Artist: Drake
Album: What a Time To Be Alive
Song Title: 30 for 30 Freestyle
概要
「30 for 30 Freestyle」は、DrakeとFutureによるジョイント・ミックステープ『What a Time To Be Alive』(2015年)の最後を飾る、Drakeの単独トラックである。プロデューサーのNoah "40" Shebibによる内省的でジャジーなピアノループに乗せ、Drakeは当時の状況を静かに、しかし鋭く語り尽くす。タイトルの「30 for 30」はESPNの著名なスポーツドキュメンタリー番組名に由来し、自分のキャリアがドキュメンタリーになるほどの歴史的瞬間にあるという自負、あるいは彼が当時30歳に差し掛かろうとしていた時期であることを暗示している。歌詞の大半は、同年夏にシーンを揺るがしたMeek Millからの「ゴーストライター疑惑」告発と、それに便乗して彼を引きずり下ろそうとした業界の同業者たちへの冷酷なアンサーである。敵の失態を鼻で笑う「Mob Boss」としての余裕と、誰も信用できなくなった頂点の孤独を嘆く「Sad Boy」の哀愁が完璧に同居した、キャリア屈指のフリースタイルだ。
和訳
[Intro]
Yeah
[Verse]
Never thought I'd be talkin' from this perspective
自分がこんな視点から語ることになるなんて、思ってもみなかったよ
But I'm not really sure what else you expected
でも、お前らが他に何を期待してたのか、俺にはよく分からないな
When the higher-ups have all come together as a collective
業界の上層部の連中が、こぞって集結して
With conspiracies to end my run and send me a message
俺の快進撃を終わらせようと陰謀を企て、俺にメッセージを送ろうとしてきた時にな
※Meek MillがDrakeのゴーストライター疑惑を告発した際、シーンのラッパーや業界人が結託してDrakeを批判・追放しようと同調した事態を指している。
40, did you get the message?
40(フォーティ)、お前にはそのメッセージが届いたか?
'Cause I just checked my phone and I didn't get it
俺は今自分の携帯を確認したんだが、何も届いちゃいないぜ
※プロデューサーの40(Noah "40" Shebib)に語りかける。業界からの包囲網や圧力など、自分たちにとっては痛くも痒くもない(全く気にならない)という王者の余裕。
I mean, I'll say hats off for a solid effort
つまりさ、お前らの涙ぐましい努力には脱帽するよ
But we didn't flinch for a second, we got our shit together (6)
でも俺たちは一瞬たりとも怯まなかった、俺たちは完全に一枚岩だからな(シックス)
Yeah, not here to fight wars
ああ、俺は戦争をしにここに来たわけじゃない
But niggas wanna talk high scores
だが、奴らはハイスコア(どちらが優れているか)の話をしたがる
PARTY just dipped off in a white Porsche
パーティーは白いポルシェに乗って去っていったところだ
※OVO所属のアーティスト、PARTYNEXTDOORのこと。
And I just came from dinner where I ate some well-done seared scallops that were to die for
そして俺は今、死ぬほど美味いホタテのソテーを食べたディナーから帰ってきたところさ
※敵が必死に自分をディスっている間、自分は優雅に高級ディナーを楽しんでいるという、Mob Boss的な圧倒的格付けの違い。
But I got bigger fish to fry
でも俺には、他に片付けるべきもっとデカい問題(魚)があるんだ
I'm talkin' bigger shit than you and I
俺とお前のちっぽけな諍いなんかより、もっとデカい問題の話さ
Kids are losin' lives, got me scared of losin' mine
子供たちが命を落としている、俺だって自分の命を失うのが怖いんだ
And if I hold my tongue about it, I get crucified
もし俺がそれについて口をつぐめば、今度は俺が十字架に架けられる(非難される)
※アメリカで相次いでいた警察による黒人の不当な殺害事件など、社会問題に対するトップアーティストとしての責任とプレッシャー。
Wrote this shit on a bumpy flight on a summer night
この歌詞は、夏の夜の揺れる飛行機の中で書いた
Flyin' over Chattanooga, out here tryna spread the movement
チャタヌーガの上空を飛びながら、このムーブメントを広めようとしてるのさ
I just got me the Mercedes Pullman
俺はメルセデス・プルマンを手に入れたばかりだ
You niggas never heard of it, you gotta hit up Google, yeah
お前らは聞いたこともないだろうな、Googleで検索してみな
※「Mercedes-Maybach Pullman」は各国の元首や独裁者が乗るような超高級・超巨大リムジン。車すらも一般のラッパーとは次元が違うという嫌味。
Back in the city, shit is gettin' brutal
街に戻ると、状況は残酷になってる
These kids'll hit your noodle, then take a girl to the movies
ここのガキどもはお前の頭(ヌードル)を撃ち抜いてから、女の子と映画に出かけるような連中だ
They been droppin' out on both sides
両陣営で人が倒れ(死んで)いっている
We ain't in it, we just ghostride
俺たちはそこには関わらない、ただゴーストライド(車に乗ってゆっくり通り過ぎる)するだけだ
The pen is workin' if you niggas need some ghost lines
もしお前らがゴーストライターの歌詞(ゴーストライン)を必要としてるなら、俺のペンは走ってるぜ
※「ゴーストライターを使っている」と批判されたことに対し、「お前らが望むなら、俺がお前らのために極上の歌詞をゴーストライトしてやるよ」と逆手に取った、キャリア屈指の冷酷なパンチライン。
I thought you wanted yours like I want mine
お前も俺と同じように、自分の成功を望んでいるんだと思ってたよ
I guess you just makin' moves on your own time
お前はお前のペースで動いてるだけなんだろうな
But just know it'll be January in no time
でも、あっという間に1月(次の年)になることだけは知っておけよ
And your absence is very concernin'
お前がシーンから姿を消しているのは、非常に心配だぜ
It's like you went on vacation with no plan of returnin'
まるで帰る予定のない休暇にでも出かけたみたいじゃないか
※ビーフでDrakeに完敗し、アンサーを返せなくなったままシーンから消え去ったMeek Millの現状を嘲笑っている。
Shit is purely for sport, I need a 30 for 30
これは純粋なスポーツさ、俺には「30 for 30」のドキュメンタリーが必要だ
Banners are ready case we need to retire your jersey, yeah
お前の背番号(ジャージ)を永久欠番にする必要がある時のために、もうバナーの準備はできてるぜ
※スポーツにおいて偉大な選手の引退時に行われる「永久欠番(Retire jersey)」のセレモニーに例え、「お前のラッパーとしてのキャリアは俺が完全に終わらせて引退させてやった(だから永久欠番にしてやる)」という冷酷すぎる死刑宣告。
I got a club in the Raptors arena
ラプターズのアリーナの中に、俺のクラブがあるんだ
Championship celebrations durin' regular season
レギュラーシーズン中なのに、優勝祝いをしてるのさ
※トロント・ラプターズの本拠地内にDrakeが開設したVIP会員制クラブ「Sher Club」。常にトップにいるため、毎日が優勝祝いのようなものだというフレックス。
Paternity testin' for women that I never slept with
寝たこともない女のために、DNA鑑定をやらされる
I'm legally obligated if they request it
奴らが要求すれば、俺には法的な義務が生じるんだ
So much legal action like I'm Michael Jackson
マイケル・ジャクソンみたいに、法的措置ばかりだ
Luckily, I'm great at avoidin' distraction
幸いなことに、俺はそういう雑音を避けるのが得意でね
Used to give no reaction, now I'm overreacting
昔は無反応を貫いていたが、今じゃ過剰反応(オーバーリアクト)してる
Aw, nigga, that shit gotta go platinum
ああ、どうせその(過剰反応した)曲もプラチナ・ヒットになるからな
※Meek Millのディスに対して怒り任せにリリースしたディストラック「Back To Back」が、グラミー賞にノミネートされるほどの大ヒット(プラチナ認定)を記録したことを皮肉っている。
I just listened to "Closer to My Dreams"
さっき「Closer to My Dreams」を聴き直したんだ
※2007年のミックステープ『Comeback Season』に収録された、Drakeの初期の楽曲。
Wide-eyed and uneducated at nineteen
19歳、目を輝かせて、業界のことも何も知らなかった頃の曲さ
I can't rap like that, all young and naïve
もうあんな風にはラップできない、あんなに若くて純粋にはね
Not after all the shit I seen and the things I believe
あれだけのクソみたいな現実を見て、色々なことを信じるようになってしまった後じゃな
※成功の裏で経験した裏切りや業界の闇により、かつての「Sad Boy」的な無垢さを失ってしまったことへの哀愁。
Drastically changin', thank you for all your patience
劇的に変わっていく俺に、辛抱強く付き合ってくれてありがとう
I'm just in a different space and I choose to embrace it
俺はただ別の次元(スペース)にいて、それを受け入れることにしたんだ
Four thousand square feet just isn't as spacious
4,000平方フィート(約110坪)の家でも、もうそれほど広くは感じない
You loved me back in the basement, guess it is what we make it
地下室にいた頃の俺を愛してくれた君たち、結局は自分たちでどう作り上げるかってことだろうな
I'm tired of awkward exchanges and niggas' crooked ways
気まずいやり取りや、奴らの歪んだやり方にはもうウンザリだ
Tired of champagne toasts with people that look away
目を逸らすような連中とシャンパンで乾杯するのにもウンザリしてる
Peyton and Eli when niggas called me they brother
奴らが俺を「兄弟」と呼ぶ時、それはペイトンとイーライみたいなものだと思っていた
※NFLの伝説的な兄弟クォーターバック、Peyton ManningとEli Manning。業界の仲間たちを血の繋がった兄弟のように信じていたのに、実は誰もが自分を引きずり下ろそうとしていたという強烈な人間不信。
The season start and I don't wanna see you end up with nothin'
シーズンが始まって、お前が何も手に入れずに終わるのを見たくはない
Y'all throw the word "family" around too much in discussion
お前らは会話の中で「家族」って言葉を安売りしすぎなんだ
Rookie season, I would've never thought this was comin'
ルーキーのシーズンには、こんな事態になるなんて思いもしなかった
They knees give out and they passin' to you all of the sudden
先輩たちの膝が壊れて、突然お前にパスが回ってくる
Now you the one gettin' buckets
今じゃお前が点取り屋(バケッツ)になっているんだ
They put they arm around you, now you becomin' the crutches
奴らはお前の肩に腕を回してくる、今じゃお前が奴らの「松葉杖(頼みの綱)」になっている
※かつて背中を追っていた大物ラッパーたちが衰え、今度は彼らがDrakeのフックや人気(松葉杖)に依存してヒット曲を作ろうと寄ってくるヒップホップ業界の残酷な世代交代。
Kids got on your number 'cause you the one they look up to
子供たちはお前の背番号を着ている、お前が彼らの憧れの存在だからな
And women that you seen on TV look better in person
テレビで見る女たちは、実物の方がさらに美しく見える
And either they wanna fuck you
そして彼女たちは、お前とヤリたいか
Or convince you that they care and see where it goes from there, but
もしくは、お前のことを気にかけているふりをして、そこからどうなるか様子を見ようとするかのどちらかだ
These ain't the girls from Brampton, this ain't that local action
でも、こいつらはブランプトンの女の子たちじゃない、地元のローカルな恋愛とは違うんだ
※「Brampton」はトロント郊外の都市。ハリウッドの打算的な恋愛と、無名時代の純粋な恋愛を比較する虚無感。
The hate is just bringin' me and my people closer, actually
ヘイトは結局、俺と俺の仲間たちの絆をより強固にしているだけさ
What happened to the things you niggas said was supposed to happen?
お前らが「起きるはずだ」って言ってた事(俺の没落)は、一体どうなったんだ?
Are we just supposed to ignore the fact that it never happened?
結局そんなことは全く起きなかったという事実を、俺たちは無視すべきなのか?
We just supposed to get the pie, then split it in two?
俺たちはパイ(利益)を手に入れて、それを真っ二つに分けるべきなのか?
Supposed to forget your mistakes, but not forget about you?
お前の犯したミスは忘れて、お前のこと自体は忘れないでいてやるべきなのか?
My plan was always to make the product jump off the shelf
俺の計画はいつだって、商品を棚から飛び立たせる(飛ぶように売る)ことだった
And treat the money like secrets, keep the shit to ourself
そして金を秘密のように扱い、俺たちの中だけにとどめておくことさ
Papi champú, young Pablito de seis dios
パピ・シャンプー、若きパブリート、シックスの神
※「Papi champú」はカリブ海沿岸のスペイン語スラングで「女にモテるイケてる男」。「Pablito」は麻薬王パブロ・エスコバルに由来。「Seis dios」はスペイン語で「6(トロント)の神」。
6 G-O-D, I think I
シックス・ゴッド、俺は思うんだ
Was destined for this shit when I was 'round Keyshia Cole and T.I.
キーシャ・コールやT.I.の周りにいた頃から、俺はこの頂点に立つ運命だったんじゃないかって
And Young Dro was poppin' off with "Ain't I"
ヤング・ドロの「Ain't I」がヒットして盛り上がってた頃さ
Way before niggas had they hands out like they doin' macarena
お前らが、マカレナ・ダンスを踊るみたいに両手を前に突き出して(俺に金を無心して)くるずっと前の話だ
※1990年代に流行した「恋のマカレナ」の振り付けと、成功したDrakeの前に「恵んでくれ」と群がる連中が手を差し出すポーズを掛けた秀逸な皮肉。
But, who am I to complain now? I'm still around, they know
でも、今さら不満を言う権利なんて俺にあるのか? 俺はまだここに立ち続けてる、奴らもそれは分かってるからな
Yeah
