Artist: Kendrick Lamar & Kodak Black
Album: Mr. Morale & The Big Steppers
Song Title: Silent Hill
概要
本作「Silent Hill」は、Kendrick Lamarが名声に伴う人間関係の有毒さや、周囲に群がる偽善者(スネーク)たちからの完全な隔離と精神的防衛を歌う、バウンシーでありながらパラノイアに満ちた一曲である。タイトルの『Silent Hill』は同名のサバイバルホラーゲームに由来し、濃霧に包まれた孤立状態や、内面のトラウマが生み出すクリーチャー(本作における有毒な人間たち)から逃れようとする心理状態を暗喩している。客演には、数々の犯罪歴やスキャンダルでキャンセルカルチャーの標的となってきたKodak Blackを起用。彼が刑務所(Feds)から出所した直後にKendrickとスタジオ入りした事実や、どん底から這い上がったゲットーのサバイバル術を語るヴァースは、アルバム全体のテーマである「不完全な人間の受容と赦し」を強烈に体現している。「Huh」という独特のコールと共に周囲を突き放し、「沈黙(Silence)」を乞うKendrickの姿は、スターダムの頂点における極限のストレスと孤独を浮き彫りにしている。
和訳
[Intro: Kendrick Lamar]
Hey, oh, yo
おい、ああ、ヨォ
Why, oh why, oh why, oh why you keep fuckin' with me?
なあ、なんで、どうして俺に関わろうとするんだ?
You gon' make me jump out my skin, believe me
俺を怒りで狂わせる(肌から飛び出させる)つもりかよ、マジでな
※「jump out my skin」は驚愕や極度の恐怖、あるいは怒りで正気を失うことのメタファー。ホラーゲーム『Silent Hill』の世界観と掛けて、周囲の人間関係が彼を極限の心理的パニックに追い込んでいる状態を示唆している。
[Chorus: Kendrick Lamar]
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
※「Huh」という荒々しいアドリブは、文字通り不快な人間を物理的に力強く突き飛ばす際の息遣いを表現している。Kendrickが自らの精神的スペースを確保するために、業界の「スネーク(裏切り者)」や「フェイク」を排除するバウンダリー(境界線)の設定である。
Push these bitches off me like, "Huh"
このビッチどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' the snakes, I'm pushin' the fakes
ヘビ(裏切り者)どもを突き放す、フェイクな奴らを突き放す
I'm pushin' 'em all off me like, "Huh"
あいつら全員を俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' 'em all off me like, "Huh," yeah
全員突き飛ばす、「ハッ」ってな、イェー
[Verse 1: Kendrick Lamar]
Aha, I be immune to shit (Aha)
アハ、俺はそういうクソには免疫がある(アハ)
Tucking the broom and shit (Aha)
ほうき(ショットガン)を隠し持ってな(アハ)
※「Broom(ほうき)」は長い銃身を持つショットガンやアサルトライフル、あるいは拡張マガジン(ロングクリップ)を指すストリートスラング。敵を「掃討する」という意味も含まれる。
They want to assume and shit (Aha)
奴らは勝手な憶測をしたがる(アハ)
Know you a choke, my ancestors close
お前が息詰まるのは分かってる、俺の先祖たちがそばにいるからな
※Kendrickがスピリチュアルな加護(先祖の霊)に守られており、彼を攻撃しようとする敵はその圧倒的な霊的プレッシャーの前に息の根を止められる(choke)という表現。
I howl at the moon and shit (Aha)
俺は月に向かって吠えるぜ(アハ)
※野性的な本能の解放。同時に、客演のKodak Blackが率いるレーベル「Sniper Gang」のモチーフや、彼らのようなストリートの「狼」たちとの連帯を示唆している。
Know the rеsults, the ballot is in, man, I'm 'bout to boom again (Aha)
結果は分かってる、投票(バロット)は終わったんだ、なあ、俺はまた爆発(ブーム)を起こすぜ(アハ)
※『DAMN.』からの5年間の空白期間を経て、再び音楽シーンの頂点(Boom)へと舞い戻るという自信の表れ。
You funny, dog
お前らウケるな、なぁ
Peek-a-boo, can't hide behind your monеy, dog
いないいないばぁ、金の陰には隠れられねえぞ
A week or two, I meditate on runnin' lost
1、2週間、俺は迷子になることについて瞑想する
※意図的に世間の目から姿を消し(runnin' lost)、外界との接触を絶つことで内面の平和を保とうとする逃避行動。
Swerve, swerve, swerve, shake the currents off, yeah
スワーヴ、スワーヴ、スワーヴ、しがらみ(流れ)を振り落とすぜ、イェー
※「Swerve」は車で急ハンドルを切るスラング。周囲のネガティブなエネルギーやトレンド(currents)から急激に方向転換し、己の道を進む意思。
[Chorus: Kendrick Lamar]
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Push these bitches off me like, "Huh"
このビッチどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' the snakes, I'm pushin' the fakes
ヘビ(裏切り者)どもを突き放す、フェイクな奴らを突き放す
I'm pushin' 'em all off me like, "Huh"
あいつら全員を俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' 'em all off me like, "Huh," yeah
全員突き飛ばす、「ハッ」ってな、イェー
[Post-Chorus: Kendrick Lamar]
Head up, chest out
頭を上げろ、胸を張れ
Silence, I'm stressed out
黙れ、俺はストレスで限界なんだ
※強気なラップスタイル(Head up, chest out)の直後に露呈する、耐え難い精神的重圧。タイトルの「Silent(沈黙)」を乞う切実な叫びである。
Shh, be quiet, I'm stressed out
シッ、静かにしろ、ストレスで狂いそうなんだ
Stressed out, stressed out, stressed—
限界だ、ストレスで限界なんだ…
[Bridge: Kendrick Lamar]
Pick my daughter up, she need all the love
娘を迎えに行く、あの子にはありったけの愛が必要だ
I need all the love, I mean all of us
俺にも愛が必要だ、いや、俺たち全員にな
It's like six o'clock, bitch, you talk too much
まだ6時だぜ、ビッチ、お前は喋りすぎだ
You makin' it awkward, love
お前が雰囲気を気まずくしてるんだよ、なぁ
※娘との穏やかな時間や家族愛を阻害する、業界や外部のノイズ(口うるさい連中)に対する苛立ち。
I mean, it's hard enough, I mean, it's—
つまり、ただでさえハードなんだ、俺が言いたいのは…
[Verse 2: Kodak Black & Kendrick Lamar]
They don't fuck with me even if they could
奴らは俺に関わろうとしない、たとえできたとしてもな
Pull out the stick, hit a bitch with the wood
スティック(銃)を抜きな、木(銃床)でビッチをぶったたくぜ
First to park Rolls-Royce, 'vert in the hood
フッド(地元)で最初にロールスロイスのオープンカーを停めたのは俺だ
Don't worry about us, over here we good
俺らのことは気にするな、こっちは上手くやってるからよ
The AP Roman numeral, everywhere I go, I need pharmaceuticals
ローマ数字のAP(オーデマ・ピゲ)、どこへ行くにも薬(ファーマシューティカルズ)が必要だ
※莫大な富(高級時計)を得た後も、精神的なトラウマや痛みを紛らわすために処方薬(ドラッグ)を手放せないKodakの現状。
I ran my whole conglomerate, I was just mappin' shit out in the cubicle
俺は自分のコングロマリットを動かしてる、独房(キュービクル)の中で計画を練ってたんだ
※「Cubicle」は本来オフィスの仕切られた空間を指すが、ここでは彼が収監されていた刑務所の独房のこと。獄中から自身のビジネス帝国を構想していた事実。
Suicide coupe was a funeral, Trackhawk launch like a slingshot
スーサイドドアのクーペはまるで葬式、トラックホークはパチンコみたいに発進する
Big ol' ruby diamond on my pinky finger, that bitch look like a Ring Pop
小指にはデカいルビーのダイヤモンド、まるでリングポップ(飴の指輪)みたいだろ
Money on my mind, money on your head
頭の中には金のこと、お前の頭には懸賞金がかかってる
Can't ride three times while you comin' through the 'jects
団地(プロジェクト)を通る時に、3回も同じ車で通ることはできねえぞ
※ストリートのルール。敵対するギャングのテリトリー('jects = projects)を同じ車で何度も徘徊すれば、ドライブバイ(車からの銃撃)を警戒されて殺されるというスラムの過酷な現実。
Red Cross kept a nigga fed
赤十字が俺たちニガを食わせてくれたんだ
※本アルバムの『Rich (Interlude)』でも語られた、極貧時代に赤十字などの慈善団体の配給(フードバンク)で生き延びてきた過去への言及。
In the studio with K. Dot fresh out the feds
Feds(連邦刑務所)から出所してすぐ、K. Dot(ケンドリック)と一緒にスタジオ入りさ
※トランプ元大統領による恩赦で2021年1月に釈放されたKodakが、出所直後にKendrickから招かれてこのアルバムの録音に参加したという強烈な事実。Kendrickがキャンセルカルチャーを無視し、問題を抱えた人間(Kodak)にあえて救いの手を差し伸べたことを証明する歴史的ライン。
Yeah, you niggas can't stand the rain, you niggas don't stand a chance
ああ、お前らニガは雨(試練)に耐えられない、お前らに勝ち目はねえよ
※Missy Elliottの名曲「The Rain (Supa Dupa Fly)」からの引用(I can't stand the rain)。
Yeah, Chevrolet candy paint, I spin the bend in the Benz
イェー、キャンディペイントのシボレー、俺はベンツで角を曲がる(スピン・ザ・ベンド)
※「spin the bend(またはspin the block)」は、敵のテリトリーに報復や偵察のために再び車で乗り込むこと。
I caught a bale off a Google app
Googleのアプリでヤクの束(ベイル)を仕入れたぜ
※現代のハスリング。Google Voiceや暗号化アプリなどを利用して麻薬取引を行っていたことの描写。
I'm the type to get my shooter whacked
俺は自分のヒットマン(シューター)さえも消すタイプの男だ
※自分の手下(暗殺者)でさえ、証拠隠滅のために殺すことができるという極限の冷酷さとパラノイア。
I had to survive off a tuna pack
ツナパック(ツナ缶)で生き延びなきゃならなかったんだ
※刑務所内での通貨や食料として重宝される「ツナのパウチ(缶詰)」のこと。刑務所での過酷なサバイバル生活を象徴している。
Five percent tint on the whip like, "Who was that?"
車の窓は5%のスモーク、「今のは誰だ?」ってな
Coupe take off like it's mad
クーペが怒り狂ったように飛び出す
Beat the dope with a fork, I'm whippin' up Sudafed, I'm doin' scams in the lab
フォークでヤクを混ぜる、スダフェドを調理して、ラボで詐欺(スキャム)をやってるんだ
※「Sudafed」は市販の鼻炎薬だが、メタンフェタミン(覚醒剤)を密造する際の原料として使用される。ドラッグの製造とクレジットカード詐欺(scam)で生計を立てていたトラップの日常。
Every Thursday, girl's day, spendin' time with my daughter, make me go harder
毎週木曜は女の子の日、娘と過ごす時間が俺をさらに奮い立たせる
Every Sunday's son's day, teach my boy to be a man, I ain't had no father
毎週日曜は息子の日、息子に「男のなり方」を教えるんだ、俺には親父がいなかったからな
※Kendrickの「Father Time」のテーマと完全に共鳴するライン。ストリートで犯罪に手を染めてきたKodakだが、自分は父親不在の痛みを反面教師とし、必死に子供たちの良き父親になろうとしている。この人間味の描写こそが、Kendrickが彼を客演に呼んだ最大の理由である。
Fell in the love with the block, I ain't have no pop, just a sawed-off shotgun, Mossberg
ブロック(ストリート)と恋に落ちた、俺には親父(ポップ)がいなかったから、ソウドオフ・ショットガン(モスバーグ)しかなかった
※「Pop」は父親と、銃を撃つ音(Pop)のダブルミーニング。父親の代わりに銃(Mossberg製の散弾銃)を頼りに育った過酷な環境。
We stackin' that money up proper, awkward diamonds, look like marbles
俺たちは金をきっちり積み上げてる、いびつなダイヤモンド、まるでビー玉みたいだろ
Audemars water, aqua, beatin' the block up 'til we spot 'em
オーデマ・ピゲは水(ダイヤ)でビカビカのアクア、標的を見つけるまでブロックを徘徊するぜ
I don't want your ice, boy, I want your life, but fuck it, I still might rob 'em (Yo)
お前の宝石(アイス)なんていらねえ、欲しいのはお前の命だ、でもまあ、どうせ強盗もするだろうけどな(ヨォ)
[Chorus: Kendrick Lamar]
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Push these bitches off me like, "Huh"
このビッチどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Push these niggas off me like, "Huh"
このニガどもを俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' the snakes, I'm pushin' the fakes
ヘビ(裏切り者)どもを突き放す、フェイクな奴らを突き放す
I'm pushin' 'em all off me like, "Huh"
あいつら全員を俺から突き飛ばす、「ハッ」ってな
Pushin' 'em all off me like, "Huh," yeah
全員突き飛ばす、「ハッ」ってな、イェー
[Post-Chorus: Kendrick Lamar]
Head up, chest out
頭を上げろ、胸を張れ
Silence, I'm stressed out
黙れ、俺はストレスで限界なんだ
Shh, be quiet, I'm stressed out
シッ、静かにしろ、ストレスで狂いそうなんだ
Stressed out, stressed out, stressed out
限界だ、ストレスで限界なんだ…
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