Artist: Laufey
Album: A Matter of Time: The Final Hour
Song Title: Seems Like Old Times
概要
本作は、カルメン・ロンバルドとジョン・ジェイコブ・ローブが1945年に書き上げ、後に映画『アニー・ホール』(1977年)でダイアン・キートンが歌い継いだことでも知られるアメリカン・スタンダードの名曲「Seems Like Old Times」の秀逸なカバーである。デラックス盤『A Matter of Time: The Final Hour』に収録された本作は、アルバム本編を覆っていた「時間の経過に対する焦燥感」や「Z世代的なオーバシンキング(Sabotageなど)」に対する、一種の美しい解毒剤として機能している。かつて愛した人との再会と、時を経ても変わらない純粋な喜びを歌うこのクラシックなナンバーを、レイヴェイは持ち前のチェロのような深みのあるアルトボイスと、優雅でノスタルジックなオーケストレーションで温かく包み込む。現代の複雑で情報過多な恋愛模様からリスナーを一時的に切り離し、古き良きハリウッド映画のような「永遠のロマンス」へと誘う、彼女のトラディショナル・ポップへの深い敬意とルーツが結実したトラックだ。
和訳
[Verse 1]
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
※「old times(古き良き時代、昔馴染みの時間)」。原曲が発表された第二次世界大戦終結直後の「平和な日常への回帰」というノスタルジアを、現代の文脈において「デジタルから切り離された、親密でアナログな時間への回帰」としてレイヴェイは見事に再解釈している。
Having you to walk with
こうしてあなたと一緒に歩いていると
※目的もなくただ「一緒に歩く(walk with)」というシンプルでフィジカルな行為が、どれほど贅沢でロマンチックなものであるかを提示している。
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
Having you to talk with
こうしてあなたと語り合っていると
[Chorus]
And it's still a thrill, just to have my arms around you
そして今でも胸が高鳴るの、あなたの背中に腕を回すだけで
※「still(今でも)」と「thrill(スリル、高鳴り)」という、ティン・パン・アレーの古典的なソングライティングにおける完璧な脚韻。成熟した再会の落ち着きの中に、出会った当初の若々しい身体的・感情的な反応(スリル)が色褪せずに残っていることを美しく表現している。
Still the thrill, that it was the day I found you
あの日あなたを見つけた時と同じように、今でもときめいているわ
[Verse 2]
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
Dinner dates and flowers
ディナーのデートや、花束の贈り物
※「ディナー」や「花束」という、クラシック・ハリウッド映画における求愛のステレオタイプ。マッチングアプリやテキストメッセージが主流となったZ世代の刹那的な恋愛事情に対し、レイヴェイはこうした意図的でクラシカルなロマンスの形を「シネマティックな理想郷」として繰り返し提示している。
Just like old times
昔とまったく同じように
Staying up for hours
何時間も起きて夜更かしをして
※時間を気にせず語り明かす「夜更かし」。『A Matter of Time』というアルバムが持つ「時間の制約への恐怖」から解放され、二人の間だけで永遠に等しい時間が流れていることを示唆している。
[Chorus]
Making dreams come true, doing things we used to do
夢を叶えながら、昔よく一緒にしたことをもう一度なぞって
Seems like old times, being here with you
まるで昔に戻ったみたいね、こうしてあなたと一緒にいると
[Instrumental Break]
※ジャズの黄金時代を彷彿とさせる、優雅でノスタルジックなインストゥルメンタル。ストリングスやホーン・セクションが過去と現在を繋ぐ架け橋となり、言葉にできない温かな追憶の情景をリスナーの脳内に直接描き出していく。
[Verse 3]
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
Having you to walk with
こうしてあなたと一緒に歩いていると
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
Having you to talk with
こうしてあなたと語り合っていると
[Chorus]
And it's still a thrill, just to have my arms around you
そして今でも胸が高鳴るの、あなたの背中に腕を回すだけで
Still the thrill, that it was the day I found you
あの日あなたを見つけた時と同じように、今でもときめいているわ
[Verse 4]
Seems like old times
まるで昔に戻ったみたい
Dinner dates and flowers
ディナーのデートや、花束の贈り物
Just like old times
昔とまったく同じように
Staying up for hours
何時間も起きて夜更かしをして
[Chorus]
Making dreams come true, doing things we used to do
夢を叶えながら、昔よく一緒にしたことをもう一度なぞって
Seems like old times, being here with you
まるで昔に戻ったみたいね、こうしてあなたと一緒にいると
