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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Daytona 500 - Ghostface Killah (feat. Force MD’s, Cappadonna & Raekwon) 【和訳・解説】

Artist: Ghostface Killah (feat. Force MD’s, Cappadonna & Raekwon)

Album: Ironman

Song Title: Daytona 500

概要

Ghostface Killahのソロデビューアルバム『Ironman』(1996年)に収録された本作は、ヒップホップ史上最もサンプリングされたブレイクビーツの一つであるBob Jamesの「Nautilus」をRZAが見事に高速フリップした、疾走感溢れるクラシックである。タイトルの「Daytona 500(アメリカの有名な自動車レース)」が示す通り、極めてスピード感のあるビート上でRaekwon、Ghostface Killah、Cappadonnaの3人が矢継ぎ早にハードコアなラップをリレーする。さらにフックには、Wu-Tang Clanと同じスタテンアイランド出身の伝説的R&BグループForce MD'sを起用し、80年代のオールドスクールなストリート・ハーモニーと90年代の荒々しいマフィオソ・スタイルを完璧に融合させている。The Nation of Gods and Earths(ファイブ・パセンターズ)の教義と、ストリートの生々しいハスリング描写が入り乱れる、Wu-Tangの美学が極限まで濃縮された一曲である。

和訳

[Intro: Force MD's]

We are the G-O-D's
俺たちは神だ
※5% Nation(ファイブ・パセンターズ)の教義において、黒人男性は「God(神)」とされる。

And we came to rock the spot like Iron Man Starks
そしてアイアンマン・スタークスのようにこの場を揺るがしに来た
※「Starks」はGhostface Killahの別名Tony Starksのこと(マーベルのトニー・スタークに由来)。

They be the illest emcees in the world today
彼らは今日の世界で最もヤバいMCたちだ

Cappa, Raekwon and the R-Z-A
カッパ、レイクウォン、そしてR-Z-A

So listen to them clear, and put the box right near your ear
だからしっかりと耳を傾けろ、ラジカセを耳のすぐそばに置くんだ

Light your blunts and down your beers
ブラントに火をつけ、ビールを飲み干せ

'Cause you could never fuck with Wu-Tang Killa Beez
お前らじゃ絶対にウータン・キラービーズには敵わないからな

"From where we at to my man's cell
「俺たちのいる場所から、仲間の独房まで

From where we at—"
俺たちのいる場所から—」

[Verse 1: Raekwon]

Say peace to cats who rock MAC Knowledge-Knowledges
マック・ナレッジ・ナレッジをぶっ放す奴らにピースを送るぜ
※ヒップホップファンの間で語り草となっている伝説的なスラング。5% Nationの「Supreme Mathematics」において「Knowledge」は数字の「1」を意味する。つまり「Knowledge-Knowledge」は「11」であり、「MAC-11(サブマシンガン)」を暗号化して表現した極めて高度なワードプレイ。

Street astrologists, light up the mic, God, acknowledge this
ストリートの占星術師たち、マイクに火をつけろ、神よ、これを認めろ

Fly joints that carry two points, Corolla Motorola holder
2ポイントを持つイカしたジョイント、カローラに乗るモトローラ持ち
※「Motorola」は当時ドラッグディーラーの必須アイテムだったポケベル。トヨタのカローラに乗りながらシノギを削るハスラーの描写。

Play it, God, E-pack over the shoulder
かませよ神、肩にはEパックを背負ってな
※「E-pack」はEastpakのバックパック、あるいはドラッグを詰めたパッケージのこと。

Chrome tanks, player like Yanks, check the franchise
クロームの戦車、ヤンキースみたいなプレイヤーだ、フランチャイズをチェックしな

Front on my guys, my enterprise splash many lives
俺の仲間に楯突いてみろ、俺のエンタープライズは多くの命を血祭りにあげるぜ

Repel all fakes like reflectors
反射板みたいにすべてのフェイクどもを弾き返す

He had sugar in his ear in his last crack career
あいつは前回のクラックのキャリアで、耳に砂糖を詰め込まれてたんだ
※「sugar in his ear」は、甘い言葉に騙されやすい、またはストリートにおいて軟弱(ソフト)であることの隠語。

We can can him, manhandle him, if you wanna
俺たちはあいつをクビにできる、痛めつけることもできるぜ、お前が望むならな

Run in his crib-o, get ditto, skate like a limo
あいつの家に押し入り、同じように奪い取り、リムジンみたいに逃走する

And jet to the flyest estate, relate, take a break
そして最高にイカした屋敷へ飛び、話を合わせ、一休みする

Break down an eighth and then wait, drop it like Dre
8分の1オンスを砕いて待ち、ドレーみたいに落とすのさ
※マリファナ(またはコカイン)の計量と、Dr. Dreの爆発的なヒット曲(落とす=リリースする)を掛けた表現。

Thugs they be booin' and screwin', we canoein'
サグどもがブーイングして文句を垂れてる間、俺たちはカヌーを漕いで進む

Claim they doin' the same shit we doin' — fuck the union!
奴らは俺たちと同じことをやってると主張する、組合なんてクソ食らえだ!

It's the same style, RZA train, aboard, jump the turnstile
同じスタイルさ、RZAの列車だ、乗り込め、改札を飛び越えろ

On the Isle, he tried to challenge God for the new Bal's
この島で、あいつは新しいニューバランスのために神に挑もうとした
※「Isle」はスタテンアイランド(少林)。「God」はRaekwon自身。スニーカー欲しさに強盗を企てた愚か者への言及。

Especially that, aluminum bat in the Ac'
特にあれだ、アキュラに積んだアルミバット

Relax, lay back, sell a grenade a day — it pays, Black!
リラックスして、身を任せろ、1日に手榴弾を1個売る、儲かるぜ兄弟!

The MAC-10 flex, wipe cats like Windex
MAC-10を見せつけ、ウィンデックスみたいに奴らを拭き取る
※「Windex」はアメリカの有名なガラス用洗剤。敵を跡形もなく消し去る比喩。

Index finger be sore bustin' these fly scripts
このヤバい台本を書き殴って、人差し指が痛えよ

The Wally kid count crazily, grands revive lands
ワラビー・キッドが狂ったように札束を数える、大金が土地を蘇らせる
※Wu-Tangの象徴的アイテムであるクラークスのワラビーブーツ。「grands」は1000ドル札の束。

Layin' with my bitches and my mans in Lex Lands
レクサスやランドクルーザーの中で、女たちや仲間とくつろぐ

We losin' 'em, jet to the stash in Now Jerusalem
奴らを撒いて、ニュージャージーの隠し場所へ飛ぶ
※「Now Jerusalem」は5% Nationのスラングでニュージャージー州のこと。

Abusin' 'em, rockin' his jewels like we usin' 'em
奴らを痛めつけ、まるで自分たちの物のようにあいつの宝石を身につける

Low-pro star, seven thick waves rock Polar
目立たないスター、7つの厚い波がポーラーを揺らす

Roll with the Older God, build with the Sun, Moon and Star
年長の神とつるみ、太陽、月、星と共に構築する
※「Sun, Moon and Star」は5% Nationの思想における「男性、女性、子供(家族)」を意味する教義。

[Chorus: Force MD's]

All you's MCs start realizin'
お前らMC全員、気づき始めろ

That Ghost got that shit that'll keep you vibin'
ゴーストがお前らを揺らさ続けるシットを持ってるってことにな

The Wu is here to bring you Shaolin's finest
ウータンは少林の最高傑作を届けるためにここにいる

But if your skills are weak, you better step behind us
だがもしお前のスキルが弱いなら、俺たちの後ろに下がってた方がいいぜ

"Ghostface — Ghosface Killah!""
「ゴーストフェイス — ゴーストフェイス・キラ!」

[Verse 2: Ghostface Killah]

Mercury raps is roughed, then god just shown like taps
水銀のラップは荒削り、そして神はタップダンスのように現れた
※Ghostface特有の抽象的で難解なポエトリー。水銀のように流動的で猛毒なフロウの描写。

Red and white Wallys that match, bend my baseball hat
色を合わせた赤と白のワラビー、ベースボールキャップのツバを曲げる

Doin' forever shit like pissin' out the window on turnpikes
高速道路の窓から小便を撒き散らすような、永遠に変わらねえシットをやってる

Robbin' niggas for leathers, high swipin' on dirt bikes
レザーの服を奪うために奴らを襲い、ダートバイクでハイになって盗みを働く

Voice be mellow like Vaughn Harper, Radio Barber
声はヴォーン・ハーパーのようにメロウだ、ラジオの床屋さ
※「Vaughn Harper」はニューヨークのラジオ局WBLSの深夜番組「Quiet Storm」の伝説的DJ。自分の声質が彼のように滑らかであるという自負。

Murder sleep-away camp, the fly lady champ
お泊まりキャンプを殺戮する、イカしたレディースのチャンピオンだ

The arsonist who burn with his pen regardless
何があろうと自分のペンで焼き尽くす放火魔

Slayin' all these earthlings and fake foreigners
この地球人どもや、偽物のよそ者たちを皆殺しにする

In the Philippines, pick herbal beans, bubblin' strings
フィリピンでハーブの豆を摘み、沸き立つ弦の音

Biochemical cream, we burn kerosene
生化学のクリーム、俺たちは灯油を燃やす
※純度の高いドラッグ、または危険なリリックの比喩。

The conviction of my tape is rape, wicked like Nixon
俺のテープの判決はレイプだ、ニクソンみたいに邪悪だぜ

Blonde heads inscriptions with three sixes in
金髪の頭に666の刻印が彫り込まれてる
※映画『オーメン』などのオカルト的で悪魔的なイメージを引用し、自身の狂気性を演出している。

Kiss the pyramid experiment with high explosive
ピラミッドの実験にキスをしろ、高性能爆薬と一緒にな

I slapbox with Jesus, lick shots at Joseph
俺はイエスとスラップ・ボクシングをして、ヨセフに向けて銃をブッ放す
※Ghostfaceの最も有名で冒涜的なパンチラインの一つ。神の使いにすら平気で喧嘩を売るほどの無敵のストリート・ペルソナ。

Zoom in like binoculars — the rap blacksmith
双眼鏡みたいにズームインしろ — ラップの鍛冶屋だ

Money's Rolex was rockless, Chef ragtop is spotless
あの野郎のロレックスにはダイヤが入ってねえ、シェフのオープンカーは汚れ一つないぜ
※「Chef」はRaekwonのこと。フェイクなラッパーの安物の時計を笑い、仲間の高級車を誇示している。

I'm Iron Man, no die-cast metal, I'm steel-alloy
俺はアイアンマンだ、ダイキャストの金属じゃねえ、鋼の合金だ

True identity hidden inside secret tabloids
真の正体は秘密のタブロイド紙の中に隠されてる

Breathe oxygen, both sides of my jaw carry oxes
酸素を吸い込む、俺の顎の両側には刃物が仕込まれてる
※「oxes」は剃刀や刃物のストリート・スラング。言葉を発するたびに相手を切り裂くという比喩。

The track hit like the bangers in hundred watt boxes
このトラックは100ワットのスピーカーで鳴らすバンガーみたいにヒットする

Yo, jostlin' these cats while Little J be deli'in'
ヨォ、リトルJがデリで働いてる間に、この野郎どもを小突いてやる

Sip Irish Moss out of Widelians
ワイデリアンのグラスでアイリッシュモスをすするのさ
※「Irish Moss」はジャマイカの海藻飲料(精力増強剤としても知られる)。「Widelians」は高級ワイングラスのRiedel(リーデル)を独自のスラングで捩ったもの、あるいは完全に彼独自の造語と考察されている。

[Chorus: Force MD's]

"Rhymes like retail, make sure shit sell
「小売業みたいなライム、確実にこのシットを売りさばく

From where we at to my man's cell"
俺たちのいる場所から、仲間の独房まで」

All you's MC's start realizin'
お前らMC全員、気づき始めろ

That Ghost got that shit that'll keep you vibin'
ゴーストがお前らを揺らさ続けるシットを持ってるってことにな

The Wu is here to bring you Shaolin's finest
ウータンは少林の最高傑作を届けるためにここにいる

But if your skills are weak, you better step behind us
だがもしお前のスキルが弱いなら、俺たちの後ろに下がってた方がいいぜ

"Cappa-Cappa-Cappa-Cappachino"
「カッパ・カッパ・カッパ・カプチーノ」

[Verse 3: Cappadonna]

Give me the fifty thou', small bills, my gold plate, my slang kills
5万ドルを寄こせ、小額紙幣でな、俺の金皿、俺のスラングは殺人的だ

My beer spills, what up, Lils? Murder one, dun
俺のビールがこぼれる、調子はどうだリル? 第1級殺人だぜ、兄弟

Killer Bee stung, guess who back home, son?
キラービーが刺したぜ、誰が帰ってきたか当ててみな、小僧?

My technique of slang camp won, third platoon soon
俺のスラングのキャンプのテクニックが勝った、まもなく第3小隊だ

Cristal bottles, cages of boom, Papi wardrobe
クリスタルのボトル、爆音の檻、パピのワードローブ

The mad-hatter big dick style, beware goons
マッドハッターのビッグ・ディック・スタイルだ、用心棒どもに気をつけな

Smuggle balloons, Lorna Doones in fat pussy wounds
風船を密輸する、ファットなプッシーの傷口に隠したローナ・ドゥーン
※「Lorna Doones」はアメリカの有名なクッキーのブランドだが、ここではドラッグの隠語。女性の股間に麻薬を隠して密輸するという、Cappadonna特有の極めてグロテスクで不条理なリリシズムの極致。

Let the gods build, pull up the grill, check out the mad skills
神々に構築させろ、グリルを引き上げ、この狂ったスキルをチェックしな

Top-secret technique, too hard for you to peep it and keep it
最高機密のテクニックだ、お前が盗み見て真似するには難しすぎるぜ

Jiggy style of rap and watchin' knock our slang, sweep it
ジギーなスタイルのラップ、俺たちのスラングをパクるのを見張って、一掃する

Out-of-order tape recorder can't record my slaughter
故障したテープレコーダーじゃ、俺の殺戮は録音できねえよ

Spoil the rotten, Donna, too good to be forgotten
腐った奴らを甘やかすな、ドンナ、忘れ去られるには良すぎる存在だ

High top notch, borderline rhymes is Hancocked
最高のトップクラス、境界線のライムはハンコックされてる
※「Hancocked」はジョン・ハンコック(アメリカ独立宣言の最初の署名者)に由来し、「公式に署名され、承認された本物である」という意味のストリート・スラング。

'96, my ill sound clash is still hot
96年、俺のヤバいサウンドクラッシュは今でも熱いぜ

Get yourself shot!
撃たれないように気をつけな!

[Chorus: Force MD's]

All you's MC's start realizin'
お前らMC全員、気づき始めろ

That Ghost got that shit that'll keep you vibin'
ゴーストがお前らを揺らさ続けるシットを持ってるってことにな

The Wu is here to bring you Shaolin's finest
ウータンは少林の最高傑作を届けるためにここにいる

But if your skills are weak, you better step behind us
だがもしお前のスキルが弱いなら、俺たちの後ろに下がってた方がいいぜ