Artist: JID (feat. Johntá Austin)
Album: The Forever Story
Song Title: Better Days
概要
JIDの最高傑作と評される3rdアルバム『The Forever Story』(2022年)に収録された本作は、過去の「より良い日々(Better Days)」への痛切な郷愁と、名声を手にした現在の孤独、そしてストリートの過酷なシステムに囚われた親友への深い愛情を綴った内省的な名曲である。グラミー賞受賞歴を持つベテランR&Bシンガー・ソングライターJohntá Austinを客演に迎え、温かくもメランコリックなゴスペル調のサウンドが展開される。Verse 1では刑務所に収監されてしまった幼なじみへの手紙のようなパーソナルな語り掛けが行われ、Verse 2では黒人としての重荷(Black burden)や、27クラブ(若くして命を落とす天才たちのジンクス)を乗り越え生き延びたことへの感謝が語られる。アルバムの核となる「永遠(Forever)」というテーマが、人生の浮き沈みの中でどのように変容していくのかを描き出した、JIDの卓越したストーリーテリングが光る一曲だ。
和訳
[Chorus: JID]
I've done seen some better days before
俺はこれまで、もっとマシな日々(ベター・デイズ)を見てきた
※過去の無邪気で幸せだった時代を回顧する、楽曲のメインテーマ。
Feeling like forever was a long time ago
「永遠(フォーエバー)」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
※アルバムタイトル『The Forever Story』と呼応するライン。永遠に続くと思っていた青春時代や平和な日常が、過酷な現実によって失われてしまったことへの喪失感。
Balancin' highs and the lows
人生のどん底(ロウ)と絶頂(ハイ)のバランスを取りながらな
Get your blindfold, only God knows
目隠し(ブラインドフォールド)をして歩くようなもんさ、この先どうなるかは神のみぞ知るんだ
I've done seen some better days before
俺はこれまで、もっとマシな日々を見てきた
Feeling like forever was a long time ago
「永遠」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
Balancin' highs and the lows
人生のどん底と絶頂のバランスを取りながらな
Get your blindfold, only God knows
目隠しをして歩くようなもんさ、この先どうなるかは神のみぞ知るんだ
[Verse 1: JID]
Look, Twin, don't forget the better days, we been friends since ten
なぁ、ツイン(双子)。あの最高だった日々を忘れるなよ、俺たちは10歳の頃からのダチだろ
※「Twin」は双子のように親しい親友(血の繋がりはない)を指すストリートスラング。ここから、現在刑務所にいるその親友へ向けた手紙のような語り掛けが始まる。
Back then, we told people we cousins, kin
あの頃、俺たちは周りの奴らに「俺らは従兄弟だ、親戚(キン)だ」って言いふらしてたよな
The buses from my school couldn't come to whеre I live
俺の通う学校のスクールバスは、俺の住んでる地域までは来れなかったんだ
※JIDの家が学区外の遠くにあった、あるいはバスのルートから外れた貧しい地域にあったことを示している。
So my mama used to drop mе at your crib
だから毎朝、母さんは俺をお前の家(クリブ)に預けてた
Like 4, maybe 5 A.M
朝の4時か、5時くらいにな
I ain't get no good sleep 'til I was twenty-seven
だから俺は、27歳になるまでまともにぐっすり眠れたことなんてなかったのさ
※早朝に叩き起こされる過酷な少年時代と、ラッパーとして成功し生活が安定する(27歳頃)までの終わりのないハッスルを掛けている。
I used to wear my big bro clothes
俺はずっと、兄貴のお下がりの服を着てた
He used to let me borrow some of your clothes
お前のお兄さんも、俺にお前の服を貸してくれたりしたよな
I thought that I looked funny in 'em
サイズが合わなくて、自分が滑稽に見えると思ってたけどな
It's only you and (censored)
お前と(自主規制)だけだった
Your parents used to treat me like they third son
お前の両親は、俺のことをまるで「三男」みたいに可愛がってくれたよな
I'm the first one buckin' on any person
だから誰かがお前らに危害を加えようとすれば、俺が真っ先に暴れ回る(バッキン)んだ
Tryna make you feel hurt or somethin'
お前を傷つけようとする奴がいれば
You my brother, I murder somethin' for you
お前は俺の兄弟だ、お前のためなら誰だって殺してやるよ
Throw that dirty gun into the Chattahoochee
その汚れた(犯行に使った)銃は、チャタフーチー川に投げ捨てるのさ
※「Chattahoochee(チャタフーチー川)」はジョージア州を流れる川で、アトランタのラッパーが証拠隠滅の場所としてよく言及するローカルなランドマーク。
You Louis, I be Gucci, we was Webbie and Boosie with the low fade
お前がルイ・ヴィトンで、俺がグッチを着る。俺たちはロー・フェード(髪型)にした「ウェビーとブージー」みたいだった
※ルイジアナ州の伝説的なラップデュオであるLil Boosie(Boosie Badazz)とWebbieの引用。彼らのような固い絆で結ばれた兄弟分だったという例え。
Brush my hair for days, still ain't have no waves
何日も髪をブラッシングしたけど、結局ウェーブ(黒人特有の波打つヘアスタイル)は作れなかったな
Now we talkin' through a window while you in a cage
なのに今じゃ、お前は檻(刑務所)の中にいて、俺たちは面会室の窓越しに話してる
I'ma come get you when you figure out your day
お前の出所日(デイ)が決まったら、必ず俺が迎えに行くからな
I was in and out the States, you was rapid on the rage
俺が海外ツアーでアメリカを出たり入ったりしてる間、お前はストリートで怒りに任せて暴れ回ってた(犯罪に手を染めていた)
Had Atlanta goin' crazy, I was packin' out the stage in different places
お前がアトランタで狂ったように暴れてる間、俺はあちこちのステージをパンパン(パック・アウト)にしてたんだ
※自分の音楽的成功(世界を飛び回る日々)と、親友のストリートでの没落が同時進行で起きていたという残酷な対比。
You hit me, said Cassandra had your baby
お前が俺に連絡してきて、「カサンドラが俺の子供を産んだぞ」って教えてくれた日のこと
The day that Kobe died, I'm at the Grammy's in LA
コービー(・ブライアント)が死んだあの日、俺はLAのグラミー賞の会場にいたんだ
※2020年1月26日、NBAの伝説コービー・ブライアントがヘリコプター事故で亡くなった日。JIDはDreamvilleのアルバムでグラミー賞にノミネートされ授賞式に出席していたが、悲劇的な世界的ニュースと親友の子供の誕生という相反する感情を同時に経験したことを綴っている。
Pray Allah can show you grace and the law stay out the way
アラー(神)がお前に慈悲を与え、法律(警察)がお前の邪魔をしないように祈ってたよ
But when you caught that other case, I ain't know what your ass was thinking
でもお前が「別の事件(ケース)」で捕まった時、お前が一体何を考えてるのか、俺には全く理解できなかったぜ
My momma said to say, "You ain't too old to get a spankin'"
俺の母さんがお前に伝えてくれってさ。「お前はまだ、ケツを叩かれて叱られる年齢だ」ってな
Still one of her children but she feel like you need to be thankful you still here
お前は今でも母さんの子供の一人さ。でも母さんは、「お前がまだ(死なずに)ここに生きていること自体に感謝するべきだ」って感じてるよ
※刑務所に入ってしまった親友に対する、JIDの母親からの厳しいが愛のあるメッセージ。ストリートで死ぬよりは、生きて刑務所にいる方がマシだという残酷な現実。
[Chorus: JID]
I've done seen some better days before (Yeah)
俺はこれまで、もっとマシな日々を見てきた(イェー)
Feeling like forever was a long time ago
「永遠」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
Balancin' highs and the lows
人生のどん底と絶頂のバランスを取りながらな
Get your blindfold, only God knows
目隠しをして歩くようなもんさ、この先どうなるかは神のみぞ知るんだ
I've done seen some better days before
俺はこれまで、もっとマシな日々を見てきた
Feeling like forever was a long time ago
「永遠」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
Balancin' highs and the lows
人生のどん底と絶頂のバランスを取りながらな
Get your blindfold, only God knows
目隠しをして歩くようなもんさ、この先どうなるかは神のみぞ知るんだ
[Post-Chorus: JID]
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
Oh, oh, oh
オー、オー、オー
[Bridge: Johntá Austin & JID]
Life gets too real, make you you
人生は時にあまりにもリアルになり、それがお前という人間を形作る
Life skills you build make you choose (Make you choose)
お前が培ってきた生き抜くためのスキルが、お前に選択を迫るんだ(選択を迫る)
Between old times and new waves (New waves)
古き良き時代と、新しい波(ニュー・ウェーブ)の間でな(新しい波)
Fake friends and real snakes, false knowns and true values
フェイクな友人と、本物の蛇(裏切り者)。偽りの知識と、真の価値観の間で
Compute it to see through it, we do it (Ooh-ooh)
それを見抜くために頭を働かせる、俺たちはそうやって生きてきた(ウー・ウー)
Take a moment to breathe and achieve through it
少し立ち止まって深呼吸しろ、そして成し遂げるんだ
Stay free through it 'cause your vision makes me your slave (Uh, look)
自由に生き抜け、なぜならお前の見ているビジョン(絶望)が、俺を過去の奴隷にしてしまうからな(アー、見な)
So I pray for better days (Check)
だから俺は、より良い日々(ベター・デイズ)を祈るんだ(チェック)
[Verse 2: JID]
To make it to forever took a very long time
「永遠(フォーエバー)」に辿り着くのには、とてつもなく長い時間がかかった
※アルバム『The Forever Story』を完成させ、アーティストとしての永遠の名声を確立するまでの苦難の道のり。
I took every wrong turn, packed a long line
間違った道ばかり選んできたし、長蛇の列(苦労)も経験した
Just for rapping long words
ただ長い言葉(ラップ)を吐き出すためだけにな
Fuck a net worth, I made a million off of merch
純資産(ネットワース)なんて知るか、俺はマーチャンダイズ(グッズ)だけでミリオン(100万ドル)稼いだぜ
Pay the bills first and then invest in guest verses
まずは請求書を払い、それから客演(ゲストバース)のギャラに投資する
Regret shit, the lessons, the blessings, the journey
後悔、教訓、祝福、そしてこの旅路
Agitate the white guilt, explain the black burden
白人の罪悪感(ホワイト・ギルト)を煽り、黒人の重荷(ブラック・バーデン)を説明しなきゃならない
※黒人アーティストが音楽業界や白人のリスナーに対して、自分たちの痛みや差別の歴史を「エンターテインメント」や「教材」として消費されるよう説明しなければならないという、精神的な疲労と矛盾への痛烈な批判。
The stresses, the entrance, the exit, the purpose
ストレス、入口、出口、そして目的
Praying that we see some better days between worse ones
最悪な日々の中で、少しでもマシな日々(ベター・デイズ)を見つけられるように祈りながらな
Nothing's ever perfect but I made it so my mom's ain't working
完璧なものなんて何一つない。でも俺は成功して、母さんがもう働かなくてもいいようにしたんだ
Off of murkin' instrumentals and there's no coincidence
インスト(ビート)をブチ殺す(完璧に乗りこなす)ことによってな。そこに偶然なんてねえ
When I was little, I was very sensitive
俺が小さかった頃、俺はものすごく繊細(センシティブ)だった
Never was talkative, nigga, don't even try and tickle him
おしゃべりなガキじゃなかった。あいつをくすぐって笑わそうなんてするなよ、って感じだった
Me and my brothers and sistanem slept in the same room
俺と兄弟たち、そして姉妹たち(シスタネム)は、全員同じ部屋で寝てたんだ
※本作と対をなすアルバム収録曲「Bruddanem(兄弟たち)」「Sistanem(姉妹たち)」への言及。貧しいが絆の強かった家族の原風景。
Suffered the same afflictions
同じ苦痛(貧困や差別)を味わってきた
See the reflection of a nigga that never liked attention
絶対に注目を浴びるのが好きじゃなかった黒人(自分)の姿が、鏡に映ってる
Don't need acceptance from strangers coming in mentions
SNSのメンションに群がってくる見知らぬ奴らからの「承認」なんて必要ねえよ
I got protection, papa had the right prediction
俺には神の加護(プロテクション)がある。親父の予言は正しかった
Said I was destined to be whatever I envisioned
「お前は、お前が思い描いた通りの人間になる運命(デスティン)だ」ってな
※JIDの本名である「Destin」と「Destined(運命づけられた)」を掛けたダブルミーニング。
I manifested, blessin' that I made it out the club of twenty-seven
俺はそれをマニフェスト(具現化)した。「27クラブ」から抜け出せたことは神の祝福だ
※ジミ・ヘンドリックスやカート・コバーン、エイミー・ワインハウス、マック・ミラーなど、数多くの天才アーティストが命を落とした「27歳(27クラブ)」。JIDがその年齢を無事に生き延び、成功を収めたことへの深い感謝。
No weapon was formed against me
俺に向けられたどんな武器も、俺を倒すことはできなかった
※旧約聖書・イザヤ書54章17節「No weapon formed against you shall prosper(あなたに向けて造られたどんな武器も、決して功を奏することはない)」の引用。
I formed against the weapon
俺のほうが、その武器に対抗して形作られたのさ
Tried to stretch 'em but niggas sprintin'
奴らを殺そう(ストレッチ)としたが、奴らは全力疾走で逃げていった
If we don't catch 'em then God'll get 'em then
もし俺たちが捕まえられなくても、神様が奴らを裁いてくれるさ
We ain't gotta get into karma of bein' killer men
俺たちがわざわざ、人殺しになる業(カルマ)を背負う必要はねえんだよ
But you did in our better days, now I miss my friend
でも、あの最高だった日々の中で、お前はそれ(犯罪)をやっちまった。今、俺は親友が恋しいよ
※Verse 1で語り掛けた、刑務所にいる親友(Twin)へのメッセージへ回帰する。彼が犯罪に手を染めてしまったことへの悔しさと、共に過ごした日々への強い哀愁で曲を締めくくる。
[Outro]
I've done seen some better days before (Uh, whoa, shit)
俺はこれまで、もっとマシな日々を見てきた(アー、ウォウ、クソッ)
Feeling like forever was a long time ago
「永遠」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
I've done seen some better days before
俺はこれまで、もっとマシな日々を見てきた
Feeling like forever was long ago, go, no
「永遠」なんて言葉は、もうずっと昔のことのように感じるよ
