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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Grimy Waifu - JPEGMAFIA 【和訳・解説】

Artist: JPEGMAFIA

Album: All My Heroes Are Cornballs

Song Title: Grimy Waifu

概要

本作は、アヴァンギャルドなノイズや破壊的なビートで知られるJPEGMAFIAの3rdアルバム『All My Heroes Are Cornballs』(2019年)において、異彩を放つメロウで内省的な一曲だ。哀愁漂うアコースティックギターのループとトラップ・ドラムが交差するトラック上で、彼はストリートの冷酷な現実と音楽業界の非情さを淡々と語る。タイトルの「Waifu(ワイフ)」は日本のアニメ文化に由来し、ネット上で「俺の嫁(理想の女性)」を意味するオタク・スラングだが、そこに「Grimy(薄汚れた、ストリートの)」という形容詞を組み合わせることで、自身を守ってくれる拳銃、あるいは過酷な環境で共に生き抜いてきたパートナーへの倒錯した愛情を表現している。彼特有のネット・カルチャーとハードコアなフッドの文脈が奇妙に融合した、極めてパーソナルでシニカルなラブソング(あるいはガン・アンセム)である。

和訳

[Intro]

Hahaha, yeah, yeah, goddamn, goddamn
ハハハ、yeah, yeah、クソッ、クソッ

Do I let that nigga live?
あの野郎を生かしておくべきか?

(Woah)

That nigga died on them
あの野郎は連中の前で死んだんだ

Sure
そうさ

[Chorus]

Uh, these bullets coming at you
Uh、この弾丸はお前に向かって飛んでくる

Take these bullets for me, that's my grimy waifu (Hot)
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の薄汚れたワイフだ (Hot)
※「waifu」は日本のアニメオタク文化圏から逆輸入された「俺の嫁」を意味するスラング。ここでは自分を庇ってくれる女性、または自分を守るための「銃」そのものを擬人化して愛おしく呼んでいるというダブルミーニング。

They keep on dumping the tool
連中は銃を撃ち放ち続けている
※「dumping the tool」は銃(tool)のマガジンを空にするまで撃ち尽くすことを意味するストリートの隠語。

Take these bullets from me, that's my, ooh (Woah, huh)
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の、ooh (Woah, huh)

These bullets coming at you
この弾丸はお前に向かって飛んでくる

Take these bullets for me, that's my grimy waifu (Huh, hah)
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の薄汚れたワイフだ (Huh, hah)

They steady dumping the tool
連中は絶え間なく銃を撃ち放っている

Take these bullets for me, that's my (Ooh, ooh, ooh, man, you know what I'm sayin')
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の (Ooh, ooh, ooh, man、言ってる意味わかるだろ)

[Verse]

I ain't got no Birk' bags (Ugh)
俺はバーキンのバッグなんて持ってねえ (Ugh)
※「Birk' bags」はエルメスの高級バッグ「バーキン」のこと。多くのラッパーが富の象徴として女性に買い与えるが、自分にはそんな虚飾の金はない、あるいはそんなフェイクな関係には興味がないというスタンスの提示。

Fuckin' with me, you gon' get the price or tap
俺にちょっかいを出すなら、代償を払うかタップする羽目になるぞ
※「tap」は格闘技で降参(タップアウト)すること。俺とやり合うなら命の代償を払うか、逃げ出すしかないという警告。

Music biz don't give no pat on the back, ugh
音楽ビジネスは背中を叩いて褒めてなんかくれない (Ugh)
※業界の非情さへの言及。どれだけ良い音楽を作っても、業界の人間は情で評価してくれないという冷めた視点。

Stack it up, stack it up, stack it up (Ooh)
積み上げろ、積み上げろ、金を積み上げるんだ (Ooh)

Pack it up, pack it up, woah, hold on, man
荷物をまとめろ、片付けろ、woah、ちょっと待てよ、なあ

Grown, live at the Days Inn
大人になり、デイズ・インで暮らしてる
※「Days Inn」はアメリカの安価なモーテルチェーン。アンダーグラウンドの過酷な生活環境や、ツアー中の侘しいホテル暮らしを象徴している。

My appetite made me nauseous (Huh)
俺の食欲が俺自身に吐き気をもたらしたんだ (Huh)
※成功への過剰なハングリー精神(appetite)が、時に自分自身を蝕むほどのプレッシャーになっていることへの吐露。

They thinkin' Tinder with the topic (Cautious, uh)
連中はTinder感覚で話題を消費してるんだな (Cautious, uh)
※世間の人々が深刻な問題やトレンドを、マッチングアプリのTinderのように右左にスワイプして軽く消費していることへの批判。

I take the wins out with the losses
俺は敗北と一緒に勝利を掴み取ってきた

You see me grippin' with the gossip
お前らは俺がゴシップと格闘してるのを見てるだろ

Now I'm eating dinner with the bosses
今じゃ俺は業界のボスたちとディナーを食ってるぜ
※安モーテル(Days Inn)での生活から成り上がり、音楽業界の大物たちと席を同じくするレベルまで到達したというボースト。

I hit the vape because it's needed (It's over)
必要だからベイプを吸い込むんだ (It's over)
※ストレスを和らげるために電子タバコ(または大麻)に頼らざるを得ない精神状態。

I fall asleep like Tempur-Pedic
テンピュールみたいに深く眠りに落ちる
※「Tempur-Pedic」は高級マットレスのブランド。金を手に入れ、今は安モーテルのベッドではなく最高級のベッドで眠れるようになったことの隠喩。

Got a light, got a light, got a light, I'll be there
火はあるか、火はあるか、火はあるか、俺はそこに行くぜ

They kill my niggas for no reason
連中は理由もなく俺の仲間たちを殺しやがる
※警察の黒人に対する暴力(ポリス・ブルータリティ)やストリートの理不尽な死に対する静かな怒り。

I hear 'em
俺には奴らの声が聞こえる

[Chorus]

These bullets coming at you
この弾丸はお前に向かって飛んでくる

Take these bullets for me, that's my grimy waifu (Hot)
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の薄汚れたワイフだ (Hot)

They keep on dumping the tool
連中は銃を撃ち放ち続けている

Take these bullets for me, that's my, no
俺の代わりに弾を受けてくれ、それが俺の、いや

[Outro]

Here we go
さあ行くぜ

We gotta do what we gotta do
俺たちはやるべきことをやるだけだ

Clap, clap, clap, clap
パン、パン、パン、パン
※銃声(Clap)を口で模倣している。拍手と銃撃のダブルミーニングであり、不穏な余韻を残して曲が終わる。