Artist: J. Cole
Album: 2014 Forest Hills Drive
Song Title: G.O.M.D.
概要
J. Coleの3rdアルバム『2014 Forest Hills Drive』に収録された「G.O.M.D.」は、「Get Off My Dick(俺のチンコから離れろ=俺の邪魔をするな、媚びてくるな)」の頭文字を取った、強烈なボースティングと内省が交差するバンガーである。Branford Marsalisの「Berta, Berta」というフィールド・ハラー(黒人奴隷の労働歌)を重厚にサンプリングし、ストリートのアンセムとしての力強さとルーツへの回帰を同時に表現している。前半では「ハリウッドに染まった」と批判するヘイターたちを一蹴し、後半では一転して、現代のヒップホップシーンで失われつつある「愛(Love)」についての脆くパーソナルな感情を吐露する。この二面性こそがJ. Coleの真骨頂であり、強がりと弱さ、怒りと愛をシームレスに繋ぐことで、彼は単なる「ラップスター」ではなく、人間味溢れる「Jermaine(本名)」としてのペルソナを確立した。シーンのトップに立つ実力を誇示しながらも、黒人のステレオタイプに警鐘を鳴らすコンシャスな視点が光る名曲である。
和訳
[Intro]
Hollywood Cole, go
ハリウッド・コール、行け
Ayy, Hollywood, ayy, Hollywood Cole, go
エイ、ハリウッド、エイ、ハリウッド・コール、行け
My nigga done went Hollywood
俺のダチはすっかりハリウッドに染まっちまった
※「Hollywood Cole」は、名声を得て故郷を離れハリウッド(LA)に住むようになったColeを皮肉るヘイターたちの声を代弁したキャラクター。
[Verse 1]
You wanna know just where I'm at?
俺が今どこにいるか知りたいか?
Well, let me tell you 'bout it
よし、それについて教えてやるよ
I put my city on the map
俺は自分の街を地図に載せてやったんだ
※「put on the map」は、無名だった地元(フェイエットビル)をヒップホップシーンで有名にしたという意味。
But let me tell you 'bout it
だが、それについて教えてやるよ
They tryna say I can't come back
奴らは俺がもう戻ってこれないって言おうとしてる
Ayy, let me tell you 'bout it
エイ、それについて教えてやるよ
Man, fuck them niggas, I come back
なあ、あんな奴らクソ食らえだ、俺は戻ってきたぜ
Ayy, let me tell you 'bout it
エイ、それについて教えてやるよ
I wanna tell you 'bout it:
俺はそれについてお前らに教えたいんだ:
Heads up, e'rybody run
気をつけろ、みんな逃げろ
Cole outside and he say he got a gun
コールが外にいて、銃を持ってるって言ってるぞ
Niggas like, "Man, that's what e'rybody said" (Uh-huh)
奴らは「なあ、みんなそう言ってたぜ」って感じさ(Uh-huh)
Go and pop the trunk and now e'rybody dead
車のトランクを開けてみろ、今やみんな死んでるだろ
※「pop the trunk」は銃を取り出す動作。Coleのラップスキル(銃)がシーンのラッパーたちを皆殺しにするほどの威力を持っているというボースティング。
E'rybody scared of the nigga, aware that the nigga is better (Better)
誰もがそいつを恐れてる、そいつが誰よりも優れてるって気づいてるからな(優れてる)
All my bitches the pick of the litter (Yeah), never bitter
俺のビッチたちはみんなよりすぐりの極上だ(イェー)、絶対に不満なんて持たない
※「pick of the litter」は同じ腹から生まれた中で一番良い子犬(転じて最高の女)のこと。
Niggas is fake, they anime
奴らはフェイクだ、まるでアニメだな
※アニメは「作られた虚構の世界」であるため、フェイクなラッパーたちをアニメに例えている。
Me, I never hate, get cake like Anna Mae, woah
俺は絶対にヘイトしない、アンナ・メイみたいにケーキ(金)を手に入れるだけさ、ウォウ
※「cake」は金のスラング。「Anna Mae」はティナ・ターナーの本名。映画『TINA ティナ』での「Eat the cake, Anna Mae!(ケーキを食え、アンナ・メイ!)」という有名なDVシーンのセリフをサンプリングした高度なパンチライン。
Eat the cake bitch, eat the damn cake (Cake), uh
ケーキを食えビッチ、そのクソみたいなケーキを食え(ケーキ)、uh
Fuck good, nigga, we demand great (Great)
「良い」じゃダメだ、俺たちは「偉大」であることを要求する(偉大)
Order Domino then she take off all her cloth'
ドミノピザを頼んだら、彼女は服を全部脱ぎ捨てた
Nigga, you know how it go, make the pizza man wait (Hol' up! Hol' up! Hol' up!)
お前らもどうなるか分かるだろ、ピザ屋の配達員を待たせてやるのさ(待て! 待て! 待て!)
The best-kept secret
最高に隠された秘密
Even Hov tried to keep it then I leaked the damn tape, uh
ホヴ(JAY-Z)でさえ隠しておこうとしたけど、俺がそのクソみたいなテープをリークしてやったんだ、uh
※J. Coleのデビュー前、レーベルボスであるJAY-Zが彼を秘密兵器として隠そうとしていたエピソードを指しているとされる。
Rest in peace any nigga want beef
俺とビーフ(揉め事)をしたい奴は全員安らかに眠れ
Secret service couldn't keep the man safe
シークレットサービスでさえ、そいつの身を守ることはできないぜ
[Refrain]
I said, to the window, to the wall (To the wall)
俺は言ったんだ、窓のほうへ、壁のほうへ(壁のほうへ)
※Lil Jonのクランク・アンセム「Get Low」の有名なフレーズ「To the window, to the wall」の引用。
My nigga ride when I call (I call)
俺が呼べば、ダチは駆けつけてくれる(呼べば)
Got bitches all on my mind (My mind)
頭の中はビッチたちのことでいっぱいだ(頭の中は)
Fuck nigga blockin' my shine (My shine)
俺の輝きを邪魔するクソ野郎ども(俺の輝きを)
I know the reason you feel a lil' way
お前が少しムカついてる理由は分かってる
I know just who you wan' be
お前が誰になりたいのかも分かってるさ
So every day I thank the Man upstairs
だから毎日、上の階の男(神様)に感謝してるんだ
That I ain't you and you ain't me
俺がお前じゃなくて、お前が俺じゃないってことにな
[Chorus]
Get off my dick
俺のチンコから離れろ(俺の邪魔をするな)
Woah (Get the fuck off my dick)
ウォウ(俺のチンコから離れやがれ)
Get off my dick
俺のチンコから離れろ
Woah (Get the fuck off my dick, nigga)
ウォウ(俺のチンコから離れやがれ、クソ野郎)
Get off my dick (Bitch)
俺のチンコから離れろ(ビッチ)
Woah (Get the fuck off my dick)
ウォウ(俺のチンコから離れやがれ)
Get off my dick
俺のチンコから離れろ
Woah
ウォウ
[Bridge]
Man, fuck them niggas, I come home
なあ、あんな奴らクソ食らえだ、俺は家に帰る
And I don't tell nobody
そして俺は誰にも言わない
They gettin' temporary dough
奴らは一時的な金を手にしてるだけさ
※「dough」は金のスラング。
And I don't tell nobody
そして俺は誰にも言わない
Lord, will you tell me if I changed?
神様、もし俺が変わっちまったら教えてくれますか?
I won't tell nobody
俺は誰にも言わないから
I wanna go back to Jermaine
俺はジャーメイン(本来の自分)に戻りたいんだ
※JermaineはJ. Coleの本名。ラップスターとしての「Hollywood Cole」から、一人の人間としての「Jermaine」へ戻りたいという深い内省。
And I won't tell nobody
そして俺は誰にも言わない
[Interlude]
This is the part that the thugs skip!
ここからが、サグ(悪ぶってる奴ら)がスキップするパートだ!
※ここから曲調とテーマが愛(Love)に変わり、ハードなラップしか聴かない層に向けて皮肉を放っている。
[Verse 2]
Young nigga never had love, you know
若い黒人は決して愛なんて持っちゃいなかった、分かるだろ
Foot massage, back rub shit
足のマッサージや、背中をさすってやるような
Blowin' bubbles in the bathtub shit
バスタブでシャボン玉を吹くような、そんな甘いことをな
That is until I met you
君に出会うまではそうだった
Together we done watched years go by
俺たちは一緒に何年も過ぎ去るのを見てきた
Seen a river of your tears go by
君の涙が川のように流れるのも見てきた
Got me thinkin' 'bout some kids, still I
子供たちのことまで考えさせたよ、それでも俺は
Tell them hoes come through, the break-up
他のビッチたちを家に呼んだりして、別れることになった
※「come through」は家に来る、立ち寄るという意味のスラング。
Get to know somebody and you really learn
誰かと深く知り合えば、本当に多くのことを学ぶ
A lot about 'em, won't be long 'fore you start to doubt 'em
相手のことをな、そしてすぐに相手を疑い始めるようになる
Tell yourself you're better off without 'em
あいつなんていないほうがマシだって自分に言い聞かせるんだ
Then in time, you will find can't walk without 'em
でも時間が経てば、あいつなしじゃ歩けないことに気づく
Can't talk without 'em, can't breathe without 'em
あいつなしじゃ話せない、あいつなしじゃ息もできない
Came here together, you can't leave without 'em
一緒にここに来たんだ、あいつを置いて去ることなんてできない
So you walk back in, make a scene about 'em
だからお前は戻っていって、あいつのことで一騒ぎ起こすんだ
On your Amerie, it's just 1 Thing about 'em, it's called love
お前の心の中のエイメリーが歌うように、あいつのことで「たった1つのこと(1 Thing)」がある、それは愛と呼ばれるものさ
※R&BシンガーAmerieの大ヒット曲「1 Thing」をネームドロップし、忘れられない「たった1つのこと(愛)」を見事に表現している。
Niggas don't sing about it no more
黒人たちはもう愛について歌わなくなった
Don't nobody sing about it no more
もう誰も愛について歌わない
(No more), no more
(もう)、もう歌わない
It's called love
それは愛と呼ばれるもの
Niggas don't sing about it no more
黒人たちはもう愛について歌わなくなった
Don't nobody sing about it no more
もう誰も愛について歌わない
(Nigga, don't sing about this shit, nigga)
(なあ、こんなクソみたいなこと歌うなよ、なあ)
But e'ry nigga in the club singin'
でもクラブにいる黒人たちはみんな歌ってる
[Refrain]
To the window, to the wall (To the wall)
窓のほうへ、壁のほうへ(壁のほうへ)
My nigga ride when I call (I call)
俺が呼べば、ダチは駆けつけてくれる(呼べば)
Got bitches all on my mind (My mind)
頭の中はビッチたちのことでいっぱいだ(頭の中は)
Fuck nigga blockin' my shine (My shine)
俺の輝きを邪魔するクソ野郎ども(俺の輝きを)
I know the reason you feel a lil' way
お前が少しムカついてる理由は分かってる
I know just who you wan' be
お前が誰になりたいのかも分かってるさ
So every day I thank the Man upstairs
だから毎日、上の階の男(神様)に感謝してるんだ
That I ain't you and you ain't me
俺がお前じゃなくて、お前が俺じゃないってことにな
[Bridge]
Get off my dick
俺のチンコから離れろ
But e'ry nigga in the club singin'
でもクラブにいる黒人たちはみんな歌ってる
Singin' this song, yeah
この歌を歌ってるんだ、イェー
Got all the bitches in the club singin'
クラブにいるビッチたちもみんな歌わせてる
Singin' this song, yeah
この歌を歌ってるんだ、イェー
And all the mamas let their kids sing it
ママたちも自分の子供に歌わせてる
Sing this song, yeah
この歌を歌ってくれ、イェー
The baby mamas and the mistresses
ベイビーママたちも、愛人たちも
This song, yeah, song, yeah
この歌を、イェー、歌を、イェー
Song, yeah, song-song, yeah
歌を、イェー、歌を、イェー
[Verse 3]
The make up
仲直りの時間だ
This shit is retarded
このクソみたいな曲はマジで狂ってる
※「retarded」は「頭がおかしい、ヤバい」というスラング。
Goddamn
ガッデム
Why every rich Black nigga gotta be famous?
なんで金持ちの黒人はみんな有名にならなきゃいけないんだ?
Why every broke Black nigga gotta be brainless?
なんで貧乏な黒人はみんな頭が空っぽじゃなきゃいけないんだ?
※社会が黒人に押し付けるステレオタイプへの強烈な問題提起。金持ち=エンターテイナー(ラッパーやスポーツ選手)、貧困=無学な犯罪者という偏見を批判している。
Uh, that's a stereotype
Uh、それがステレオタイプってやつだ
Driven by some people up in Aerial Heights, here's a scenario:
エアリアルハイツ(富裕層の白人)の連中によって作り上げられたな、シナリオはこうだ:
※「Aerial Heights」は社会的地位の高い層や白人の支配層を指す造語。
Young Cole pockets is fat like Lil Terrio
若きコールのポケットはリル・テリオみたいにパンパンだ
※Lil Terrioは当時Vineで大バズりした太った黒人の少年。ポケットに札束が詰まっている様子を彼のお腹に例えたユーモア。
Dreamville, give us a year, we'll be on every show
ドリームヴィル、俺たちに1年くれ、全てのショーに出演してみせるさ
※DreamvilleはJ. Coleのレーベル。
Yeah, fuck nigga, I'm very sure
ああ、クソ野郎、俺は確信してるぜ
Heh
ヘッ
Fuck the rest, I'm the best nigga out
他の奴らなんてクソ食らえ、俺が今出てる中で最高の黒人だ
When I'm back home, I'm the best in the South
地元に帰れば、俺がサウス(南部)で最高だ
When I'm in L.A., I'm the best in the West
LAに行けば、俺がウェスト(西海岸)で最高だ
You contest? You can test, I'ma stretch niggas out
異議があるか? 試してみろよ、お前らを伸してやるから
※「stretch out」は殴り倒す、あるいは死体袋に入れて伸ばすという脅し文句。
Ooh, I'ma stretch niggas out
Ooh、お前らを伸してやる
That go for all y'all if I left niggas out
もし俺が誰かの名前を出し忘れてたとしても、これはお前ら全員への言葉だ
This shit for e'rybody on my testicle
これは俺の金玉にしがみついてる(媚びを売ってくる)全員に向けてだ
Please make sure you put the rest in your mouth, ho
残りも残さずお前の口に入れとけよ、ビッチ
