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Paramedic! - SOB X RBE 【和訳・解説】

Artist: SOB X RBE

Album: Black Panther: The Album

Song Title: Paramedic!

概要

本楽曲は、北カリフォルニア・ヴァレーホ出身の若手ヒップホップクルーSOB X RBEを大々的にフィーチャーした、強烈なベイエリア・バウンス・トラックだ。映画『ブラックパンサー』のヴィランであるエリック・キルモンガーは、ワカンダの血を引きながらもカリフォルニア州オークランドの過酷なストリートで育ったという背景を持つ。Kendrick Lamarは、キルモンガーの抑圧された怒りと野心を表現するために、同じベイエリアでリアルなギャングスタ・ラップを体現するSOB X RBEを抜擢した。若々しく暴力的なエネルギーに満ちた彼らのマイクリレーは、キルモンガーが抱える「失うもののない冷酷さ」と完璧に共鳴しており、アフリカの神秘的なサウンドと西海岸のストリートの現実が見事に交差する、サウンドトラック屈指のバンガーである。

和訳

[Intro: Zacari & Kendrick Lamar]

I am Killmonger
俺はキルモンガーだ
※映画における最大の敵であり、もう一人の主人公とも言えるエリック・キルモンガーの視点からの明確な宣言。

No one's perfect
完璧な人間なんていない

But no one's worthless
だが、無価値な人間もいない

We ain't deservin' of everything Heaven and Earth is
俺たちは天と地にあるすべてのものを手にする資格なんてないのかもしれない

But word is, good (This is my home)
だが噂じゃ、良いらしいぜ(ここが俺の故郷だ)
※「ここ(This is my home)」とは、キルモンガーが生まれ育ったカリフォルニアのストリートを指す。ワカンダというユートピアから見捨てられた彼にとっての「故郷」の過酷さと誇りを表している。

Said no one's perfect, but no ones worth this
完璧な奴はいないって言ったが、こんな目に遭っていい奴もいない

We ain't deservin' of everything heaven and Earth is
俺たちは天と地にあるすべてのものを手にする資格なんてないのかもしれない

But word is, good (Northern California)
だが噂じゃ、良いらしいぜ(北カリフォルニア)
※オークランド(キルモンガーの出身地)やヴァレーホ(SOB X RBEの出身地)を含む「ベイエリア」一帯を指す。この楽曲が完全なる「西海岸・北カリフォルニア」のアンセムであることを決定づけるシャウトアウト。

[Verse 1: Slimmy B & Kendrick Lamar]

Ayy, they better call a paramedic in the street
エイ、ストリートに救急隊員(パラメディック)を呼んだ方がいいぜ
※タイトル回収。これから起こる銃撃戦で怪我人が続出するという警告。キルモンガーがワカンダに上陸し、平和な国に流血をもたらすことを予言している。

I got leverage in the street
俺はこのストリートで影響力を持ってる

I'm a California nigga and I'm heavy in the streets
俺はカリフォルニアのニガだ、ストリートじゃ顔が広いんだよ

.22 or .23, I'm heavy with the heat
22口径だろうが23口径だろうが、強力なハジキ(熱)を持ってるぜ

Hit you with this chop, paramedics can't save you (Can't save you)
このチョッパーで撃たれたら、救急隊員だって命は救えねえよ(救えねえよ)
※「chop(chopper)」はAK-47などのアサルトライフルのスラング。撃たれたら重傷どころか即死であるため、救急車など無意味だという冷酷なボースト。

Really in the field c'mon bro, I know that ain't you (No, it ain't you)
現場(フィールド)でリアルに生きてるって? 頼むぜブラザー、お前がそうじゃないことくらい分かってる(お前じゃねえよ)

2018, hell naw, I ain't gon fade you
2018年だぜ、まさか、お前と殴り合い(フェード)なんてしねえよ

Gon' paint you, TDE and SOB, we can't lose
お前を(血で)染め上げてやる、TDEとSOB、俺たちが負けるわけねえ
※「fade」はストリートのステゴロ(素手での喧嘩)、「paint」は銃で撃って血まみれにすること。もはや素手の喧嘩の時代ではなく、容赦なく銃の引き金を引くというギャングスタの非情な現実。Top Dawg Entertainment(Kendrickのレーベル)とSOB X RBEの最強のタッグ宣言でもある。

Niggas bitch made
ビッチみたいに弱虫な野郎ども

That's just somethin' I can't relate to (Can't relate to)
そういう奴らには全く共感できねえな(共感できねえ)

Turn on the gang
ギャング(仲間)を裏切ること

That's just somethin' that I can't do (No, I can't do)
そんなことは俺には絶対にできねえ(ああ、できねえよ)

Fall out over a bitch
女のことで仲間割れすること

That's just somethin' that I can't do (No, I can't do)
そんなことも俺には絶対にできねえ(ああ、できねえよ)

Rip every beat I get on, I was made to (I was made to)
乗っかったビートは全て切り裂く、俺はそうなるように運命づけられてるんだ(運命づけられてる)

This Glock get to growlin', somethin' like a black panther
このグロック(拳銃)が唸り声を上げるぜ、まるでブラックパンサーみたいにな
※銃の発射音やスライドの音を、黒豹(ブラックパンサー)の獰猛な唸り声に例えた秀逸なメタファー。映画のテーマとストリートの暴力を完璧にリンクさせている。

Tryna touch a mil, fuck sayin "get yo bands up"
ミリオン(100万ドル)に手を伸ばそうとしてるんだ、「金を稼げ」なんてぬるいこと言ってんじゃねえ
※「bands」は札束(1000ドル)。小銭を稼ぐレベルではなく、億単位の富を狙っているという野心。

Fuckin' with the gang, yeah, I had to man up
ギャングとつるんでるんだ、ああ、男にならなきゃならなかった

One fist in the air, I ain't finna put my hands up (Gang!)
片方の拳を高く掲げるぜ、両手を挙げて降伏なんかするつもりはねえよ(ギャング!)
※「One fist in the air」は1960年代のブラックパンサー党が用いた「ブラックパワー・サリュート(黒人の権利拡張と抵抗の象徴)」。一方で「put my hands up」は、警察に対して「撃たないでくれ」と両手を挙げて降伏するポーズ。警察の暴力に屈して降伏するのではなく、黒人としての誇りと抵抗の拳を突き上げるという、このヴァース最大のパンチラインである。

[Chorus: Kendrick Lamar]

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ
※「I wish a motherfucker would」というAAVEの一般的なフレーズ。直訳は「誰かが(俺に手を出して)くれたらいいのに」だが、実際は「俺に喧嘩を売る度胸がある奴なんているのか? いるならかかってこい、返り討ちにしてやる」という極めて好戦的な挑発である。

I wish a bitch would
ビッチども、やれるもんならやってみろよ

I wish a bitch would, I wish a bitch would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

[Verse 2: Lul G & Kendrick Lamar]

Got shooters tappin' in, nigga for them bands, nigga
シューター(殺し屋)たちが連絡を取ってくるぜ、金のためにな

West Coast niggas; yeah, they blowin' fans, nigga
ウェストコーストの野郎ども、ああ、奴らはファン(扇風機)みたいに吹き飛ばしてるぜ
※「blowin' fans」は、扇風機のように周囲に弾丸をばら撒く(乱射する)こと、あるいはライブでファンを熱狂させることのダブルミーニング。

I know I'm the man, baby, bring your friends with you
自分が大物だって分かってるぜ、ベイビー、友達も連れてきな

Puttin' points up while you in the stands, nigga
お前らが観客席にいる間に、俺はスコアを稼ぎまくってるんだよ
※ストリートやラップゲームをスポーツに例え、傍観しているだけのヘイターを尻目に自分が大成功(得点)しているというボースト。

But I be stuck in these streets, you in the background
だが俺はこのストリートから抜け出せねえ、お前はただの背景だ

Ever since they took my brother, gotta pack rounds
奴らが俺のブラザーを奪ってからずっと、弾丸(ラウンド)を詰め込まなくちゃならねえ
※仲間の死(殺害)というトラウマが、彼に常に武装することを強いている。復讐の連鎖に囚われたキルモンガーの心境(父ウンジョブの死)と完全にリンクする。

Sorry momma, two bails, took a bad route
ごめんよ母ちゃん、2回の保釈金、悪い道に行っちまった

I done got my bands up, a nigga stacked now
でも俺は金を稼ぎまくった、今は札束が積み上がってるぜ

But we been still O.T. on that bullshit (On that bullshit)
だが俺たちは未だにあのクソみたいな抗争のために、市外(O.T.)に遠征してる(クソみたいな抗争にな)
※「O.T.」はOut of Town(市外・遠征)の略。敵対するギャングを追って、自分たちのシマを越えてまで攻撃を仕掛ける血生臭い日常。

I don't wanna have to do it, empty full clips (Empty full clips)
こんなことやりたくはねえんだ、フル装填されたクリップを空にするなんてな(クリップを空にする)

Why these niggas talkin' robbin', they don't do shit
なんでこいつらは強盗の話ばかりしてるんだ、口だけで何もしねえくせに

High Cali niggas tapped in, we'll cook shit
ハイになってるカリフォルニアの野郎どもが連携してる、俺たちが料理(始末)してやるよ

Bust down on my neck, niggas reach, gettin' stretched
首にはダイヤが輝いてる、手を伸ばしてくる野郎は、床に引き伸ばされる(死ぬ)ことになるぜ
※「Bust down」はダイヤモンドが敷き詰められた高価なジュエリー。「get stretched」は死体が担架に乗せられて伸びきった状態になる、つまり殺されることを意味するストリートスラング。

Rockin' with this TEC, niggas better wear a vest
このTEC(サブマシンガン)を持ち歩いてるんだ、防弾チョッキを着といた方がいいぜ

Last year, I was broke, young nigga in the Crest
去年まで、俺はクレストにいる金のないガキだった
※「Crest(Country Club Crest)」は北カリフォルニア・ヴァレーホにある悪名高いゲットー地区。ベイエリアの伝説的ラッパー、Mac Dre(マック・ドレ)の出身地としても知られるヒップホップの聖地。そこからの成り上がりを宣言している。

Now a show 20 or better, broke niggas keep the rest
今じゃ1回のショーで2万ドル以上だ、金欠の野郎ども、釣りは取っときな

[Chorus: Kendrick Lamar]

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

I wish a bitch would
ビッチども、やれるもんならやってみろよ

I wish a bitch would, I wish a bitch would
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ

I wish a nigga would
やれるもんならやってみろよ

I wish a nigga would, I wish a nigga would (DaBoii)
かかってこいよ、やれるもんならやってみろ(ダボーイ)

[Verse 3: DaBoii & Kendrick Lamar]

California nigga and I'm heavy in these streets
カリフォルニアのニガだ、俺はこのストリートじゃ顔が広いんだよ

If you don't keep a pole how you ready when it's beef
ハジキ(ポール)を持たずに、ビーフ(抗争)になった時どうやって備えるってんだ?
※「pole」は銃を指すスラング。

(If you don't keep a pole)
(ハジキを持たずに)

Lil nigga think he cut, yeah, I bet the nigga freeze
生意気なガキがイケてると思ってるみたいだが、絶対フリーズ(ビビって動けなく)するに決まってるぜ

If that nigga want me dead, I can't let that nigga breathe
もしあいつが俺の死を望んでるなら、あいつに息をさせるわけにはいかねえ

Want me gone, sent a shot, like the real kind
俺を消したいなら、撃ってきなよ、本物のギャングみたいにな

These niggas actin' like they tough when they real kind
こいつら、タフなフリをしてるけど、本当はめっちゃ優しい奴らなんだろ

Thumbin' through a hundred racks just to kill time
暇つぶしに10万ドルの札束をパラパラと数えるぜ

They got a nigga at the edge, but I feel fine
奴らは俺を崖っぷちに追い詰めたと思ってるが、俺は絶好調だぜ

But it come with this shit, I'm okay with it
だがこれがストリートの掟ってやつだ、俺はそれでも構わねえ

If your man's to his last share a plate wit' 'em
もしお前のダチが最後の食事を食うなら、一緒に皿を分けてやれよ

One whole wood to the neck, it's an eighth in it
バックウッズ(葉巻)丸々一本を肺の奥まで吸い込むぜ、8分の1オンスのウィードが詰まってる
※「wood」はBackwoods製の葉巻(中身を抜いてマリファナを詰めるブラントによく使われる)。「eighth」はマリファナの計量単位(約3.5グラム)で、かなりの量を一度に吸い込んでいる。

New baby chop, let it sing, it's a Drake nigga
新しい小型のチョッパー、こいつに歌わせるぜ、ドレイクみたいにな
※Reddit等でも絶賛されるヒップホップならではの言葉遊び。「Drake」はAK-47のピストル仕様である「Draco(ドラコ)」の隠語であると同時に、世界的なラッパー/シンガーである「Drake(ドレイク)」を指す。銃を乱射する(歌わせる=sing)ことと、シンガーのドレイクが歌うことを完璧に掛けている。

A lot of shit on my mind make me think a lot
頭の中はクソみたいな問題でいっぱいで、色々考えさせられるぜ

Why it's hard for me to smile? 'Cause I seen a lot
なぜ俺が笑うのが難しいかって? 色んなヤバい現実を見すぎたからさ
※幼い頃からストリートの死と暴力(仲間の死など)を目の当たりにし、感情が麻痺してしまった若者のPTSD的な心情吐露。

You ain't really in the field, you just tweet a lot
お前は現場(フィールド)になんか出ちゃいない、ただツイートが多いだけだろ

If we ain't on the same page, you can kick a rock, bitch!
もし俺たちと意見が合わないなら、石ころでも蹴ってどっか行きな、ビッチが!
※「kick a rock(石でも蹴ってろ)」は、「失せろ」「どっか行け」という意味の強烈な侮蔑表現。

[Verse 4: Yhung T.O. & Kendrick Lamar]

And I been really tryna keep the peace
俺だって本当は平和を保とうとしてきたんだ

But I'm a north Vallejo nigga, and I'm heavy in the streets
だが俺は北ヴァレーホのニガだ、このストリートじゃ深く関わりすぎちまった

I was raised by my granny and the gangsters
俺はばあちゃんと、ギャングスターたちに育てられた

So at eight I made the choice I'ma forever be a G, and
だから8歳の時に、永遠にG(ギャング)として生きるって決めたんだよ

I don't really like to talk
俺はあんまり喋るのが好きじゃない

I remember we was broke and I don't really like to walk, nigga
金がなくて歩き回ってた頃を思い出すから、歩くのも好きじゃねえんだ

Now I ride around in foreign cars
今じゃ外車(高級車)を乗り回してる

And I put on for my team who was with me from the start, nigga
最初から一緒にいてくれたチームのために、俺は全力を尽くすぜ

I don't play games, stitch lip, I don't say names
遊び半分じゃねえ、唇を縫い合わせてる(口が堅い)、名前なんて絶対に吐かねえよ
※ストリートの絶対の掟「Snitches get stitches(密告者は口を縫い合わされる=報復される)」を踏まえ、警察に決して情報を売らない(stitch lip)というスタンス。

She want a dog, I'm a Great Dane
あの女は犬(野蛮な男)を求めてる、俺はグレートデーン(大型犬)だぜ

I got great aim, Ice Age on my damn chain
俺のエイム(射撃)は完璧だ、首のチェーンは氷河期(アイス・エイジ)みたいに凍りついてる
※大量のダイヤモンド(Ice)が光り輝いている様子を「Ice Age(氷河期)」と表現するクラシックなボースト。

My momma told me keep a stash for the damn rain
母ちゃんが言ってた、「土砂降りの雨(不測の事態)」に備えて金を隠しとけってな

They ain't wanna see me win 'cause I'm black
奴らは俺が黒人だからって、勝つところを見たくないんだ
※アメリカ社会の構造的な人種差別への言及。システム(白人社会)が黒人の成功を妨げようとしている現実への怒り。

So I pulled up in that all black Benz in the back
だから俺は、裏口から全身真っ黒のベンツで乗り付けてやったのさ

If you need someone to call, I'm the man for the task
もし誰か呼ぶ必要があるなら、俺がその任務に適任だぜ

You ain't standin' for the cause, meet the man in the mask
大義のために立ち上がらないなら、マスクを被った男に会うことになるぜ
※「マスクを被った男(the man in the mask)」は、覆面をした強盗や殺し屋(ストリートの報復)を指す。同時に、大英博物館でアフリカの仮面を奪い、最終的に漆黒のブラックパンサーのスーツ(マスク)を纏って王座を奪いに来るキルモンガー自身の姿を鮮烈に暗喩して、この凶暴なトラックを締めくくっている。