Artist: Tyler, The Creator
Album: CHROMAKOPIA
Song Title: Rah Tah Tah
概要
本作は、タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『CHROMAKOPIA』に収録された、重低音が唸るアグレッシブなバンガーだ。前半はラフェラーリなどの超高級車や莫大な富を誇示し、マイケル・ルービン主催の「ホワイト・パーティー」に群がり富裕層に媚びる同業者たちを冷ややかに批判する。しかし、この過剰なフレックス(自慢)の裏には、後半で明かされる過去のトラウマが潜んでいる。Supremeのキャップを被り、オレンジ色のスクールバスやスケボーでの通学中にストリートのギャングから恐喝されていた少年時代。その恐怖が現在の「パラノイア(被害妄想)」の根源であり、防御反応としての虚勢であることがGeniusやRedditの考察でも指摘されている。ケンドリック・ラマーに次ぐLAナンバー2のスターという自負と、癒えない心の傷が交錯する、極めて自伝的で複雑な一曲である。
和訳
[Chorus]
She ain't never met no one who talk like that
あの子は、俺みたいに喋る奴に出会ったことがないのさ。
※独特のワードセンスや自信に満ちたタイラーの口調に、女性が惹きつけられている様子。
And if you hang up on a nigga, bitch, I'll call right back (Woo, woo, woo, yeah, uh)
もし俺の電話を切りやがったら、ビッチ、すぐにかけ直してやるぜ(ウー、ウー、ウー、イェー、アー)。
※相手を逃さないという執着と、拒絶されても引き下がらない自信の表れ。
[Verse 1]
Roll my windows up, darlin', roll them windows up
窓を閉めてくれ、ダーリン、車の窓を閉めるんだ。
※外の世界(パパラッチやファン、危険)から自分を隔離し、プライベートな空間を守る行動。後のパラノイアの伏線。
Biscuit-ass niggas wonder how I got my jiffy up
ビスケットみたいにモロい野郎どもは、俺がどうやってこんなに早く(ジフィー)成り上がったのか不思議がってるぜ。
※Biscuit-ass=弱くてすぐに崩れる(使い物にならない)奴ら。Jiffy=「すぐに」という意味のスラングであり、Jiffy Lube(自動車整備チェーン)の速さとJiffy cornbread(ビスケット粉のブランド)を掛けた緻密なワードプレイ。
Crib so damn big, I need a diaper and a sippy cup (Wah)
家がクソデカすぎて、おむつとシッピーカップ(幼児用マグ)が必要だぜ(ワァ)。
※自宅が広すぎて迷子になり、トイレに行くのも一苦労だという、まるで赤ちゃんに戻ってしまうかのような大げさな富のフレックス。
Someone tell Zendaya she my favorite, can she hit me up?
誰かゼンデイヤに、彼女が俺のお気に入りだって伝えてくれ。連絡くれないかな?
※ハリウッドのトップ女優Zendayaに気軽にアプローチできるほどのセレブリティとしてのステータスと、彼の無邪気なキャラクターを示している。
Ha-ha-ha-ha, when I double-park the LaF'
ハハハハ、俺がラフェラーリを二重駐車する時。
※LaF'=数億円を下らない超高級車フェラーリ・ラフェラーリ。駐車違反を気にしない富裕層の傲慢な振る舞い。
That rah-tah-tah-tah, bitch, I'm steppin' on the gas (Mm)
あのラ・タ・タ・タって音が響くぜ、ビッチ、アクセルを踏み込んでるからな(ンー)。
※Rah Tah Tahはその強烈なエンジン音。自己顕示欲の爆発を擬音で表現している。
[Chorus]
She ain't never met no one who talk like that (I don't really know)
あの子は、俺みたいに喋る奴に出会ったことがないのさ(よく分からねえけど)。
And if you hang up on a nigga, bitch, I'll call right back (Yeah, uh)
もし俺の電話を切りやがったら、ビッチ、すぐにかけ直してやるぜ(イェー、アー)。
[Verse 2]
Wipe that silly grin (Mm), bitch, I'm really him (Mm)
そのマヌケなニヤケ顔を拭きな(ンー)。ビッチ、俺こそが「ヤバい奴(Him)」なんだよ(ンー)。
※I'm really him=ヒップホップで「自分こそが選ばれし者、本物である」ことを示す定型句。
You better put them palms together, bitch, I really sin (Mm)
手のひらを合わせて祈った方がいいぜ、ビッチ、俺はマジで罪を犯すからな(ンー)。
※神の前で手を合わせる(祈る)ように、タイラーの圧倒的な力や悪事(sin)に対してひれ伏せという警告。
No, me and crack don't share daddies, but we really twins (Okay)
いや、俺とクラック(コカイン)は父親が違うけど、マジで双子みたいなもんさ(オーケー)。
※Pusha Tの有名なライン「俺は麻薬そのものだ」に通じる比喩。タイラーの音楽や存在感が、クラックのように高く危険な中毒性を持っていることを示している。
If she ain't got her shit together, she ain't gettin' in (Okay)
自分の身の回りをちゃんとできてない(自立してない)ような女は、俺の車(人生)には入れねえよ(オーケー)。
You see the bed top bunker, the boy got thumpers
ベッドの上の隠し場所を見ろよ、俺はデカい銃(サンパー)を持ってるぜ。
※thumper=大口径の銃器。警戒心が強く、いつでも戦える準備をしている証拠。
I'm a bonafide face seat, box muncher
俺は正真正銘の、顔面騎乗されるクンニ好き(ボックス・マンチャー)だぜ。
※box=女性器。ハードなギャングスタラップのトーンのまま、突然自らの性的な嗜好を赤裸々に語るタイラー特有のユーモアと不条理さ。
[Chorus]
She ain't never met no one who talk like that (I want that pussy)
あの子は、俺みたいに喋る奴に出会ったことがないのさ(そのプッシーが欲しいぜ)。
And if you hang up on a nigga, bitch, I'll call right back (Mwah, yeah)
もし俺の電話を切りやがったら、ビッチ、すぐにかけ直してやるぜ(チュッ、イェー)。
[Verse 3]
Never in the Hamptons dick-ridin' in a white 'fit (Nah)
ハンプトンズで白い服を着て、媚びへつらう(ディック・ライドする)ような真似は絶対にしねえ(あり得ねえな)。
※Reddit等で大いに話題になったライン。FanaticsのCEO、マイケル・ルービンが毎年ハンプトンズで開催する「ホワイト・パーティー」を痛烈に批判している。白装束でこぞって参加し、白人の大富豪や権力者にすり寄る多くのラッパーたちと同列に扱われることを拒絶するインディペンデント精神の表明。
Never raise a hand, the strap on him like a dyke bitch
自分から手は上げない。あいつはダイク(レズビアン)のビッチみたいにストラップをつけてるからな。
※strap=銃を携帯すること。strap-on=レズビアンのセックスで使われるペニスバンド。自分は直接手を下さず、武装した護衛(または自分自身の銃)に頼るというストリートな比喩。
This dark work like night shift, I'm thunder, I light shit (Pew)
ナイトシフト(夜勤)みたいな暗い仕事(ダークワーク)さ。俺は雷だ、光らせてやるよ(ピュン)。
I flood this, I flood that, I swim good, I'm Pisces (I'm a fish)
これもあれも水浸し(ダイヤまみれ)にする。俺は泳ぎが得意だ、魚座だからな(俺は魚だ)。
※flood=時計などに大量のダイヤモンドを敷き詰めること。タイラーは3月6日生まれの魚座であり、盟友Frank Oceanの楽曲「Swim Good」へのオマージュも込められている。
Hey, T, why you actin' hard? I'm like, "Baby, please
「ヘイ、T、なんでそんなにタフぶってんの?」 俺は「ベイビー、頼むよ」って感じさ。
I ain't tough, I just thumbs up, like I'm scrollin' feed"
「俺はタフじゃない。ただ親指を立ててる(銃の撃鉄を起こす)だけさ、SNSのフィードをスクロールしてるみたいにな」
※親指を立てる動作を、銃を撃つ準備とスマホ操作のダブルミーニングにしている。ネット上のフェイクなギャングスタを皮肉りつつ、自分自身も過剰に虚勢を張っていることを自虐的に認めている。
[Chorus]
She ain't never met no one who talk like that (Nigga, I'm pussy)
あの子は、俺みたいに喋る奴に出会ったことがないのさ(なぁ、俺は臆病者さ)。
And if you hang up on a nigga, bitch, I'll call right back, yeah
もし俺の電話を切りやがったら、ビッチ、すぐにかけ直してやるぜ、イェー。
[Verse 4]
Roll my windows up, darlin', roll them windows up
窓を閉めてくれ、ダーリン、車の窓を閉めるんだ。
Never let them see the color, model, make of semi truck
このセミトラックの色も、モデルも、メーカーも、奴らには絶対に見せねえ。
※自身の居場所や所有物を特定されないようにする、スター特有のパラノイア的防衛本能。
Fuck it, fuck your shimmy up, yeah, fuck your shimmy up
クソ食らえ、お前のシミー(誤魔化し)なんかぶち壊してやるよ、ああ、ぶち壊してやる。
※shimmy=ダンスの動きから転じて、見せかけや誤魔化しのこと。
Celebrate, it's your birthday, get your pennies up (Yeah, uh)
祝えよ、お前の誕生日だろ。小銭(ペニー)を稼ぎな(イェー、アー)。
Bitch, you bossin' up, yeah, nah, we really bossin' up
ビッチ、お前はボスぶってるが、いや、俺たちこそが本当にボス(本物)なんだ。
I could never ride no Hellcat, shit don't cost enough (Enough)
ヘルキャット(ダッジ)なんか絶対に乗らねえよ、あんなの安すぎるからな(安すぎるぜ)。
※Hellcat=8万ドル程度で買える高性能マッスルカーで、多くの若手・ストリートラッパーがステータスシンボルとする。しかし、数百万ドルのコレクションを持つタイラーにとっては「安すぎて乗る価値がない」という強烈な格の違いを見せつけるライン。
[Refrain]
Twenty thousand on me (Vroom), hunnid thousand on me (Uh)
2万ドル持ち歩いてる(ブルン)、10万ドル持ち歩いてる(アー)。
Fifty thousand on me (Mm-hmm), a couple thousand on me (Yeah)
5万ドル持ち歩いてる(フンフン)、数千ドル持ち歩いてるぜ(イェー)。
[Verse 5]
You're movin' sloppy if you get that sloppy where you sleep at
自分の寝床でヤッてる(スロッピーなフェラをされる)なら、お前の動きはスロッピー(隙だらけ)だぜ。
※sloppy=「だらしない/雑な」と、「スロッピージョー(オーラルセックスの俗語)」のダブルミーニング。プライベートな空間に他人を容易に入れることの危険性を説いている。
Never tell them niggas or those women where you breathe at (Never)
自分がどこで息をしてるか(住んでるか)、野郎どもや女たちには絶対に教えるなよ(絶対にな)。
If my ex is spillin' tea about me, don't you drink that
俺の元カノ(元カレ)が俺の噂話(ティー)をこぼしても、お前はそれを飲むなよ。
※spill tea=ゴシップや秘密を暴露するスラング。
And don't you call me brother, I just met you, you could keep that
それに俺を「ブラザー」なんて呼ぶな。会ったばかりだろ、その言葉はしまっておけ。
※ヒップホップ業界特有の表面的な馴れ合いを拒絶するスタンス。
With these type of views, it ain't no service on my two-way
これだけの絶景(高所)にいると、俺の通信機(ツーウェイ)は圏外になるんだ。
※two-way=ページャー(ポケベル)。トップアーティストという高みにいるため、下界の連中とは電波(話)が通じないという比喩。
So you don't have to call, I'm Usher Raymond on a Tuesday
だから電話してこなくていいぜ。火曜日のアッシャー・レイモンドみたいにな。
※Usherの本名。Drakeの曲に客演したILoveMakonnenの「Tuesday」の「火曜日はクラブに行く」という文脈や、多忙なR&BスターであるUsherを引き合いに出し、「連絡がつかない大物」であることをアピールしている。
[Refrain]
With twenty thousand on me (Mm), hunnid thousand on me (Uh)
2万ドル持ち歩いてる(ンー)、10万ドル持ち歩いてる(アー)。
Fifty thousand on me (Mm-hmm), a couple thousand on me
5万ドル持ち歩いてる(フンフン)、数千ドル持ち歩いてるぜ。
[Verse 6]
Brodie said his job to— for me, he the cameraman
俺のダチは、俺のために仕事をしてるって言った。あいつは「カメラマン」さ。
※カメラのフラッシュをたく(shoot)=銃を撃つ(shoot)というストリートスラング。つまり、撮影係のふりをした護衛のシューター(暗殺者)を雇っているという物騒なメタファー。
They hoes went to Leuzinger, I skated to Hamilton
あのビッチどもはルージンガー高校に通ってたが、俺はハミルトン高校までスケボーで行ってた。
※Leuzinger High School(ホーソーンにある地元の高校)ではなく、タイラーは少し離れたAlexander Hamilton High Schoolに通うため、長い距離をスケボーで移動していたという彼自身のルーツ。
I had that S dome, was gettin' pressed and almost packed out (Where you from?)
俺はSドームを被ってて、絡まれて危うくボコられそうになったんだ(「どこ中だ?」ってな)。
※S dome=Supremeのキャップ。2000年代後半、スケーターファッションをしていたタイラーたち(Odd Future)は、黒人コミュニティのギャングたちから「異端」と見なされ、標的(プレス)にされていた過去のトラウマを告白している。
Me and Lionel Boyce in drama class, my boy can act now (Mm)
俺とライオネル・ボイスは演劇のクラスにいた。俺のダチは今じゃ立派に演技してるぜ(ンー)。
※Lionel Boyce=Odd Futureのオリジナルメンバー。現在は俳優として大ヒットドラマ『The Bear』に出演し、大きな成功を収めている親友への温かいシャウトアウト。
Was really Odd Future, all them other niggas whacked out
マジで「奇妙な未来(Odd Future)」だったな。他の奴らはみんな狂ってた。
The biggest out the city after Kenny, that's a fact now
ケニーに次いで、この街から出た最大のスターだ。それが今の事実さ。
※Kenny=ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)。LA・コンプトン出身でシーンの頂点に君臨するケンドリックに次ぐ、西海岸ナンバー2の世界的アーティストにまで自分が上り詰めたという、揺るぎない自信と自己評価。
[Chorus]
She ain't never met no one who talk like that (Bitch, ooh, ooh)
あの子は、俺みたいに喋る奴に出会ったことがないのさ(ビッチ、オー、オー)。
And if you hang up on a nigga, bitch, I'll call right back (Bitch, ooh, ooh, ooh, yeah)
もし俺の電話を切りやがったら、ビッチ、すぐにかけ直してやるぜ(ビッチ、オー、オー、オー、イェー)。
[Outro]
(Uh, uh)
(アー、アー)
Them niggas used to press me on the carrot-colored bus
昔、野郎どもはニンジン色(オレンジ色)のスクールバスで俺に絡んできたもんだ。
※アメリカの公立学校の象徴である黄色/オレンジ色のスクールバス。少年時代のいじめや恐喝の記憶が鮮明にフラッシュバックしている。
(I'm not with that shit, cuh, alright?)
(俺はそんな揉め事には関わりたくねえんだ、頼むぜ?)
※cuh=crip/cousinの略。ギャングからの絡みに対する当時の怯えた返答。
That's why I'm paranoid now 'cause niggas weird and really bums
だから今でもパラノイア(被害妄想)なんだよ。連中はキモくて、マジでクズだからな。
※前半の過剰な高級車のフレックスや、車の窓を閉め切る行動、護衛(カメラマン)を連れていることの「本当の理由」。巨万の富を得てもなお、少年時代にストリートで受けた暴力のトラウマから逃れられず、人間不信に陥っているという悲痛な心理分析。
I'm paranoid now 'cause niggas weird and really bums (Uh, uh, uh)
だから今でもパラノイアなんだ。連中はキモくて、マジでクズだからな(アー、アー、アー)。
I'm paranoid now 'cause niggas weird and really bums
だから今でもパラノイアなんだ。連中はキモくて、マジでクズだからな。
I'm paranoid now 'cause niggas weird and really bums
だから今でもパラノイアなんだ。連中はキモくて、マジでクズだからな。
I'm—
俺は—
![CHROMAKOPIA [Explicit] CHROMAKOPIA [Explicit]](https://m.media-amazon.com/images/I/41uhgtDOSRL._SL500_.jpg)