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Bonita Applebum - A Tribe Called Quest 【和訳・解説】

Artist: A Tribe Called Quest

Album: People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm

Song Title: Bonita Applebum

概要

1990年にリリースされたA Tribe Called Questのデビューアルバムからのセカンドシングルであり、ヒップホップ史上最も美しく、洗練されたラブソングの一つとして語り継がれる歴史的名曲だ。当時、ハードコアなギャングスタラップやマッチョイズムがシーンの主流になりつつあった中で、Q-Tipは女性への敬意と溢れんばかりのロマンチシズムを前面に押し出し、新たなオルタナティブ・ヒップホップの地平を切り拓いた。ビートはRAMPの「Daylight」から抽出されたメロウなエレピのループを主軸に、Rotary Connectionの「Memory Band」のシタールや、Little Featの「Fool Yourself」のドラムブレイクを緻密に重ね合わせた、サンプリング芸術の極致である。「Bonita Applebum」という名は、Q-Tipの高校時代の同級生をモデルにした架空のキャラクターとされており、「Apple(りんご)」と「Bum(お尻)」を組み合わせた造語である。彼らの持つ知性とメロウな感性が完璧に融合した、90年代ネイティブ・タン・ムーブメントを象徴するクラシックである。

和訳

[Intro: Q-Tip]

Do I love you?
君を愛しているのか?

Do I lust for you?
君に欲情しているのか?

Am I a sinner because I do the two?
その両方を感じる俺は罪人なのか?
※精神的な愛と肉体的な欲望の狭間で揺れる繊細な心情を吐露している。当時のヒップホップにおいて、ここまで内省的でロマンチックなアプローチをとるラッパーは極めて稀であった。

Can you let me know?
教えてくれないか?

Right now, please
今すぐに、頼むよ

Bonita Applebum
ボニータ・アップルバム

[Chorus: Q-Tip]

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ
※「put someone on」は、通常「(最新の流行などを)教える」「フックアップする」といった意味だが、ここでは「自分にチャンスをくれる」「相手にする」といったニュアンスで使われている。彼女の魅力に完全に参っているQ-Tipの切実な懇願だ。

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita, Bonita, Bonita
ボニータ、ボニータ、ボニータ

[Verse 1: Q-Tip]

Hey, Bonita, glad to meet ya (Heh)
ヘイ、ボニータ、君に会えて嬉しいよ

For the cunning, stunning you, miss, I must beseech ya (Mmh)
抜け目なく、息を呑むほど美しい君に、どうしてもお願いしなきゃいけないんだ

Hey, being with you is a top priority
なあ、君と一緒にいることが俺の最優先事項なんだ

Ain't no need to question the authority (Mhm)
この権威を疑う必要なんてないだろ

Chairman of the board, the chief of affections (Hm)
俺は役員会の議長であり、愛情の最高責任者さ

You got mine's to swing in your direction
君は俺の心を君の方へと揺れ動かしたんだ

Hey, you're like a hip-hop song, you know? (Heh-heh)
なあ、君はまるでヒップホップの曲みたいだぜ、分かるか?
※女性を自分が愛してやまない「ヒップホップ」そのものに例える、Bボーイにとって最大級の賛辞である。Commonの「I Used to Love H.E.R.」などの先駆けとも言える詩的なメタファーだ。

Bonita Applebum, you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

[Chorus: Q-Tip]

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita, Bonita, Bonita
ボニータ、ボニータ、ボニータ

[Verse 2: Q-Tip]

38-24-37 (Mmm, mmm, mmm)
38、24、37
※女性のスリーサイズ(バスト・ウエスト・ヒップ)のインチ表記(センチ換算で約96-61-94)。「Applebum(魅力的なお尻)」という名前の通りグラマラスな体型への賞賛だが、あからさまな下ネタに走らず数字だけでスタイリッシュに表現している。

You and me, hun, we're a match made in Heaven (*kissing*)
俺と君は、天国で結ばれた最高のカップルさ

I like to kiss you where some brothers won't (Listen up)
他の奴らがキスしないような場所にも、君にならキスしてあげたい

I like to tell you things some brothers don't (Mhm)
他の奴らが言わないようなことも、君には伝えてあげたい

If only you could see through your elaborate eyes
君のその精巧な瞳で、俺の心を透かして見ることができたなら

Only you and me, hun, the love never dies
俺と君だけさ、ハニー、この愛は決して死なない

Satisfaction, I have the right tactics
君を満足させるための、正しい戦術を俺は持ってるぜ

And if you need 'em, I got crazy prophylactics
もし必要なら、ヤバいくらい予防具も持ってるからな
※「prophylactics」はコンドームのこと。当時HIV/エイズの流行が深刻な社会問題となっており、TLCのLeft Eyeなどと同様に、ヒップホップコミュニティに向けてセーフセックスの重要性をさりげなく啓蒙しているクレバーなラインだ。

So far, I hope you like rap songs
とりあえず、君がラップソングを好きだといいんだけどな

Bonita Applebum, you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

[Chorus: Q-Tip]

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita Applebum—I said, "You gotta put me on"
ボニータ・アップルバム、言っただろ、俺を相手にしてくれって

Bonita Applebum—you gotta put me on
ボニータ・アップルバム、俺を相手にしてくれよ

Bonita, Bonita, Bonita
ボニータ、ボニータ、ボニータ

[Outro]

Sex, sex, sex
セックス、セックス、セックス

Freaks, freaks, peace
フリークス、フリークス、ピース

[Segue into "Can I Kick It?": Jarobi]

Ayo, who's having a ball?
エイヨゥ、誰が楽しんでる?

And you know, they ask me to get on the mic
ほら、みんなが俺にマイクを握れって言うんだよ

And they ask me
そしてこう聞いてくるんだ

Can I kick it? Word (Yes you can!)
俺がかましていいか?マジでさ(ああ、かましてこい!)
※アルバムの次曲であり、グループを代表するアンセム「Can I Kick It?」へとシームレスに繋がっていく。Jarobiの陽気な語り口が、作品全体の途切れないグルーヴ感とサイファー的な空気感を見事に演出している。

Can I kick it? (Yes, you—)
俺がかましていいか?(ああ、お前はー)