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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

My Time - Yeat & Swizz Beatz 【和訳・解説】

Artist: Yeat & Swizz Beatz

Album: ADL

Song Title: My Time

概要

Yeatのアルバム『ADL (A Dangerous Lyfe)』に収録された本作は、2000年代のヒップホップシーンを席巻した伝説的プロデューサー、Swizz Beatzを迎えた世代を超越するコラボレーション・トラックである。Swizzの代名詞とも言えるハイエナジーなアドリブ(「Showtime」など)と、Yeat特有のダークでインダストリアルなレイジ・サウンドが見事に融合している。楽曲のテーマは、自身の「時間(My Time)」の絶対的な価値と、それを無駄にする者たちへの冷徹な宣告だ。イタリアでのバカンスやハイブランド(Number (N)ine、Maison Margiela、Chrome Hearts)のフレックスを展開する一方で、モリーやマジックマッシュルーム(Shrooms)による狂気的なサイケデリア(Tweaker状態)へと没入していく様が生々しく描かれる。ヒップホップの歴史を継承しながら、現代の頂点に君臨するYeatの無敵感とパラノイアが同居する、アルバム内でも特筆すべきバンガーである。

和訳

[Intro: Swizz Beatz]

Woo, yes
ウー、イェス
※2000年代初頭にDMXやRuff Rydersのアンセムを数多く手掛けたレジェンド、Swizz Beatzによるアイコニックなイントロダクション。彼特有のハイプなエナジーが楽曲を一気に牽引する。

Time
時間だ

[Chorus: Yeat & Swizz Beatz]

My time
俺の時間だ

You know it's my time (Oh), my time that you wastin' (Hey)
今が俺の時代(時間)だって分かってるだろ(オー)、お前がムダにしてるのは俺の時間なんだよ(ヘイ)
※「My time」は「自分の時代(全盛期)」と「自らの貴重な時間」のダブルミーニング。CEOレベルに到達したYeatにとって、他人に自分の時間を奪われることは最大の損失である。

My time
俺の時間だ

My time, my time
俺の時間、俺の時代さ

You know you love me and that's why you won't do it
お前は俺に惚れてる、だから手を出せないんだろ
※Yeatに対するアンチやライバルたちが、内心では彼に魅了(あるいは圧倒)されているため、実際には何も行動を起こせないという心理を見透かしている。

And every time you're thinking 'bout it, go through with it
それを考えるたびに、最後までやり遂げてみろよ

You know it's my time, my time (Go, go, go, go, go, go, go, go, go)
今が俺の時代だって分かってるだろ、俺の時間だ(ゴー、ゴー…)
※Swizz Beatzの象徴的な「Go」のチャント。クラブバンガーとしてのバイブスを極限まで高めている。

[Verse 1: Yeat & Swizz Beatz]

We was down in Italy for the week
俺らは1週間、イタリアに行ってたんだ
※ヨーロッパでのバカンスやツアーという、世界的スターとしてのフレックス。

How the fuck I brought her crib to a beach?
どうやってあいつの家ごとビーチに持ってきちまったんだ?
※桁外れの財力を誇示するユーモラスなライン。彼女の生活そのものを丸ごとリゾート地(ビーチ)へ移してしまうほどの金と権力。

You got the whip flowing by, you feel the breeze (Say, bruh)
高級車(ウィップ)を走らせて、風を感じるんだ(なあ、ブラザー)

And every time you think 'bout me, remember this
俺のことを思い出すたびに、これだけは覚えておけ

My time and that's somethin' that you're fucking with (Ayy)
俺の時間、お前が台無しにしようとしてるのはそういうモンだってな(エイ)

Ooh, you know it's my time, my time (Go, go, go, showtime)
ウー、今が俺の時代だって分かってるだろ、俺の時間だ(ゴー、ゴー、ショータイム)
※「Showtime(ショータイム)」はSwizz Beatzの最も有名なプロデューサータグ(口癖)の一つ。ヒップホップファンにはたまらない往年のサンプリング的演出。

Back on the tweakers, I'm back on, back on the creatures
またトんでる奴ら(トゥイーカー)の中に戻る、ああ、バケモノどもの中へな
※「Tweaker」はメス(覚醒剤)などの強い薬物の中毒者、またはドラッグで異常なテンションになっている状態。夜の街やストリートの狂気的なコミュニティ(Creatures)への帰還。

I'm back on, back on the drugs, I couldn't get out my bleachers
またドラッグに手を出す、観覧席(ブリーチャー)から抜け出せなかったんだ

I'm fuckin' out of my mind, I fuckin' fell like a tweaker
完全に正気を失ってる、マジでジャンキーみたいに落ちちまったぜ

I'm takin' molly every day with the shrooms for the meetup
毎日モリーをキメて、人と会う時はシュルーム(マジックマッシュルーム)も一緒だ
※「Molly(MDMA)」による多幸感・覚醒と、「Shrooms(幻覚キノコ)」によるサイケデリックな幻覚作用の混合(CandyflippingやHippieflippingに近い状態)。常軌を逸したドラッグライフの生々しい描写。

You act like zip on the side, like I got you fucked off the readers
お前は横で何もしない(ジップ)みたいに振る舞う、俺がお前の本質(リーダー)を狂わせたみたいにな

I'm acting deeper 'bout my days, I left her on read like a reaper
俺は自分の日々をもっと深く生きてる、死神(リーパー)みたいにあいつを既読スルー(レフト・オン・リード)してやったよ
※「Left her on read(既読スルー)」と「Reaper(死神・刈り取る者)」を掛けたワードプレイ。無駄な人間関係や女を容赦無く切り捨てる冷徹なスタンス。

Bitch, I'm back out my mind, I'm on the moon, I'm a tweaker
ビッチ、俺はまた正気を失ってる、月(ムーン)にいるんだ、俺は完全にトんでるぜ
※「On the moon」は極度のハイ状態。Kid Cudiの『Man on the Moon』のような孤独で浮遊感のある精神世界への到達。

I'm finna jump out the players, every time I'm out, I got heater (Woo)
プレイヤーたちの中から飛び出してやる、外に出る時はいつもハジキ(ヒーター)を持ってるぜ(ウー)
※「Heater」は銃(特にグロックなどの拳銃)のスラング。どれだけドラッグでハイになっていても、ストリートの防衛本能(武装)は忘れないというリアル。

[Pre-Chorus: Yeat]

Every time I feel like this, I'ma feel some way
こういう気分になるたび、何か特別な感情が湧いてくるんだ

And I'm back on the bends, on a bad bend
また悪いカーブ(ベンズ)に差し掛かってる、ヤバい曲がり角にな
※「The bends」は潜水病(急激な浮上による減圧症)のことでもあり、急速にスターダムを駆け上がったことによる精神的な苦痛や、人生の危険な局面(Bad bend)のメタファーとして機能している。

Any bad bitch, they're calling me like every day
どんな極上のビッチも、毎日のように俺に電話をかけてくるぜ

[Chorus: Yeat & Swizz Beatz]

You know it's my time, my time (Go, go, go)
今が俺の時代だって分かってるだろ、俺の時間だ(ゴー、ゴー、ゴー)

And you know that I'm back on the bend with ya
俺がお前と一緒に、またあのヤバい局面(ベンド)に戻ってきたって分かってるだろ

And you know that I'm back on the bend with ya
ああ、またあのギリギリの場所に戻ってきたんだ

You know it's my time, my time
今が俺の時代だって分かってるだろ、俺の時間だ

My time
俺の時間さ

You know it's my time, my time that you wastin'
今が俺の時代だって分かってるだろ、お前がムダにしてるのは俺の時間なんだよ

My time
俺の時間だ

My time, my time
俺の時間、俺の時代さ

You know you love me and that's why you won't do it
お前は俺に惚れてる、だから手を出せないんだろ

And every time you're thinking 'bout it, go through with it
それを考えるたびに、最後までやり遂げてみろよ

You know it's my time, my time (Blah, blah, blah, blah)
今が俺の時代だって分かってるだろ、俺の時間だ(ブラ、ブラ、ブラ…)

[Verse 2: Yeat]

I got your girl, she wanna kiss and touch me
お前の女は俺のモノだ、あいつは俺にキスして触れたがってるぜ
※敵対する相手の恋人(Your girl)を寝取るという、ヒップホップにおける古典的かつ強力なマウント。

You know it's my time 'cause you want me
俺の時代だって分かってるだろ、だってお前も俺を求めてるんだからな

You know it's my time 'cause I'm hungry
俺の時代だって分かってるだろ、俺はまだ飢えて(ハングリー)るんだからな
※莫大な富を得てもなお消えない、ストリートのハスラーとしての貪欲な野心。

You know it's my time when it's nighttime (Ooh)
夜になれば、それが俺の時間だって分かるはずだ(ウー)

Or when it's daytime, we drinkin' Mai Tais (Ooh)
それか昼間なら、俺らはマイタイを飲んでるぜ(ウー)
※夜のクラブから昼間のリゾートまで、24時間すべてを支配し享楽に溺れるライフスタイル。

On the beachside, we got carousel (Ooh, yeah)
ビーチサイドには、メリーゴーランド(カルーセル)がある(ウー、イェー)

On the heavy side, heavyweight
ヘビーな世界じゃ、俺はヘビー級(の王者)だぜ

Number (N)ine, Maison Margiela, my jeans Chrome Hearts
ナンバーナイン、メゾン・マルジェラ、俺のジーンズはクロムハーツだ
※Yeatが好む前衛的・ゴシックなハイエンドファッションの羅列。特に宮下貴裕による初期の「Number (N)ine」は、近年の海外ヒップホップ界隈でカルト的な人気を誇るアーカイブ・ピースである。

Apply the crosses, all my genes got cold hearts
十字架を身につける、俺の遺伝子(ジーンズ)はすべて冷たい心(コールドハーツ)を持ってるんだ
※天才的なワードプレイ。「Chrome Hearts」の象徴的なデザインである十字架(Crosses)と、Chrome Heartsのジーンズ(Jeans)の発音が「Genes(遺伝子)」と同じであることを利用し、自身の血肉(遺伝子)に「冷酷な心(Cold hearts = Chrome Hearts)」が刻まれていると表現している。

Code denim, code denim, my time, mob tie
コード・デニム、俺の時間だ、マフィアの繋がり(モブ・タイ)だぜ

You know we got mob ties, I won't lie
俺らにマフィアの繋がりがあるって分かってるだろ、嘘はつかねえよ
※「Mob ties」は裏社会やストリートの強力な組織的コネクション。Drakeなども好んで使う、自身の後ろ盾の強固さを示すフレーズ。

I'll get you on the spotlight for one time tonight (Yeah)
今夜一度だけ、お前をスポットライトの真下に立たせてやるよ(イェー)
※自身の絶大な影響力(My Time)を使えば、無名の人間すら一瞬で主役にできるというCEOとしての権力誇示。

[Bridge: Yeat]

I'm going big, I'm going big, I'm going big with her, open your heart
俺はデカくいく、あいつと一緒にデカくやるぜ、心を開け

Know I'm going big, I'm going big, I'm stabbing up her heart
俺がデカくいくって分かってるだろ、あいつの心を突き刺してやるんだ
※「Stabbing up her heart」は深い愛のメタファーであると同時に、恋愛関係すらも暴力的でサイコパス的に支配するというYeatのダークな恋愛観。

'Cause I'm going in, I'm going in, don't go with overdraft
俺は本気でいく、突っ込んでいくぜ、口座の残高不足(オーバードラフト)には気をつけな
※「Go with overdraft」は銀行口座の残高を超えて引き出すこと(当座借越)。資金が底を尽きるようなショボい真似はせず、無尽蔵の富で勝負するというハスラーの精神。

'Cause it's my life and my time
だってこれは俺の人生で、俺の時間なんだからな

[Outro: Yeat & Swizz Beatz]

I know it's my life for me
俺のための人生だって分かってる

I know it's my life for me
これは俺のための人生だ

I know it's my life, yeah
俺の人生なんだよ、イェー

Go, go, go, go
ゴー、ゴー、ゴー、ゴー
※Swizz Beatzのシャウトでフェードアウト。二人の世代を超えたコラボレーションが、強烈な余韻を残して幕を閉じる。