Artist: Travis Scott (feat. Kanye West)
Album: Rodeo
Song Title: Piss on Your Grave
概要
トラヴィス・スコットのデビューアルバム『Rodeo』(2015年)に収録された本作は、彼最大のメンターであるカニエ・ウェストをフィーチャーした、音楽業界とヘイターに対する文字通りの「中指」である。元々はポール・マッカートニーとのコラボ曲として、カニエのアルバム(当時の仮題『So Help Me God』)用に制作されていたという逸話を持つ。ジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせるArthur Verocaiの重厚なサイケデリック・ロックのサンプルに乗せ、搾取的なレコード会社の重役(エグゼクティブ)や、彼らが無名だった頃に見下してきた者たちの「墓に小便を引っ掛ける」という究極の侮辱と反逆を歌い上げている。抑圧された怒りが爆発する、ヒップホップ史に残るパンク・アンセムだ。
和訳
[Intro: Kanye West]
Yeah, yeah, yeah
イェー、イェー、イェー
[Chorus: Kanye West]
I use your face as a urinal, then do the same at your funeral
お前の顔を便器代わりにしてやる、お前の葬式でも同じことをしてやるよ
※「urinal(男性用小便器)」と「funeral(葬式)」で踏韻。相手の生前も死後も徹底的に侮辱し尽くすというカニエの異常なまでの怒りの表現。
Piss on your grave, piss on your grave, piss on your grave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、お前の墓に小便を引っ掛けてやる
Piss on your grave, piss on your grave, piss on your grave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、お前の墓に小便を引っ掛けてやる
This one here for the executives, fuck you and all of your relatives
これはレコード会社の重役(エグゼクティブ)共に向けた一曲だ、お前らもお前の親族も全員クソくらえだ
※アーティストを搾取し、クリエイティブな自由を奪う音楽業界のスーツ組(白人層)に対する強烈なディス。
Piss on your grave, piss on your grave, piss on your grave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、お前の墓に小便を引っ掛けてやる
Piss on your grave, piss on your grave, nigga, behave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、なぁ、おとなしくしてろ
Nigga, behave, nigga, behave
野郎、おとなしくしてろ、おとなしくしてろ
[Verse 1: Travis Scott]
Us niggas, we can't behave
俺たち黒人は、おとなしく(行儀良く)なんてしてられねえんだよ
※奴隷制度から続く「白人のルールに従う(behaveする)」ことへの拒絶。
We mobbed on the pave, got treated like slaves
舗装路(ストリート)に群がった俺たちは、奴隷のように扱われてきた
Young niggas treated like slaves
若い黒人たちは奴隷のように扱われてきたんだ
This the moment I've been waiting for
これこそが、俺がずっと待ち望んでいた瞬間だ
This why I moved to Cali, stepped outside and got shaded for
そのために俺はカリフォルニアに移住し、外へ踏み出し、冷たい目(シェイド)で見られてきたんだ
※トラヴィスが音楽で成功するために大学を中退し、テキサスからLA(Cali)へ移住した際、業界から冷遇され(投げやりな扱いを受け)た下積み時代への言及。
Told momma, "Bitch, get back in the door"
お袋に言ってやったのさ、「ビッチ、ドアの中へ引っ込んでろ」ってな
※『Rodeo』収録の「Oh My Dis Side」等でも語られる、大学中退を機に両親と大喧嘩して実家を追い出されたエピソード。親の反対(=安全な道)を暴力的なまでに拒絶して家を飛び出した。
I've been comin' up and down, a nigga can't take no more
俺はずっと浮き沈みを繰り返してきた、もうこれ以上は耐えられねえ
Kamikaze over commas
カンマ(大金)のためにカミカゼ(特攻)するぜ
※「commas」は金額の桁を区切るカンマ(数千、数百万ドル)。大金を手にするためなら、自らの命を投げ打つ(神風特攻隊のような)危険なハッスルも厭わないという覚悟。
Benjamins, dividends stuffed in my jeans, I can't fit in
ベンジャミン(100ドル札)や配当金がジーンズに詰め込まれてる、もう入りきらねえよ
Poppin' pills since droppin' Ritalins
リタリンを落として(やめて)から、ピルをキメ続けてる
※「Ritalin」はADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療薬。子供の頃に処方されていた薬をやめ、今は快楽目的のドラッグ(パーコセットなどのピル)を乱用しているという退廃的なライン。
Pop a penicillin, nigga, you gotta get with it
ペニシリンを飲めよ、お前もこの状況に適応しなきゃな
※ペニシリンは梅毒などの性病治療に使われる抗生物質。乱れた性生活への言及、あるいはヘイターたちに対する「病気みたいな奴らだから薬でも飲んでろ」という煽り。
My, my, my, my, look at little Scotty now
おい、おい、今の小さなスコッティを見てみろよ
※昔は自分をガキ(little Scotty)扱いしていた連中に対する、大スターになった現在の姿を見せつける痛快なフレックス。
The same fuckers used to doubt
かつて俺を疑っていたのと同じクソ野郎共が
All preachin' that they proud
今じゃ揃いも揃って「お前を誇りに思う」なんて説教垂れてきやがる
I pull my zipper down and whip it out
俺はジッパーを下ろして、俺のモノ(イチモツ)を取り出すのさ
※手のひらを返してきた連中への返答は、曲のタイトル通り「小便を引っ掛けること」であるという下品でパンクなオチ。
[Verse 2: Kanye West]
Piss in your grave, piss in your grave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、お前の墓に小便を引っ掛けてやる
Turn this up, teacher
先生、この曲のボリュームを上げてくれ
Play this in the third grade, in the third grade
これを小学3年生の教室で流すんだ、小学3年生にな
※既存の白人中心的な教育システム(システムへの同調を強いる学校)に対する反逆。子供たちに早い段階から「権力に中指を立てる」ことを教えろというカニエらしい過激なメッセージ。
Can't hide from the truth
真実からは逃げられない
Now, we 'bout to go ape, we're 'bout to go ape
さあ、俺たちは猿みたいに暴れ狂うぜ、暴れ狂ってやる
※「go ape」は理性を失って激怒する、発狂するというスラング。カニエの楽曲「Niggas in Paris」やBAPE(A Bathing Ape)のエネルギーに通じる表現。
These streets is not safe
このストリートは安全じゃねえ
These niggas ain't playin', these niggas ain't playin', huh?
この野郎共は遊びでやってるわけじゃねえ、遊びじゃないんだよ、あぁ?
These niggas ain't playin'
この野郎共は遊びでやってるわけじゃねえ
This for my fam, this for the fam, do this for the fam
これは俺の家族のためだ、家族のため、家族のためにやってるんだ
Hop out of the Lamb', hop onto the 'gram
ランボルギーニから飛び降りて、インスタグラムに飛び乗る
※現実世界での富(ランボルギーニ)を、SNS(インスタグラム)の仮想空間で見せつけて影響力を拡大する現代のスターの象徴的な行動。
What the fuck was you sayin'?
お前は一体何を言ってたんだ?
Piss in your grave, piss in your grave, piss in your grave
お前の墓に小便を引っ掛けてやる、お前の墓に小便を引っ掛けてやる
I'll piss on your face
お前の顔面に小便を引っ掛けてやるよ
I'll piss on your bitch, I'll piss on your date, ugh
お前のビッチに小便を引っ掛けてやる、お前のデート相手に引っ掛けてやるよ、ウッ
Fuck is you sayin'? Fuck is you sayin'? Fuck is you sayin'?
お前は何を言ってやがる? 何を言ってやがる? 何を言ってやがるんだ?
Me and La Flame, is you not entertained?
俺とラ・フレイムだ、お前ら楽しんでないのか?
※映画『グラディエーター』の主人公マキシマスの名台詞「Are you not entertained?(お前ら、楽しんでるか?)」の引用。命懸けで権力(音楽業界/メディア)に抗う自分たちの姿を闘技場の剣闘士に見立てている。
[Outro: Kanye West]
Huh
ハッ
