Artist: Wu-Tang Clan
Album: The W
Song Title: Intro (Shaolin Finger Jab) / Chamber Music
概要
2000年にリリースされたWu-Tang Clanの3rdアルバム『The W』の幕開けを飾る本作は、彼らの原点回帰と揺るぎないスタンスを宣言するハードコアなオープニング・トラックである。前作のダブルアルバム『Wu-Tang Forever』(1997年)の壮大なスケールから一転、RZAは初期のざらついた地下室のようなサウンドスケープへと回帰した。ビートには、彼らのアイデンティティであるカンフー映画(1978年公開の『Five Deadly Venoms(五毒拳)』など)からの不穏なダイアログがサンプリングされ、重々しいキックとスネアがループする。Ol' Dirty Bastardが逮捕・逃亡により不在という激動の時期であったが、Raekwon、GZA、Method Man、Masta Killaの4人がマイクを回し、コマーシャル化が進む当時のヒップホップシーンに対して、研ぎ澄まされた言葉の剣(Shaolin Finger Jab)を突き立てている。Wu-Tang帝国が未だストリートの最前線(Chamber)に君臨していることを示す、生々しくも洗練された一曲だ。
和訳
[Intro: Kung Fu sample, RZA, (Method Man) & Raekwon]
I must tell you that the Clan is a danger to the public
クランは世間にとって危険な存在だと伝えねばなるまい
But still for many men just to hear of the name
だがそれでも、多くの男たちはその名を聞いただけで
Fills them with hate and loathing
憎悪と嫌悪で満たされるのだ
But why? They've never harmed anyone
しかしなぜだ? 奴らは誰にも危害など加えていない
I'm afraid they did
残念ながら、加えたのだよ
※1978年の香港カンフー映画『五毒拳(Five Deadly Venoms)』からのサンプリング。Wu-Tang Clanが音楽業界や社会に与えた破壊的な影響と重ね合わせている。
In the past there's something that they would like to forgive
過去に、彼らが許したいと思っている何かがある
First, I'll tell you about their style, planned techniques
まず、奴らのスタイル、計算し尽くされた技について話そう
The main style
その主要なスタイルとは
"Shaolin Finger Jab!"
「少林指差し攻撃」だ!
Yo..
ヨォ…
(Uh-huh)
We are watchin' your whole group
我々はお前たちのグループ全体を監視しているぞ
You been busy here
ここでは随分と忙しくしているようだな
Around the clock, all we need is your orders to move
24時間体制だ、動くにはお前の命令が必要なだけさ
Met a lot of crosses last night
昨夜は多くの裏切り(十字架)に遭遇した
Young and old!
若者も老人もだ!
You been busy hereI respect that!
ここでは随分と忙しくしているようだな、その点は敬意を表するよ!
Yeah, (Ayo), yeah
イェー、(エイヨォ)、イェー
Chamber music fuckin' the party up-in (Yo)
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ(ヨォ)
※「Chamber」は彼らの原点である「36の部屋(36 Chambers)」。ポップなパーティチューンをアンダーグラウンドの音楽が破壊するという宣言。
Come on! You know what it is
来いよ! これが何だか分かってるだろ
(Thou must bust shots all the time, kid)
(お前は常に銃弾をぶっ放し続けなきゃならねえんだよ、小僧)
(Ayo, ayo, ayo) We're back!
(エイヨォ、エイヨォ、エイヨォ)俺たちが戻ってきたぜ!
[Verse 1: Raekwon]
Peep "The Jump Off", ain't nothin' sweet, get dumped off
「始まり」をよく見な、甘いことなんて一つもねえ、切り捨てられるだけだ
Frontin like you won't get deaded and bumped off
自分が殺されたり消されたりしないって顔して虚勢を張りやがって
Drastic son, master guns that'll run up in plastic ones
激しいぜ、なぁ、プラスチックの銃で突撃する銃の達人だ
※「plastic ones」はグロックなどのポリマーフレーム拳銃のこと。
And then go, crash in the slums
そして向かうんだ、スラム街へとなだれ込む
One tight army, few good men that'll rep
一つの強固な軍隊、レペゼンする少数の精鋭たちだ
※映画『ア・フュー・グッドメン(A Few Good Men)』のタイトルからの引用。
Invade you strongly, Prince of Wales swimmin' on feet
お前らを力強く侵略する、プリンス・オブ・ウェールズの柄で街を泳ぐように歩くぜ
※「Prince of Wales」はチェック柄(グレンチェック)のこと。マフィオソ・スタイルを誇示するRaekwon特有のファッション描写。
Props'll sell, all yellow L's, cops sleepin' on nails
プロップス(名声)は売れる、全てイエローのL、サツどもは釘の上で眠っている
※「yellow L's」は黄色いL字型のジョイント(ハッパ)、あるいはレクサスのこと。「sleepin' on nails」は警察が油断ならない状況に置かれている、または無能であることを意味する。
Niggas get realer than real, yo
野郎どもはリアルよりもさらにリアルになるんだ、ヨォ
Flash the brown, last time was crowned
ブラウンを見せつけろ、前回は王冠を被ったぜ
※「brown」はヘロインやハシシ、または錆びた銃など様々な解釈がなされるストリートのスラング。
All navy Woolridge, Wu kicks, movin' them pounds, yo
全身ネイビーのウールリッチ、Wuのキックス、パウンド単位のブツを捌くんだ、ヨォ
Last on niggas, great adventures of my niggas
野郎どもを最後まで追い詰める、俺のダチたちの大いなる冒険だ
And Castro pictures, sendin' a rash out the kitchens
カストロのような写真、キッチンから発疹を送り出す
※フィデル・カストロのように葉巻を咥えた反逆者の姿。「kitchen」はクラック・コカインの精製所のことで、そこからドラッグ(rash=発疹/被害)をストリートにばら撒く。
Like the wind, invite the grin, watch niggas rewrite the trend
風のようにな、ニヤリと笑う、野郎どもがトレンドを書き換えるのを見な
Wu niggas did it again, yo
Wuの野郎どもがまたやったぜ、ヨォ
Unhighly, octane, die cast metal frame
極上のハイ、高オクタン価、ダイキャストの金属フレーム
Lame, let another man with heat handle beef
ダサいぜ、銃(熱)を持った他の男に揉め事を処理させとけよ
[Chorus: Method Man]
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
[Verse 2: GZA]
Yo, spark the intro, relevant info
ヨォ、イントロに火をつけろ、関連する情報だ
Load up the keyboard, 105 tempo
キーボードをロードしろ、テンポは105だ
Most heated battles, I've blasted MCs
最も白熱したバトルで、俺はMCどもを吹き飛ばしてきた
Some said that the bullets flew by like angry bees
その弾丸は、怒れる蜂の群れのように飛んできたと奴らは言った
※Wu-Tangのアフィリエイトやファンの総称である「Killa Bees」と、ライムの連射を重ねている。
Wu entered on the level where we would wait and listen
Wuは、俺たちが立ち止まって耳を傾けるべきレベルで参入してきた
While one flashed metal, eight calculate position
一人が金属(マイク/銃)を輝かせる間、残りの8人がポジションを計算する
※Ol' Dirty Bastardが不在でも、常に9人のメンバーが戦術的に連動して動いているという結束力の強調。
The world snapped, once we combined our rap
俺たちがラップを結合させた時、世界は狂乱した
Drastic measures, priceless treasures on Nap'
過激な手段だ、Nap上のプライスレスな宝物
※「Nap'」は当時台頭していたP2Pファイル共有ソフト「Napster」のこと。自分たちの音楽(宝物)が違法に流出・共有されている時代状況への言及。
Our swords swing, windchill Mount Aerie
俺たちの剣が振られる、マウント・エアリーの体感温度のように冷たいぜ
※「Mount Aerie」はペンシルベニア州の地名や山などを示すが、冷酷で研ぎ澄まされた剣の軌道を表現している。
Native plant standin' on the tall-grass prairie
背の高い草の生い茂る大草原に立つ、固有の植物だ
※GZAの孤独で孤高な知性(The Genius)を表現する詩的なメタファー。
Snares and kicks, off the project bricks
スネアとキックの音が、プロジェクトのレンガの壁に響き渡る
It's no act the producer played the role with drumsticks
プロデューサーがドラムスティックでその役割を演じたのは、決して演技じゃない
※RZAがMPCなどのサンプラーのパッドを叩いて生み出す、本物のストリート・ビートの証明。
The warning came unnoticed
警告は誰にも気づかれずにやって来た
It's like the shot on the dock of the bay
まるで波止場のドックでの一撃のようだ
That slayed Otis, the Nine-Lotus
それがオーティスを殺した、9つの蓮だ
※ソウル歌手オーティス・レディングの死(実際は飛行機事故だが、名曲「(Sittin' On) The Dock of the Bay」の録音直後に亡くなった衝撃)と、「shot(銃撃/写真/テイク)」をかけた言葉遊び。「Nine-Lotus」はWu-Tangの9人のメンバーを指す。
Each one adjust to his own environment
それぞれが自分の環境に適応する
Formulate this great LP, a hundred rounds spent
この偉大なLPを構築する、100発の弾丸(ライム)が費やされた
Niggas bent on the fruitless search for nourishment
野郎どもは、栄養(真理)を求めて不毛な探索に必死になっている
They long for this proper guidance, encouragement
奴らはこの適切な導きと、励ましを渇望しているのさ
[Chorus: Method Man]
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
[Verse 3: Method Man]
It be the Lost Tribe, 7 days locked in the dungeon
これは失われた部族だ、地下牢に7日間閉じ込められていた
Foamin' at the mouth, mad dog in this production
口から泡を吹く、このプロダクションにおける狂犬だ
The uncontrolled substance got me spittin' up bars disgustin'
規制されていない物質(ドラッグ/才能)が、俺にこのエグい小節を吐き出させる
The last temptation of the son of David Ruffin
デヴィッド・ラフィンの息子の、最後の誘惑だ
※「David Ruffin」はソウルグループ「The Temptations」の元リードシンガー。キリストを描いた映画『最後の誘惑』とグループ名をかけた高度なリファレンス。
Hold my mic sideways when bustin'
ぶっ放す時、俺はマイクを横に構えるぜ
※ギャングスタが銃を横向き(キル・ショット)に構えて撃つスタイルを、マイクの持ち方に変換している。
On Judgement Day runnin' through Hell, yellin' and cussin'
審判の日、地獄を駆け抜け、叫び、罵りながらな
At MCs in my circumference, y'all niggas hand-cuffin'
俺の円周(縄張り)にいるMCどもに向かってな、お前らは手錠をかけている
These hoes and ain't read them they rights or nothin'
このビッチどもにな、それに権利の読み上げ(ミランダ警告)すらしてねえだろ
※女に執着し束縛する(handcuffing)他のラッパーたちを、横暴な警察官に例えて皮肉っている。
Keep lustin', yeah and I'ma keep hustlin'
そのまま欲望に溺れてな、あぁ、俺はハッスルし続けるぜ
With chamber music fuckin' the party up-in
このチェンバーの音楽で、パーティをぶっ壊しながらな
You know me, every time you kiss that ho you blow me
俺を知ってるだろ、お前がその娼婦にキスするたび、お前は俺をしゃぶってるのさ
※その女性はすでにMethod Manと関係を持っているため、間接的に彼と交わっているという下品で強烈なマウント。
You blow trial trying to walk a mile in my Sauconys
俺のサッカニーを履いて1マイル歩こうとして、お前は裁判でしくじるのさ
※「walk a mile in my shoes(他人の身になって考える/経験する)」ということわざ。Method Manのスニーカー(Saucony)を履いて彼のスタイルを真似しようとしても、絶対に上手くいかず自滅するという宣告。
[Chorus: Method Man]
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
[Verse 4: Masta Killa]
We just touched down, Wu shuttle, private jet
俺たちはたった今着陸した、Wuのシャトル、プライベートジェットだ
Stepped off the plane, the world wept
飛行機から降り立つと、世界は涙を流した
Roll with the Witty Unpredictable
「機知に富んだ予測不可能な」奴らとつるむ
※「Witty Unpredictable (Talent And Natural Game)」はWu-Tangのバクロニム。
Talent All Natural, rock with the Beatles of hip-hop
才能は全て天然物だ、ヒップホップ界のビートルズと共に揺れな
※自分たちがビートルズに匹敵する文化的影響力とアイコン性を持っているという自信の表れ。
Mathematical imperial manifestation of greatness
偉大さの、数学的で帝王的な顕現
Make wiz's scream and shout at the top of their breath of life, essence
ウィズたちを、その命の息吹、エッセンスの限りに叫ばせる
※「Wiz」はWisdom(5% Nation用語で女性、または地球)の複数形。女性ファンたちを熱狂させる。
Captured on tape is precious
テープに録音されたものは極めて貴重だ
Bless mic pure deafness, awake from the sleepless state
純粋な聴覚喪失(凄まじい音量)でマイクを祝福し、眠れぬ状態から覚醒させる
When the God bring rain, hail, snow to the earthquake
神(俺たち)が、雨、雹、雪を地震にもたらす時にな
※5% Nationにおける「Rain, Hail, Snow and Earthquakes」は、真理を知らない者たちへの浄化や天罰のメタファー。
[Chorus: Method Man]
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
Chamber music fuckin' the party up-in
チェンバーの音楽が、パーティをクソみたいにぶっ壊すぜ
[Outro: Kung Fu sample]
You've been busy
随分と忙しくしているようだな
Are you mastered?
極めたというのか?
You've been busy
随分と忙しくしているようだな
Are you mastered?
極めたというのか?
You've been busy
随分と忙しくしているようだな
Are you mastered?
極めたというのか?
You've been busy here..
ここでは随分と忙しくしているようだな…
