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Apple Pie - Travis Scott 【和訳・解説】

Artist: Travis Scott

Album: Rodeo

Song Title: Apple Pie

概要

トラヴィス・スコットの記念すべきデビューアルバム『Rodeo』(2015年)の通常盤を締めくくる、自己確立と独立を宣言するグランドフィナーレ。「アップルパイ」とは、アメリカの伝統的な家庭の味であり、母親の庇護や、システムが用意した「安全で手っ取り早い成功(甘い蜜)」の象徴である。トラヴィスはこれを明確に拒絶し、自分自身の「スパイス(ペッパー)」を効かせた独自の「レシピ」と「レガシー」を築き上げる決意を歌う。UGKのBun BやDJ DMDといった地元ヒューストンの伝説への敬意を込めながら、彼を搾取しようとする業界の吸血鬼(ドラキュラ)を退け、真のアーティストとして過酷な音楽業界(ロデオ)をサバイブしていく姿が、T.I.の壮大なナレーションと共に締めくくられる名曲である。

和訳

[Intro: Travis Scott]

She say, "Your badass always had a thing for sweets"
彼女は言う、「お前みたいなワルは、昔から甘いもんが好きだったよな」って
※「彼女(Mama)」は母親、あるいは安易な成功や誘惑をもたらす音楽業界(アメリカ社会)の擬人化。「甘いもの(sweets)」は安全で快適な生活や、手っ取り早い成功のメタファー。

Guess that's why I'm so hot on the street
だから俺はストリートでこんなにホットなんだろうな

"Won't you and your friends come eat with me?
「友達も連れて、一緒にご飯でもどうだい?

And let me show you how to whip that recipe"
そのレシピの作り方(成功の近道)を教えてあげるわ」

She say, "Your badass always had a thing for sweets"
彼女は言う、「お前みたいなワルは、昔から甘いもんが好きだったよな」って

Guess that's why I'm so hot on the street
だから俺はストリートでこんなにホットなんだろうな

"Oh, won't you come over and eat with me?
「ねえ、こっちに来て一緒にご飯にしない?

And let me show you how to whip-whip-whip-whip that recipe"
そのレシピの作り方を教えてあげるからさ」

[Verse 1: Travis Scott]

I don't want your apple pie, mama, yeah
お前のアップルパイなんかいらねえよ、ママ、あぁ
※差し出された「安全で甘い道」や「他人が用意した成功のレシピ」を拒絶し、自らの足で歩むという強烈な自立宣言。

I ain't tryna dap up niggas blockin' me, yeah
俺の邪魔をするような野郎共と、ダップス(拳を合わせる挨拶)を交わす気はねえ

Made it out the spot, straight to Quintana
あの場所を抜け出して、クインターナへ一直線さ
※「Quintana」は前作のミックステープ『Days Before Rodeo』の収録曲であり、メキシコのドラッグカルチャーをテーマにした彼のルーツと成功への道のりの象徴。

And I'm still that nigga with diamonds on my blocka
俺は今でも、ブラッカ(銃/ブロック)にダイヤモンドを輝かせてる黒人のままさ

I say when they come at me I bet they have some backup
奴らが俺に挑んでくる時は、バックアップ(援軍)を連れてくるんだろうな

I bet I take your bitch, she take that dick straight up the stasher
俺はお前のビッチを奪う、あの子はそのイチモツを隠し場所(スタッシャー)の奥まで咥え込むぜ

Keep an ounce of garlic just to keep away the Draculas
1オンスのニンニク(ガーリック)を持ち歩いてる、ドラキュラ共を遠ざけるためにな
※「ドラキュラ」は、アーティストの才能や富に群がり、血(金やエネルギー)を吸い取ろうとするレコード会社の重役やフェイクな友人たち(リーチェス)の暗喩。「ニンニク」を持っておくことで、そうした業界の寄生虫たちから身を守っている。

I just seek out to find my home, why can't they just leave me 'lone?
俺はただ自分の帰る場所(居場所)を探してるだけなのに、なんで奴らは俺を放っておいてくれないんだ?

[Chorus: Travis Scott]

'Cause I don't want your apple pie, no-no, mama
だってお前のアップルパイなんかいらねえからな、ノー・ノー、ママ

I don't want your apple pie, no, yeah
お前のアップルパイなんかいらねえよ、ノー、イェー

I don't want your apple pie, mama
お前のアップルパイなんかいらねえんだ、ママ

I don't want your apple pie no more
お前のアップルパイはもう二度といらねえ

I need my own pepper-pepper, please, pepper-pepper seeds
俺には俺自身のペッパー(胡椒/刺激)が必要なんだ、頼むよ、ペッパーの種がな
※甘い「アップルパイ」と対比して、自分の人生には自分自身で育てる刺激的でスパイシーな「ペッパー(困難や自分だけのオリジナリティ)」が必要だという主張。

Need my own reme—, remedy, my own legacy
俺自身のレメディ(治療薬)が、俺自身のレガシー(遺産)が必要なんだ

Yeah, I don't want your apple pie, mama
あぁ、お前のアップルパイなんかいらねえよ、ママ

I need my own pepper, please, my own legacy, my own recipe
俺には俺自身のペッパーが必要なんだ、頼むよ、俺自身のレガシーが、俺自身のレシピが必要なんだ

[Verse 2: Travis Scott]

I came to get it nominated from a spot that y'all seen Bun B blow up (Woah)
お前らがBun B(バン・B)のブレイクを見たのと同じ場所から、俺はノミネートされにやって来たんだ(ウォウ)
※Bun Bはテキサス州ポートアーサー出身の伝説的ヒップホップデュオ「UGK」のメンバー。同じテキサス・ヒューストンエリアの先輩への多大なリスペクトであり、自らもグラミー賞などの名誉(ノミネート)を同郷から勝ち取るという宣言。

I hate to break your heart, I bet I'll make the mark that y'all see a legacy go up (Woah)
お前をガッカリさせたくはないが、俺がレガシーを築き上げる歴史的瞬間(マーク)を、お前らに見せつけることになるぜ(ウォウ)

Goyard done break your pockets, boy, I'm out in Paris lettin' all these beats go up (Woah)
ゴヤールを買えばお前の財布はすっからかんだろ、ボーイ、俺はパリにいて、このビートたちをぶち上げてるぜ(ウォウ)
※「Goyard」は超高級なフランスのトランクメーカー。庶民には手が届かないブランドを気前よく買い、その本場パリで音楽制作をしているというスターのフレックス。

I make in one appearance, what these niggas hatin' makin' in four seasons (Woah)
このヘイター共が4シーズン(1年/ドラマの4期分)かけて稼ぐ額を、俺は1回の出演(アピアランス)で稼ぎ出すのさ(ウォウ)

H-Town, know we gon' stunt, I'm for real and your Rollie tick (Woah)
H-Town(ヒューストン)、俺たちがフレックス(スタント)するのは分かってるだろ、俺は本物で、お前のロレックスはカチカチ鳴ってるぜ(ウォウ)
※本物のロレックス(Rollie)の秒針は滑らかに動き(Sweep)音がしないが、安物の偽物はカチカチ(Tick)と音を立てる。敵の持つモノや人間性が「フェイク」であるというヒップホップの定番ディス。

Look, bitch, this the Rodeo, but I ain't goin' out for your bullshit (Woah)
見ろよビッチ、これがロデオだ、だが俺はお前のクソみたいな戯言に付き合う気はねえ(ウォウ)

And I don't want your apple pie, mama (Woah)
お前のアップルパイなんかいらねえよ、ママ(ウォウ)

I don't wanna dap up niggas blockin' me (Woah)
俺の邪魔をするような野郎共と、ダップスを交わす気はねえ(ウォウ)

I am everything except a rapper
俺は「ラッパー」以外のすべてさ
※単にラップをするだけの人間ではなく、プロデューサー、ディレクター、キュレーター、つまり「総合的なアーティスト」であるという強い自負。

Shit, I got at least twenty-five lighters on my dresser, oh, yeah (Woah)
クソ、俺のドレッサーの上には少なくとも25個のライターが置いてあるぜ、あぁ、イェー(ウォウ)
※ヒューストンのレジェンド、DJ DMDのクラシック曲「25 Lighters」(1998年)の引用。かつてストリートのハスラーたちは、BICのライターの中身を抜いてクラック・コカインを隠し持っていた。ヒューストンのストリートカルチャーに対する究極のオマージュ。

[Bridge: Travis Scott]

Roxanne tonight
今夜はロクサーヌだ
※The Policeの名曲「Roxanne」の引用。同曲は娼婦(Roxanne)に対して「もう赤線を歩かなくていい(売春をやめろ)」と歌う曲だが、ここではLAの退廃的な夜遊び、あるいはストリートの誘惑を象徴している。

Roxanne tonight (Yup, yup)
今夜はロクサーヌだ(ヤップ、ヤップ)

Roxanne tonight (Yup, yup, yup)
今夜はロクサーヌだ(ヤップ、ヤップ、ヤップ)

Roxanne tonight (Yup, yup, yup)
今夜はロクサーヌだ(ヤップ、ヤップ、ヤップ)

Roxanne tonight (Yup, yup, yup)
今夜はロクサーヌだ(ヤップ、ヤップ、ヤップ)

Roxanne tonight (Yup, yup, yup)
今夜はロクサーヌだ(ヤップ、ヤップ、ヤップ)

[Outro: T.I.]

Huh, que será, será, so the story goes
ハッ、ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)、そうして物語は続く
※ここからT.I.による壮大なアルバムのアウトロ・ナレーション。

On and on and back and forth, the evolution's absolute
延々と、行ったり来たりしながら、進化は絶対的なものとして進んでいく

Tours and shows and groupie whores
ツアーにショー、それにグルーピーの娼婦たち

Wouldn't hesitate if he had to shoot, though he'd rather not
本当は撃ちたくないが、いざとなれば彼は引き金を引くことをためらわない

Forever been the elephant in the room that everyone can't wait to run and tell about
彼はいつだって「部屋の中の象(誰もが気付いているが触れないタブー)」であり、誰もが走って他人に言いふらしたくてたまらない存在なんだ

The head to the body of the belligerent militant group
好戦的で過激なグループの、頭脳であり肉体でもある

That sponsors the revolution that will not be televised
「テレビ放送されない革命」を後援するグループのな
※Gil Scott-Heronの1971年の名曲「The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビ放送されない)」の引用。真の変革はメディアの枠外、つまりストリートや人々の心の中で直接起こるというメッセージ。

Decide to cross those lil' guys, you've obviously been ill-advised
あの小柄な奴ら(トラヴィスたち)を裏切ろうとするなら、お前は明らかに間違った助言を受けてるぜ

Yet and still, the question that arises to the mind
だがそれでもなお、心に浮かぶ疑問がある

"Will he make it? Was it worth it? Did he win? Will he survive the Rodeo?"
「彼はやり遂げるのか? それだけの価値はあったのか? 彼は勝ったのか? 果たして彼は、このロデオ(過酷な音楽業界)を生き残れるのか?」