Artist: JID & Ari Lennox
Album: The Forever Story
Song Title: Can’t Make U Change
概要
JIDの3rdアルバム『The Forever Story』(2022年)に収録された本作は、DreamvilleのレーベルメイトであるR&BシンガーAri Lennoxを客演に迎えた、男女のすれ違いと「変われない男」の葛藤を描く二部構成の楽曲である。前半(Part I)では、90年代R&Bを彷彿とさせるメロウなビートに乗せて、JIDが自身の不誠実さや頑固さを自嘲気味にラップし、Ari Lennoxが「あなたを変えることはできない」とソウルフルに歌い上げる。そしてビートがスイッチする後半(Part II)では、一転してJIDが「変わろうとしているのにチャンスをくれない」と自己弁護のファストフロウを展開し、女性側(スキットの音声)がそれを痛烈に論破するという構成になっている。ヒップホップにおける古典的な「Toxic(有害な)恋愛関係」の描写に、JID特有の高度なワードプレイとストーリーテリングが光る一曲だ。
和訳
Part I
[Intro: Ari Lennox]
'Cause period
だって、これ以上話すことはない(ピリオド)から
Fuck wrong with this nigga?
この男、一体どうしちゃったわけ?
Mm, mm, mm
ンー、ンー、ンー
[Chorus: Ari Lennox & JID]
I said, can't make you change
言ったでしょ、あなたを変えることなんてできないって
Can't make you change
あなたを変えることなんてできない
Can't make you change (I tried)
あなたを変えることなんてできない(俺は努力したんだ)
Can't make you change (Uh, no)
あなたを変えることなんてできない(アー、ノー)
Look
見な
[Verse 1: JID]
Stuck in my ways, I know it kinda sucks
自分のやり方(悪習)に固執しちまってる、最低だってことは分かってるよ
Wastin' all this time and trust
これまでの時間と信頼を全部無駄にしてな
Diamonds in the rough, that had the toughest luck at findin' love
俺は「ダイヤの原石」だが、愛を見つけることに関しては最高に運が悪かったんだ
You can't change a nigga playin' games, girl, you should find a sub
女遊び(ゲーム)ばかりしてる男を変えることなんてできないぜ。なぁ、お前は代わりの男(サブ)を見つけるべきだ
※「playin' games」は浮気や不誠実な態度のこと。スポーツの試合(ゲーム)になぞらえて「控え選手(サブ)を見つけろ」というワードプレイ。
Musiq Soulchild or Lil Wayne should teach me how to love (Me how to love)
ミュージック・ソウルチャイルドか、リル・ウェインに「愛し方」を教えてもらうべきかもな(愛し方をな)
※Musiq Soulchildの代表曲「Teachme」と、Lil Wayneの大ヒット曲「How to Love」からの引用。R&Bとヒップホップの恋愛アンセムを引き合いに出し、自分には愛し方が分からないと自虐している。
Or teach you how to turn a ho into a house husband from out the club (No)
それとも、クラブにいるようなビッチ(浮気者)を、家庭的な「専業主夫」に変える方法をお前が教えてくれるか?(いや、無理だろ)
Known as a buster, TLC would call me a scrub
俺はロクデナシ(バスター)として知られてる。TLCなら俺のことを「スクラブ(ダメ男)」って呼ぶだろうな
※TLCの世界的メガヒット曲「No Scrubs」のサンプリング。歌詞には「A scrub is a guy that thinks he's fine and is also known as a buster(スクラブとは、自分のことをイケてると思ってるバスターのことよ)」という一節がある。
Back when I was but now I'm gettin' it slow as fuck (Oh, oh)
昔はそうだったが、今じゃ俺もクソみたいにゆっくりだが成長してるんだ(オー、オー)
I'm growin' up and you know that I'm stubborn, you tryna rush it but
俺だって成長してるんだよ、俺が頑固だってことはお前も知ってるだろ。お前は焦らせようとするが、でも——
[Chorus: Ari Lennox]
Can't make you change
あなたを変えることなんてできない
Can't make you change
あなたを変えることなんてできない
Can't make you change
あなたを変えることなんてできない
Can't make you change (Ayy, right here?)
あなたを変えることなんてできない(エイ、ここで入るの?)
Can't make you change (Alright, no, baby, baby)
あなたを変えることなんてできない(よし、違う、ベイビー、ベイビー)
Can't make you change
あなたを変えることなんてできない
Can't make you change (No, I tried)
あなたを変えることなんてできない(ノー、俺は努力したんだ)
Can't make you change (It's bad, it's bad, ugly ass, lame ass, dirty ass, ugly ass)
あなたを変えることなんてできない(最悪よ、最低、醜い野郎、ダサい野郎、薄汚い野郎、ブサイクが)
[Bridge: Ari Lennox & JID]
Baby, don't leave, you're all I need
ベイビー、行かないでくれ、俺には君しかいないんだ
And if you stay then I'ma change my ways
もし君が残ってくれるなら、俺は心を入れ替えるから
Baby, don't leave, you're all I need
ベイビー、行かないでくれ、俺には君しかいないんだ
And if you stay then I'ma change my ways (Please)
もし君が残ってくれるなら、俺は心を入れ替えるから(頼むよ)
Baby, don't leave, you're all I need
ベイビー、行かないでくれ、俺には君しかいないんだ
And if you stay then I'ma change my ways (Please)
もし君が残ってくれるなら、俺は心を入れ替えるから(お願いだ)
Baby, don't leave, you're all I need
ベイビー、行かないでくれ、俺には君しかいないんだ
And if you stay then I'ma change my ways (I'm gonna change)
もし君が残ってくれるなら、俺は心を入れ替えるから(俺は変わるんだ)
[Verse 2: JID]
Jugglin' pain and strugglin' problems
痛みをジャグリングして、様々な問題と格闘(ストラグル)してる
Lookin' for danger, duckin' and dodgin'
危険を探し求めながらも、身をかがめて避け続けてるんだ
I got the banger and not a small one
俺はバンガー(銃/ヒット曲)を持ってる、しかも小せえやつじゃねえ
Niggas be changin' like a revolver
周りの野郎どもは、リボルバー(回転式拳銃)みたいにコロコロ態度を変え(チェンジ)やがる
You been the same but you done been solid, mane
お前はずっと変わらなかった、いつだって芯が通って(ソリッド)たよ、なぁ
I could applaud ya, fuck all the fame and fuck all the dollars, mane
お前に拍手を送るぜ。名声なんてクソ食らえだ、金なんてどうでもいい、なぁ
What were they talkin'? I'm ashamed
あいつらは何を言ってたんだ? 俺は自分が恥ずかしいよ
It feel like I lose the game
まるでこのゲームに負けたような気分だ
She said that my head too hard
彼女は「あなたの頭は固すぎる(頑固だ)」って言った
I tried to be good but nah
いい男になろうと努力はしたんだが、ダメだった
I'm leavin' it up to God
もう神様に委ねるしかないな
Squeezin' the Gra-ta-ta
グラ・タ・タ(銃)の引き金を絞りながらな
※変われない自分と、暴力的なストリートの世界に逆戻りしていく自暴自棄な描写。
Oh my, did I go too far, too far, too far?
あぁ、俺はやりすぎちまったか? 遠くまで来すぎちまったか?
[Outro]
You can't change, the only thing you wanna change is the motherfuckin' beats
あんたは変われないわよ。あんたが変えたいのは、そのクソみたいな「ビート(曲の展開)」だけでしょ
※女性の喋り声のスキット。ここからビートがスイッチ(変化)することをメタ的に予言する強烈なパンチライン。
Let's have a word, we can talk about that shit
ちょっと話し合いましょうよ、そのクソみたいな話についてね
You know what I'm sayin'?
私の言ってること分かる?
My baby daddy pissed me off today
うちのベイビー・ダディ(子供の父親)が、今日マジで私を怒らせたのよ
So we could talk about this nigga, zero accountability
だからこの男について話せるわ。無責任(ゼロ・アカウンタビリティ)極まりないのよ
Want a bad bitch but it's too much responsibility
イイ女(バッド・ビッチ)を欲しがるくせに、責任を取るのは嫌がるのよね
Part II
[Intro]
Yo, yo, yo, yo, yo, uh, look, uh
ヨォ、ヨォ、ヨォ、ヨォ、ヨォ、アー、見な、アー
[Verse]
A nigga wanna change, tryin' hard as I can
俺だって変わりたいんだよ、できる限り努力してる
But it's hard to try to redesign the nature of man
でも、「人間の本性」を一からデザインし直すなんて難しいだろ
DND, she in my DM for my DNA strands
スマホはDND(おやすみモード)。女が俺のDMに、俺のDNA(精子/才能)目当てで連絡してくるんだ
※成功したラッパーに群がる女性たちの誘惑。「DND」「DM」「DNA」という頭文字「D」の言葉遊び。
Ain't fall for the scam
そんな詐欺(スキャム)には引っかからねえよ
Then again I'm fightin' off all the thoughts in my pants
いや、やっぱりパンツの中の欲情(思考)と戦ってる最中だ
※誘惑には乗らないと言いつつ、結局は性欲に負けそうになっているという「変われない」男のリアルな葛藤。
Pretty broads, ménages, spend a Fall out in France
可愛い女たち、3P(メナージュ)、秋(フォール)をフランスで過ごすような生活
In the stars on the ocean, in a boat, or the sand
海の上で星空を眺め、ボートに乗り、あるいは砂浜でな
Don't you lie to me, do me like you Delilah and Samson
俺に嘘をつくんじゃねえぞ。デリラとサムソンみたいに、俺をハメようとしてるんだろ
※旧約聖書に登場する、怪力サムソンを騙して髪を切り落とし(力を奪い)、敵に売った裏切り者の美女デリラの引用。
I can change, you ain't even really give me a chance (Nigga I gave your ass, one million, two million, three million fuckin' chances)
俺は変われるんだ、お前は俺にチャンスすらまともにくれてないじゃないか(あんたには、100万回も200万回も300万回もクソみたいなチャンスをあげたでしょ!)
Look, save the narrative, you savin' it for marriage
見なよ、その物語(ナラティブ)は取っておけ、結婚のために取っておくんだな
I'm flyin' back from Paris, I can text you in the air
俺はパリから飛んで帰るところだ、上空からテキストを送ってやるよ
Remember when we met and you said that you love the fade but I should grow my hair
出会った頃のことを覚えてるか? お前は「フェードカットも好きだけど、髪を伸ばした方がいい」って言ったよな
Ex man was banned, couldn't grow a pair
元カレは追放(バンド)された、あいつには「一対(ペア)の玉(度胸)」がなかったからな
※「grow a pair(一対の睾丸=度胸を持つ)」と「grow my hair(髪を伸ばす)」のライム。
Then you start fuckin' with the Mrs. not the messieurs
それでお前は、「ムッシュ(男)」じゃなくて「ミセス(女)」とヤり始めたんだろ
※女性が男性に愛想を尽かし、同性に走ったという皮肉。
Life is love, love is really life as long as it's pure
人生は愛だ、愛は純粋である限り、本当に人生そのものなんだ
I ain't speakin' of genders, you could follow agendas
性別の話をしてるわけじゃない、お前はお前の信条(アジェンダ)に従えばいい
I ain't tryna be the guy that's gon' make you cry me a river
俺は、お前に「川ができるほど(大声で)泣かせる」ような男にはなりたくないんだ
※ジャスティン・ティンバーレイクの大ヒット曲「Cry Me a River」の引用から、次のラインへと繋ぐ。
Like I'm Justin Timber, Timberlake or Timbaland, I'm controllin' my temper
俺はジャスティン・ティンバーレイクやティンバランドみたいにな。俺は自分の気性(テンパー)をコントロールしてるんだ
※「Timberlake」「Timbaland」と「Temper(気性)」の音を掛けたワードプレイ。
Good, before I turn into a timber wolf
いいだろう、俺が「ティンバーウルフ(狼)」に変わっちまう前にな
In the woods, you my little red ridin' hood
森の中じゃ、お前は俺の「赤ずきんちゃん(リトル・レッド・ライディング・フッド)」だ
※童話『赤ずきん』の引用。狼(JID)が赤ずきん(女性)を食い物にしようとしている、あるいは庇護の対象としているというメタファー。
Thought you was hidin' how you feelin', it's kinda obvious
お前は自分の気持ちを隠してるつもりだったんだろうが、バレバレだったぜ
On a connectin' flight to Atlanta, leavin' LaGuardia
ラガーディア(NYの空港)を出発し、アトランタへの乗り継ぎ便の中で
Arguin' over anonymous women, now we got the audience, fuck
どこの誰とも知らねえ(匿名のアノニマスな)女たちのことで口論になり、今じゃ観客(オーディエンス)の注目の的だ。クソッ
※JIDの浮気疑惑を機内で問い詰められ、周囲の乗客に大喧嘩を見られているという、滑稽でリアルな結末。
[Outro]
Don't play with me, raise your coin
私を舐めないでよ、もっと金を稼いで(レベルを上げて)から来なさい
Come pick up your kids and go home to your bitch
子供たちを迎えに来て、あんたのビッチの家に帰りなさいよ
The one that you could, the one that you could play with (Period)
あんたが遊べるような、都合のいい女のところにね(以上!)
Not this one, ha, for real
私を一緒にしないでよ、ハッ、マジで
Shady, shady boots
胡散臭い、胡散臭い野郎ね
※再び女性のボイスメール。JIDの「俺は変わろうとしている」という言い訳を完全に論破し、関係を断ち切っている。
Ha, ha, what Mike Epps say? Stop callin' here, you fuckin' up my family
ハハ、マイク・エップスがなんて言ってた? 「ここに電話してくるのはやめろ、お前が俺の家族をメチャクチャにしてるんだ」ってね
※コメディアンのマイク・エップスの映画『Next Friday』での有名なセリフの引用。
It's a real nigga who will, ha, it's a real nigga who will
(あんたなんかより)ちゃんと責任を取れる本物の男なんているのよ、ハッ、本物の男がね
And that's on Mary's first lamb, hahaha
「メリーさんの最初の羊」にかけて、それは間違いないわ、ハハハ
※「On Mary's little lamb」は「神に誓って/絶対に間違いない」という意味のスラング表現。
