Artist: Drake (feat. Young Thug & 2 Chainz)
Album: More Life
Song Title: Sacrifices
概要
『More Life』(2017年)に収録された「Sacrifices」は、Drake、2 Chainz、Young Thugという強烈な個性が集結し、それぞれが頂点に立つために払ってきた「犠牲」と、現在の圧倒的な成功を歌い上げるメランコリックなトラップ・チューンである。Drakeはバースの冒頭で「1月21日に書いた」と日付を明言しており、ツアーによる恋人とのすれ違いや、妊娠報道への皮肉(皮肉にもこの直後に息子Adonisを授かることになる)など、彼のリアルな私生活と「Mob Boss」としての冷徹なビジネス観が赤裸々に語られる。続く2 Chainzはアトランタのベテランらしい貫禄とユーモアで独自の成功をフレックスし、最後のYoung Thugは「〜のような(Like)」という直喩を怒涛の勢いで連発する異次元のワードプレイを展開する。彼らが背負うパラノイアと、それを上回る神からの祝福(Blessing)を噛み締める、OVOサウンドらしい内省的かつ壮大な一曲だ。
和訳
[Verse 1: Drake]
Wrote this shit, January 21
1月21日、俺はこのリリックを書き上げた
Baby girl, I had to run, I'll be back a couple months
ベイビー、もう行かなくちゃいけないんだ、数ヶ月後には戻るから
※2017年1月下旬からスタートした「Boy Meets World Tour」のためにヨーロッパへ向かう直前の別れを描写している。
Kendall turned 21, was up the street with 21
ケンダルが21歳になり、俺はこの通りの先で21と一緒にいた
※Kendall Jennerの21歳の誕生日パーティー(2016年11月)と、同時期にコラボ曲「Sneakin'」をリリースしたラッパーの21 Savageを掛けたワードプレイ。
They could see me online, but they won't see me on the ones
奴らはネットで俺の姿を見れるが、ローカルニュースのチャンネル1で俺の姿を見ることはないぜ
※「On the ones」はトロントのローカルニュース局「CP24(チャンネル1)」を指す。地元の事件やスキャンダルでニュースに取り上げられるようなヘマはしないというMob Bossの余裕。
I got Dubai plates in the California state
カリフォルニア州にいながら、ドバイのナンバープレートの車に乗ってるんだ
I got her waitin' at my place, I got no baby on the way
俺の家には彼女が待っているし、俺に生まれてくる予定の赤ん坊なんていない
※当時浮上していたSophie Brussaux(後の息子Adonisの母親)の妊娠疑惑を否定したライン。ファンの間では、この曲が書かれた直後にAdonisが身籠もったと考えられており、強烈な皮肉として語り継がれている。
I'm talkin' Baby like Stunna, I'm talkin' Baby like Face
スタナみたいな「ベイビー」、フェイスみたいな「ベイビー」の話さ
※Cash MoneyのボスであるBirdmanの愛称「Baby(Stunna)」と、R&Bレジェンドの「Babyface」を掛け、自分の人生に関わっている「Baby」は彼らのような大物だけだと誇示している。
Lost millions in the past, I'm talkin' maybe like eight
過去には何百万ドルも失った、たぶん800万ドルくらいかな
Couple niggas from the city, wishin' on a star, could they be like Drake
この街の何人かの野郎どもは、ドレイクみたいになれますようにって星に願いをかけてるんだろ
※トロント出身でDrakeの座を狙うTory LanezやThe Weekndらへのサブリミナルな牽制。
Sorry, no, not today, you gotta find your own way
悪いな、今日は無理だ、お前らは自分の道を自分で見つけなきゃな
Big dog from the 6, I'm talkin' Dogg like Nate
シックス(トロント)から来たビッグ・ドッグ、俺はネイトみたいな「ドッグ」の話をしてるんだ
※西海岸のレジェンドNate Doggのリファレンス。
My shit be raw out the gate, I don't need another take
俺のラップは最初から生々しいんだ、録り直す(テイクを重ねる)必要なんてない
40 got house on the lake, I ain't know we had a lake
40は湖畔に家を買った、俺はこの街に湖があることすら知らなかったよ
※Drakeの右腕であるプロデューサーNoah "40" Shebibがオンタリオ湖のほとりに家を買ったことへの言及。世界中を飛び回る大スターになりすぎて、地元の地理すら忘れているという成功の孤立感(Sad Boy的要素)。
She complainin' how I'm late, I ain't know it was a date
彼女は俺の遅刻に文句を言ってるが、俺はそれがデートだなんて知らなかったぜ
Niggas see me in person, first thing they say is, "I know you need a break"
奴らは俺と直接会うと、真っ先に「休んだ方がいいよ」なんて言ってくる
Hell naw, I feel great, ready now, why wait?
冗談じゃない、俺の気分は最高だ、準備はできてるのに、なんで待つ必要がある?
Like a kiss from a rose, I could be the one to seal your whole fate
薔薇からのキスみたいに、俺はお前らの運命を決定づける(シールする)存在になれるぜ
※イギリスの歌手Sealの大ヒット曲「Kiss from a Rose」と、運命を封じ込める(Seal)を掛けたワードプレイ。
So be careful what you think, think about what you gon' say
だから自分の考えには気をつけろ、何を口にするかよく考えるんだな
Gotta deal with people straight, I got my 23's laced
人間とは真っ直ぐに向き合わなきゃならない、俺は23番の靴紐をしっかり結んでる
※マイケル・ジョーダンの背番号「23」のAir Jordanスニーカーを履き、戦う準備ができていること。
It's a marathon, not a sprint, but I still gotta win the race, yeah
これはスプリントじゃなくマラソンだ、それでも俺はこのレースに勝たなきゃならないんだ
[Chorus: Drake]
And I'm convinced
俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
We seein' so many blessings, shit don't make no sense
あまりにも多くの祝福を目の当たりにしていて、全く意味が分からないくらいだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to Him
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を捧げるよ
Yeah, I'm convinced
ああ、俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
Yeah, I did some wrong, I had no choice in my defense
ああ、俺も間違いを犯してきたが、自分を守るためにはそうするしかなかったんだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to—
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を—
[Verse 2: 2 Chainz]
2 Chainz, I'm a real one
2チェインズ、俺は本物だ
Few shows, that's a mil run
いくつかライブをこなせば、それだけで100万ドルの稼ぎさ
When she bust it down
彼女が股を開いてくれた時
I said, "Thanks for givin' to me," like a pilgrim
俺は「与えてくれてありがとう」と言ったよ、まるでピルグリムみたいにな
※アメリカの感謝祭(Thanksgiving)の起源となったピルグリム・ファーザーズと、女性からの奉仕に対する「Thanks for giving」を掛けたユーモア。
Cold world'll be chillin'
冷酷な世界でも、俺はくつろいでる
Earmuffs on the children
子供たちにはイヤーマフを着けさせてな
※ストリートの過酷な現実(銃声などの冷酷な世界)から家族を守っているという描写。
Used to trap out the Hilton
昔はヒルトン・ホテルでドラッグを捌いていた
Got wood on the Cartiers
カルティエのメガネには、ウッド(木材)のフレームが入ってる
That's a face full of splinters
顔中が木のトゲだらけになりそうだな
Count a bankroll for dinner
ディナーのために札束のロールを数える
This the wrong place to enter
ここは足を踏み入れるべき場所じゃないぜ
Phone sex, yeah, for breakfast, all kinda women text us
朝食代わりにフォン・セックスさ、ああ、ありとあらゆる女たちが俺たちにメールしてくる
Met her at the Super Bowl
スーパーボウルで彼女と出会った
Told her I stayed down the street from Texas (Woo)
俺は「テキサスからこの道を行けばすぐそこだ」って伝えたんだ
※2017年のスーパーボウル(第51回)はテキサス州ヒューストンで開催された。
A-Town, I stay down
A-Town(アトランタ)、俺は地元に根を張ってる
Yeah, it's all in the wrist (Skrrt)
ああ、すべては手首の動き次第さ
※ドラッグの調理(Whipping)の手首の動きと、高級時計のフレックスのダブルミーニング。
This one here out the fence
これはフェンスを越える特大のホームランだ
Trap jumpin' like "tha Carter"
トラップハウスは『Tha Carter』みたいに跳ね回っている
※Lil Wayneの歴史的名盤シリーズ『Tha Carter』のような圧倒的な勢い。
Mean it jumpin' like Vince
ヴィンスみたいに高く跳び上がってるって意味さ
※元トロント・ラプターズのスター選手で、伝説的な跳躍力を誇ったVince Carter。Drakeの地元カルチャーへの完璧なリファレンス。
Moved on from the election
選挙の話からはもう身を引いた
Introduced her to the plug
彼女を仕入れ先(プラグ)に紹介してやった
Can't believe they tried to take the connection
あいつらが俺のコネクションを奪おうとしたなんて信じられねえよ
Ooh, girl, you a blessin'
ああ、君はまさに神からの祝福だ
Fine ass, be finessin'
極上のケツで、男たちを巧みに操る
Yeah, I love my fans, but I don't wanna take pictures in the restroom
ああ、俺はファンを愛してるが、トイレの中でまで写真を撮りたくはないね
Drench God with the 6 God
ドレンチ・ゴッドとシックス・ゴッドのタッグだ
※「Drench God(滴るほどのジュエリーを着けた神)」は2 Chainzの異名。「6 God」はDrake。
Point guard and the two guard
ポイントガードとシューティングガード(ツー・ガード)さ
※バスケットボールのバックコート・コンビに例え、二人の完璧な連携をアピールしている。
"Pretty Girls Like Trap Music", so I woke up with my wood hard (Wood hard)
「可愛い女の子はトラップ・ミュージックが好き」だから、俺は股間を固く(ウッド・ハード)して目覚めたのさ
※2 Chainzの当時の最新アルバムタイトル『Pretty Girls Like Trap Music』と、朝立ち(Morning wood)を掛けたワードプレイ。
[Chorus: Drake]
And I'm convinced
俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
We seein' so many blessings, shit don't make no sense
あまりにも多くの祝福を目の当たりにしていて、全く意味が分からないくらいだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to Him
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を捧げるよ
Yeah, I'm convinced
ああ、俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
Yeah, I did some wrong, I had no choice in my defense
ああ、俺も間違いを犯してきたが、自分を守るためにはそうするしかなかったんだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to—
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を—
[Verse 3: Young Thug]
I was stealin' from a bitch (Slime)
俺はビッチから盗みを働いていた
Back when I was 21 (Facts)
21歳だったあの頃にな
My favorite gun was a SIG (Nine)
俺のお気に入りの銃はSIGだった
20 in the clip, head one (No cockin')
マガジンには20発、チャンバーに1発装填済みだ
Growin' up, I was a running back
ガキの頃、俺のポジションはランニングバックだった
You never made me ran once (Goddamn)
お前らは俺を一度も走らせる(逃げさせる)ことはできなかったがな
※アメフトのポジションと、ストリートの抗争で敵から「逃げる(Run)」ことを掛けている。
I got shot, sweat started runnin'
俺は撃たれ、冷や汗が流れ出した
That shit was red like Hunt (Ketchup)
その血はハントのケチャップみたいに真っ赤だったぜ
※アメリカの有名なケチャップブランド「Hunt's」。
I'm kickin', pimpin' like I punt (Beat it)
俺はパントキックみたいに蹴り上げ、女たちを仕切ってる
But don't you think shit's sweet?
だが、事態が甘い(簡単だ)なんて勘違いするなよ?
I'm talkin' sweet, deer meat (Ooh)
「甘い」ってのは、鹿肉(甘みのある肉)の話さ
I'm talkin' suite like he sleep (Like he sleep)
「スイート」ってのは、あいつが眠るホテルのスイートルームの話さ
We ain't doin' too much talkin' (Nah)
俺たちはおしゃべりなんてほとんどしない
I'm talmbout talkin' like a speech (Election)
「話す」ってのは、選挙の演説みたいに語るってことさ
Like the President, I kill 'em neat (Scammers)
大統領みたいに、俺は奴らを綺麗(ニート)に殺す
I’m talkin' neat like freak
「ニート」ってのは、潔癖症(ニート・フリーク)のことさ
I'm talkin' neat like fleek
「ニート」ってのは、完璧にキマってる(オン・フリーク)ってことさ
I'm talkin' neat like a geek (Yeah!)
「ニート」ってのは、オタクみたいに几帳面ってことさ
You come with beef, I eat a B
お前がビーフ(揉め事)を持ち込むなら、俺はBを食ってやる
※BeefからBを食う(削る)ことで、残りをEef(If=もしも〜なら)に変えるという言葉遊び、あるいは単なるナンセンスな音韻の追求。
I'm talkin' B’s, spellin' bee (Sheesh)
「B(ビー)」ってのは、スペリング・ビー(単語の綴り当て大会)の話さ
Double R, that's a Rolls
ダブルR、それはロールス・ロイスのことだ
Paint it yellow like it's dairy
乳製品(チーズやバター)みたいに黄色くペイントしてやる
I'm talkin' Rose like Derrick
「ローズ(ロールス)」ってのは、デリック・ローズの話さ
※NBAのスター選手Derrick Rose。
I'm talkin' rolls like a belly (Woo)
「ロールズ」ってのは、腹の脂肪の段差(ベリー・ロール)の話さ
Like a new car, I got two keys
新車みたいに、俺には2つのキー(キログラムのコカイン)がある
Tryna score the bucket like a Chevy seat (Chevy seat)
シボレーのシート(バケットシート)みたいに、バケツ(得点)を決めようとしてるんだ
Then I heard they been pullin' all week (All week)
奴らが1週間ずっと俺の足を引っ張ろうとしてるって聞いたぜ
I'ma use your name like, "Who is he?"
俺はお前の名前を「誰だそれ?(フー・イズ・ヒー?)」って感じで使ってやるよ
You get it? Haha!
意味が分かるか? ハハ!
I said I'ma use a name like, "Who is he?"
「誰だそれ(Hoo is he)?」って名前を使うって言ったんだよ
※DrakeのレーベルOVOのシンボルである「フクロウ(Owl)」の鳴き声「Hoo」と「Who」を掛けた、客演ならではの天才的なギミック。
Got some gold on, leprechaun, sheesh
金を身につけてる、レプラコーンみたいにな、シーシュ
※アイルランドの妖精レプラコーンは、金貨の壺を持っているとされる。
Deep sleep short for deceased
「深い眠り」ってのは、死(ディシースト)の短縮形さ
Big bezel on the Patty (Woo)
パティにデカいベゼルが付いてる
I’m talkin' PADI—I meant Patek
「パディ(ダイビング団体)」の話さ—いや、パテック(高級時計)のことだよ
Don't try to take it, I got guns
奪おうなんてするなよ、俺には銃があるんだからな
I'm talkin' guns, not pellets (Pellet)
「銃」ってのは、ペレット弾(おもちゃの弾)じゃない本物のことさ
I watch the game from the floor (Floor seats)
俺はフロア席から試合を観戦してる
I'm talkin' wood, first mattress
「ウッド(木)」ってのは、マットレスが発明される前の最初のベッドのことさ
I'm talkin' wood, pants down (Pants down)
「ウッド」ってのは、ズボンを下ろした時の朝立ちのことさ
I'm talkin' woods like them clowns (You get it?)
「ウッズ(森)」ってのは、あのピエロたちが潜んでる森のことさ(意味分かるか?)
※2016年に全米を震撼させた、不気味なピエロが森(Woods)に現れるという社会現象「Clown sightings」への言及。
I got my mink off a monkey
俺のミンクのコートは猿から作ったんだ
I'm talkin' monkey like Jumanji (Hrr)
「猿」ってのは、ジュマンジに出てくるような狂暴な猿の話さ
All your diamonds partly sunny
お前らのダイヤモンドは「所により晴れ(曇っている)」だ
I'm talkin' sunny like D, Sunny (Sunny Delight)
「サニー」ってのは、サニーD(ジュース)のことさ
My diamonds wet, it cost me money
俺のダイヤモンドは濡れている(輝いている)、大金をつぎ込んだからな
I'm talkin' wet like it's runnin' (Sink)
「濡れてる」ってのは、シンクの水道が出しっぱなしみたいってことさ
I'm talkin' wet like Katrina (New Orleans)
「濡れてる」ってのは、ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナのことさ
I'm talkin' wet like Dasani, huh
「濡れてる」ってのは、ダサニ(ミネラルウォーター)みたいに純水だってことさ
[Chorus: Drake]
And I'm convinced
俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
We seein' so many blessings, shit don't make no sense
あまりにも多くの祝福を目の当たりにしていて、全く意味が分からないくらいだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to Him
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を捧げるよ
Yeah, I'm convinced
ああ、俺は確信している
I made sacrifices, I been ballin' ever since
俺は多くの犠牲を払ってきた、それ以来ずっと大成功し続けてる
Yeah, I did some wrong, I had no choice in my defense
ああ、俺も間違いを犯してきたが、自分を守るためにはそうするしかなかったんだ
Someone watchin' over us, so shout goes out to—
誰かが俺たちを見守ってくれている、だから神に感謝を—
