Artist: Travis Scott
Album: Rodeo
Song Title: I Can Tell
概要
トラヴィス・スコットの歴史的デビューアルバム『Rodeo』(2015年)の終盤を飾る、極めて内省的かつ攻撃的なトラップ・バンガー。本作で彼は、地元テキサス州ミズーリ・シティ(フォートベンド郡)での過酷な下積み時代や、家族との軋轢、ストリートでのトラウマといった自らの原風景を「俺には分かる(I Can Tell)」というフレーズと共に独白する。実家の屋根裏部屋でビートを作っていた無名の少年がいかにしてトップスターへと成り上がったのか、そして成功に群がるフェイクな人間たちの本性をいかに見抜いているか。Mike DeanやFKiが手掛けた重厚でダークなシンセサイザーに乗せ、過去の痛みを踏み台にして頂点に君臨する男の狂気と覚悟が入り交じる、ファン屈指のストーリーテリング楽曲である。
和訳
[Intro]
I can tell
俺には分かるぜ
[Chorus]
I can tell, baby, I can tell
俺には分かるんだ、ベイビー、俺には分かる
Ooh, I can tell, baby, I can tell
ウー、俺には分かる、ベイビー、分かるんだよ
You ain't told no tales, you ain't told no tales
お前は作り話(テイルズ)なんてしてない、嘘なんてついてないさ
Yeah, gone out of your way, you know we can tell
あぁ、無理して取り繕っても、俺たちには見透かせるって分かってるだろ
※ストリートのフェイクな連中や、金目当てで近づいてくる人間たちの本性を「見抜ける(I can tell)」というフレックス。
Yeah, I can tell, baby, I can tell
あぁ、俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell
分かるんだよ
[Verse 1]
I can tell by the night tales and the dry spells
夜の作り話や、干ばつ(不遇の時代)を見れば分かる
※「dry spells」は雨が降らない期間。転じて金やドラッグ、インスピレーションが枯渇していた辛い下積み時代の隠語。
All the wrong ones and the right things to stay away from
関わるべきじゃない最悪な奴らや、避けるべき正しい物事についてな
And how we took off and how we on top
俺たちがどうやって飛び立ち、どうやって頂点に立ったか
And how we won't fall, how we goin' up
そして決して落ちぶれることなく、どうやって上昇し続けるか
Or how we came up, or how we came up
俺たちがどうやって這い上がってきたのか、どう成り上がったのか
It all started in the basement
すべては地下室(ベースメント)から始まったんだ
Was an attic, but we called that shit the basement
本当は屋根裏部屋(アティック)だったが、俺たちはそこを地下室って呼んでたのさ
※トラヴィスがヒューストンの実家で機材を置いてビートを作っていたのは実際には「屋根裏部屋」だったが、ヒップホップにおける「アンダーグラウンドからの成り上がり」の象徴として、あえて「地下室」と呼称してハッスルしていた過去の回想。
Bass used to break all my mama vases
重低音(ベース)がお袋の花瓶を全部ぶっ壊したもんさ
Unc' shot my first 8, then, nigga, I probably weren't eight then
叔父貴が俺の最初の「8」を撃った(見せてくれた)、なぁ、当時の俺はまだ8歳にもなってなかったはずだ
※「8」は8ボール(3.5グラムのコカイン)、あるいは「8mmカメラ」や「銃(.38口径など)」のダブルミーニング。幼少期からストリートの過酷な現実(親族の犯罪やドラッグ)を目の当たりにしていたトラウマの告白。「8(エイト)」と「eight then」の言葉遊び。
Always had the gas like I broke wind
いつだって極上のハッパ(ガス)を持ってた、まるでオナラをした(風を吹かせた)みたいにな
※「gas」は強烈な匂いを放つ高品質なマリファナのこと。「broke wind(おならをする)」という表現を用いて、常にガス(強烈な匂い)を放っていたというユーモラスなワードプレイ。
They said my way of makin' dollars never made sense
俺の金の稼ぎ方は理にかなってないって、奴らは言ってたよ
Come take a dive, a waterfall in the deep end
飛び込んでみな、プールの深み(ディープ・エンド)にある滝へ
※「ディープ・エンド」はプールの一番深い場所、つまり引き返せない危険な世界(ドラッグやトラヴィスの狂騒的なライフスタイル)への誘い。
I can tell you 'bout the nights out in Fort Bend
フォートベンドでの夜のことなら、俺が教えてやれるぜ
※「Fort Bend」はトラヴィスの地元ミズーリ・シティが属するテキサス州フォートベンド郡のこと。自分のルーツでのリアルな体験を誇示している。
[Chorus]
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
Yeah, you ain't told no tales, you don't—, mm
あぁ、お前は作り話なんてしてない、お前は…ンー
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる
I can tell, baby, I can tell (Yeah)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(イェー)
No, you don't tell, yeah (Yeah)
いや、お前には語れないさ、イェー(イェー)
[Verse 2]
Yeah, I can tell 'bout the night tales
あぁ、夜の作り話についてなら俺には分かる
And all the dry wells, and all the long roads
そして枯れ果てた井戸、長く険しい道のりについてもな
And all my ideas before the cornrows (Straight up)
コーンロウにする前の、俺の全てのアイデアもさ(間違いないぜ)
※トラヴィスのトレードマークであるブレイズ(コーンロウ)ヘアにする前の、デビュー以前から温めていた数々のクリエイティブな構想のこと。
How we came up and how we came down
俺たちがどうやって這い上がり、どうやって落ちていったか
Goin' donuts, coffee couldn't help now (La Flame)
ドーナツを描いてスピンしてる、今じゃコーヒーなんかじゃ効かないぜ(ラ・フレイム)
※車でドリフト回転(ドーナツ)するようなクレイジーな状態。また「ドーナツとコーヒー」という定番の組み合わせに掛け、ドラッグ等で限界までハイになり、コーヒー程度ではシラフに戻れない(あるいは徹夜の作業にコーヒーでは足りない)ことを示している。
How we zoned out? Made it out the hood now
俺たちがどうやってゾーンに入ったか? 今じゃフッドを抜け出したぜ
And what it do when they wanna be your friend now? (Oh, no)
奴らが今になって「友達になりたい」ってすり寄ってくるのはどういうわけだ?(オー、ノー)
※成功した途端に掌を返して近づいてくるフェイクな人間たちへの軽蔑。
How to get it, how to live and get it in now?
どうやって手に入れるか、どうやって生き抜き、今どうやって稼ぐのか?
How to go from scrapin' profits, makin' his demand now?
なけなしの利益をかき集めていた状態から、どうやって自分の要求を突きつける(価値を上げる)までになったのか?
I been impulsive, non-emotional, stayin' humble 'bout it (Yeah)
俺は衝動的で、感情を殺し、それについて謙虚であり続けてきた(イェー)
Tilt the posture, sick, pass the bottle (Yeah)
姿勢を傾ける、病気だ、ボトルを回せよ(イェー)
※コデイン・シロップ(リーン)を飲みすぎて体が傾き(Lean)、病的な状態になっていること。
504 Hot Boyz, minus the bad rap like Silkk the Shocker (Yeah)
504のHot Boyzさ、シルク・ザ・ショッカーみたいな下手くそなラップを除いてな(イェー)
※「504」はニューオーリンズの市外局番。「Hot Boyz」はLil WayneやJuvenileが所属していたCash Money Recordsの伝説的グループ。「Silkk the Shocker」はライバルレーベルNo Limit Recordsのラッパーで、意図的にビートから外れたフロウ(bad rap)をすることで有名だった。自分はHot Boyzのような勢いがあるが、Silkkのようなダサいラップはしないという強烈なディス交じりのパンチライン。
But I'ma pull up the silk, to shock her with the silk
でも俺はシルクを引き上げて、そのシルク(の肌触り/シーツ)であの女をショックさせてやるのさ
※直前の「Silkk the Shocker」と高級素材の「silk(シルク)」を掛けたワードプレイ。
Nigga, you know I been a rocker, drippin' milk and knockers
なぁ、俺がロックスターだってことは知ってるだろ、ミルクと巨大な胸(ノッカーズ)を滴らせてるぜ
※「knockers」は女性の大きな胸のスラング。グルーピーの女性たちに囲まれているロックスター的な乱痴気騒ぎの描写。
Take it up another notcher, take it up another notcher (Doot-doot-doot-doot-doot-doot)
もう一段階(ノッチ)上へ行くぜ、さらにもう一段階上へな(ドゥドゥドゥドゥ…)
I top a—, pop a pill, pop a seal to forget about ya
俺はトップに立ち、ピルをキメて、ボトルの封(シール)を切る、お前のことを忘れるためにな
I'll bumbaclot you, bumba—bumba—blocka shot ya (Brrah-brrah-brrah-brrah-brrah)
お前をバンバクラッしてやる、バンバ…バンバ…ブラッカって撃ち抜いてやるよ(ブララララッ)
※「Bumbaclot」はジャマイカのパトワ語で強烈な罵倒語。「blocka」は銃声の擬音。レゲエやダンスホールのバイブスを取り入れた攻撃的なライン。
Bling-and-bang-a, bang a rapper, bangarang, I brought my money back, orangutan
ブリン・アンド・バンガ、ラッパーを撃ち抜く、バンガラング、俺は金を持ち帰ったぜ、オランウータンみたいにな
※「Bangarang」は騒音や騒乱を意味するパトワ語。「オランウータン」のように狂暴に暴れ回り、金をかき集めてストリートを制圧するという擬音語を多用した変則的なフロウ。
Diamonds hangin' on my nang-a-lang (Doot-doot-doot-doot-doot)
俺のナング・ア・ラング(イチモツ)にはダイヤモンドがぶら下がってるぜ(ドゥドゥドゥドゥ…)
※「nang-a-lang / dang-a-lang」は男性器を指すスラング。
Bitches hangin' on my dang-a-lang (Straight up), yeah
ビッチたちが俺のダング・ア・ラングにぶら下がってるのさ(間違いないぜ)、イェー
[Chorus]
I can tell, baby, I can tell (Yeah-ayy-ah)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(イェー・エイ・アー)
I can tell, baby, I can tell (Yeah-ayy-ah)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(イェー・エイ・アー)
Yeah, you ain't got no tales, you ain't—, mmm (Oh-ayy, oh-ayy, oh-ayy, oh-ayy, oh-ayy)
あぁ、お前には作り話なんてない、お前は…ンー(オーエイ…)
I can tell, baby (Woo), I can tell (Hoo-hoo)
俺には分かる、ベイビー(ウー)、俺には分かる(フーフー)
I can tell, baby, I can tell (How 'bout I come over there?)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(俺がそっちへ行くのはどうだ?)
I can tell, baby, I can tell (All of them bitches can tell)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(あのビッチたち全員にも分かるのさ)
I can tell, baby, I can tell (All of them bitches can tell)
俺には分かる、ベイビー、俺には分かる(あのビッチたち全員にも分かるのさ)
No, you don't tell, yeah
いや、お前には語れないさ、イェー
