Artist: Ol’ Dirty Bastard
Album: Nigga Please
Song Title: Rollin’ Wit You
概要
1999年にリリースされたOl' Dirty Bastard(以下ODB)の2ndアルバム『Nigga Please』に収録された本作は、彼のキャリアの中でも群を抜いて混沌とし、パラノイア(被害妄想)と天才的な狂気が入り混じった問題作である。イントロから約1分半にも及ぶ長尺のブチギレたスピーチ(白人社会によるヒップホップ文化の搾取に対する怒りや、同業者への痛烈な威嚇)は、当時の彼が抱えていた業界への不信感と精神的な不安定さを生々しく捉えている。自らを「ブラック・ゴッド」や「ユニーク・エイソン」と名乗り、警察組織からマフィア、果てはマイケル・ジャクソンに至るまで縦横無尽にネームドロップしながら威圧する様は圧巻だ。ビートの枠組みすら無視して咆哮する彼のフロウは、もはやラップというよりも剥き出しのソウルの叫びであり、ODBというアーティストがヒップホップ史においていかに異質で、かつ替えの効かない存在であったかを証明する強烈なドキュメンタリーのような一曲である。
和訳
[Intro]
You can't imitate me on this fuckin tape
お前ら、このクソみたいなテープの上の俺を真似することなんかできねえよ
You ain't ringing the bell I'm ready when you are
お前らがベルを鳴らさなくても、俺はいつでも準備できてるぜ
[You ain't ringing the bell
[ベルを鳴らすことすらできねえ
You ain't busting the grape
ブドウ一粒潰すことすらできねえだろ
※「bust a grape」はストリートのスラングで、「フルーツの投げ合いでもブドウ一粒すら潰せない」という言い回しから転じ、抵抗できない、手も足も出ない無力な状態であることを指す。
You ain't imitating me on this fuckin tape] (x10)
このクソみたいなテープの上の俺を真似することなんかできねえよ](10回繰り返し)
I'm tellin you bitch ass niggas
教えてやるよ、ビッチなクソ野郎ども
If y'all don't fuckin
お前らがもし
If y'all coloured bitch ass faggot punk ass motherfuckers
お前ら有色のビッチでオカマ野郎でパンクなクソ野郎どもが
Don't see that these white people are trying to take over your shit
白人どもがお前らの文化を乗っ取ろうとしてるのが分からねえならな
※業界の白人エグゼクティブたちが黒人のヒップホップカルチャーから利益を搾取しているという、当時の彼が抱えていた強いパラノイアと怒りが爆発しているライン。
Don't worry, you betta be happy the Ol' Dirty Bastard is here
心配すんな、オールド・ダーティ・バスタードがここにいることを喜ぶんだな
Your betta be happy I'm here
俺がここにいることを幸せに思え
To beat the shit out of all you faggot punk ass motherfuckers
お前らオカマ野郎のパンクなクソ野郎ども全員をぶちのめすためにな
Bitch ass niggas!
ビッチなクソ野郎どもが!
I shut the fuckin' whole world down
俺がこのクソみたいな世界全体をシャットダウンしてやる
You white motherfuckers could never, ever take over
お前ら白人のクソ野郎どもに、絶対に、絶対にここを乗っ取らせやしねえよ
You can't ever take over!(x2)
お前らには絶対に乗っ取れねえんだよ!(2回繰り返し)
You shut the fuck up and you shut the fuck up
お前は黙りやがれ、お前も黙りやがれ
That's what the fuck you do!
お前らがすべきなのはそれだけだ!
(Could I get a beer, yo I need some beer)
(ビールをもらえるか、ヨー、ビールが必要だ)
※激しい怒りの演説から一転して、突然スタジオのスタッフにビールを要求する。極端な感情の起伏と予測不能なODBの狂気を象徴する生々しい一幕。
[Verse 1]
You ain't using your phone, you ain't callin the cops
電話なんか使うな、サツを呼ぶんじゃねえよ
Cause nigga I'm the only king of the block
だって俺がこのブロックの唯一の王だからだ
I'm the only black god, motherfucker!
俺が唯一のブラック・ゴッドなんだよ、クソ野郎!
※「Black God」は彼が信仰していたFive-Percent Nation(ネーション・オブ・ゴッズ・アンド・アースズ)の教義である「黒人男性こそが神である」という思想に基づいている。
And I came to rock the spot
そして俺はこの場所を揺るがしに来たんだ
When I throw at football pass at a bitch she miss
俺がビッチに向かってフットボールのパスを投げても、あいつは受け損なう
Ain't trying to be funny gonna use my fist
ふざけてるわけじゃねえ、俺の拳を使ってやるよ
You can't use the family feud
家族の揉め事を利用することなんてできねえぞ
You can't run it on a cuckoooo!!!!
イカれた奴を騙すことなんてできねえんだよ!!!!
※「run it on (run game on)」は騙す、丸め込むというスラング。「cuckoo」はカッコウ鳥から転じた「狂人」の意。自分が完全にイカれているからこそ、誰の策略にもハマらないという強烈な自己肯定。
You bring shame, I'll keep Ol' Dirty safe
お前は恥を晒すが、俺はオールド・ダーティを守り抜く
Not locked up, cause I'll have your fuckin ass locked up!
捕まったりしねえよ、俺がお前らのクソみたいなケツをムショにぶち込んでやるからな!
I'll stash you, lickin you down, light that blunt!
お前を隠して、痛めつけて、そのブラントに火をつけるぜ!
※「lick down」はパトワ(ジャマイカ英語)由来のスラングで、銃で撃ち倒す、または徹底的に叩きのめすことを意味する。
You ain't gettin one, two I do what I want!
お前は一つも手に入らねえ、俺は俺のやりたいようにやる!
If I got a problem, a problems got a problem til it's gone
もし俺に問題があるなら、その問題が消え去るまで問題を起こし続けてやる
I'm the only Unique Ason
俺が唯一のユニーク・エイソンだ
※「Unique Ason(ユニーク・エイソン)」はODBの本名であるRussell Tyrone Jonesから派生した別名。Five-Percent Nationの思想に基づく名前(Ason Unique)であり、彼自身のアイデンティティの根幹を成す。
You reap what you sew
自分で蒔いた種は自分で刈り取れ
Fuckin with the O
Oにちょっかいを出したんだからな
I got the precinct locked down
警察署ごと俺がロックダウンしてやったぜ
You ain't using the po-po
お前らはサツを使うことすらできねえ
Fuck you Soso
ソーソー、くたばりやがれ
※ヒップホップファンの間では、当時商業的に大成功を収めていたJermaine Dupri率いるSo So Defレーベル、またはメインストリームで「So So(まあまあ)」な連中へのディスと解釈されている。
I got the keys to your ho
お前の女の鍵は俺が持ってるぜ
I'll stop your whole flow, all you bitches roll
お前のフロウを完全に止めてやるよ、ビッチどもは全員転がしな
With me from the ghetto
ゲットー出身の俺と一緒にな
You want me to control
お前らは俺に支配してほしいんだろ
This fuckin' show
このクソみたいなショーを
Give Ol' Dirty what he want and mo!
オールド・ダーティに欲しいものをよこせ、もっとだ!
Time stops you'll go
時が止まり、お前らは消える
Mafia slow!
マフィアみたいにゆっくりとな!
Time'll stop you'll go
時が止まり、お前らは消える
Mafia! Pay me all my motherfucking money
マフィアども! 俺のクソみたいな金を全額払いな
Or I'mma slow down your dough!
さもなきゃお前らの稼ぎを減らしてやるからな!
※音楽業界を牛耳るマフィア的な権力構造に対し、自分への正当な報酬を支払うよう脅迫している。
[Chorus]
Jesus I'm rollin with you(x4)
ジーザス、俺はお前と一緒に転がってるぜ(4回繰り返し)
※ここでの「Jesus」はキリスト教のイエスを指すと同時に、ODB自身の有名なアルターエゴ(別名)である「Big Baby Jesus」を指すダブルミーニング。自らの狂気的なペルソナと同化していく様子が描かれている。
[Verse 2]
You'll all be in danger
お前ら全員危険な目に遭うぞ
You'll have a sex changer
性別まで変わっちまうくらいにな
I'm gettin more anger call me Dr. Stranger
俺はさらに怒りを増している、ドクター・ストレンジャーと呼びな
※マーベル・コミックの魔術師「ドクター・ストレンジ(Dr. Strange)」と「Stranger(見知らぬ者、より奇妙な者)」を掛け合わせたワードプレイ。
I master the demon demonic toys
悪魔のオモチャどもを俺が支配してやる
Sting you with the venom kill your joy!
毒液でお前を刺して、その喜びを殺してやるよ!
Bitches throw hands in the air like to be sodomized
ビッチどもはケツを掘られるみたいに両手を宙に挙げな
That's what I'm here for!
俺はそのためにここにいるんだ!
That's what I'm all about!
それが俺のすべてだ!
I get girls in the mood to wanna get physically fucked from me
俺は女たちを俺と肉体的にヤりたくなるような気分にさせるんだ
Oh big baby!
ああ、ビッグ・ベイビー!
Hippa to the hoppa and you just don't stoppa
ヒッパ・トゥ・ザ・ホッパ、そして止まらない
※ヒップホップ黎明期の古典的アンセム、The Sugarhill Gangの「Rapper's Delight」の有名なフレーズを引用。オールドスクールへの無邪気なオマージュ。
I control Michael Jackson's Thriller
俺はマイケル・ジャクソンのスリラーすらコントロールするぜ
Catch him and ruuhhahaha
あいつを捕まえて、ルゥアハハハ!
Fuck with the guys that'll make you shrug
お前をすくみ上がらせるような奴らに手を出してみな
I'm the only original
俺が唯一のオリジナルだ
Fuck you chump!
くたばりやがれ、マヌケ野郎!
Shut the fuck up!
黙りやがれ!
Yo did you understand that?
ヨー、分かったか?
[Chorus]
