Artist: Lil Nas X
Album: NASARATI
Song Title: Thanos (Blow It)
概要
2018年発表の初期ミックステープ『NASARATI』収録。タイトル「Thanos」は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最強のヴィランであるサノスに由来し、ヒップホップシーンのラッパーたち(アベンジャーズ)を指パッチンで消し去るかのように圧倒する絶対的な自信を描いたバンガーだ。特筆すべきは、ジョージ・ストレイトのクラシックカントリーへの言及(Texasの元カノ)が含まれている点であり、後のメガヒット「Old Town Road」へと繋がるジャンル越境の萌芽が既に確認できる。Young Thugのフロウやスラングを引用するなど、彼の広範な音楽的教養とネットミーム的センスが融合した、ブレイク前夜の生々しい野心と焦燥感が詰まった重要作である。
和訳
[Intro]
Yeah (What?), yeah (What?)
イェー(何?)、イェー(何?)
Yeah (What? What?)
イェー(何?何?)
Yeah (Huh?), yeah (Yeah)
イェー(ハァ?)、イェー(イェー)
Yeah, yeah
イェー、イェー
[Chorus]
I'm killin' these niggas, they calling me cocky
俺は他の奴らをブチ殺してる、連中は俺を傲慢だって呼びやがる
※「cocky」は自信過剰で生意気な態度のこと。実力が伴っているがゆえの余裕を示している。
Niggas is mad and nobody can stop me
奴らはキレてるが、誰にも俺を止められねえよ
I'm in my bag and there's no need to brag
俺は自分のビジネスに集中してる、わざわざ自慢する必要もねえな
※「in my bag」は自分のやるべきこと(特に金稼ぎや音楽制作)に深く没頭し、最高の状態にあることを意味するAAVE。
And you niggas get smacked, I'm your dad and your papi
お前らなんて平手打ちだ、俺はお前らの親父でありパピなんだよ
※「papi」はスペイン語で父親、または魅力的な男性を指す。ヒップホップにおいて相手を「息子(son)」扱いして見下す定型句を、英語とスペイン語の両方で強調している。
I'm finna blow, I already know it
俺はこれから大ブレイクする、そんなこたぁ既に分かってる
※「finna blow」の「blow (up)」は爆発的に人気が出ること。確信めいたブレイクの予言。
I spit hits, I'm a fuckin' poet
ヒット曲を吐き出す俺は、マジで天才詩人さ
You niggas shit, you need to fuckin' quit
お前らはクソだ、とっとと辞めちまいな
You take potential hits and then you fuckin' blow it
お前らにはヒットの可能性があったのに、自らそれを台無しにするんだからな
※タイトルの副題「Blow It」の回収。自分がブレイクする(blow up)ことと、他人がチャンスを台無しにする(blow it)ことを掛けた鮮やかなダブルミーニング。
[Verse 1]
I hop on this beat, I'm finessing
このビートに乗って、華麗にカマすぜ
※「finesse」はスキルや巧妙な手腕で状況をコントロールしたり、金を稼いだりすること。
Look at these blessings, all of my exes from Texas
この恵みを見てみろよ、俺の元カノは全員テキサス出身さ
※カントリー・ミュージックのレジェンド、ジョージ・ストレイトの1987年の名曲「All My Ex's Live in Texas」、またはそれをサンプリングしたDrakeの「HYFR」からの引用。この直後にカントリーとトラップを融合させた「Old Town Road」で世界的スターになることを踏まえると、すでに彼の中にカントリーの文脈が存在していたことを示す極めて重要なラインである。
You niggas is guessing that I will start stressing
俺がストレスで潰れるんじゃないかって、お前らは勘ぐってるんだろ
Fall back to depression just 'cause your rejection
お前らに拒絶されたくらいで、また鬱に逆戻りするかっての
※ブレイク前の彼が抱えていたうつ病(depression)や精神的な葛藤への生々しい言及。他者からの評価に依存しない強靭なメンタリティの獲得を宣言している。
I kill beats, these instrumentals
俺はビートを殺す、このインストゥルメンタルをな
Niggas talking 'bout, "He got potential"
連中は「あいつにはポテンシャルがある」なんて口を揃えてる
Niggas joining groups, tryna be Avengers
奴らは群れてグループを作り、アベンジャーズ気取りさ
※タイトルの「Thanos」に直結する核心的なメタファー。他のラッパーたちがフィーチャリングやクルーで群れる姿を、マーベルのアベンジャーズに例えて嘲笑している。自身が最強の単独ヴィラン(サノス)であることを示唆している。
Scared to stand alone, scared to disassemble
一人で立つのが怖いんだろ、解散(ディスアセンブル)するのが怖いんだろ
※キャプテン・アメリカの号令「アベンジャーズ・アッセンブル(集合)」に対し、「ディスアセンブル(解散・分解)」をぶつけて韻を踏み、個としての実力の無さを指摘している。
I'm droppin' shit way before December
俺は12月よりもずっと前にヤバい曲をドロップするぜ
Be afraid, hope you do remember
震えて待てよ、お前らがこのことを覚えてることを願うぜ
In the Escalade, drinking Ace of Spades
エスカレードの中で、エース・オブ・スペーズをラッパ飲みさ
※「Escalade」はキャデラックの高級SUV。「Ace of Spades」はJay-Zが所有する超高級シャンパン、アルマン・ド・ブリニャックの通称。ヒップホップにおける成功と富の古典的なフレックス。
Doing escapades, yeah, I do adventures
無茶な遊びをしてるぜ、あぁ、俺は冒険家だからな
※「Escalade」と「escapades(向こう見ずな冒険、悪ふざけ)」で脚韻を踏む心地よいフロウ。
Droppin' shit, you know that I'm poppin' shit
曲をドロップしてる、俺がブイブイ言わせてるのは分かってるだろ
I switched up my swag and they copied it
俺がスタイル(スワッグ)を変えれば、奴らはそれをパクるんだ
Got in my bag and I pulled off the tag
金を手にして、値札を引きちぎってやったぜ
※「pull off the tag」は値札を見ずに(値段を気にせず)高級品を買うという、金持ち特有の行動。
And I don't mean to brag on my mothafuckin' cocky shit
別に自分のクソ生意気な態度を自慢するつもりはねえけどな
Niggas is, niggas is wack
連中は、連中はマジでダサい(ワックだ)
Smokin' on crack, I am on fire like Jack
クラックを吸ってやがる。俺はジャックみたいに燃え上がってるぜ
※「Jack」の解釈には諸説あるが、トラビス・スコット(Cactus Jack)の勢いや、マイケル・ジャクソンのペプシCMでの発火事故、あるいは単純に火をつける動作からの連想など、多層的な意味を含ませている可能性がある。
I do the same thing as Thugger:
俺はサガーと同じことをするぜ:
※「Thugger」はアトランタのラッパー、Young Thugのこと。彼特有の変則的なフロウやエキセントリックな言語感覚に多大な影響を受けていることを公言している。
When cops come and pull up, yeah, I put that brack in my brack
サツが来て車を停めたら、あぁ、俺はそのブラックをブラックに隠すのさ
※Young Thugの楽曲「Halftime」からの直接的な引用。「brack (crack)」はコカインを指し、「in my brack (in my back / butt)」でケツの穴に隠すという意味。ブラッズ(Bloods)のギャングメンバーがCから始まる単語をBに置き換える(Crack→Brack)スラングのルールを完全に模倣している。Lil Nas Xがトラップ・カルチャーの文脈を深く理解・吸収している証拠である。
Niggas corny, niggas whistleblow
お前らはダサい(コーニーだ)、警察にチクる(ホイッスルブロー)からな
※「whistleblow(内部告発)」を密告(スニッチ)の意味で使用し、ストリートの掟を破る者たちを軽蔑している。
Niggas kiss ass, nigga, mistletoe
お前らは媚びへつらう(ケツにキスする)、ヤドリギの下でな
※「kiss ass」は人にへつらうこと。クリスマスの「ヤドリギ(mistletoe)の下でキスをする」というロマンチックな風習と、汚い「ケツの穴を舐める」行為を対比させたブラックジョーク。
You got a thick ass? You should let me know!
デカいケツを持ってるのか? なら俺に教えろよ!
I make big cash, 'Seppe toe
俺は大金を稼ぐ、足元はジュゼッペさ
※「'Seppe」はイタリアの高級靴ブランド、Giuseppe Zanotti(ジュゼッペ・ザノッティ)の略称。高価なスニーカーを履いているフレックス。
[Chorus]
I'm killin' these niggas, they calling me cocky
俺は他の奴らをブチ殺してる、連中は俺を傲慢だって呼びやがる
Niggas is mad and nobody can stop me
奴らはキレてるが、誰にも俺を止められねえよ
I'm in my bag and there's no need to brag
俺は自分のビジネスに集中してる、わざわざ自慢する必要もねえな
And you niggas get smacked, I'm your dad and your papi
お前らなんて平手打ちだ、俺はお前らの親父でありパピなんだよ
I'm finna blow, I already know it
俺はこれから大ブレイクする、そんなこたぁ既に分かってる
I spit hits, I'm a fuckin' poet
ヒット曲を吐き出す俺は、マジで天才詩人さ
You niggas shit, you need to fuckin' quit
お前らはクソだ、とっとと辞めちまいな
You take potential hits and then you fuckin' blow it
お前らにはヒットの可能性があったのに、自らそれを台無しにするんだからな
[Verse 2]
You blew it! Yeah, nigga, you blew it!
お前は台無しにした! あぁ、お前がぶち壊したんだよ!
Had the mothafuckin' ball and you threw it
クソ大事なボールを持っていたのに、お前は投げ捨てちまった
You had the screw and you didn't even screw it
ネジを持っていたのに、お前はそれすら締めなかったんだ
※「screw」はネジを締めるという意味の他に「ヤる(性行為)」「騙す」などの意味がある。絶好のチャンス(成功のツール)を与えられながら、何も行動を起こさなかった同業者たちへの痛烈な批判。
Yes, I am Lil Nas and I'm 'bout to get to it
そうさ、俺はLil Nas、これから本題に入るところだ
I shit on you niggas, right now, I'm just fartin'
俺はお前らの上にクソを垂らす、今の俺はただオナラをしてるだけ(準備運動)さ
※「shit on(圧倒する、見下す)」という表現を、排泄行為そのものに例え、今はまだ本気を出していない(farting)という下品だが分かりやすいヒップホップ的ユーモア。
Enter the game, all you niggas departin'
俺がこのゲーム(ラップシーン)に参入すれば、お前らは全員退場(ディパーティング)だ
You won't be braggin' about yo' Ferrari
自分のフェラーリを自慢する余裕なんて無くなるぜ
I'm killin' you niggas and, no, I'm not sorry!
俺がお前らを皆殺しにするんだ、悪いが全く後悔してねえよ!
[Chorus]
I'm killin' these niggas, they calling me cocky
俺は他の奴らをブチ殺してる、連中は俺を傲慢だって呼びやがる
Niggas is mad and nobody can stop me
奴らはキレてるが、誰にも俺を止められねえよ
I'm in my bag and there's no need to brag
俺は自分のビジネスに集中してる、わざわざ自慢する必要もねえな
And you niggas get smacked, I'm your dad and your papi
お前らなんて平手打ちだ、俺はお前らの親父でありパピなんだよ
I'm finna blow, I already know it
俺はこれから大ブレイクする、そんなこたぁ既に分かってる
I spit hits, I'm a fuckin' poet
ヒット曲を吐き出す俺は、マジで天才詩人さ
You niggas shit, you need to fuckin' quit
お前らはクソだ、とっとと辞めちまいな
You take potential hits and then you fuckin' blow it
お前らにはヒットの可能性があったのに、自らそれを台無しにするんだからな
I'm killin' these niggas, they calling me cocky
俺は他の奴らをブチ殺してる、連中は俺を傲慢だって呼びやがる
Niggas is mad and nobody can stop me
奴らはキレてるが、誰にも俺を止められねえよ
I'm in my bag and there's no need to brag
俺は自分のビジネスに集中してる、わざわざ自慢する必要もねえな
And you niggas get smacked, I'm your dad and your papi
お前らなんて平手打ちだ、俺はお前らの親父でありパピなんだよ
I'm finna blow, I already know it
俺はこれから大ブレイクする、そんなこたぁ既に分かってる
I spit hits, I'm a fuckin' poet
ヒット曲を吐き出す俺は、マジで天才詩人さ
You niggas shit, you need to fuckin' quit
お前らはクソだ、とっとと辞めちまいな
You take potential hits and then you fuckin' blow it
お前らにはヒットの可能性があったのに、自らそれを台無しにするんだからな
