Artist: Yeat & Joji
Album: ADL
Song Title: Back Home
概要
Yeatのアルバム『ADL (A Dangerous Lyfe)』の終盤を飾るエモーショナルな楽曲。Lo-Fi/R&Bのメランコリーを体現するJojiを客演に迎え、これまでのレイジサウンドや物質主義的なフレックスから一転し、名声の代償と深い孤独、そして「家(Home)」への痛切な帰巣本能を歌い上げる。Yeatが自身の有毒性(Toxic)や空虚感を赤裸々に語り、Jojiがその痛みを引き受けるようにアウトロで魂の叫びを響かせる。富や権力の頂点(Dangerous House)に登り詰めたラップスターが最後に直面した精神的な限界と、本来の自分を取り戻そうとするヒップホップ/R&Bの枠を超えた内省的なマスターピースである。
和訳
[Intro: Yeat]
And I told you what I told ya
言っただろ、俺が言った通りさ
※これまでの『ADL』の楽曲群で語ってきた富や権力の誇示、あるいはその裏にある孤独についての前置き。
I'll tell you every time 'til it's over (Woo)
すべてが終わるまで、何度だって言ってやるよ(ウー)
Ooh
ウー
Ooh
ウー
Back
戻るんだ
[Chorus: Yeat]
Yeah, I wanna go back home (Ooh)
ああ、家に帰りてえんだ(ウー)
※数々のクラブバンガーを経て、突如として吐露される帰巣本能。「Home」は物理的な家だけでなく、名声を得る前の平穏な精神状態や本来の自分を指す。
No, I wanna, I wanna, I wanna, I wanna
いや、俺は、俺は帰りたいんだ
I wanna go back home (Ooh)
家に戻りたい(ウー)
(I wanna go back home)
(家に帰りてえよ)
Ooh (I wanna), I wanna go back home
ウー(帰りたい)、家に戻りたいんだ
Bitch, I wanna go home, bitch, I wanna go home
ビッチ、俺は家に帰りたい、家に帰りてえんだよ
Shit just don't feel right in here, think it's time to go home
ここはなんか空気がおかしい(狂ってる)、もう帰る時間みたいだな
※「Don't feel right in here」は、業界のパーティーやフェイクな人間関係、あるいはアルバムを通じて描かれた「Dangerous House(危険な場所)」への決定的な違和感と決別。
[Verse: Yeat]
Late night, goin' statewide
深夜、州をまたいで移動する
※絶え間なく続く全米ツアーの疲労感。
Want a bad bitch, one that I can find
極上のビッチが欲しい、どこかで見つけられるような奴がな
I can bring you in, lead you inside
お前を中に入れて、案内してやることもできる
Or I can leave you there, leave you outside (Hey)
それとも、お前をそこに置き去りにして、外に締め出すこともできるぜ(ヘイ)
※自身の絶対的な権力(相手を選別し、運命を左右する力)を誇示しつつ、人間関係をモノのように扱う冷酷さ。
I don't really care, it's not my time (Hey)
マジでどうでもいい、俺の時間は使わねえよ(ヘイ)
Why you always scared? Need a nightlight (Hey)
なんでお前はいつもビビってんだ? 常夜灯(ナイトライト)でも必要なのか?(ヘイ)
※夜(暗闇=ストリートや業界の闇)に怯える相手への嘲笑。
Life ain't fair, that ain't my fight (Hey)
人生は不公平だ、だがそれは俺の戦いじゃねえ(ヘイ)
※他人の不遇や不幸に対して、自分が背負う義務はないという冷めた視点。
It ain't my fault to stare, my diamond too bright
ジロジロ見られるのは俺のせいじゃねえ、俺のダイヤが眩しすぎるからだろ
※自意識過剰なフレックス。自分の輝き(成功)が強すぎるため、周囲が目を奪われるのは必然である。
Oh, you said it, not me
オー、そう言ったのはお前だ、俺じゃねえぞ
Let's go, 'cause I'm feelin' so free
行こうぜ、俺は最高に自由な気分だからな
Let's roll, take a drive on the street
車を出せ、ストリートをドライブしよう
Let's grow, I'm the sun, you a seed
成長しようぜ、俺が太陽で、お前は種(シード)だ
※他の楽曲でも見られた「自分=太陽」のメタファー。自分がエネルギーを与えることで相手を生かすという、神のような自己認識。
I'm a ho, but I don't want you to see it
俺は浮気者(ホー)だ、でもお前にはそれを見られたくねえんだ
※「Ho(売春婦、尻軽)」を自称し、複数の女性と遊ぶ自身の不誠実さや有毒性を自覚しつつ、愛する(あるいは利用する)相手には隠しておきたいという矛盾とエゴ。
I know that you want it, you need it
お前がそれを欲しがってて、必要としてるのは分かってる
I poke and I prod 'til you bleedin'
お前が血を流すまで、俺は突っついて弄り回すんだ
※「Poke and prod」は相手を物理的・精神的に追い詰めること。相手を傷つけるまでToxicな行動をやめられないサイコパス的な自己分析。
I know, I wanna go back (Home)
分かってる、だから俺は帰りたいんだよ(家に)
※自分の有毒さで相手を傷つける前に、あるいは自分自身が完全に狂ってしまう前に、安全な場所(Home)へ逃げ帰りたいという切実な帰結。
[Bridge: Yeat & Joji]
(I just wanna, I just wanna)
(俺はただ、俺はただ)
※ここでJojiのボーカルが交じり始める。R&B的な憂鬱なサウンドスケープへの転換。
Back (I just wanna), back, back
帰るんだ(俺はただ)、帰りたい、戻りたい
(I just wanna, I just wanna)
(俺はただ、ただ…)
(I just wanna, I just wanna)
(ただ帰りたいんだ)
Ooh
ウー
Back
帰るんだ
[Chorus: Yeat]
Yeah, I wanna go back home (Ooh)
ああ、家に帰りてえんだ(ウー)
No, I wanna, I wanna, I wanna, I wanna
いや、俺は、俺は帰りたいんだ
I wanna go back home (Ooh)
家に戻りたい(ウー)
(I wanna go back home)
(家に帰りてえよ)
Ooh (I wanna), I wanna go back home
ウー(帰りたい)、家に戻りたいんだ
Bitch, I wanna go home, bitch, I wanna go home
ビッチ、俺は家に帰りたい、家に帰りてえんだよ
Shit just don't feel right in here, I think it's time to go home
ここはなんか空気がおかしい(狂ってる)、もう帰る時間みたいだな
[Outro: Joji]
I just wanna go home, I just wanna go home
ただ家に帰りたい、家に帰りたいんだ
※Jojiのパート。Yeatの狂騒的なトーンとは対照的に、深く沈み込むような本物のメランコリー。Jojiの音楽性に共通する「居場所のなさ」が強調される。
Sometimes it's too hard to stay and I just gotta go home
時々、ここに留まるのが辛すぎて、どうしても家に帰らなきゃいけなくなるんだ
My love is set in stone today and I don't wanna be parting ways
僕の愛は今日、石のように固まってる(揺るがない)。君と別々の道を歩みたくはないんだ
※「Set in stone」は変更不可能であること。相手への愛は確固たるものなのに、それでも離れなければならないジレンマ。
But I don't wanna be gone, okay, I just wanna go home
でも、完全に消えてしまいたいわけじゃない。分かってくれ、ただ家に帰りたいだけなんだ
※命を絶つ(Be gone)という意味合いではなく、単にこの過酷な現実(ストリートや名声の世界)から一時的に避難して、本来の居場所で安らぎを得たいというSOS。
Girl, I'm on my own, and if that's my home
なぁ、僕は一人ぼっちだ。もしそれが僕の家(運命)だと言うなら
Then I gotta come back, they waiting on me
僕はそこへ戻らなきゃいけない。みんなが僕を待っているから
※孤独な空間(Home)こそが自分に相応しい場所であり、そこにいるゴースト(過去の自分やトラウマ)たちが自分を呼んでいるという悲痛な認識。
Means nothing at all, the words that I leave
僕が残していく言葉なんて、何の意味もないのさ
※遺書めいた虚無感。名声の中で歌い続けてきた言葉の数々も、最終的な孤独の前では無価値であるという悟り。
(I just wanna go home, I just wanna go home)
(ただ家に帰りたい、家に帰りたいんだ)
Through the storm, I don't wanna wait
嵐を突き抜けていくんだ、もう待っていたくない
Please don't you let me run away
お願いだから、僕を逃げ出させないでくれ
※最後に現れる「逃げたくない」という本音。「家に帰りたい」という逃避願望と、「誰かに自分を引き留めて(救って)ほしい」という痛切な愛の渇望が矛盾したまま曲が締めくくられる。Geniusでも、このJojiのラインがアルバム『ADL』全体のアフターケア(救済)として機能していると絶賛されている。
