※Sir Mix-A-Lotの1992年の大ヒット曲「Baby Got Back(大きなオシリはお好き?)」からの直接的な引用。女性の豊満な臀部を称賛するクラシックなフレーズ。
Bitch, come look at my tats, uh, yuh (Damn)
ビッチ、俺のタトゥーを見に来いよ(クソッ)
You got taxed, yuh (Hey, hey)
お前は税金(ショバ代)を巻き上げられたんだよ
※「taxed」はストリートスラングで、強盗に遭うことや、縄張りを通るために金を脅し取られること(みかじめ料)を意味する。Xがストリートで優位に立ち、敵から略奪を行っていることを示している。
My head big like Bratz, uh, yuh (Hey, hey)
俺の頭はブラッツ人形みたいにデカいぜ
※本楽曲のタイトル「YuNg BrAtZ」の由来。Bratz(ブラッツ)は頭と目が異常に大きいことで知られるアメリカの人気ファッションドール。ここではX自身の肥大化したエゴ(big head = 傲慢さ)と、彼が当時していたボリューミーなドレッドヘアのシルエットを人形になぞらえたユーモアのある自己言及である。
Dump that bitch, yuh (Woo)
あのビッチなんか捨てちまえ
Who gonna hold my racks, uh, huh (Yah)
誰が俺の札束を持っとくんだよ?
※「racks(1000ドルの束)」を持て余すほどの大金を稼いでいるというフレックス(自慢)。女性を捨てたことで、手に入れた大金を管理する人間がいなくなったという皮肉混じりの誇示。
[Outro]
Yea-ea-eah, uh
イェー、アー
Say somethin
なんか言ってみろよ
Oof
ウッ
※オンラインゲーム(Robloxなど)のデスサウンドとしてミーム化した有名な「Oof」の音声に近い響き。相手を完全にノックアウトした、あるいは絶命させたことを示唆するコミカルかつ不穏な幕切れである。
