Artist: A Tribe Called Quest
Album: People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm
Song Title: Can I Kick It?
概要
1990年に発表されたA Tribe Called Questの歴史的デビューアルバム『People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm』を代表するアンセムであり、ヒップホップ史上最も有名なコール&レスポンスを生み出した不朽のクラシックである。Lou Reedの名曲「Walk on the Wild Side」のベースラインに、Dr. Lonnie Smithの「Spinning Wheel」のドラムブレイクを重ね合わせたビートは、ジャズやロックをヒップホップの文脈へシームレスに落とし込むQ-Tipの天才的なサンプリングセンスを証明している。裏話として、Lou Reedからサンプリングの許諾を得たものの、楽曲のロイヤリティ(印税)の100%を彼に要求されたため、グループはこの大ヒット曲から金銭的利益を一切得られなかったという過酷な逸話はファンの間で語り草となっている。暴力やハスリングを歌うのではなく、知性とユーモア、そしてニューヨーク初の黒人市長誕生への期待といった若き黒人青年たちの等身大の日常と政治意識を軽快にキックした本作は、Native Tonguesムーブメントの決定的な金字塔である。
和訳
[Chorus: Q-Tip]
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
※「kick it」は「リラックスして楽しむ」「ラップをかます」「遊ぶ」などを意味する定番のストリートスラング。ヒップホップのライブにおいて観客と一体になるための最もアイコニックなコール&レスポンスの一つだ。
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Well, I'm gone (Go on then!)
じゃあ、俺は行くぜ(じゃあ行けよ!)
[Verse 1: Q-Tip]
Can I kick it? To all the people who can Quest like A Tribe does
俺がかましていいか?トライブみたいに探求の旅ができるすべての奴らに向けて
Before this, did you really know what live was?
これ以前に、お前らは本当に「生きてる」ってのがどういうことか分かってたか?
Comprehend to the track, for it's why cuz
このトラックを理解しろ、それがすべての理由だからだ
Gettin measures on the tip of the vibe buzz
ヴァイブスのバズの先端でリズムを刻んでいく
Rock and roll to the beat of the funk fuzz
ファンクのファズが効いたビートに合わせてロックンロールしな
※Lou Reed(ロック)とDr. Lonnie Smith(ファンクジャズ)のサンプリングを融合させたこの楽曲の音楽的構造そのものをリリックで表現している。
Wipe your feet really good on the rhythm rug
リズムの絨毯でしっかりと足を拭けよ
※彼らの音楽という家(土俵)に上がる前に、しっかりと準備をして敬意を払えというポエティックなメタファーだ。
If you feel the urge to freak, do the jitterbug
もし狂いたい衝動に駆られたら、ジルバでも踊りな
Come and spread your arms if you really need a hug
本当にハグが必要なら、両腕を広げてこっちへ来いよ
Afrocentric living is a big shrug
アフロセントリックな生き方なんて、肩をすくめるくらい当たり前のことさ
※「shrug」は肩をすくめる動作。当時ヒップホップシーンで流行していたアフリカ回帰主義(アフロセントリズム)に対し、ことさら気負うものではなく、自分たちにとってはごく自然なライフスタイルであるというクールなスタンスを示している。
A life filled with (Fun), that's what I love
楽しさに満ちた人生、それが俺の愛するもの
A lower plateau is what we're above
低い次元の台地なんて、俺たちはとうの昔に越えている
If you diss us, we won't even think of
俺たちをディスったところで、気にも留めないぜ
Will Nipper the doggy give a big shove?
ニッパー犬が力強く背中を押してくれるかな?
※「Nipper」はRCAビクターの蓄音機に耳を傾ける有名な犬のロゴ。当時彼らが所属していたJive RecordsはRCAと配給関係にあったため、レコード会社からの手厚いプロモーション(後押し)を期待する気持ちを皮肉交じりに表現した業界インサイダー向けのラインである。
This rhythm really fits like a snug glove
このリズムはぴったりなグローブみたいにフィットする
Like a box of positives it's a plus, love
ポジティブが詰まった箱みたいに、それはプラスなんだよ、愛さ
As the Tribe flies high like a dove
トライブが鳩のように高く飛び立つように
(Can I kick it?)
(俺がかましていいか?)
[Chorus: Phife Dawg]
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Can I kick it? (Yes, you can!)
俺がかましていいか?(ああ、かましてこい!)
Well, I'm gone (Go on then!)
じゃあ、俺は行くぜ(じゃあ行けよ!)
[Verse 2: Phife Dawg]
Can I kick it? To my Tribe that flows in layers
俺がかましていいか?何層にも重なってフロウする俺のトライブに向けて
Right now, Phife is a poem sayer
今この瞬間、ファイフは詩の朗読者だ
At times, I'm a studio conveyor
時には、スタジオの機材を運ぶ運搬人にもなる
Mr. Dinkins, would you please be my mayor?
ディンキンズ氏、どうか俺の市長になってくれないか?
※David Dinkins(デイヴィッド・ディンキンズ)は、1989年の選挙でニューヨーク市史上初のアフリカ系アメリカ人市長に当選した人物。楽曲の録音時はまさに選挙期間中であり、黒人コミュニティの政治的希望を何気ないフロウの中に織り込んでいる極めてコンシャスな一節だ。
You'll be doing us a really big favor
あんたがなってくれれば、俺たちにとって本当にデカい恩恵になるんだ
Boy this track really has a lot of flavor
なあ、このトラックは本当に極上のフレイバーに溢れてるぜ
When it comes to rhythms, Quest is your savior
リズムに関して言えば、クエストがお前らの救世主さ
Follow us for the funky behavior
このファンキーな振る舞いについてきな
Make a note on the rhythm we gave ya
俺たちが与えたリズムをしっかりメモしておけよ
Feel free, drop your pants, check your ha-ir
遠慮すんな、パンツを下ろして、髪型をチェックしな
※「Hair」を無理やり「ha-ir(ヘイヤー)」と発音し、前の「mayor」「favor」「flavor」などと韻を踏ませるPhife特有のユーモラスな言葉遊び。「パンツを下ろす」は家でリラックスするように、俺たちの音楽を肩の力を抜いて楽しめという意味合いだ。
Do you like the garments that we wear?
俺たちが着てる服はお気に召したか?
I instruct you to be the obeyer
俺に従うように指示するぜ
A rhythm recipe that you'll savor
お前がじっくりと味わうことになるリズムのレシピさ
Doesn't matter if you're minor or major
マイナーだろうがメジャーだろうが関係ない
Yes, the Tribe of the game we're the player
そうさ、このゲームのトライブ、俺たちがプレイヤーだ
As you inhale like a breath of fresh air
新鮮な空気みたいにお前が吸い込むようにな
(Can I kick it?)
(俺がかましていいか?)
