Artist: A$AP Rocky (feat. A$AP NAST & A$AP Twelvyy)
Album: LIVE.LOVE.A$AP
Song Title: Trilla
概要
2011年に発表されたA$AP Rockyの傑作ミックステープ『LIVE.LOVE.A$AP』に収録された本作は、A$AP MobのオリジナルメンバーであるA$AP TwelvyyとA$AP Nastを客演に迎えた、クルーの結束力と層の厚さを示すポッセカットである。テキサス出身のプロデューサーBeautiful Louが手掛けたビートは、90年代のニューヨークを代表するヒップホップ・デュオ、Das EFXの「Mic Checka」のボーカルを大胆にサンプリングしつつ、全体をサウス特有の重たくスクリューされた空気に染め上げている。タイトルである「Trilla」は、南部ヒップホップの伝説UGKらが広めたスラング「Trill(TrueとRealの造語)」の派生形だ。東海岸のオールドスクールなブーンバップの遺産を継承しながら、ヒューストンのカーカルチャーやドラッグの美学をNYのストリート・ハスラーの視点で再構築したこの楽曲は、地域の境界線が融解していく2010年代初頭のヒップホップのパラダイムシフトを完璧に体現している。
和訳
[Chorus: Skoob & A$AP Rocky]
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
※Das EFXの1992年のクラシック「Mic Checka」からのサンプリング。英語圏の童謡(マザーグース)の「One, two, buckle my shoe(1、2、靴のひもを締めて)」というフレーズを引用しており、オールドスクールなマイクテストの定番表現をチョップ&スクリューして再利用している。
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
[Verse 1: A$AP Rocky]
Pass the, pass the, pass the motherfuckin' Swisher, pour some motherfuckin' liquor
回せ、あのスウィッシャーを回せ、酒を少し地面に注いでくれ
※「Swisher」は安価な葉巻(スウィッシャー・スイーツ)。中身を抜いて大麻を詰めるブラントとして使用する。「pour some liquor」は、亡くなった仲間や刑務所にいる兄弟に敬意を表して酒を地面にこぼすストリートの伝統。
For my motherfuckin' niggas who ain't with us, keep it trilla
もう一緒にいられない俺のダチたちのために、ずっとトリルであり続けるぜ
My gold teeth, my french braids, getting throwed since tenth grade
金歯にフレンチブレイドの編み込み、高校2年の頃からずっとぶっ飛んでる
※「throwed」は薬物や酒で深くハイになっている状態を指すヒューストン・スラング。Rockyのアイコニックなビジュアル(金歯と編み込み)はサウスのカルチャーに強く影響されている。
Wealth is in the mind, not the pocket, if that's the case, then I been paid
富は心の中にあるもので、ポケットの中じゃない、もしそうなら、俺はずっと大金持ちだったってことだ
※物質的な貧しさの中でも、ストリートで磨いた精神性と自己肯定感(Swag)こそが真の豊かさであるというコンシャスなライン。
Herringbone chain, my gold frames, my Cartier's, you small change
ヘリンボーンのチェーン、ゴールドフレームのカルティエのサングラス、お前らはただの小銭だ
You bitch made, I'm old school, like gem stars and switchblades
お前らは女々しい野郎だ、俺はオールドスクールなんだよ、ジェムスターや飛び出しナイフのようにな
※「gem stars」はカミソリの刃のブランド。「switchblades」は飛び出しナイフ。どちらも80年代〜90年代のニューヨークのストリート・ギャングやハスラーが護身用に持ち歩いていたクラシックな武器であり、自分のスタイルがNYのハードコアな歴史に根ざしていることをアピールしている。
I spit game, I get paid, a pimp game
俺は言葉巧みに女を口説き、金を稼ぐ、ピンプのゲームさ
I be, I be that pretty motherfucker, A$AP is just my nickname
俺があのイケてるヤバい奴だ、A$APはただのニックネームにすぎない
※自分自身の真のアイデンティティは「Pretty Flacko」という美学そのものであり、クルーの看板(A$AP)以上の存在価値があるという強い自負。
I'm comin' down when I'm tippin' on them 4s (Yeah)
俺は44sを履いた車でストリートを流して現れるぜ
※「comin' down」「tippin' on 4s」はヒューストンのカーカルチャーのド定番のフレーズ。「4s(84s)」は1984年型キャデラックの30本スポークワイヤーホイール(スワンガ)のこと。
'Cause we shittin' on these, shittin' on these niggas and these hoes
俺たちは他の奴らやビッチどもを見下してるからな
'Cause that purp' shit, I sip up, your bitch chose, you slipped up
あのパープルを俺は飲み干す、お前の女は俺を選んだ、お前はヘマをしたんだ
※「purp'」はパープル・ドランク(リーン)。
I get-get my dick licked, I'm draped out, drip-dripped up
俺はフェラされてる、豪華な服で身を包み、ジュエリーを滴らせてるぜ
※「draped out, dripped up」はヒューストンのレジェンド、Lil Kekeのクラシック曲「Draped Up」からの引用。カスタムカーの豪華な内装や、ハイエンドなファッションで完璧にキメている状態を指すサウスのスラング。
Top of the top of the line, all on my grind, purple be easin' my mind
最高ランクの頂点、俺は常にハッスルしてる、パープルが俺の心を和らげてくれる
We runnin', we runnin', we gunnin', we gunnin', we're gonna hit one at a time, time
俺たちは走り続け、銃をぶっ放す、一人ずつ確実に仕留めていくぜ
Them bad bitches blow kisses by my earlobe
極上のビッチどもが俺の耳たぶにキスを吹きかける
A weirdo but I'm real though
俺は変わり者だが、リアルな男だぜ
※ハイファッションを着こなし、南部と東海岸をミックスする自分のスタイルが、当時の保守的なNYシーンからは「weirdo(変わり者)」と見なされていたことを自認しつつ、それでも自分の在り方が最も「Real」であると宣言している。
[Chorus: Skoob & A$AP Rocky]
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
[Verse 2: A$AP Twelvyy]
Yeah, uh
All these boppers wanna bop 'em, niggas wanna jock 'em
尻軽女たちは俺にすり寄りたがり、男たちは俺のスタイルをパクりたがる
※「boppers」は南部特有のスラングで、ラッパーの取り巻きになるようなグルーピーの女性。「jock」は他人のスタイルや成功に便乗する、真似するという意味。
Not a red light or a city cop that can stop 'em
赤信号も、街のサツも、俺たちを止めることはできないぜ
Going broke is not an option, always on that cash flow
無一文になるなんて選択肢はない、常に現金を回し続けてる
She used to call me asshole, now she drop that ass low
昔は俺のことをクソ野郎(Asshole)と呼んでた女が、今じゃ俺の前で腰(Ass)を低く落とす
※成功によって過去の女性の態度が手のひら返ししたことを、「ass」という単語で韻を踏んで皮肉っている。
Fuck it, man, I'm past dope, sour diesel slash coke
どうでもいいぜ、俺は最高(Dope)のその先を行ってる、サワー・ディーゼルにコカインさ
※「sour diesel」は非常に強烈な匂いと効き目を持つ高級な大麻の品種。
A$AP, we the last hope, fuck it, this my fast flow
A$AP、俺たちがヒップホップの最後の希望だ、どうにでもなれ、これが俺のファスト・フロウだ
I slow it down, I pick it up, blue jeans, I rip 'em up
フロウを遅くしたり、早くしたりする、ブルージーンズを俺は引き裂く
※スクリューされたビートに乗せて、フロウの緩急を自在に操るTwelvyyのスキル。ダメージジーンズを履きこなすファッションセンスともかけている。
That's swag, bitch, you mad, bitch, see you in my past, bitch
それがスワッグだ、ビッチ、お前は怒ってるな、過去に置いていってやるよ、ビッチ
I'm headed to the future, Twelvyy ain't no loser
俺は未来に向かってるんだ、トゥエルヴィーは敗者じゃない
Mixing up that syrup, call it Punky Brewster
あのシロップを混ぜ合わせる、パンキー・ブリュースターと呼んでくれ
※「Punky Brewster」は1980年代のアメリカのシットコム(コメディドラマ)のタイトルであり、カラフルな服を着た主人公の少女の名前。色鮮やかな咳止めシロップ(リーン)と、複数のドラッグを混ぜ合わせる様子をカラフルなキャラクターに例えたユーモアのあるリファレンス。
I'm slurring, what's up? Don't tell me to shut up
ろれつが回ってないぜ、文句あるか?俺に黙れなんて言うなよ
I ain't tryna start shit, but, man, I'm really fucked up
揉め事を起こすつもりはないが、マジで俺は完全にイカれてるんだ
I lucked up, I see it as a come up (Yeah)
俺は運が良かった、これを這い上がるチャンス(カムアップ)だと捉えてる
I'm on my job, man, I see you when the sun's up (Yeah)
俺は自分の仕事に集中してる、日が昇る頃にまた会おうぜ
Huh, young niggas run everything
若え奴らがすべてを牛耳ってるんだ
A$AP to the top, and these bitches love everything
A$APは頂点へ向かう、そしてビッチどもは俺たちのすべてを愛してる
[Verse 3: A$AP Nast]
Uh, God bless America, my flow is scarier
アメリカに神の祝福を、俺のフロウはもっと恐ろしいぜ
Style wild like my nigga Common after Erykah (Damn)
エリカ・バドゥと付き合った後のコモンのように、俺のスタイルはワイルドだ
※ヒップホップファンの間で語り草になっている有名なエピソードの引用。シカゴのラッパーCommonは、ネオソウルの女王Erykah Baduと交際後、ファッションや音楽スタイルがよりボヘミアンでエキセントリック(ワイルド)に変化したと言われており、Nastは自身の予測不能なスタイルをそれに例えるという高度なヒップホップIQを見せつけている。
Your bitch, I'm in bed with her, head so good
お前の女、俺はあいつとベッドにいるぜ、フェラが最高なんだ
Make a nigga feel good to the point I wanna marry her (Uh)
あまりにも気持ちよくて、あいつと結婚したくなるくらいにな
But I be on my pimping shit, check out my limp and shit (Yeah, uh)
だが俺はピンプのやり方を貫く、俺の歩き方(リンプ)を見てみろよ
※「limp」は足をひきずるように歩くこと。ストリートのピンプ(ポン引き)たちが誇示する、威圧的でリズミカルな独特の歩き方「ピンプ・ウォーク」のこと。
I be getting money, getting money, can you dig it, bitch? (Uh)
俺は金を稼ぎまくってる、わかるか、ビッチ?
Hoes get on my pimping ship, all aboard, all aboard (Uh)
ビッチどもは俺のピンプ船に乗り込む、全員乗船だ
East coast motherfuckers making all the noise, all the noise
東海岸のヤバい奴らが、あらゆる場所で騒ぎを起こしてるぜ
I know you niggas heard of us, Raf Simon murderers (Uh, uh)
お前らも俺たちの噂を聞いたはずだ、ラフ・シモンズの殺人鬼たちってな
※「murderers(殺人鬼)」はヒップホップにおいて「ビートを殺す(完璧に乗りこなす)」という意味だが、ここでは「Raf Simonsのようなハイブランドの服を完璧に着こなし、圧倒する集団」という意味で使われている。A$AP Mobのファッション信仰の強さを示すパンチライン。
Fashion killer, word to Bigga Bars, I never heard of ya
ファッション・キラーさ、Bigga Barsにかけて誓うぜ、お前のことなんて聞いたこともないな
※「Fashion killer」は後にRockyの楽曲タイトルにもなるA$APの代名詞。「Bigga Bars」はおそらく地元の仲間やクルー周辺の人物へのシャウトアウト。
Still sipping, candy painted whips is what I'm sitting in
まだすすり続けてる、俺が座ってるのはキャンディペイントの車だ
Kitchen chemist whipping up that shit that get these bitches in
キッチンの化学者が、ビッチどもを夢中にさせるヤバいブツ(クラック)を精製してる
※ドラッグの売人(ハスラー)を、キッチンでコカインを調理してクラック・コカインを作る「化学者」に例えている。
New York Nasty flow, that's a little bit of crack mixed in with a fifth of Hen
ニューヨークのナスティなフロウ、それはヘネシーの5分の1ガロン瓶にクラックを少し混ぜたような中毒性だ
※自分自身の名前(Nast / Nasty)と、NYのリアルなストリートの空気感、そしてドラッグのような強烈な依存性のあるラップスタイルをフリップしている。
Businessman, middle finger to your fucking business, man
ビジネスマン気取りか、お前のクソみたいなビジネスには中指を立ててやるよ
Great adventure shit, rollercoasting, take a flick of this
大冒険だぜ、ジェットコースターに乗ってるみたいだ、この様子を写真に撮っておけ
Motion picture shit, bitch, I grind like a skater do
映画のような人生だ、ビッチ、俺はスケーターみたいにグラインド(ハッスル)するんだ
※「grind」はストリートで金を稼ぐために必死に働くことと、スケートボードのトリック(グラインド)をかけたワードプレイ。A$AP Mobがスケートカルチャーとも深い親和性を持っていたことを示している。
Always strive and prosper, Rock', what level we gon' take it to?
常に努力し、繁栄する(Always Strive And Prosper)、ロッキー、俺たちはどこまで上り詰めるんだ?
※A$APのバクロニム(頭文字の由来)である「Always Strive And Prosper」を宣言し、リーダーであるRockyに呼びかけてクルーの野心を見せつけ、バースを締めくくる。
[Chorus: Skoob & A$AP Rocky]
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle my, um (Yeah)
俺の靴ひもを、えーっと
One, two, um
ワン、ツー、えーっと
Buckle—
俺の靴ひもを—
