Artist: XXXTENTACION
Album: 17
Song Title: Orlando
概要
「Orlando」は、XXXTENTACIONのデビューアルバム『17』(2017年)の終盤に配置された、ピアノとヴォーカルのみで構成される極めて静謐で痛切なエレジー(哀歌)である。タイトルの「オーランド」は彼が幼少期の一部を過ごしたフロリダ州の都市名であり、一部のファンの間では、彼自身の暗い過去の記憶、あるいは2016年に同地で起きたパルス・ナイトクラブ銃乱射事件の悲劇的な空気感とリンクしているのではないかと考察されている。プロデュースにはアデルなどを手掛けるシンガーソングライターのTobias Jesso Jr.が参加しており、美しいピアノの旋律が、Xのむき出しの希死念慮や自己嫌悪と鮮烈なコントラストを描き出している。トラップビートやヒップホップ的アプローチを完全に排除した本作は、彼が単なるラッパーではなく、普遍的な人間の苦悩を表現する稀代のアーティストであることをシーンに知らしめた重要な一曲である。
和訳
[Verse]
The pain in my heart just won't end
心の中の痛みがどうしても終わらない
※Xが抱えるトラウマと深刻な鬱による、出口のない恒常的な精神的苦痛。
The words that I find just don't seem to compare
俺が見つけ出す言葉じゃ、到底比較にならない気がするんだ
※自分が感じている壮絶な痛みを、どれほど巧みな言葉やリリックを用いても表現しきれないという、表現者としての葛藤と絶望。
Awaiting my death in the end
最後には自分の死を待ち望んでいる
※アルバム全体を貫く希死念慮の直接的な告白。
Alone, I must seek out the end to begin
一人きりで、俺は始めるために終わりを探し出さなきゃならない
※「終わり(死や完全な破滅)」を迎えることでしか、新たな平穏や魂の解放を「始める」ことができないという、逆説的で悲壮な死生観。
So nobody wants death
だから誰も死を望んじゃいない
'Cause nobody wants life to end
だって誰も人生が終わることを望んではいないから
I'm the only one stressed
ストレスを抱え込んでいるのは俺だけだ
And the only one tired of having fake friends
そして偽物の友達を持つことにウンザリしているのも俺だけだ
※名声を得た途端に群がってくる「fake friends(偽りの友人)」に対する痛烈な不信感。ストリートや音楽業界の虚飾の中で、自分だけが本質的な孤独を抱えているというパラノイア。
Put the noose on my neck
俺の首に縄をかけてくれ
※「noose(首吊り縄)」は彼の楽曲で頻出する自殺のメタファーであり、過去に首吊り自殺を図った叔父のトラウマとも直結している。
And the hole in my back, again
そして俺の背中に風穴をあけてくれ、もう一度
※「hole in my back」は背後から撃たれること、すなわち信頼していた者(恋人や親しい仲間)からの決定的な裏切りを示唆するストリートの隠語。
I've been waiting on death with a smile on my face
俺は笑顔で死を待ち続けてきたんだ
※絶望のどん底を通り越し、自らの死を想像することでかえって狂気的な平穏を感じてしまうSad Boy特有のマインドセット。
So this is the end
だからこれが終わりだ
Waste of tears
無駄な涙
Waste of years and months
無駄な年月
※元恋人(おそらくジェネヴァ・アヤラ)に費やした時間と感情、そして自分の純粋な愛情が、最終的にすべて無意味に終わってしまったことへの深い喪失感。
Faced my fears
自分の恐怖に立ち向かったんだ
Loving her for once
一度だけでも彼女を愛することで
※裏切られることを極度に恐れていた彼にとって、他者を無防備に愛すること自体が最大の「恐怖」であったことを明かしている。
Hurt me
俺を傷つける
Break my heart
俺の心を壊す
Worthless
無価値だ
Can't keep love at all
愛を繋ぎ止めることなんて全くできない
Turning
反転していく
Twist myself
自分自身を捻じ曲げる
Worthless
無価値だ
Can't keep love at all, at all
愛を繋ぎ止めることなんて全くできない、少しも
