Artist: Radiohead
Album: The Bends (Collector’s Edition)
Song Title: Killer Cars
概要
1995年発表のシングル『High and Dry / Planet Telex』のB面曲。トム・ヨークが生涯にわたって抱え続ける「自動車への病的恐怖」をストレートに歌い上げた、初期Radioheadの重要なパラノイア・トラックである。1987年に彼自身が巻き込まれた深刻な自動車事故(同乗していた当時の恋人が負傷した)が強烈なトラウマとなっており、このテーマは後の名曲「Airbag」や初期の「Stupid Car」へと直結していく。疾走感のあるギターロックのフォーマットに乗せて、現代社会の凶器たる「鉄の塊」によっていつ命を奪われるか分からないという極限の不安と、コントロールを完全に喪失したテクノロジーへの恐怖が、痛ましいほど赤裸々に刻み込まれている。
和訳
[Intro]
Killer cars, cars
殺人車、車
Killer cars
殺人車
[Verse 1]
Too hard on the brakes again
またブレーキを強く踏みすぎた。
※運転時の過度な緊張と防衛本能。常に最悪の事態を想定しているパニック発作の一歩手前の状態である。
What if these brakes just give in?
もし、このブレーキが効かなくなってしまったら?
What if they don't get out of the way?
もし、対向車が道を譲ってくれなかったら?
What if there's someone overtaking?
もし、誰かが強引に追い越しかけてきたら?
※「What if(もし〜だったら)」の執拗な反復。予期不安(Anticipatory anxiety)の典型的な症状であり、自身のコントロールが及ばない外部の他者の行動によって、いとも容易く自分の命が奪われ得るという自動車社会の異常性を浮き彫りにしている。
I'm going out for a little drive
ちょっとドライブに出かけてくるよ。
And it could be the last time you see me alive
そしてこれが、生きてる僕を見る最後になるかもしれない。
※日常の些細な外出が、そのまま「死の旅立ち」に直結するという極限の悲観主義。
There could be an idiot on the road
道路にはイカれた奴がいるかもしれない。
The only kick in life is pumping his steel
そいつの人生の唯一の快感は、鉄の塊(アクセル)を踏み込むことなんだから。
※「steel(鋼鉄)」は自動車のこと。スピードと機械の力に酔いしれ、他者の命を軽視するドライバーへの憎悪と恐怖。テクノロジーの暴走と人間の倫理的欠如を暗喩する。
[Chorus]
(Killer cars) Wrap me up in the back of the trunk
(殺人車)車のトランクの奥底で、僕をぐるぐる巻きにしてくれ。
※恐怖から逃れるための究極の退行願望。胎内回帰、あるいは「死体」として運ばれる状態の先取りである。
Packed with foam and blind and drunk
発泡スチロールを詰め込んで、目隠しをして、酒で酔い潰れさせてくれ。
※「foam(緩衝材)」による物理的な保護と、「blind and drunk(盲目と泥酔)」による意識の麻痺。現実の恐怖を直視しないための徹底した感覚遮断だ。
(Killer cars) They won't ever take me alive
(殺人車)奴らは決して、僕を生け捕りにはしないだろう。
'Cause they all drive
なぜなら、奴らはみんな運転しているのだから。
※「奴ら(They)」は一般大衆のドライバーたち。狂気の世界では、自動車を運転するという「正常」な行為こそが殺戮の手段となる。
[Verse 2]
Don't die on the motorway
高速道路で死なないでくれ。
The moon would freeze, the plants would die
月は凍りつき、植物たちは枯れ果ててしまうから。
※愛する者を喪失した際に起こる、主観的な世界の完全な崩壊。宇宙的なスケール(月や自然)を用いて、個人の死がもたらす圧倒的な喪失感を表現している。
I couldn't cope if you crashed today
もし今日、君が事故に遭ったら、僕は正気を保てないだろう。
※トム・ヨークが1987年に経験した、恋人が交通事故で重傷を負ったトラウマの直接的な投影である。
All the things I forgot to say
君に言い忘れてしまった、すべての言葉たち。
I'm going out for a little drive
ちょっとドライブに出かけてくるよ。
And it could be the last time you see me alive
そしてこれが、生きてる僕を見る最後になるかもしれない。
What if the car loses control?
もし、車がコントロールを失ったら?
What if there's someone overtaking?
もし、誰かが強引に追い越しかけてきたら?
[Chorus]
(Killer cars) Wrap me up in the back of the trunk
(殺人車)車のトランクの奥底で、僕をぐるぐる巻きにしてくれ。
Packed with foam and blind and drunk
発泡スチロールを詰め込んで、目隠しをして、酒で酔い潰れさせてくれ。
(Killer cars) They won't ever take me alive
(殺人車)奴らは決して、僕を生け捕りにはしないだろう。
'Cause they all drive killer cars
なぜなら、奴らはみんな殺人車を運転しているのだから。
[Bridge]
Killer cars
殺人車。
Killer cars
殺人車。
Killer cars
殺人車。
Killer cars, oh, oh, oh, oh, oh
殺人車、あぁ。
[Chorus]
(Killer cars) Wrap me up in the back of the trunk
(殺人車)車のトランクの奥底で、僕をぐるぐる巻きにしてくれ。
Packed with foam and blind and drunk
発泡スチロールを詰め込んで、目隠しをして、酒で酔い潰れさせてくれ。
(Killer cars) No they won't ever take me alive
(殺人車)いや、奴らは決して、僕を生け捕りにはしないだろう。
'Cause they all drive killer cars
なぜなら、奴らはみんな殺人車を運転しているのだから。
They all drive killer cars
誰も彼もが、殺人車を運転しているんだ。
They all drive
みんな運転している。
Killer cars
殺人車を。
[Outro]
Oh, killer cars
あぁ、殺人車。
Oh, killer cars
あぁ、殺人車。
Killer cars, cars
殺人車、車。
Killer cars, killer cars
殺人車、殺人車。
Killer cars, killer cars
殺人車、殺人車。
Killer cars
殺人車。
