Artist: Michael Jackson
Album: Invincible
Song Title: Privacy
概要
2001年発表のアルバム『Invincible』に収録された、ロドニー・ジャーキンスのプロデュースによる重厚でインダストリアルなR&Bトラックである。カメラのシャッター音をビートの骨格に組み込んだ本作は、マイケル・ジャクソンが長年にわたって苦しめられてきたメディアの過剰な報道やパパラッチの暴力性に対する、最も直接的で激しいプロテスト・ソングだ。特筆すべきは、歌詞の中でパパラッチの追跡によって不慮の死を遂げた友人(ダイアナ元皇太子妃)への哀悼と、彼自身の尊厳が権力によって奪われた1993年の屈辱的な経験が交差して描かれている点である。ライナーノーツにはギターとしてスラッシュがクレジットされており、切り裂くようなギターリフとともに、事実を捻曲げて利益を貪るタブロイド・カルチャーの非倫理性を冷徹に告発した、ポップス史に残る重いメッセージ性を持った一曲である。
和訳
[Verse 1]
Ain't the pictures enough, why do you go through so much
写真だけじゃ足りないのか、なぜそこまでするんだ
To get the stories you need, so you can bury me?
お前たちが欲しい作り話(ストーリー)を手に入れて、僕を社会的に抹殺するためか?
※「bury me(僕を埋める、抹殺する)」。メディアの真の目的が単なるゴシップ報道ではなく、彼という存在そのものを破滅させることにあるという、マイケルの深い絶望とメディアへの不信感が込められている。
You've got the people confused, you tell the stories you choose
お前たちは人々を混乱させ、自分たちの都合のいいストーリーばかりを語る
You try to get me to lose the man I really am
僕の本当の姿を見失わせようとしているんだ
You keep on stalkin' me, invading my privacy
ずっと僕をストーキングし続け、プライバシーを侵害する
Won't you just let me be?
いい加減、僕を放っておいてくれないか?
'Cause your cameras can't control the minds of those who know
だって、お前たちのカメラは「真実を知る人々」の心まで操ることはできないからさ
That you'll even sell your soul just to get your story sold
お前たちが記事を売るためなら、魂すら売る悪魔だってことをね
[Chorus]
I need my privacy, yeah, yeah
僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah
I need my privacy, yeah, yeah
僕のプライバシーを返してくれ、yeah, yeah
So paparazzi, yeah, yeah, get away from me
だからパパラッチよ、僕から離れろ
Just get away from me (Yeah, yeah)
ただ僕の目の前から消えてくれ(Yeah, yeah)
[Verse 2]
Some of you still wonder why one of my friends had to die
なぜ僕の友人の一人が死ななければならなかったのか、まだ疑問に思っている奴らもいるだろう
※「one of my friends had to die(友人の一人が死ななければならなかった)」。1997年8月、執拗なパパラッチの追跡の末にパリで事故死したダイアナ元皇太子妃を指している。同じくメディアの標的にされ続けたマイケルにとって、彼女の死はメディアの暴力性が引き起こした現実の殺人に他ならなかった。
To get a message across, that yet you haven't heard
お前たちが未だに理解していないメッセージを伝えるためにね
My friend was chased and confused like many others I knew
僕の友人は、僕が知る多くの友人たちと同じように、追い回され、混乱していた
But on that cold winter night, my pride was snatched away
でも、あの凍えるような冬の夜、僕の誇りは奪い取られたんだ
※ダイアナ妃の死は「夏(8月)」であるため、このラインはマイケル自身の経験へと視点が切り替わっていると解釈される。ファンの間では、1993年12月(冬の夜)に児童的虐待疑惑の捜査として、警察から全裸での写真撮影を強要された屈辱的な出来事を指していると広く認識されている。権力とメディアが結託して個人の尊厳(pride)を踏みにじることへの激しい怒りである。
She get no second chance, she's ridiculed and harassed
彼女に二度目のチャンスは与えられず、ただ嘲笑され、嫌がらせを受けただけだった
Please tell me why? (Hold on) (Mercy)
どうしてなのか、教えてくれ(待ってくれ)(慈悲を)
Now, there's a lesson to learn, respect's not given, it's earned
さあ、学ぶべき教訓がある。敬意とは与えられるものではなく、自ら勝ち取るものだ
Stop maliciously attackin' my integrity
悪意を持って僕の尊厳(インテグリティ)を攻撃するのはやめろ
[Chorus]
I need my privacy, yeah, yeah (Hold on)
僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah(待ってくれ)
I need my privacy, yeah, yeah (Hold on)
僕のプライバシーを返してくれ、yeah, yeah(待ってくれ)
So paparazzi, yeah, yeah, (Mercy) just get away from me
だからパパラッチよ、(慈悲を)僕から離れろ
Just get away from me (Yeah, yeah) (Slash!)
ただ僕の目の前から消えてくれ(Yeah, yeah)(スラッシュ!)
[Guitar Solo]
[Guitar Solo]
[ギター・ソロ]
※マイケルの「Slash!」という掛け声から始まる。アルバムのクレジットではスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)が参加していると記されている。プライバシーを侵害するシャッター音のビートを切り裂くように、ロック特有のディストーション・ギターが怒りの感情を爆発させている。
[Bridge]
Now, there's a lesson to learn, stories are twisted and turned
さあ、学ぶべき教訓がある。事実(ストーリー)は常にねじ曲げられ、歪められているということを
Stop maliciously attackin' my integrity (Oh, oh, hoo-hoo!)
悪意を持って僕の尊厳を攻撃するのはやめろ(Oh, oh, hoo-hoo!)
[Chorus]
I need my privacy, yeah, yeah (Hold on, hold on now)
僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah(待ってくれ、さあ待ってくれ)
I need my privacy, yeah, yeah (Hold on, hold on)
僕のプライバシーを返してくれ、yeah, yeah(待ってくれ、待ってくれ)
So paparazzi, yeah, yeah (Oh, my, don't, don't, don't you do it) get away from me, yeah, yeah (Hold on, oh my)
だからパパラッチよ、yeah, yeah(Oh, my、やめろ、やめろ、やめてくれ)、僕から離れろ、yeah, yeah(待ってくれ、oh my)
I need my privacy, yeah, yeah
僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah
(Please don't do it, please, please don't do it)
(お願いだからやめてくれ、お願いだ、絶対にやめてくれ)
※バックボーカルで繰り返される悲痛な叫び。常にカメラに追い回される恐怖とストレスが、極限のパニック状態のように表現されている。
I need my privacy, yeah, yeah (Get away from me, get away)
僕のプライバシーを返してくれ、yeah, yeah(僕から離れろ、消え失せろ)
So paparazzi, yeah, yeah
だからパパラッチよ、yeah, yeah
(I'm tired of you stalkin', walkin', talkin', stalkin')
(お前たちがストーキングし、うろつき、噂し、ストーキングするのにはもううんざりなんだ)
Get away from me, yeah, yeah
僕から離れろ、yeah, yeah
(You're just sartin' with me, brighter than me, stalkin' me, hold on, aah!)
(お前たちは僕に喧嘩を売り、僕より目立とうとし、僕をストーキングする、待ってくれ、aah!)
Privacy, I need my privacy, yeah, yeah (You just, you just stop it, oh my)
プライバシーだ、僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah(お前たち、ただやめてくれ、oh my)
Privacy, paparazzi, yeah, yeah (Privacy no, hee-hee-hee!)
プライバシーだ、パパラッチよ、yeah, yeah(プライバシーだ、ノー、hee-hee-hee!)
Privacy, I need my privacy, yeah, yeah (My privacy, my privacy, privacy)
プライバシーだ、僕にはプライバシーが必要だ、yeah, yeah(僕のプライバシーを、僕のプライバシーを)
Privacy, get away from me, yeah, yeah (Privacy, no)
プライバシーだ、僕から離れろ、yeah, yeah(プライバシーだ、ノー)
[Outro]
Privacy, yeah, why'd you do it? (Yeah, yeah)
プライバシーだ、yeah、どうしてそんなことをするんだ?(Yeah, yeah)
Please don't do it
お願いだからやめてくれ
Why'd you do it? (Yeah, yeah)
なぜそんなことをするんだ?(Yeah, yeah)
Can you just let it?
もう放っておいてくれないか?
Hah, please don't do it (Yeah, yeah)
Hah、お願いだからやめてくれ(Yeah, yeah)
Why do you do it?
どうしてそんなことをするんだ?
Can you just let it? (Yeah, yeah)
もう放っておいてくれないか?(Yeah, yeah)
Hah, do it
Hah、やってみろよ
※楽曲の最後を締めくくる「do it(やってみろ)」。執拗なメディアの暴力に対して疲弊しながらも、決して屈服しないという彼の毅然とした抵抗の意志が残されている。
