Artist: Kanye West
Album: Yeezus
Song Title: Hold My Liquor
概要
2013年リリースのアルバム『Yeezus』に収録された、ダークで内省的なトラックである。客演にシカゴ・ドリルの火付け役であるChief Keefと、Bon IverのJustin Vernonという全く異質の二人を迎え、絶望的なまでの孤独感と自己破壊衝動を描き出している。酒とドラッグに溺れたカニエが元恋人の家に押しかけ、傲慢に振る舞いながらも愛を渇望する惨めな姿を赤裸々に吐露する。インダストリアルで重苦しいシンセサイザーと、Chief Keefの虚無的なコーラス、Justin Vernonの幽玄なボーカルが交錯し、「Yeezus」という神格化されたペルソナの裏側に潜む、カニエの制御不能なエゴと不完全な人間性が痛々しいほどに露呈した重要曲だ。
和訳
[Intro: Justin Vernon]
I can hold my liquor
俺は酒には強いが。
But this man can't handle his weed
この男はハッパを扱いきれないらしい。
※Justin Vernonによる哀愁漂うボーカル。「hold one's liquor」は酒に飲まれない(酔いつぶれない)ことを意味する。
Dark and lonely now
今は暗く、孤独だ。
On Chicago, south of town
シカゴの南の街で。
I'm onto Indiana
インディアナへ向かっている。
I heard it in the radio now
今、ラジオでそれを聞いたんだ。
[Refrain: Chief Keef]
I can't handle no liquor
俺は酒なんか飲めねえ(扱いきれねえ)。
But these bitches can't handle me
だが、このビッチ共は俺を扱いきれねえよ。
※当時まだ10代だったChief Keefの荒々しいボーカル。彼の無軌道な若さと、女性関係におけるコントロール不能な状態を示している。
I can't control my niggas
俺は自分のダチをコントロールできねえし。
And my niggas, they can't control me
俺のダチも、俺をコントロールできねえ。
You say you know me, my nigga
お前は俺を知ってるって言うがな、兄弟。
But you really just know the old me
お前が知ってるのは、昔の俺だけさ。
[Verse: Kanye West]
Bitch, I'm back out my coma
ビッチ、昏睡状態(コーマ)から目覚めたぜ。
※アルコールやドラッグによるブラックアウト(記憶喪失や泥酔状態)から目を覚ましたことを指す。
Wakin' up on your sofa
お前の家のソファでな。
When I parked my Range Rover
俺がレンジローバーを停めたとき。
Slightly scratched your Corolla
お前のカローラを少し擦っちまった。
Okay, I smashed your Corolla
分かったよ、お前のカローラをぶっ壊したさ。
※最初は「少し擦った(slightly scratched)」と言い訳しつつ、すぐに「ぶっ壊した(smashed)」と認める。酔っ払いの支離滅裂な言い訳と、高級車(Range Rover)で大衆車(Corolla)を破壊するというカニエの横暴さを表している。
I'm hangin' on a hangover
ひどい二日酔い(ハングオーバー)でフラフラだ。
Five years, we been over
俺たちが別れてから、もう5年になるな。
Ask me why I came over
なんで俺がここに来たのか聞いてみろよ。
One more hit and I can own you
あと一発(ヤクを)キメれば、お前を俺のモノにできる。
One more fuck and I can own you
あと一回ヤれば、お前を俺のモノにできるんだ。
One cold night in October
10月のとある寒い夜。
Pussy had me floatin', feel like Deepak Chopra
お前のあそこのおかげで宙に浮く気分だ、ディーパック・チョプラみたいにな。
※Deepak Chopra(ディーパック・チョプラ)は有名なインド出身のニューエイジ思想家・医学博士。スピリチュアルで瞑想的な「浮遊感」とセックスの快感を掛けている。
Pussy had me dead, might call 2Pac over
死にそうなほど最高だ、2Pacを呼び出せそうなくらいな。
Yeezy's all on your sofa
Yeezy(俺)がお前のソファを占領してる。
These the Red Octobers
これが「レッド・オクトーバー」だ。
※カニエがNikeとコラボした超レアスニーカー「Nike Air Yeezy 2 "Red October"」のこと。土足でソファに上がり、未発売のスニーカーを見せびらかしている。
Still ain't learn me no manners
まだマナーってやつを学んじゃいねえ。
You love me when I ain't sober
シラフじゃない時の俺が好きなんだろ。
You love me when I'm hungover
二日酔いの俺が好きなんだろ。
Even when I blow doja
ハッパ(ドージャ)を吹かしてる時の俺でさえもな。
Then her auntie came over
そしたらあいつの叔母さんがやって来て。
Skinny bitch with no shoulders
肩幅のねえ、ガリガリのビッチさ。
Tellin' you that I'm bogus
あんた(元カノ)に、俺のことがインチキ野郎(ボーガス)だって吹き込むんだ。
Bitch, you don't even know us
ビッチ、あんた俺たちのこと何も知らねえだろ。
"Baby girl, he's a loner
「ベイビー、あいつは孤独な奴よ。
Baby girl, he's a loner"
ベイビー、あいつは一匹狼よ」
Late-night organ donor
深夜の「臓器提供者(オーガン・ドナー)」。
※セックス(生殖器の提供)だけをして去っていく無責任な男を、皮肉を込めて臓器提供者に例えている。
After that, he disown you
「ヤッた後、あいつはあんたを捨てるわ。
After that, he's just hopeless
その後、あいつはどうしようもなくなるのよ」
Soulmates become soulless
ソウルメイトが魂(ソウル)を失う。
"When it's over, it's over"
「終わる時は、終わるのよ」
And bitch, I'm back out my coma
そしてビッチ、俺は昏睡から目覚めたぜ。
[Chorus: Justin Vernon & Kanye West]
Callin' up your uncle's place (I'm not enough, enough)
お前のおじさんの家に電話してる。(俺じゃ不十分なんだ、足りないんだ)
Shit's all over the place (Enough, enough, oh-oh-oh)
何もかもめちゃくちゃだ。(もう十分だ、ああ)
I don't hear your phone
お前の電話の音が聞こえない。
Oh, I'ma phone home
ああ、家に電話しよう。
[Refrain: Chief Keef]
I can't handle no liquor
俺は酒なんか飲めねえ。
But these bitches can't handle me
だが、このビッチ共は俺を扱いきれねえよ。
I can't control my niggas
俺は自分のダチをコントロールできねえし。
And my niggas, they can't control me
俺のダチも、俺をコントロールできねえ。
You say you know me, my nigga
お前は俺を知ってるって言うがな、兄弟。
But you really just know the old me
お前が知ってるのは、昔の俺だけさ。
[Bridge: Justin Vernon & Kanye West]
I heard you need a new fad (A new girl, a new girl)
新しい流行りが必要らしいな。(新しい女が、新しい女が)
I heard you need a new stack (A new girl, a new girl)
新しい札束(スタック)が必要らしいな。(新しい女が、新しい女が)
I heard you need a new phone (A new girl, a new girl)
新しい電話が必要らしいな。(新しい女が、新しい女が)
I know your 'rents ain't be home (A new girl, a new girl)
お前の親が家にいないのは分かってる。(新しい女が、新しい女が)
※'rentsはparents(両親)の略。
[Chorus: Justin Vernon & Kanye West]
Callin' up your uncle's place (A new girl, a new girl)
お前のおじさんの家に電話してる。(新しい女が、新しい女が)
Shit's all over the place (A new girl, a new girl)
何もかもめちゃくちゃだ。(新しい女が、新しい女が)
I don't hear your phone
お前の電話の音が聞こえない。
Oh, I'ma phone home
ああ、家に電話しよう。
