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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Keep Heaven Dancing - J. Cole 【和訳・解説】

 

Artist: J. Cole

Album: 2014 Forest Hills Drive (10 Year Anniversary Edition)

Song Title: Keep Heaven Dancing

概要

J. Coleの金字塔的アルバム『2014 Forest Hills Drive』の10周年記念盤(10 Year Anniversary Edition)にサプライズ収録された未発表曲である。制作当時の2014年頃のColeが抱えていた音楽シーンの画一化への苛立ち、名声に対する葛藤、そしてストリートの不条理に対するコンシャスな視点が凝縮されている。DMXのプロデューサーであるDame GreaseやFunkmaster Flexといった東海岸ヒップホップ黄金期のアイコンたちをネームドロップし、量産される流行りのビートに苦言を呈する一方で、自身は心の奥底を抉るような「悲しい曲」しか書けないというアーティストとしての業を吐露している。後半では、出所したばかりで社会から見放され、再び銃を手に取らざるを得ない友人の視点を通じて、構造的な貧困と刑務所システムの残酷さを見事に描き出している。「警察のように無罪で殺人ができるなら」というラインには、黒人社会に対する警察の蛮行への強烈な怒りが込められており、Coleのストーリーテラーとしての鋭い切れ味が光る隠れた名曲である。

和訳

[Intro]

Yeah
Yeah

Ayy, today my mom's birthday, man (Lala-la-la)
エイ、今日は俺の母さんの誕生日なんだ、なあ (Lala-la-la)

I don't know, I think she's fifty—, I think she's fifty-three
分かんないけど、多分50…、53歳になったと思う

If I do the math right (Yeah)
俺の計算が正しければな (Yeah)

[Chorus]

Feeling rather uninspired
どうにもインスピレーションが湧かないんだ

Feeling rather un-admired
誰からも賞賛されていないような気がする

Come on, baby, won't you love me?
なあ、ベイビー、俺を愛してくれないか?

Never put a soul above me
誰の魂も俺の上に置かないでくれ
※他の誰よりも自分を一番に優先してほしいという切実な願い。

Don't you see, I'm special, darling?
分からないのか、俺は特別なんだぜ、ダーリン?

Tell me why then aren't you calling?
それならなぜ、君は電話をかけてこないんだ?

Could it be you found another?
もしかして、他に誰か見つけたのか?

You forgotten how I loved ya
俺がどれだけ君を愛していたか、忘れてしまったんだな

One day, you'll see that you've made a
いつか、君は自分が犯した

Terrible mistake and pray to
とんでもない過ちに気づき、祈ることになるだろう

God above for second chances
天にいる神様に、もう一度チャンスをくれってな

My rhythms will keep heaven dancin'
俺のリズムは、天国を躍らせ続けるのさ

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける

[Verse 1]

I'm a chip off my old block where they hold Glocks
俺は奴らがグロックを握りしめているような、古いブロックの産物だ
※「chip off the old block」は「親譲り、そっくり」という意味の慣用句だが、ここでは自分が育った危険なブロック(ストリート)の影響を色濃く受けているという意味と掛けている。

In '92, they smoke rocks, now I hope not
92年、奴らはロックを吸っていた、今はそうじゃないといいんだが
※「rocks」はクラック・コカインのこと。90年代初頭のクラック・エピデミック(蔓延)を指している。

I wouldn't know 'cause we got out of there
俺たちがあそこから抜け出したから、今の状況は分からないけどな

I miss Aiesha, had the caramel features and a lot of hair
アイーシャが恋しいよ、キャラメル色の肌で、髪の毛がふさふさだった

Sometimes, I wonder where she at now
時々、彼女は今どこで何をしてるんだろうって考えるんだ

Imaginin' the way she look and how she act now
今の彼女がどんな見た目で、どんな振る舞いをしてるのか想像しながら

Did the hood get her? Have a baby by a hood nigga
フッドの毒牙にかかったか? フッドの男の子供を産んだのか?

Give ya two good guesses where he at now
その男が今どこにいるか、二回当てるチャンスをやろう
※ストリートの男の行き着く先は「刑務所」か「墓場」の二択しかないという、フッドの現実を皮肉ったパンチライン。

But, you never know maybe she overcame
でも、分からないよな、もしかしたら彼女は困難を乗り越えたかもしれない

I mean just think about how far that lady Oprah came
あのオプラって女性が、どれほど遠くまで辿り着いたか考えてみなよ
※極貧の環境からアメリカ屈指のビリオネアに登り詰めた黒人女性司会者、オプラ・ウィンフリーのこと。

From humble beginnings to hugging a billion
質素な始まりから、10億ドルを抱きしめるまでになった

But that's one in a million if ya from where I'm feeling nostalgic about hardest nigga out of the south
でも、俺が郷愁を感じているようなサウス出身の最高にハードな黒人の場所から来たなら、それは100万分の1の確率さ

Though I was feeling claustrophobic and I had to get out
俺は閉所恐怖症みたいに感じていて、ここから抜け出さなきゃならなかったんだ
※フッドから抜け出せない閉塞感を閉所恐怖症に例えている。

'Cause while I ain't a street nigga, ain't pretend to be
だって俺はストリートの人間じゃないし、そう振る舞うつもりもなかったから

The Ville was killing niggas mo' innocent than me
ヴィルは俺よりも無実な奴らを殺していたんだ
※「The Ville」はColeの地元フェイエットビル。

Smart niggas went to college in attempts to flee
賢い奴らは逃げ出すために大学へ進学した

Friends stay singing hating penitentiary
ダチたちは、刑務所を憎む歌を歌い続けている

And that's life in a nutshell
手短に言えば、それが人生ってやつさ

I heard a couple dumb niggas say they love jail
何人かの馬鹿な奴らが、刑務所が大好きだって言うのを聞いたよ

I feel for 'em 'cause that's real for 'em
あいつらの気持ちも分かる、だってそれが奴らにとってのリアルだから

Less hope than a stillborn
死産児よりも希望がないんだ

Cole world but can feel warm
コールの世界は冷酷だけど、暖かさを感じることもある
※「Cole World」と「Cold World(冷たい世界)」を掛けた彼特有のワードプレイ。

Though, sometimes play a song that can bring sunshine
時々、太陽の光をもたらすような曲をプレイするからな

That's why I don't really give a fuck about punchlines
だから俺はパンチラインなんてマジでどうでもいいんだ

I just be writing, not to enlighten, to release
俺はただ書いてるだけさ、誰かを啓蒙するためじゃなく、自分を解放するためにな

At night, a little Henny and some head can bring me peace
夜になれば、少しのヘネシーとフェラが俺に平穏をもたらしてくれる

If only I could get away with murder like police
もし俺が、警察みたいに無罪放免で殺人ができたなら
※白人警官による黒人への不当な暴力や射殺事件が、法の下で裁かれない(無罪になる)アメリカ社会の構造的差別に対する強烈な怒りと批判。

It'd be a couple niggas that's deceased, now rest in peace
何人かのクソ野郎どもが死体になってるだろうな、さあ、安らかに眠りやがれ

[Chorus]

Feeling rather uninspired
どうにもインスピレーションが湧かないんだ

Feeling rather un-admired
誰からも賞賛されていないような気がする

Come on, baby, won't you love me?
なあ、ベイビー、俺を愛してくれないか?

Never put a soul above me
誰の魂も俺の上に置かないでくれ

Don't you see, I'm special, darling?
分からないのか、俺は特別なんだぜ、ダーリン?

Tell me why then aren't you calling?
それならなぜ、君は電話をかけてこないんだ?

Could it be you found another?
もしかして、他に誰か見つけたのか?

You forgotten how I loved ya
俺がどれだけ君を愛していたか、忘れてしまったんだな

One day, you'll see that you've made a
いつか、君は自分が犯した

Terrible mistake and pray to
とんでもない過ちに気づき、祈ることになるだろう

God above for second chances
天にいる神様に、もう一度チャンスをくれってな

My rhythms will keep heaven dancin'
俺のリズムは、天国を躍らせ続けるのさ

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける

[Verse 2]

All you niggas rap on the same beats
お前らラッパーは全員同じようなビートでラップしやがる

Make me want to hit Dame Grease and get one of them joints X passed on
デイム・グリースに連絡して、Xが見送ったジョイントを一つ貰いたくなるよ
※Dame GreaseはDMXの伝説的デビューアルバムを支えたプロデューサー。「X」はDMXのこと。「joints」は曲やビートを指す。現行の量産型トラップビートに辟易し、90年代のザラついたハードなビートを求めている。

Make some shit that I can hear Flex blast on
フレックスが爆音で流すのを聴けるような曲を作りたくなるんだ
※Funkmaster Flexはニューヨークの伝説的なラジオDJ。彼の番組で新曲が爆音でプレイされることは、ラッパーにとって最高の栄誉の一つ。

For your whip let your foot press gas on
お前らの車で、思わず足がアクセルを踏み込むような曲をな
※「whip」は車のスラング。

'Cause it seems hits is how the best last long
だって、ヒット曲こそが最高の奴らが長続きする秘訣みたいだからな

So I ask God for my next smash song
だから俺は神様に、次のスマッシュヒットを頼んだんだ

All he sent me is my next sad song full of private thoughts
なのに神が送ってきたのは、極めて個人的な思考が詰まった、次の悲しい曲ばかりだ

For a minor cost you could tresspass on
わずかな代金で、お前らが無断侵入できるような曲をな
※リスナーがわずかな金額(アルバム代やストリーミング代)を払うだけで、Coleの極めてプライベートな心の傷(私有地)に土足で踏み込めることを示している。

It's from the heart like a chest pass homes
チェストパスみたいに、心から真っ直ぐに出たものさ、なあ
※バスケットボールのチェストパス(胸から胸へ出すパス)と、心(ハート・胸)から出た言葉であることを掛けた巧妙なワードプレイ。

My nigga was in prison and he just got home
俺のダチが刑務所にいて、最近やっと家に帰ってきた

He blowin' up my cell, did four years in jail
あいつは俺の携帯を鳴らしまくってる、刑務所で4年間過ごしてたんだ

And I never sent no mail and I guess that's wrong
俺は手紙の一通も送らなかった、それは間違ってたと思う

But if he really knew me then he'd understand
でも、もしあいつが俺のことを本当に分かってるなら、理解してくれるはずだ

A week out and already got a gun in hand
出所して1週間で、もう手に銃を持っている

Yes, it's true what they say, only God can judge
ああ、みんなが言う通りだ、「神だけが裁ける」ってな

But the catch is, He never does
だが厄介なのは、神は決して裁かないってことだ
※現実に神が直接裁きを下して悪人を罰したり、不条理を正したりすることはないという無情な真理。

He know exactly why my nigga stressed, unhappy, high
俺のダチがなぜストレスを抱え、不幸で、ハイになってるのか、神は正確に分かってるはずだ

Thinking, "How did four years just pass me by?"
「どうして4年間がただ過ぎ去っちまったんだ?」って考えながらな

Can't get a job, but the streets showed me how
仕事は見つからない、でもストリートがやり方を教えてくれた

Niggas I was cool with ain't my homies now
仲良くしてた奴らも、今じゃもう俺のダチじゃない

My own daughter act like she don't barely know me now
自分の娘でさえ、今じゃ俺のことなんてほとんど知らないみたいに振る舞うんだ

Baby mama promise me that she would hold me down
ベイビーママは、俺を支え続けるって約束してくれたのに
※「hold me down」は刑務所にいる間も浮気せずに待っている、支え続けるという意味。

The bitch promised that she would hold me down
あのビッチは、俺を支え続けるって約束したんだ

It was lonely in a cell and it's lonely now, sing
独房の中は孤独だった、そして今も孤独だ、歌え

[Chorus]

Feeling rather uninspired (Sing)
どうにもインスピレーションが湧かないんだ(歌え)

Feeling rather un-admired (Sing)
誰からも賞賛されていないような気がする(歌え)

Come on, baby, won't you love me? (Sing)
なあ、ベイビー、俺を愛してくれないか?(歌え)

Never put a soul above me (Sing)
誰の魂も俺の上に置かないでくれ(歌え)

Don't you see, I'm special, darling?
分からないのか、俺は特別なんだぜ、ダーリン?

Tell me why then aren't you calling?
それならなぜ、君は電話をかけてこないんだ?

Could it be you found another?
もしかして、他に誰か見つけたのか?

You forgotten how I loved ya
俺がどれだけ君を愛していたか、忘れてしまったんだな

One day, you'll see that you've made a
いつか、君は自分が犯した

Terrible mistake and pray to
とんでもない過ちに気づき、祈ることになるだろう

God above for second chances
天にいる神様に、もう一度チャンスをくれってな

My rhythms will keep heaven dancin'
俺のリズムは、天国を躍らせ続けるのさ

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける

Keep heaven dancin'
天国を躍らせ続ける