Artist: JID (feat. Lil Durk)
Album: The Forever Story
Song Title: Bruddanem
概要
JIDの3rdアルバム『The Forever Story』(2022年)に収録された本作は、「兄弟たち(Bruddanem = Brother and them)」への絶対的な忠誠と愛をテーマにした感動的なバンガーである。シカゴのドリルシーンを牽引するLil Durkを客演に迎え、スプロデュースはDreamvilleの敏腕Christo等が手掛けた。トラップの力強いビートの上で、JIDは自身の7人の兄弟姉妹(特に刑務所に入っていた実の兄)との絆や、貧困の中で理不尽な暴力を共に乗り越えてきた過去をラップする。一方のLil Durkも、シカゴの過酷な環境で失った兄弟たちへの悲哀と、残された仲間への愛を彼特有のメロディックなフロウで歌い上げる。アウトロにはカナダの詩人Mustafa the Poetが参加し、ストリートで命を落とす黒人青年たちへのスピリチュアルな鎮魂歌(スポークン・ワード)で楽曲を締めくくる、アルバムの中でも一際エモーショナルな一曲だ。
和訳
[Intro: JID]
Mm, mm
ンー、ンー
Mm, mm, mm, mm
ンー、ンー、ンー、ンー
[Verse 1: JID]
If you my nigga, you my nigga then
お前が俺のダチなら、お前は永遠に俺のダチだ
Twin, thick or thin
双子みたいにな、良い時も悪い時(シック・オア・シン)も一緒だ
I was a kid when my brother went in
俺の兄貴がムショに入った時、俺はまだ子供だった
Now he lil' brother, the man
でも今じゃ、弟の俺のほうが「一人前の男(ザ・マン)」になっちまった
Kinda like Pac in Above the Rim
まるで映画『ビート・オブ・ダンク(Above the Rim)』の2Pacみたいにな
※1994年の映画『Above the Rim』で2Pacが演じたギャングのボス「バーディ」は、かつてフットボールのスターだった兄を差し置いて裏社会で成功し、立場が逆転してしまう。JIDもまた、スター選手だった兄(Izzy)が刑務所に入っている間に、ラッパーとして大成功を収め、家族を養う「大黒柱」へと成長したことを映画のキャラに重ねている。
Couple M's, cut a check, cut the film
数百万ドル(ミリオン)の小切手を切り、映画の撮影を終わらせる(成功を手にする)のさ
[Chorus: JID]
I got the Glock for my bruddanem
俺は兄弟たち(ブラダネム)のためにグロック(銃)を持ってるぜ
I spin the block for my bruddanem
兄弟たちのために、ブロック(敵のシマ)にスピン(襲撃)してやる
I did a lot for my bruddanem
兄弟たちのためなら、俺はなんだってやってきた
You better watch for my bruddanem
俺の兄弟たちには気をつけたほうがいいぜ
You gotta watch my bros
俺の兄弟から目を離すなよ
I'm finna cop for my bruddanem
兄弟たちのために、俺がブツ(大麻や車)を買ってやる
You call the cops on my bruddanem
お前らは俺の兄弟たちをサツ(警察)に通報しやがるが
You don't know, partner, them strugglin'
お前には分からねえんだよ、相棒。あいつらがどれだけ苦しんできたか(ストラグリン)を
That shit ain't nothin' 'bout nothin'
そんなの、何の意味もねえクソみたいな話だぜ
[Post-Chorus: JID]
And if my brother say, "Let's slide," well then, my sister slidin' too
もし俺の兄貴が「乗り込む(スライドする)ぞ」って言えば、俺の姉貴だって一緒に乗り込むぜ
※JIDの家族(7人兄弟)の固い結束。男兄弟だけでなく、姉妹も家族のためなら暴力的な争い(スライド)も辞さないという、楽曲「Crack Sandwich」でも歌われたタフなRoute一家の姿。
It ain't no slippin' on this side, I got my grip and found my groove
こっち側に隙(スリッピン)はねえよ。俺は銃(グリップ)を握り、自分の居場所(グルーヴ)を見つけたんだ
And if they blitzin' on the squad, I swear to God it's bad for you
もし奴らが俺たちのチームに突撃(ブリッツ)してこようもんなら、神に誓って言うが、お前らは酷い目に遭うぜ
When there's nothin' else they thought I would do
「あいつにできることなんて何もない」って奴らが思ってる時に
My brothers ride through
俺の兄弟たちが車で駆けつけるのさ
My brothers ride through (Yeah, uh)
俺の兄弟たちが駆けつけてくれる(イェー、アー)
My brothers ride through
俺の兄弟たちが駆けつけてくれる
[Verse 2: JID]
Uh, look, uh (Shit)
アー、見な、アー(クソッ)
This for my brother, my hitter, my slugger
これは俺の兄弟、俺のヒットマン、俺のスラッガー(強打者)のための曲だ
My nigga, my jigga, my killer, my dog
俺のダチ、俺の相棒(ジガ)、俺のキラー、俺の犬(仲間)のためさ
Here for the women, the women my niggas
そして女たちのためでもある。俺のダチである女たちのためにな
Most of them really be realer than y'all
あいつらの大半は、そこらのお前ら(男)よりもよっぽどリアルでタフなんだぜ
When I was little, remember we literally can't forget all the shit that we saw
俺が小さかった頃のことさ。俺たちが実際に目撃してきたクソみたいな出来事は、絶対に忘れられない
JaJa hit a nigga right in the jaw
ジャジャ(仲間の名前)が、ある野郎の顎(ジョー)にストレートをブチ込んだ
We ain't jumpin', we just lettin' 'em brawl
俺たちは袋叩き(ジャンプ)にはしなかった、ただ1対1で殴り合い(ブロール)をさせたんだ
Every summer it was somebody dead and somebody scared, so nobody saw
毎年夏になれば、誰かが死んで、誰かが怯えてた。だから誰も「何も見なかった」ふりをしてた
Buddy in jail and somebody called
ダチがムショに入れば、誰かが電話をかけてきて
Collectin' the bail is somebody boss
保釈金(ベイル)を集めるために、誰かがボスみたいに仕切るんだ
Laid off, hm, stay in the bed
仕事をクビになって(レイドオフ)、フン、ベッドに寝転がってる
Hell nah, what the fuck you done did?
冗談じゃねえ、お前は一体何をやらかしたんだ?
All that stressin' takin' care of the kids
子供たちの面倒を見るのにも、信じられないほどのストレスがかかってるのに
(Give us somethin' that can take off the edge)
(このプレッシャーから解放してくれる何かをくれよ)
From the minute I got in trouble
俺がトラブルに巻き込まれた瞬間に
Got a whippin' for nothin', that's somethin' my brother did
俺は何の理由もなくひどく殴られた(ウィッピン)。それは俺じゃなく、俺の兄貴がやったことだったのにな
※貧しい家庭で、兄弟の連帯責任として自分が殴られた理不尽な記憶。しかし、それを恨むどころか、兄弟の絆として受け入れている。
I never snitch, I never done no sucker shit
俺は絶対にチクらない(スニッチしない)。サメみたいな真似(裏切り)は一度もしたことがない
'Cause he'll hush for me if it was him
だって、もし逆の立場だったら、兄貴は俺のために黙って(ハッシュ)てくれたはずだからな
He'll bust for me if it was him
もし逆の立場だったら、兄貴は俺のために銃をブッ放して(バスト)くれたはずだ
So you know it's all toes ten
だから分かるだろ、両足の指10本でしっかり地面に立ってる(絶対に退かない)ってことが
When it come to my bruddanem
俺の兄弟たちのこととなればな
I'll whirlwind, spin your block again
俺はつむじ風(ワールウィンド)になって、お前のブロックをもう一度襲撃(スピン)してやるよ
[Chorus: JID]
(I got the Glock for my bruddanem)
(俺は兄弟たちのためにグロックを持ってるぜ)
I spin the block for my bruddanem
兄弟たちのために、ブロックにスピンしてやる
I did a lot for my bruddanem
兄弟たちのためなら、俺はなんだってやってきた
You better watch for my bruddanem
俺の兄弟たちには気をつけたほうがいいぜ
You gotta watch my bros
俺の兄弟から目を離すなよ
I'm finna cop for my bruddanem
兄弟たちのために、俺がブツを買ってやる
You call the cops on my bruddanem
お前らは俺の兄弟たちをサツに通報しやがるが
You don't know, partner, them strugglin'
お前には分からねえんだよ、相棒。あいつらがどれだけ苦しんできたかを
That shit ain't nothin' 'bout nothin'
そんなの、何の意味もねえクソみたいな話だぜ
[Post-Chorus: JID]
And if my brother say, "Let's slide," well then, my sister slidin' too
もし俺の兄貴が「乗り込むぞ」って言えば、俺の姉貴だって一緒に乗り込むぜ
It ain't no slippin' on this side, I got my grip and found my groove
こっち側に隙はねえよ。俺は銃を握り、自分の居場所を見つけたんだ
And if they blitzin' on the squad, I swear to God it's bad for you
もし奴らが俺たちのチームに突撃してこようもんなら、神に誓って言うが、お前らは酷い目に遭うぜ
When there's nothin' else they thought I would do
「あいつにできることなんて何もない」って奴らが思ってる時に
My brothers ride–
俺の兄弟たちが駆けつけて——
[Verse 3: Lil Durk]
Ten millimeter, it's different, my brother had gave me one of his switches
10ミリ口径、こいつはレベルが違う。俺の兄弟が、自分の「スイッチ(全自動化装置)」を一つ俺にくれたんだ
※シカゴ出身のLil Durkのヴァースがスタート。「Switch」はグロックなどの拳銃に装着し、フルオート(連射)可能にする違法な改造パーツ。シカゴのドリルシーン(銃社会)の象徴。
My uncle be bitchin', they told me he snitchin', so when I grew up, I was blessed in my distance (Oh, oh)
俺の叔父はビッチみたいに喚いてた。「あいつはチクリ(スニッチ)だ」って皆が教えてくれた。だから大人になった時、俺は奴と距離を置けて(ディスタンス)幸運だったよ(オー、オー)
We slept by the window, bein' hungry a issue
俺たちは窓際で寝てた。腹が減ってるってことが大問題だったんだ
Power knocked out, slept close to a window
電気が止められて、窓の近くで寝るしかなかった
My brother, my brother, sayin', "Mama, this real"
俺の兄弟、俺の兄弟が言ってた。「ママ、これが現実なんだね」って
What I be sayin', this shit is official
俺が言ってること、これはマジでオフィシャル(紛れもない事実)なんだ
I get rich, you get rich, I got rich, you rich now
俺が金持ちになれば、お前も金持ちになる。俺は金持ちになった、だからお前も今じゃ金持ちだ
Fucked the opps up so bad, they tryna establish a sit-down
敵(オップス)を徹底的にボコボコにしてやったから、奴らは「話し合い(シット・ダウン)」の場を設けようとしてるぜ
※ギャングの抗争において、劣勢になった側が停戦の話し合い(Sit-down)を求めてくる状況。
But he can't sit, brrah, buddy got hit, brraow
でも奴は座る(シット)ことすらできねえ。ダ・ダ・ダッ(銃声)。ダチが撃たれたんだからな、バーン!
Trench baby, street nigga, real niggas, real killers, gravediggers
トレンチ(スラムのどん底)のベイビー、ストリートの黒人、本物の男たち、本物の殺し屋、墓掘り人(グレイブディガー)
Gang, gang, foenem block, all that shit really gang members
ギャング、ギャング、フォネム(仲間の総称)のブロック。あいつらはマジで全員ギャングのメンバーさ
Fake Percs, he don't got no more
フェイクのパーコセット(鎮痛剤)、あいつはもう持ってない
He said they feel like real painkillers
あいつは「本物の痛み止め(ペインキラー)みたいに効くんだ」って言ってたよ
※ストリートに出回る偽物のドラッグ(フェンタニル混入など)で仲間を失っていく悲劇。
My brother a shooter, my brother a killer
俺の兄弟はシューターだ、俺の兄弟はキラーだ
Fuck politics, I'm with the same niggas
クソみたいな政治(派閥争い)なんて知るか、俺は昔と同じ仲間と一緒にいる
My brother gon' slide, but two of my brothers had died
俺の兄弟はスライド(襲撃)しに行く。でも、俺の兄弟はすでに2人も死んじまってるんだ
※Lil Durkの実の兄DThang(2021年)や、親友King Von(2020年)など、銃犯罪で相次いで命を落としたシカゴの仲間たちへの悲痛な追悼。
They was my main niggas, oh, oh
あいつらは俺のメインのダチだったんだよ、オー、オー
[Outro: Mustafa the Poet]
These niggas, street niggas, type to never leave niggas
こいつらはストリートの黒人だ。絶対に仲間を見捨てたりしないタイプの男たちさ
※カナダ出身の黒人詩人、Mustafa the Poetのスポークン・ワード。銃と暴力の連鎖の中で生きるストリートの若者たちに向けた、祈りのようなポエトリーリーディング。
Roll somethin', hold somethin', anything to disappear, nigga
何か(大麻)を巻き、何か(銃)を握りしめる。姿を消すためなら、何だってするのさ、ダチよ
Neck-deep in this water, neck glistenin' to be seen, nigga
この水(ストリートの沼)に首まで浸かりながら、誰かに見られるために首元(のチェーン)を輝かせているんだな、ダチよ
I see you, I love you, do you feel it? We're still here, nigga
俺にはお前が見えてるよ、お前を愛してる。感じるか? 俺たちはまだここにいるんだぜ、ダチよ
God gave us a war
神は俺たちに「戦争」を与えられた
And this sword can't be near niggas
そしてこの剣(銃や暴力)は、黒人のそばに置いておくべきじゃないんだ
You reach for it, you reach for him
お前がそれに手を伸ばせば、お前は彼(死神)に手を伸ばすことになる
You reach for these dreams, nigga
この夢(成功や平和)に向かって手を伸ばすんだ、ダチよ
Two wraps on this durag
ドゥーラグ(頭に巻く布)を2回巻き
Two straps when we're out for dinner
夕食に出かける時でさえ、銃(ストラップ)を2丁も携帯しなきゃならない
Take care of your skin, take care of your liver
お前の肌(命)を大切にしろ、お前の肝臓(酒やドラッグからの保護)を大切にしてくれ
I won't let them in, I won't let you wither
俺は奴ら(敵や死)を中には入れない。お前を枯れさせ(死なせ)たりなんかしない
I won't let you
お前を絶対に(死なせやしない)
