Artist: J. Cole
Album: Might Delete Later
Song Title: Crocodile Tearz
概要
2024年にサプライズリリースされたプロジェクト『Might Delete Later』に収録された本作は、ヒップホップシーンの頂点に君臨するJ. Coleの絶対的な自信と、業界に蔓延するフェイクな人間関係への嫌悪を歌ったハードな一曲だ。タイトルの「Crocodile Tearz」は「偽りの涙」を意味し、自身が成功してからすり寄ってくる者たちの同情や愛情が嘘にまみれていることを非難している。T-Minusによる不穏でバウンシーなトラップビートに乗せ、ColeはJay-Z(Hov)のクラシックアルバムや映画のメタファーを次々と投下。特に「ビッグスリー(Drake、Kendrick Lamar、J. Cole)」の議論が過熱していた時期において、「俺は2でも3でもない、ナンバーワン(G.O.A.T.)だ」と宣言するラインは、コアなヒップホップファンの間で大きな反響を呼んだ。来るべき最終アルバム『The Fall Off』への期待を極限まで高める、マニフェスト的な楽曲である。
和訳
[Intro]
(Uh)
(Yeah)
Turn it all up
全部ボリュームを上げろ
Powered up
パワー全開だ
I'm powered up
俺はパワー全開だ
I'm powered up
俺はパワー全開だ
I'm powered up
俺はパワー全開だ
It's powered up
パワー全開だぜ
[Verse 1]
Yeah, said I was finished but I'm on another two summers
ああ、俺は終わったって言われてたが、さらに2回の夏を支配してるぜ
※「ラッパーとしてのピークは過ぎた」という批判を跳ね返し、数年間にわたって客演やリリースでシーンの話題(夏)を独占し続けていることを示唆している。
Hall of famer, hungrier than all the newcomers
殿堂入りクラスだが、どの新人よりも飢えてる
Niggas swear they compare, but the truth humble
奴らは俺と肩を並べてると誓うが、真実は厳しいもんだ
※「truth humble」は、現実(真実)を知れば、自惚れたラッパーたちも謙虚にならざるを得ないという意味。
They get fucked one twelve, you couldn't do numbers
奴らは112にヤられる、お前らは数字を出せなかった
※「one twelve」は90年代に活躍したR&Bグループ「112」に掛けた言葉遊び。「do numbers」はチャートや売上で結果を出すこと。お前らの音楽は売上が立たないというディス。
Hey, tell the label I got A's all throughout math
おい、レーベルに伝えておけ、俺の数学の成績はずっとオールAだってな
That mean I'm keen on the numbers and I count fast
つまり俺は数字に強くて、計算が早いってことだ
※契約金やストリーミングの収益をごまかそうとするレーベルに対し、自分はビジネス(数字)を完璧に理解していると警告している。
You know it's money that you owe me, niggas phony
お前が俺に借金してるのは分かってるだろ、偽物野郎
And I'm Joaquin Phoenix, walk the line, I'm about cash
俺はホアキン・フェニックスだ、一線を歩く、俺は現金主義さ
※俳優ホアキン・フェニックスが伝説的カントリー歌手ジョニー・キャッシュを演じた映画『Walk the Line(ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)』の引用。「Cash」という名前と「現金(cash)」をかけた極めて高度なパンチライン。
Benjamin Button gettin' younger as the hours pass
ベンジャミン・バトンのように、時間が経つにつれて若返っていく
※映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の引用。キャリアが進むにつれてスキルが衰えるどころか、むしろ若手のように研ぎ澄まされている状態。
Should do the Freshman cover twice, I'm never outclassed
フレッシュマンの表紙を2回やるべきだ、俺が誰かに劣ることは絶対にない
※ヒップホップ誌XXLの名物企画「Freshman Class(期待の新人リスト)」に言及。大御所でありながら、新人のようなフレッシュな実力を保っているというボースティング。
It's not a rap nigga breathin' that could outlast
俺より長続きするラッパーなんて息をしてないぜ
The Fall Off is like Hov droppin' Reasonable Doubt last
『The Fall Off』は、ホヴィが『Reasonable Doubt』を最後にドロップするようなもんだ
※「The Fall Off」はJ. Coleが長年予告している次期アルバム。Jay-Z(Hov)の歴史的デビュー作にして最高傑作とされる『Reasonable Doubt』を、キャリアの最後にリリースするような、前代未聞の集大成になるという強烈な予告。
We from the South where we learn all about stashin'
俺たちはサウスの出身で、隠すことについてすべて学んできた
※「stash」は金や薬物、武器などを隠すこと。ノースカロライナ出身としてのストリートの知恵。
Where niggas prone to shoot first and run they mouth last
そこは奴らが先に撃って、口を叩くのは最後にするような場所だ
And if you run your mouth, bitch, you goin' out sad
もし口を滑らせたら、ビッチ、お前は悲惨な最期を遂げることになる
Whole clique gettin' slid on, you a mouse pad
クルー全員がスライドされる、お前はマウスパッドだ
※「slid on」はドライブバイや襲撃されることを意味するスラング。「スライド」という言葉からPCの「マウスパッド」を連想させた言葉遊び。
I'm the one that niggas fear on the lowski
俺は奴らが密かに恐れている存在だ
※「lowski」はon the low(密かに、内緒で)のスラング。
Heard 'em talkin' like we peers but they grossly
俺と同格みたいに話してるのを聞いたが、奴らはとんでもなく
Mistaken and it's blatant
勘違いしてるし、それは見え透いてる
Crocodile tears, niggas know I'm on a tier that they don't see
クロコダイルの涙だ、奴らは俺が自分たちには見えない次元にいるのを知ってる
※「Crocodile tears」は偽りの涙や同情。「tears(涙)」と「tier(階層、レベル)」でライムを踏み、彼らが自分にすり寄る態度がフェイクであると見抜いている。
My dogs only shed tears in emojis
俺のダチが涙を流すのは絵文字の中だけだ
We in another hemisphere splittin' proceeds
俺たちは別の半球で利益を分け合っている
How dare a nigga rub his hands on this trophy?
よくもまぁ、俺のトロフィーにその手をこすりつけられるな?
I vividly remember who was there
誰がそこにいたか、俺は鮮明に覚えてるぜ
[Chorus]
Niggas hit my line when they want somethin'
奴らは何か欲しい時だけ連絡してくる
That's a dub, it ain't love if it cost somethin'
そんなの却下だ、金がかかるなら愛じゃねえ
※「dub」はW(Win)の意味の他に、NY周辺のスラングで「Decline/Dismiss(却下、拒否)」を意味する。
Niggas hit my phone up when they need somethin'
奴らは何か必要な時だけ電話してくる
I can't recall a time when you gave me somethin'
お前が俺に何かをくれた時のことなんて思い出せないね
Chopped off the top, nigga, I achieved somethin'
屋根を切り落とした、なぁ、俺は何かを成し遂げたんだ
※「Chopped off the top」は車の屋根(コンバーチブル)を開けること。高級車に乗っている=成功の証。
Drop down, bitch, let me see somethin'
しゃがんでみろ、ビッチ、ちょっと見せてくれよ
Niggas hit my phone up when they need somethin'
奴らは何か必要な時だけ電話してくる
I can't recall a time when you gave me somethin'
お前が俺に何かをくれた時のことなんて思い出せないね
[Verse 2]
March 16 in the fuckin' teen summit
3月16日、クソみたいなティーン・サミットの中だ
The boys kiss ring when they see the king come in
王様が入ってくると、奴らは指輪にキスをする
※マフィアのボスに対する敬意と服従のポーズ。シーンにおける自身の絶対的な権力を示している。
They know I run things like the police comin'
警察が来る時みたいに、俺がこの場を仕切ってるって分かってるんだ
※「run」は「仕切る」と「走る(逃げる)」のダブルミーニング。ストリートで警察が来た時に猛スピードで逃げ出すように、圧倒的な勢いでシーンを支配している様子。
Yes, sir, it's me, not two, not three
イエス・サー、俺だ、2でも3でもない
The uno, G-O-A-T, I need my fee, fuck kudos
ナンバーワン、史上最高、俺にはギャラが必要だ、称賛なんてくそくらえ
※「uno」は1。「G-O-A-T」はGreatest Of All Time。当時過熱していた「Drake、Kendrick Lamar、J. Coleのビッグスリー」の議論に対して、「俺はトップ3の一角などではなく、単独のナンバーワンだ」と堂々と宣言している本作のハイライトとなるライン。
G4 at least, these flights ain't cheap as you know
最低でもG4だ、お前も知っての通り、このフライトは安くないぜ
※「G4」はガルフストリーム IV(プライベートジェット)。
They sound faded, they downgraded, they Pluto
奴らの音は色褪せてる、ダウングレードされたんだ、まるで冥王星だな
※「Pluto」は2006年に太陽系の惑星から準惑星に「ダウングレード(降格)」されたことを比喩に用いている。ラッパーとしての格が落ちた同業者たちへの痛烈な皮肉。
I'm bigger than Mars, this nigga a star, I'm Bruno
俺は火星よりもデカい、こいつはスターだ、俺はブルーノさ
※「Mars(火星)」と「Bruno」。ポップスターのブルーノ・マーズの名前を使った言葉遊び。宇宙規模のスケールで自身のスター性を誇示している。
I'm the one they call when they want a song to a funeral
葬式に曲が必要な時、奴らが呼ぶのはこの俺だ
※客演に入って他のラッパーを完全に喰い、その曲を「殺す(圧倒する)」こと=葬式という意味のスラング。
Can't fuck with broads, what y'all niggas on? Hoes Communal
女どもとは関われない、お前ら何やってんだ? ホー・コミューナルじゃないか
※「Communal(共有の)」。同じビッチを業界内で回し合っているラッパーたちを嘲笑し、自分はそのような低俗なループには加わらないとしている。
I'm sendin' flawed niggas to the Lord, hm
欠陥のある奴らを主の元へ送ってやってるのさ、フーム
And you know it
お前も分かってるだろ
Two six, truth spit, I'm a poet
トゥーシックス、真実を吐く、俺は詩人だ
※「Two six(2-6)」はJ. Coleの地元であるノースカロライナ州フェイエットビルを表すストリートの象徴的な数字。
I move slick on 'em so they got no clue where I be, uh
奴らの間を滑らかに動くから、俺がどこにいるか誰にも分からない
Do it look like I fool with IG, bitch?
俺がインスタグラムで遊んでるように見えるか、ビッチ?
She got too many followers
あの女はフォロワーが多すぎる
Word 'round the Ville, she a real deal swallower
ヴィルの噂じゃ、あいつは本物のスワロワーらしいぜ
※「Ville」は地元フェイエットビル。「swallower」は性的な意味で尻軽な女性を指す。
Niggas bite their hands, so my heart turn hollower
奴らは自分の手を噛む、だから俺の心はより空っぽになっていく
※「bite the hand that feeds them(飼い主の手を噛む=恩を仇で返す)」という慣用句の引用。自分の世話になった恩を忘れて裏切る者たちを見て、心を閉ざしていく様子。
Talkin' bout "Holla," nah, nigga, I ain't callin' ya
「連絡して」なんて言ってるが、いや、俺はお前に電話なんてしねえよ
[Chorus]
Niggas hit my line when they want somethin'
奴らは何か欲しい時だけ連絡してくる
That's a dub, that ain't love if it cost somethin'
そんなの却下だ、金がかかるなら愛じゃねえ
Niggas hit my phone up when they need somethin'
奴らは何か必要な時だけ電話してくる
I can't recall a time when you gave me somethin'
お前が俺に何かをくれた時のことなんて思い出せないね
Chopped off the top, nigga, I achieved somethin'
屋根を切り落とした、なぁ、俺は何かを成し遂げたんだ
Drop down, bitch, let me see somethin'
しゃがんでみろ、ビッチ、ちょっと見せてくれよ
Niggas hit my phone up when they need somethin'
奴らは何か必要な時だけ電話してくる
I can't recall a time when you gave me somethin'
お前が俺に何かをくれた時のことなんて思い出せないね
