Artist: Michael Jackson
Album: Music & Me
Song Title: Morning Glow
概要
1973年発表のサード・ソロ・アルバム『Music & Me』に収録された本作は、スティーヴン・シュワルツ作曲によるブロードウェイ・ミュージカル『ピピン(Pippin)』の劇中歌のカバーである。圧政を打ち破り、新たな理想の国を築こうとする若き王子の決意を歌った原曲の壮大なテーマを、当時14歳のマイケルが見事に自分のものとして歌い上げている。「変化の風」や「新しい夜明け」を希求するこの楽曲は、単なるカバーの枠を超え、後年に彼が『Man In The Mirror』や『Heal The World』などで展開する地球規模のヒューマニズムと社会変革への祈りの原点として、極めて重要な歴史的意味を持つ。変声期の儚さと力強さが同居するボーカルが、暗闇から光へと向かう希望のメッセージに圧倒的な説得力をもたらしている。
和訳
[Verse 1]
Morning glow, morning glow
朝の光よ、新しい夜明けの光よ
※「Morning glow(朝の輝き・朝焼け)」は、長く暗い夜(停滞した社会や抑圧された時代)の終わりを告げる「希望」と「変革」のメタファーである。
Starts to glimmer when you know
君が気づいたとき、それは微かに輝き始めるんだ
Winds of change are set to blow
変化の風が、今まさに吹き荒れようとしていることに
※「Winds of change(変化の風)」というフレーズは、1960〜70年代の公民権運動や反戦運動といった社会的パラダイムシフトの気運を色濃く反映している。マイケルが後年、人種差別の壁を打ち破るパイオニアとなった事実を踏まえると、この一節は彼自身のポップカルチャーにおける革命的な役割を予言しているようにも聴こえる。
And sweep this whole land through
そして、この大地全体を吹き抜けていくことにね
Morning glow is long past due
朝の光よ、僕らは君をずっと待ちわびていたんだ
※「long past due(期限をとっくに過ぎている=待ち焦がれていた)」という表現に、変革を急務とする切迫感が滲む。
Morning glow, fill the earth
朝の光よ、この地球を満たしてくれ
Come and shine for all you're worth
ここへ来て、君の持つすべての力で輝いてほしい
We'll be present at your birth
僕らは、君が生まれるその瞬間に立ち会うよ
※直訳は「あなたの誕生に立ち会う」だが、これは新しい時代や価値観が産声を上げる瞬間の目撃者、あるいは当事者になるという力強い宣言である。
Of all things looking new
すべてのものが新しく生まれ変わる、その瞬間に
Morning glow is long past due
朝の光よ、僕らは君をずっと待ちわびていたんだ
[Chorus]
Oh-oh-oh-oh-oh (Morning glow)
Oh-oh-oh-oh-oh(朝の光よ)
Oh-oh-oh-oh-oh
Oh-oh-oh-oh-oh
I'd like to help you grow
君が大きく育っていくのを手助けしたいんだ
※光(希望)を擬人化し、それを自らの手で育てようとする庇護者としての視点。マイケルがのちに子供たちや地球環境の保護に生涯を捧げた「Heal the World」の精神性が、14歳の彼の口からすでに語られている事実に驚かされる。
You should have started long ago
君はもっとずっと前に、始まっているべきだったのにね
[Verse 2]
Morning glow all day long (Morning glow)
一日中輝き続ける朝の光(朝の光よ)
While we sing tomorrow's song (Morning glow)
僕らが明日の歌を歌っている間も(朝の光よ)
Never knew we could be so strong
僕らがこれほど強くなれるなんて、思いもしなかった
※ミュージカル『ピピン』における主人公の自己覚醒の場面だが、マイケル自身の文脈においては、ジャクソン5の「愛らしい末っ子」という役割から脱却し、世界を変えうる一人のアーティストとしての自覚と「内なる強さ」への目覚めとして解釈できる。
But now, it's very clear
でも今なら、とてもはっきりと分かるんだ
Morning glow, it's almost here
朝の光は、もうすぐそこまで来ているって
[Chorus]
Oh-oh-oh (Morning glow)
Oh-oh-oh(朝の光よ)
Oh-oh-oh-oh-oh
Oh-oh-oh-oh-oh
I'd like to help you grow
君が大きく育っていくのを手助けしたいんだ
We should have started long ago
僕らはもっとずっと前に、始めているべきだったんだ
[Verse 3]
Morning glow, filled with light
朝の光よ、光で満ち溢れた君がいれば
You can make the whole day bright
一日中をまばゆく照らすことができる
All the bad songs of the night
夜に歌われた、すべての悪い歌たちは
※「bad songs of the night(夜の悪い歌)」は、前時代的な偏見、憎悪、悲しみなどの比喩。マイケルは生涯を通じて、音楽(良い歌)の力でこうしたネガティブな要素を打ち消そうと闘い続けた。
Will fade into the past
過去へと色褪せて消えていくんだ
Morning glow is here at last
朝の光が、ついにここへやって来たんだ
※夜明けの完全な到来を告げるクライマックス。変声期のマイケルの少し掠れた高音が、暗闇を切り裂く一筋の光のような神聖さとカタルシスを生み出している。
Woo-oooh, wooh-oooh, woo-oooh, woo-oooh
Woo-oooh, wooh-oooh, woo-oooh, woo-oooh
