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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

3AM on Glenwood - 21 Savage 【和訳・解説】

Artist: 21 Savage

Album: Her Loss

Song Title: 3AM on Glenwood

概要

「3AM on Glenwood」は、Drakeと21 Savageのジョイント・アルバム『Her Loss』において、唯一21 Savageのソロとして収録された極めて内省的なトラックだ。タイトルのフォーマットは、Drakeのキャリアを象徴する伝説的な「時刻+場所(Time & Location)」シリーズ(例:5AM in Toronto, 4PM in Calabasasなど)の冠を、21 Savageが継承したものである。「Glenwood」は彼が育ったアトランタの過酷なストリート、グレンウッド・ロードを指している。アルバム全体に漂う「Mob Boss」的な傲慢さや皮肉とは対照的に、本作では殺害された弟や親友たちの名前(Skiney, Johnny, Taymanなど)が生々しく刻まれ、彼自身が抱える深いPTSDと喪失感が淡々と語られる。NBA選手やネットの有名人、音楽業界の搾取構造を巧みに織り交ぜながら、どれほどの富と名声(M's)を得ても決して癒えることのないストリートの傷痕を、静かなる殺気とともに吐露した記念碑的かつ切実な一曲である。

和訳

[Verse]

Woah, I get rid of all the smoke like Ozium
オジウムみたいに、すべての煙を消し去ってやる
※「Ozium」はアメリカで定番の強力な空気消臭スプレー。「smoke」はストリートスラングで「銃撃戦」や「ビーフ」を意味し、敵対関係を(殺害して)完全に抹消するという宣言。

Shorty got that real jelly, yeah, petroleum
あの子は本物のゼリーを持ってる、ああ、ペトロリアムだ
※「ペトロリアム・ゼリー(ワセリン)」と、女性の豊満なヒップ(jelly)をかけた言葉遊び。

Niggas actin' like my kids and they be older than him
奴らは俺の子供みたいに振る舞っているが、実際の年齢は俺の子供より上だ

Can't believe they killed Skiney, I really growed up with him
スキニーが殺されたなんて信じられない、あいつとは本当に一緒に育ったんだ
※「Skiney」は21 Savageの幼馴染であり、抗争で命を落とした親友。

I'ma leave a lot of niggas covered in roses for him
あいつのために、大勢の野郎どもを薔薇まみれにしてやるよ
※親友の復讐として、敵の葬式(薔薇が供えられる)を大量に出すという暗喩。

Spray the witness, I ain't leavin' no Jehovah for them
目撃者も蜂の巣にしてやる、奴らのためにエホバなんて残しておかないぜ
※「エホバの証人(Jehovah's Witnesses)」と、犯罪の「目撃者(witness)」をかけたワードプレイ。目撃者すら生かしておかない冷酷さ。

Won a GRAMMY and I couldn't even show it to him
グラミー賞を獲ったのに、あいつに見せることすらできなかった
※21 SavageはJ. Coleとの「a lot」でグラミー賞を受賞したが、亡き友人とその栄光を分かち合えなかった悲痛な思い。

Put my face inside a line up, niggas know that I'm him
面通しの列に俺の顔を並べてみろ、奴らは俺が「その男」だって分かってるさ
※「line up」は警察署での容疑者の面通し。自分が本物のギャングスタ(I'm him)であることを、敵も恐れて認めているという事実。

Anybody speakin' on my brothers got stepped on
俺の兄弟たちについて口を滑らせた奴は、全員踏み潰されてきた

Pull up from the three like Stеphen
ステフィンみたいに、スリーポイントラインから撃ち抜いてやる
※NBAの歴史的スーパースター、ステフィン・カリー(Stephen Curry)の3ポイントシュートと、遠距離からの銃撃(ドライブバイ)をかけたライン。

And the coupe bald-hеaded like the other Stephon
そしてこのクーペは、もう一人のステフォンみたいにハゲ頭だぜ
※「もう一人のステフォン」とは、スキンヘッドがトレードマークの元NBA選手ステフォン・マーブリー(Stephon Marbury)のこと。車の屋根がない(コンバーチブル)状態をハゲ頭に例えている。

Put my kids in private school so they could get they prep on
子供たちを私立の学校に入れた、プレップ・スクールで学べるようにな

Think my heart made out of Teflon
俺の心臓はテフロンでできてるんだろ
※テフロンは防弾チョッキなどの軍事・警察用品に使われる素材。心がない、傷つかないと思われていることへの吐露。

What? What? Think my heart bulletproof
何だ? 俺の心が防弾仕様だとでも思ってるのか

You ain't got a mask, I can show you what a hoodie do
マスクがないなら、フーディーがどう役立つか教えてやるよ
※顔を隠すためのスキーマスクがなくても、パーカー(フーディー)の紐をきつく縛れば顔を隠せるという、ストリートでの犯罪の知恵。

Pull the string tight 'til your eyelids covered too
まぶたが隠れるくらいまで、紐をきつく縛り上げるんだ

I think they on the left, roll the window, hit the lights, boom
奴らは左にいると思う、窓を開けて、ライトを消せ、ドカンだ
※夜間のドライブバイ(車からの銃撃)の極めて生々しく冷徹な描写。

Everybody wish they switched sides when we comin' through
俺たちが通り過ぎる時、誰もが寝返っておけばよかったと後悔する

Everybody wish they was inside when we comin' through
俺たちが通り過ぎる時、誰もが家の中にいればよかったと後悔する

I pray that you ain't on the other side when we comin' through
俺たちが通り過ぎる時、お前が向こう側(敵側)にいないことを祈るよ

PTSD and I mean it
PTSDだ、マジで言ってるんだ
※凄惨な暴力と死を日常的に目撃してきたことによる心的外傷後ストレス障害。

Nigga, Johnny got killed and I seen it
なあ、ジョニーが殺されたんだ、俺はこの目でそれを見たんだよ
※「Johnny」は21 Savageの親しい人物(一説には実弟)。トラウマの根源。

I can't fight with these demons
この悪魔たちと戦うことなんてできない

Top shotta, nigga, I got gunfire for these demons
トップ・ショッタだ、この悪魔どものために銃火を用意しているぜ
※「Top shotta」はジャマイカのパトワ語で「凄腕の殺し屋、大物」。内なる悪魔(トラウマ)も敵も、すべて暴力でねじ伏せるしかない現状。

Hope you know you gotta stand on all that shit you been tweetin'
お前がツイートしてきたくだらないこと、全部自分で責任を取らなきゃならないって分かってるよな

Took some real niggas from me, I could kill the whole world and I still won't be even
本物の兄弟たちを奪われた、この世界の全員を殺したって、まだ割に合わないぜ
※どれだけ復讐で血を流しても、親友や家族は絶対に戻ってこないという虚無感。

I be thinkin' 'bout my brothers while I'm shoppin' in Neiman's
ニーマン・マーカスで買い物をしてる時でさえ、兄弟たちのことを考えているんだ
※「Neiman Marcus」はアメリカの超高級デパート。莫大な富を手に入れても喪失感は一瞬たりとも消えない。

Real gangster, when I'm gone, carve my name in the cement
本物のギャングスタだ、俺が死んだら、コンクリートに俺の名前を刻んでくれ

Watch these hoes when you rich, they play games with the semen
金持ちになったら女たちに気をつけろ、奴らは精液でゲームを仕掛けてくるからな
※金目当ての女性が計画的に妊娠を狙う(Sperm jacking)ことへの警戒。

Trials and tribulations, I face them
試練と苦難、俺はそれらに立ち向かう

Prosecutors probably wanna case him
検察官はあいつを事件に巻き込みたいんだろうな

See my opps, I jump out and chase them
敵を見つけたら、車から飛び出して追いかけるぜ

I ain't Charleston White, nigga, I'll never Mace them
俺はチャールストン・ホワイトじゃない、あいつらに催涙スプレー(メイス)なんて絶対に使わないぜ
※Charleston Whiteはネット上で物議を醸すインフルエンサーで、敵対者に催涙スプレー(Mace)を噴射したことで知られる。21 Savageはそんな姑息な手段は使わず、直接銃を行使するというマウント。

Love for all my artists, nigga, I'll never Mase them
俺のレーベルのアーティスト全員に愛を、奴らをメイスみたいに搾取したりはしないぜ
※「Mase」はBad Boy Records出身のラッパー/牧師。自身のアーティスト(Fivio Foreignなど)と極めて不公平な契約を結び搾取したとして批判されている。直前の「Mace」と踏んだ同音異義語の痛烈なサブリミナル・ディス。

Shit, that's probably why they hate him
クソ、だから奴らは彼を憎んでるんだろうな

Tryna get my brother out of jail, I'm like, "Hey, Kim"
兄弟を刑務所から出すために、「ヘイ、キム」って連絡するのさ
※「Kim」はキム・カーダシアン。彼女はアメリカの刑務所改革や恩赦のロビー活動に積極的に取り組んでおり、不当に重い刑を受けた受刑者の解放を支援している。

Cut from a different cloth, he never let it break him
あいつは生まれ持ったモノが違う、決して自分を壊させたりはしない

Look at my advance, it make me wonder, would I make them?
自分のアドバンス(前払金)を見ると、不思議に思うんだ、俺はこれだけ稼げるのか?と

But I own my masters, so I can't do shit but thank them
だが俺は自分のマスター権(原盤権)を所有している、だから奴ら(レーベル)には感謝するしかないね
※多くの若手ラッパーがレーベルに原盤権を奪われ搾取される中、21 Savageはインディペンデントの精神を貫き、最初から原盤権を100%保持する極めて有利な契約を結んでいることの証明。

Video visits, he be smilin' on FaceTime
ビデオ面会、あいつはフェイスタイムで笑ってる

Passionate, I'm talkin' with my hands, these ain't gang signs
感情が高ぶって、手振り身振りで話しているんだ、これはギャングサインじゃないぜ

You don't know Larry, Tayman, or CJ, you ain't one of mine
ラリーも、テイマンも、CJも知らないなら、お前は俺の仲間じゃない
※「Larry, Tayman, CJ」は21 Savageの亡くなった親友や兄弟たち。彼らの生きた証と死の痛みを知らない人間は、決して身内とは認めないという強烈な線引き。

Braids on my neck, nigga, I ain't got no hang time
首にはブレイドがかかってる、なあ、俺には滞空時間(ハングタイム)なんてないぜ
※「hang time」はバスケットボールの滞空時間や、「ダラダラと遊んで過ごす時間」を意味する。ドレッド(ブレイド)が首にかかるほど成長したが、無駄に遊んでいる暇はないという表現。

Nigga, I ain't got no kick-it for you
なあ、お前とダラダラ過ごす(キック・イット)時間なんてないんだ

I don't wanna make friends
友達を作る気もない

I don't wanna make amends
仲直りする気もない

I'm chasin' Ms
俺はミリオン(M)を追いかけてるんだ
※「M」はMillions(数百万ドル)。過去のトラウマを抱えながらも、ただひたすらに巨万の富を追求し続けるという孤独な決意。

[Outro]

Yeah, facts

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