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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Well, Well, Well - John Lennon 【和訳・解説】

Artist: John Lennon

Album: John Lennon/Plastic Ono Band

Song Title: Well, Well, Well

概要

1970年発表のソロ・アルバム『ジョンの魂(原題:John Lennon/Plastic Ono Band)』に収録された、極めてヘヴィで泥臭いブルース・ロック・ナンバーである。リンゴ・スターのタイトなドラムとクラウス・フォアマンの地を這うようなベースに乗せて、ジョン・レノンが日常のパーソナルな風景と内なる狂気を歌い上げている。歌詞自体は、妻であるオノ・ヨーコとの食事や野原での散歩、そして政治的な対話という穏やかな日常を描いているが、その背後にはヘロイン依存からの脱却(コールド・ターキー)や、メディアからの容赦ないバッシングによってすり減った二人の極度の緊張感とパラノイアが張り詰めている。特筆すべきは曲の中盤から終盤にかけて轟く、ジョンの凄絶な「絶叫」である。これは彼らが受けていたアーサー・ヤノフ博士の「プライマル・セラピー(原初療法)」の直接的な実践であり、言葉の論理性を完全に破壊して魂の奥底に溜まった怒りと苦痛を吐き出す、ロック史に残る最も生々しいボーカル・パフォーマンスの一つとして高く評価されている。

和訳

[Chorus]

Well, well, well
やれやれ、まったく
※「Well, well, well」は驚きや呆れ、あるいは諦念を示す慣用句。ここではビートルズ解散後の喧騒や、自分たちを取り巻く異常な状況に対する「やれやれ」といった疲労感とアイロニーが込められている。

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

[Verse 1]

I took my loved one out to dinner
僕は愛する人を夕食に連れ出した

So we could get a bite to eat
少しばかり何かお腹に入れるために

And though we both had been much thinner
僕らは二人とも、以前よりずっと痩せこけてしまっていたけれど
※当時の二人はヘロイン依存(楽曲「Cold Turkey」の題材)や流産の悲劇、そして1968年の大麻不法所持による逮捕など、過酷なストレスによって心身ともに激しく消耗していた。その痛々しい現実をありのままに描写している。

She looked so beautiful, I could eat her
彼女はとても美しくて、食べてしまいたいほどだった
※極限状態にあっても揺るがないヨーコへの深く倒錯した愛情と、性的な欲求(I could eat her)の直接的な表現。死の影がちらつく中で生への執着を剥き出しにしている。

[Chorus]

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

[Verse 2]

I took my loved one to the big field
僕は愛する人を広い野原へと連れ出した

So we could watch the English sky
イギリスの空を一緒に眺めるために

We both were nervous, feeling dizzy
僕らは二人とも神経質になっていて、めまいを感じていた
※広大な自然の中に安らぎを求めたものの、都会の喧騒やパパラッチの恐怖から逃れられず、パラノイア(偏執狂)的な不安に苛まれている精神状態。彼らにとって、もはや完全に安全な場所などどこにもなかった。

And neither one of us knew just why
そして、どちらもその理由が分からなかったんだ
※トラウマやメディアの監視による重圧が、無意識のレベルまで深く根を下ろしてしまっていることの告白。

[Chorus]

Well, well, well
やれやれ、まったく
※ここからジョンは「Well」という言葉の意味を徐々に剥奪し、獣のような唸り声と絶叫(プライマル・スクリーム)へと変貌させていく。

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Well

Well

Well

Well

Well

Well

Well

Well

Well, well

[Instrumental Verse]

※言葉が完全に崩壊し、ジョンが声帯を切り裂くような凄まじいスクリームを上げる。ギターも歪みきったフィードバック・ノイズを放ち、アルバム中最も暴力的でカオティックな瞬間を迎える。この抑圧された感情の爆発こそが、本作の真のテーマである。

[Chorus]

Well

Well, well, well
やれやれ、まったく
※狂乱の嵐が過ぎ去り、再び荒い息を整えるように言葉が戻ってくる。

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

[Verse 3]

We sat and talked of revolution
僕らは座って、革命について語り合った

Just like two liberals in the sun
まるで太陽の下にいる、二人のリベラリストのように
※「ベッド・イン」などの平和活動を行っていた彼らが、自分たち自身を少し客観的かつ自嘲気味に「リベラリスト(自由主義者)」と呼んでいる。大衆から見れば安全圏から理想を語っているように見えるかもしれないという、自己分析の冷徹さがある。

We talked of women's revolution
女性解放の革命について語り合った
※前衛芸術家であり、強いフェミニズムの思想を持っていたヨーコからの多大な影響が明確に示されている。この時の対話が、後の1972年の問題作「Woman Is the Nigger of the World(女は世界の奴隷か!)」という過激なフェミニズム・アンセムへと結実していくことになる。

And how the hell we could get things done
そして一体どうすれば、この現実を変えられるのかってことを
※理想を語るだけでなく、それをいかにして現実の行動(get things done)に移すかという、彼らのアクティビストとしての実践的な苦悩が描かれている。

[Chorus]

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

[Verse 2 Repeat]

I took my loved one to a big field
僕は愛する人を広い野原へと連れ出した

So we could catch the English sky
イギリスの空を捕まえるために

We both were nervous, feeling guilty
僕らは二人とも神経質になっていて、罪悪感を感じていた
※1回目のVerse 2の「feeling dizzy(めまいを感じていた)」が「feeling guilty(罪悪感を感じていた)」へと変化している。ビートルズを解散させたこと、前妻シンシアや息子ジュリアンを傷つけたこと、あるいは自分たちだけが莫大な富を持っていることへの根深い罪悪感が、彼らの精神を蝕んでいた証左である。

And neither one of us knew just why
そして、どちらもその理由が分からなかったんだ

[Chorus]

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Oh well
まあ、いいさ

Well, well, well
やれやれ、まったく

Well

Well, well, well
やれやれ、まったく

Well

Well

Well
※最後は疲労困憊したような、あるいはすべてを諦めたかのような短い呟きとともに、重いブルースのビートがフェードアウトしていく。