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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

The Remorse - Drake 【和訳・解説】

Artist: Drake

Album: Certified Lover Boy

Song Title: The Remorse

概要

「The Remorse」は、2021年のアルバム『Certified Lover Boy』を締めくくる、極めて内省的でエモーショナルなアウトロ・トラックだ。Drakeはここで「Lover Boy」の仮面を外し、ブレイク以前から共に歩んできた母親やOVOの初期メンバーへの深い感謝を捧げる。同時に、2009年のデビュー以来常に付き纏う業界からのヘイト、頂点に立ち続けることの重圧、そして誰も信用できない孤独という「Sad Boy」としての葛藤を吐露する。しかし終盤では、巨額の富や原盤権の所有、トロント・ラプターズの優勝リングを引き合いに出し、「Mob Boss」としての揺るぎない成功を誇示。「勝者には誰も祈りを捧げない」という冷酷な真理に行き着く、王者の孤独と後悔(Remorse)、そして覚悟が入り交じる重厚な独白である。

和訳

[Intro]

Yeah (Huh)

Yeah

[Verse 1]

Look, me and Lil Sandra bagging CDs in the bubble wrap
ほら、俺とリル・サンドラでCDをプチプチに包んでいた頃のことだ
※「Lil Sandra」はDrakeの母親であるSandi Grahamのこと。ブレイク前、手焼きのミックステープを母親と二人で梱包して発送していた下積み時代への回顧。

People recognize me from the TV, but I'm done with that
テレビに出ていた俺に気づく奴らもいたが、あの頃の俺はもう終わっていた
※俳優として出演していたカナダの学園ドラマ『Degrassi: The Next Generation』時代のこと。俳優を辞め、ラッパーとして再出発した決意。

People don't wanna see me succeed, this shit come with that
連中は俺が成功するのを見たくないんだ、こういうクソみたいな事態は付き物さ

Even when I come back, I don't know if it's me that's gonna be coming back
たとえ俺が戻ってきたとしても、戻ってくるのが本当の俺自身なのか分からない

Soon as I left, I had to make peace with that
地元を離れた途端、俺はその事実を受け入れなきゃならなかった

Dropped out of school 'cause nobody was teaching that
学校を中退したよ、そんな現実の厳しさは誰も教えてくれなかったからな

The Best Western is where a nigga was sleeping at
ベスト・ウェスタンが俺の寝床だった
※「Best Western」は安価なビジネスホテルチェーン。無名時代の過酷なツアー生活。

Daemen College booking me to pull up and speak the facts
デーメン・カレッジが俺をブッキングして、そこへ乗り込んで真実を語っていた
※ニューヨーク州の小さな大学。キャリアの極めて初期にライブをした場所を挙げて初心を振り返っている。

Even if they make a movie 'bout us, this shit'll be hard to re-enact
もし俺たちの映画が作られたとしても、この道のりを再現するのは難しいだろうな

Dislocated shoulder, it's hard to be always reaching back
肩を脱臼しそうだ、いつも後ろを振り返って昔の仲間を引っ張り上げるのは骨が折れる

All these IOU's, it's hard for me to be keeping track
これだけ借用書が溜まると、誰にいくら貸したか把握しておくのも難しいぜ

Friends that dedicated they life to just keepin' me intact
俺を崩壊させないためだけに、自分たちの人生を捧げてくれた仲間たち

Hard to pay 40, pay Noel, pay Niko back
40に、ノエルに、ニコに借りを返すのは至難の業だ
※OVO Soundの創設メンバーたち。プロデューサーのNoah "40" Shebib、エンジニアのNoel Cadastre、親友のNiko。

All the nights I needed to vent to someone and CJ sat
誰かに愚痴をこぼしたかった夜、CJはいつもそばに座ってくれた

All the nights Chubbs was pulling up where I need him at
俺が必要とした夜、チャブスはいつでもその場所に駆けつけてくれた
※CJ Gibsonと、Drakeのボディガードであり長年の友人であるChubbs。

All the times Mark was making sure that my luggage packed
俺の荷物がちゃんとパッキングされているか、マークはいつも確認してくれた

Or times he had to double back (Oh-oh, oh-oh)
忘れ物を取りに戻らなきゃならない時だってあったな
※OVO Markのこと。裏方として支え続けてくれたクルーへの愛。

I mean, even with his salary, you can't put no prices on that
つまり、あいつに給料を払っていたとしても、あの献身に値段なんてつけられないってことさ

There is no salary cap, there is no payin' him back, for real
サラリーキャップなんて存在しない、本当に、恩を返すことなんてできやしないんだ

I wonder what it could've been if I had snakes in the mix
もし俺の輪の中に蛇が紛れ込んでいたら、一体どうなっていたことか
※「snakes」は裏切り者。初期メンバーが一人も裏切らずに結束していることの奇跡。

Actually, I never wanna know 'cause we made it like this
実のところ、そんなこと知りたくもないね、俺たちはこのやり方で成功したんだから

Shots gotta fly either way, now I make it or miss
どのみちシュートは撃たなきゃならない、今は決めるか外すかのどちらかだ

Overtime hours all good, we take it in shifts
残業だって大歓迎だ、俺たちでシフトを組んでこなしてやるさ

What would you do if it wasn't this? That's a hard one
これ以外に何ができたか? それは難しい質問だな

The finish line is where I like to pull up and start from
皆にとってのゴールラインこそが、俺が車を停めてスタートを切る場所なんだ
※他のラッパーの限界(頂点)が、自分にとっての新たな始まりであるという絶対王者のマウント。

Pain is just a place that I go to get the bars from
痛みなんてものは、俺がリリック(バー)を引き出すために立ち寄る場所でしかない

Anxiety's a drug that I use to get the job done
不安は、俺が仕事を終わらせるために使うドラッグだ

Delusional's a space I like to think that I'm far from
妄想の世界には、なるべく近づきたくないと思っている

My son is the one thing I hate to be apart from
俺の息子は、俺が絶対に離れたくないと願う唯一の存在だ
※息子Adonisへの深い愛。孤独なスーパースターの唯一の人間らしさ(Sad Boy的要素)。

Bet against me, don't know where they getting the odds from
俺の負けに賭けやがる、奴らがどこからそんなオッズを弾き出してるのか見当もつかないぜ

I know that when it's done, I'm going wherever God's from
すべてが終わった時、俺は神が来た場所へ向かうって分かってる

But I still don't know where I get the calm from
でも、自分がこの心の平穏をどこから得ているのか、未だに分からないんだ

(Where I get the calm from) Yeah
(この平穏をどこから得ているのか)

[Interlude]

(Oh-oh-oh-oh, oh-oh-oh-ooh)

Yeah-yeah, yeah, yeah-yeah

Oh-oh, oh-oh, oh-oh

Woah, woah-woah, woah, woah, woah

Yeah (Woah, woah)

Yeah

[Verse 2]

Look, gotta hold my head high with two dry eyes
なぁ、涙をこらえて、頭を高く上げていなきゃならないんだ

I told you everything is fine, dawg, but I lied
お前にすべて順調だって言ったが、ダチよ、あれは嘘だ

I be tryna draw the line, but it's a fine line
境界線を引こうとしているが、それはひどく曖昧な線なんだ

And I'm drownin' out the noise from the sideline
そして俺は、サイドラインからの外野のノイズをかき消そうとしている

Sometime it's louder than the voice I got in my mind
時々、そのノイズは俺の頭の中の声よりも大きく響くんだ

I can't even hear myself when I get quiet time
静かな時間を作っても、自分自身の声すら聞こえないくらいにな

Like, how they tellin' me I'm done, when I'm in my prime?
俺が全盛期にいるっていうのに、どうして奴らは俺が終わったなんて言えるんだ?

They've been tryna push a narrative since '09
2009年からずっと、奴らは勝手な物語を押し付けようとしてきやがる
※ブレイク作となったミックステープ『So Far Gone』(2009年)の頃から、常に「Drakeはヒップホップじゃない」「ゴーストライターがいる」などと批判され続けてきたこと。

And they even had my ass convinced a couple times
何度かは、俺自身でさえその言葉を信じ込みそうになったよ

But that ain't even the half, I had tougher times
でもそんなのは半分にも満たない、もっと過酷な時期を乗り越えてきたんだ

Only look for sympathy inside my mother's eyes
同情は、俺の母親の目の中にしか求めない

And it's whatever with them niggas on the other side
向こう側(敵陣営)の奴らがどうなろうと、俺の知ったことじゃない

We got problems we could never really put aside
俺たちには、どうしても脇に置けない問題があるんだ

I cracked the door for us all, put my foot inside
俺がみんなのためにドアをこじ開け、足をねじ込んだ

I tried to kill them boys with kindness, but they wouldn't die
優しさで奴らを殺そうとしたが、奴らは死ななかった
※「Kill them with kindness(優しさで敵を打ち負かす)」という慣用句。ヘイターに対しても最初は大人な対応を取っていたことを指す。

So now I kill 'em all for acting like they couldn't die (Yeah)
だから今度は、自分たちが不死身だと勘違いしてる奴らを全員皆殺しにしてやるのさ
※平和的な解決を捨て、容赦なく敵を潰す「Mob Boss」への覚醒。

My hard work doesn't just pay off, it pays all the family debts off
俺の努力はただ報われるだけじゃない、家族の借金をすべて清算してやるレベルだ

I'm taking heads off, Future out here like Irving Azoff
俺は敵の首を刈り取る、フューチャーはここでアーヴィング・エイゾフみたいに立ち回ってるぜ
※「Future」はDrakeのマネージャーであり盟友のFuture the Princeのこと。「Irving Azoff」は音楽業界の伝説的で超大物のエグゼクティブ。自分たちのビジネスがもはやアーティストの枠を超えた権力を持っていることのアピール。

Houses paid off, label paid off
家のローンも完済、レーベルの金も完済だ

My soul for the money wasn't the trade-off
金のために魂を売るような取引はしなかったぜ

Unlike most of you boys that fade off
消えていくお前らの大半とは違ってな

I feel guilty taking some days off
俺は数日休みを取るのさえ罪悪感を感じるんだ

Please don't google my net worth, the numbers are way off
頼むから俺の総資産をググらないでくれ、あの数字は全く見当外れだからな
※ネットに出回っている資産額よりも、遥かに桁違いの金を稼いでいるというマウント。

I mean, if you comparin' it to what I really made off with
つまり、俺が実際に持ち逃げした額と比べるなら

I'm more like Bernie with all the earnings that they came off
奴らが手放したすべての利益を手にした俺は、まるでバーニーみたいなもんさ
※「made off(逃げる)」と、史上最大の巨額詐欺事件を起こした「Bernie Madoff(バーニー・マドフ)」をかけた天才的なワードプレイ。

Trust me it was nothin' light, holmes
信じてくれ、軽いもんじゃなかったぜ、兄弟

They tried to give me a slice of the pie, and I took the knife home
奴らは俺にパイの一切れを与えようとしたが、俺はそのナイフごと家に持ち帰ったんだ
※音楽業界が彼に小さな取り分(一切れのパイ)だけを与えようとしたのに対し、パイを切り分ける権利(ナイフ=原盤権や絶対的な決定権)そのものを奪い取ったというボスとしての宣言。

I know you love me
お前らが俺を愛してるのは分かってる

Can't picture bein' a hubby, finger too stubby to fit a ring on
良き夫になる姿なんて想像できない、俺の指は太短すぎて指輪なんて似合わないからな

Unless Kawhi wanna run it back
カワイがもう一度優勝でもしない限りな
※NBAプレイヤーのKawhi Leonardが、2019年にトロント・ラプターズを優勝に導いた際、チームのグローバルアンバサダーであるDrakeも巨大な「チャンピオンリング(指輪)」を手にした。結婚指輪はしないが、優勝リングならはめるというユーモアと地元愛。

Other than that, the strings'll be unattached
それ以外なら、俺は誰にも縛られることはない

Certified Lover Boy, I'm not the one for cuddling or none of that
公認のプレイボーイさ、俺はイチャイチャ抱き合ったりする柄じゃない

Y'all music gets watered down, when you love 'em back
お前らの音楽は、ファンに愛を返し始めると薄っぺらくなるんだ
※ファンに媚びず、常に毒(エゴ)を持ち続けることが良質な音楽を生むという持論。

And you know what I'm on, blowing past ya, owning masters
俺が何を狙ってるか分かるだろ、お前らをぶっちぎって、原盤権(マスター)を所有することさ

Said you're like a father figure to me, but now daddy's not around so I'm a bastard
あんたは俺の父親代わりだと言っていたが、今じゃ親父はいない。だから俺は私生児(バスタード)さ
※キャリア初期に父親代わりのように接してきたBirdmanやLil Wayne、あるいはJ. Princeといった業界の重鎮たちとの現在の距離感を示唆している。誰の後ろ盾もなく頂点に立つ孤独。

Oh, of course, the only villain that show remorse when I owe you more
ああ、当然さ、俺は借りが増えた時にだけ後悔(リモース)を見せる、唯一の悪役だからな

Soft spot for all the ones that came before, I can't ignore it
先人たちへのリスペクトという弱点が俺にはある、それを無視することはできない

I'm always tryna rekindle
俺はいつも関係を修復しようとしているんだ

From the bottom to the top, man, what's it like in the middle?
どん底から頂点まで来たが、なぁ、真ん中(中途半端な場所)ってどんな気分だ?

From the lemon faced radio host that love to be bitter
いつも苦虫を噛み潰したような顔をして、毒を吐くのが大好きなラジオホストから
※ラジオ番組『The Breakfast Club』のホストであり、事あるごとにDrakeを批判してきたCharlamagne tha Godへの強烈なディス。

To my dogs in the game who wasn't pick of the litter
一番の才能(有望株)じゃなかった、このゲームにいる俺の仲間たちへ

For the young Gs out here starting from the beginning
そして、今ここから始まりのステップを踏み出そうとしている若いギャングたちへ

Nobody praying for you when you winning, don't forget it (Winning, don't forget it)
お前が勝者になった時、誰も祈ってなんかくれない。それだけは忘れるな(勝者の孤独を忘れるな)

[Outro]

Woah, woah, woah-woah

Woah, woah

Woah, woah-woah, woah

Woah, woah, ah

Said it's hard when it starts to fade away
色褪せ始める時は辛いものさ

Said it's hard when it starts to fade away
消えゆく時は過酷なものだと言ったんだ

Yeah (Ooh, yeah)
ああ

Said it's hard when it starts to fade away
色褪せ始める時は辛いものさ

Hard when it starts to fade away
消えゆく時は過酷なんだ

It's hard when the memories start to fade away
思い出が色褪せ始める時は辛いものさ

Said its hard when the memories start to fade away
思い出が消えゆく時は過酷なものだと言ったんだ

(Yeah, yeah, yeah, yeah)

(Ooh, ooh) So beautiful
(ああ)とても美しいよ

Yeah, yeah, yeah
ああ、そうさ